著者
坂東 宏和 大即 洋子 大島 浩太 小野 和
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.37-47, 2010

本論文は,保育におけるPCネットワークを介した絵と音声によるコミュニケーションの可能性と問題点を探ることを目的とし,1つの幼稚園内に限定されたPCネットワーク環境の中で,幼児にそのコミュニケーションを体験してもらった。その様子を観察した結果,自分の描いた絵に対する返信として録音された,絵が「うまいですね」,「すごい上手です」といった音声メッセージを聞いて喜ぶ事例が見受けられた。また,年中の幼児が「お化け屋敷」という音声とともに投稿した,紙の一部を黒く塗りつぶして暗闇を表現しただけの絵に対し,年長の幼児が「お化け屋敷ならお化けを描かないと」と言いながらお化けを追記し,お化け屋敷にして返信する事例も観察された。これらの事例から,PCネットワークを介した絵と音声だけのやり取りであっても十分コミュニケーションを取ることができ,幼児に有益な新しいコミュニケーションを提供できる可能性が示唆された。

1 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第60冊, 1000
著者
中野 允裕 ルルージョナトン 亀岡 弘和 中村 友彦 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-20

本報告では,音楽信号のような多重音を解析するための手法として,Bayesian nonparametrics に基づく音響信号スペクトログラムのモデル化方法を提案し,その構成法と推論について議論する.近年,非負値行列分解に代表されるようなスパース表現基づく音楽信号のモデル化が盛んに研究されている.その中で解決すべき二つの問題が注目を集めている.一つ目は楽器音が時間変化する多様なスペクトルを持つ点であり,もう一点は観測信号中に含まれる音源の数が一般的には未知なことである.さらに,楽器音の多様なスペクトルは音源数の推定を困難にし,また逆に音源数が未知であることによって一音一音がどの程度多様なスペクトルを持つか推定することを困難にしている.本報告では,これら二つの課題を同時に解消するために,信号の重畳を表す非負値行列分解型のスパース表現と時系列パターンを表現する隠れマルコフモデルを Bayesian nonparametrics 上で融合させたスペクトログラムモデルを提案する.This paper presents a Bayesian nonparametric latent source discovery method for music signal analysis. Recently, the use of latent variable decompositions, especially nonnegative matrix factorization (NMF), has been a very active area of research. These methods are facing two, mutually dependent, problems: first, instrument sounds often exhibit time-varying spectra, and grasping this time-varying nature is an important factor to characterize the diversity of each instrument; moreover, in many cases we do not know in advance the number of sources. Conventional decompositions generally fail to cope with these issues as they suffer from the difficulties of automatically determining the number of sources and automatically grouping spectra into single events. We address both these problems by developing a Bayesian nonparametric fusion of NMF and hidden Markov model (HMM).
著者
小野 恭平
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.676, pp.1507-1512, 2012-06-30 (Released:2012-07-27)

The purpose of this paper is to explore attractions of yamazato (location of leisure activity / romance / secluded life / religion) described in literary works of Heian era. The followings have been obtained as conclusions. (1) yamazato as a place of leisure activity was the place that freed people from capital's daily lives and took them out of the real world and took them to another world. (2) yamazato as a place of romance was just like the world described in a story and released people from the reality of the boring capital. (3) yamazato as a place of secluded life and religion was a place that released people from the reality and this world itself. Yamazato in Heian era was deemed as a place that released people from the reality of the world, which was difficult to live in.

1 0 0 0 OA 緜考輯録

著者
[小野景湛] [等編]
巻号頁・発行日
vol.第17冊, 1000
著者
上野 萌香 小野 尋子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.758, pp.935-941, 2019

<p> Contemporary open space planning is required both approach of science and function. As one of the functions of the green, there is a temperature mitigation function of green spaces to solve the heat island problems. So in the new development, planners should consider to effective greening in there. In the case of planning the open space with temperature mitigation, it is significant to analyze based on the output index as green space in quantitative and the outcome index as temperature mitigation effect of them. This study aims, from the view point of easy adapting for open space planning in future development, to estimate how much effect of urban thermal environment mitigation in subtropical climatic conditions by ratio of ground coverage.</p><p> We studied in Naha Shintoshin area in Naha City, Okinawa Prefecture. Naha Shintoshin area was returned land from USA base and had been developed by land readjustment project finished in 2003. The LR project area was 214 ha. But because of the limitation of lack of measurement tools and man power, we had to choose a part of area, 5508 m2, as our case study site in there.</p><p> The case study site is almost flat in topographical condition and planned in modern urban planning theory which has block parks, neighborhood park, comprehensive park, and greening residential district. Because of this site is an example of entirely new development in Okinawa and it is planned in neighborhood planning theory, this site was suitable as case study site.</p><p> Temperature measurements by hour was done at 39 spots where are in different environment such as in bank of a river, in park, on greenery street, and in residential parcels. The amount of measurements was 2846 hours. We set the finite difference between measurement temperature and temperature published Okinawa meteorological observatory as an explained variable and set land coverage ratio of the site as explanatory variables. The land coverage ratio was estimated by google aerial photos and was divided to tree, grass, water, bare, building and pavement.</p><p> Analysis methods are followings. At first, we examined the ratio of ground coverage which is superior effect of the temperature mitigation for each temperature range, time zone, mesh grid size in subtropical climatic conditions. (Sec. 3) Next, we analyzed the influence of the temperature distribution from the relation with the ground covering condition in quantitatively. (Sec. 4) And then this study considers the findings of temperature mitigation of open space as a green space planning theory. (Sec. 6)</p><p> And the consequences are followings. 1, It was confirmed that factors such as season, time zone, mesh grid size, affect the relationship between temperature mitigation and ground coverage. 2, It was confirmed from the single regression analysis result that the adjusted R2 becomes high in mesh grid size of 10m and 90m. This result means the natural land coverage has both effect of temperature mitigation in spot and wide area. 3, By principal component analysis, it was possible to obtain a multivariate regression analysis result avoiding Multiple correlations. 4, From the estimated temperature distribution of the target area, it was confirmed that the site that ration of green coverage is 20% or more, forms a low temperature zone.</p><p> Considering of these result with real green planning, 10m mesh effect should be able to use in planning of house scale, and 90m mesh effect should be able to adapt as a greening regulation in special district plan.</p><p> This study remains future subjects such as the multiple elements analysis and the continuity consideration to next meshes in wide-spread greenery land use.</p>
著者
侯 茉莉 小野 健太 渡邉 誠
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.11-16, 2010-11-30 (Released:2017-06-24)
参考文献数
9

近年、中国では大学数、大学の学生数、及び研究機構、研究者が急速に増加している。大学進学率は、1990年の3.4%から2007年の23%まで成長した。本論では、急成長する中国の大学におけるデザイン関連学科の教育について、主に、カリキュラムや教育内容について、デザイン系学科を有する主な10校に対し、工業デザイン関連学科の調査を行った。これらのデータより、各大学の特徴をグループとして把握した。その結果、グループは4つに分類でき、中央美術学院、同済大学及び江南大学は、主にプロダクトに対しての技術性の実習科目を学ぶ大学、広州美術学院、北京理工大学及び清華大学のように、基礎知識の養成が重視される大学、湖南大学や復旦大学のように商業ベースの授業の多い大学、浙江大学のように感性に関する課程が多い大学というグループが形成された。また、10校中7校で、クリエイティブデザインという科目が設置されているのが特徴的であった。
著者
関 桂子 小野 知二 中村 佳菜恵 森下 聡 村越 倫明
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.25-35, 2016 (Released:2018-05-21)
参考文献数
47

ラクトフェリンは哺乳類の乳中に豊富に含まれる糖タンパク質であり,感染防御,免疫賦活など,様々な生理機能を持つことが知られている.我々は腸溶化したラクトフェリンに内臓脂肪低減効果という新機能を見出したことから,その機能性食品への展開と作用機序解明に向けて様々な検討を行ってきた.特に,脂肪分解促進効果の作用機序解析においては,プロテオーム解析技術を活用することで変動因子の抽出やラクトフェリン受容体の同定を行い,分子生物学的な解析による裏付けを重ねることで詳細な分子機構を解明することができた.2015年の「機能性表示食品」制度のスタートなど,近年の食品業界を取り巻く環境は刻一刻と変化しており,より高いレベルの研究成果が求められるようになってきている.今後も,人々の健康の維持・増進に貢献できる,確固たるエビデンスを持った製品を開発すべく,学際領域の知識・技術との連携を活かして取組んでいきたい.
著者
中西 真一 藤原 純一 加賀谷 結華 高橋 久美子 澤邉 淳 三浦 勉 粕谷 孝光 福岡 岳美 小野 剛
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.233-237, 2014 (Released:2014-09-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的 : 大腿静脈カテーテル留置時に上行腰静脈へ迷入すると, 後腹膜血腫等の合併症を引き起こす可能性がある. しかし, カテーテルの迷入についてはあまり認識されていない.方法 : 2011年4月から2013年3月の間に当院で大腿静脈カテーテルを留置した患者107名を対象とし後ろ向きに検討した.結果 : 上行腰静脈への迷入は11/110回 (10.0%) で認め, 左側で5/34回 (14.7%) , 右側で6/76回 (7.9%) だった. 位置確認の腹部レントゲン検査で, カテーテルが側方へ変位している場合, 頭側に急峻に立ち上がる場合に迷入の可能性があった.結論 : カテーテル迷入は稀では無く, 迷入が疑われれば積極的に腹部CT, 側面レントゲン等の追加の検査が必要である.
著者
小野澤 峻 石井 賢彦 浅野 耕平
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿
巻号頁・発行日
vol.3, pp.79-81, 2004

数十年前まで川辺でゆらめいていた蛍の光。しかし 市開発の進んだ今、その姿を 中で見ることはほとんどできなくなった。この作品は、そんな蛍たちを自分の目の前に呼び戻す、インタラクティブ・インスタレーション作品である。この作品には、体験することによって、シャボン玉を吹くことの懐かしさを感じて欲しいと共に、蛍を見たことがなかった人はその美しさに息をのみ、見たことがある人はその美しさを思い出し改めて感動して欲しいという思いを込めている。
著者
小野 文子 廣畑 まゆ美
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
no.13, pp.177-182, 2013-06-16

2013年3月に執筆した「芸術と社会の関わりを強めるために-地域の音楽活動を実例に-」の調査では,地域の音楽活動や先人の音楽活動の実例をもとに,現代における音楽と社会の関わりの希薄さを述べた。比較対象として山田耕筰の調査を行っていたが,山田の音楽の発展の陰には,彼の「すぐれた時代を読む力」があったことがわかった。明治から大正にかけて,列強諸国に追いつこうと必死の政府,企業の方針が文化にまで及んだことが,芸術家にとっては追い風となっていた。複雑化する中で,近年の音楽はどのような時代背景とともに今の姿になったのか?また今後,音楽文化が発展していく中でどのようなことが課題になるのか?明治,大正,昭和の日本における音楽と社会の動きを考察しながら,近年の音楽を社会的な視点を交えて考察する。
著者
カーター ハリーR. 長谷川 雅美 ブリット グスタフB.バン 小野 宏治 フリーズ ジョンN. 長谷川 博 植田 睦之 樋口 広芳 モイヤー ジャックT. チャン リーオチクボ フォレスト リーN.デ
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.61-87_1, 2002
被引用文献数
10

我々は伊豆諸島におけるカンムリウミスズメの繁殖や保全について、さまざまな資料を集めて検討した。1835年に種が記載された後、伊豆諸島では1877年にはじめて収集され,1901年に繁殖が初記載された。20世紀以後これまで,カンムリウミスズメは11の島々(鵜渡根島,新島,式根島,早島,神津島,恩馳島,祗苗島,三本岳,元根,小池根,鳥島)で繁殖が確認され,7つの島(大島,利島,地内島,三宅島,御蔵島,八丈島,八丈小島)では繁殖していないと思われた。一方,7つの島(銭洲,藺灘波島,青ヶ島,ベヨネーズ列岩,明神礁,スミス島,孀婦岩)では調査がおこなわれていない。個体群は鵜渡根島と三本岳の間,伊豆諸島北部を分布の中心としている。かつて伊豆諸島は本種の最も主要な繁殖地であると思われたが,20世紀半ば以降,個体群はつぎのような点から大きく減少してしまったと見ることができる。a)式根島や神津島ではすでに繁殖していないこと。b)三本岳ではいくつかの営巣環境が失われていること。c)20世紀初頭において鵜渡根島や早島,三本岳における卵採集者によって伝えられたような大規模な営巣はもはや認あられないこと。d)大島~新島間のフェリー航路からの観察で,カンムリウミスズメは1983~89年と比べて,1990~95年には出現頻度がより低下したこと。現在,伊豆諸島では計350-850つがいが繁殖していると思われる(カンムリウミスズメ全体の推定個体数4,000~10,000羽,あるいは2,000~5,000つがいのうちの7~43%に相当)。そのうち主要な繁殖地は祗苗島(100~300つがい),恩馳島(75~150つがい),三本岳(75~100つがい),そして小池根(20~30つがい)である。最近の推定はないものの,このほかに,100~300つがいがその他の島々(鵜渡根島,新島,早島,鳥島)で営巣しているものと思われる。保全上の問題はつぎのことがあげられる。人間の居住,過去におこなわれた卵の採取,離礁でのレクリエーションフィッシング(磯釣り),移入動物による捕食,三本岳における爆撃演習による繁殖場所消失,人間活動による繁殖地の破壊,火山噴火による営巣環境の消失,カラス類やヘビ,ハヤブサによる相対的に高レベルでの捕食,そして刺し網漁業による死亡である。カンムリウミスズメは日本周辺に分布が限られており,ウミスズメ類のなかではもっとも希少であることから,伊豆諸島においてはさらなる調査やモニタリング,そして保全上の問題に対する評価をおこなっていくことが急務である。
著者
山口 龍彦 萩野 恭子 平 陽介 濱田 洋平 斎藤 仁志 小野寺 丈尚太郎 板木 拓也 星野 辰彦 稲垣 史生
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

IODPを始めとした掘削科学のプロジェクトにおいて、珪藻、有孔虫、放散虫、石灰質ナノプランクトンなどの微化石を用いて堆積物の地質年代を正確に決定することは非常に重要である。微化石の抽出と分類群の正確な同定には豊富な経験・知識が必要とされ、同定と堆積物の年代決定には時間を要する。DSDPが開始された1960年代より微化石の専門家は、掘削船に乗船し船上で微化石の分析を行い、掘削科学に貢献してきた。一方で、コンピュータ処理能力の向上により運転など従来人間が担ってきた操作が人工知能(AI)に置き換わられつつある。人工知能の構築に広く用いられているのはディープラーンニングと呼ばれる機械学習技術であり、多層のニューラルネットワークを用いることで、データの特徴を段階的により深く学習させる手法である。近年、国際空港の出入国管理、アミューズメントパークやコンサート会場の入場セキュリティを担う顔認証システムにおいて、ディープラーニングを用いることで、その識別精度を向上させる実用例も報告されている。我々は、この機械学習・画像認識技術の微化石年代測定への応用、さらには自動年代決定AIシステムの開発について研究を一昨年から開始した。昨年の本学会では、比較的単純な2種類の石灰質ナノ化石および珪藻化石について、NECのAIソフト「RAPID機械学習」による自動識別が可能であることを示した。今回の発表では、実用化に向けたさらなる検討として、分類する石灰質ナノ化石の種類を第四紀の堆積物から多産するEmiliania huxleyi, Gephyrocapsa oceanica, Gephyrocapsa ericsoni, Reticulofenestra haqii, Gephyrocapsa caribbeanica, Reticulofenestra productの6タクサ(種)に増やし、自動分類を試みた。ランダムに30枚の教師画像を与えて構築した分類モデルを用いて教師画像とは別の120枚(6種×20枚)の標本の画像の自動識別を行った。この結果、G. oceanicaやR. haqiiの判別的中率は100%、95%であり、自動判別の有効性が示された。一方、その他の4種類の判別的中率は0-35%であった。判別的中率が低い分類群では同定の鍵となるbridgeの認識がうまく行われていないと考えられる。偏向板を回転させたり、画像の解像度を上げた教師画像のみを与えることでより高精度の分類が可能になることが予想される。本発表では、石灰質ナノ化石の他の微化石への応用例も紹介し、自動分類の可能性について議論を深めたい。
著者
草野 篤子 中西 央 小野瀬 裕子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.5-14, 2000

日本国憲法第3章人権条項のうち, 「男女平等」と「教育の機会の平等」を中心としたベアテ草案作成の背景を考察し, ベアテ草案の先進性と限界を見いだした.その結果を以下にまとめる.<BR>(1) ベアテ草案作成の状況<BR>ベアテは, 語学力を駆使し, 諸外国憲法を参考に引用しながら, 女性の権利, 教育の平等, 労働者の権利等, 「女性と子どもが幸せになるため」の条文を作成した.<BR>(2) ベアテの経歴と起草条項の淵源<BR>ベアテが起草した, 民主的な近代家族の生成に寄与した女性の権利保障と教育の自由が明文化された条文の淵源として, (1) 母親からの影響, (2) 10年問の在日経験, (3) 米国ミルズ大学での教育, (4) 被抑圧民族であるユダヤ人として受けた差別, (5) 被抑圧ジェンダーである女性として受けた差別の5点を見いだせた.ベアテはこの時弱冠22歳であったが, さまざまな社会や文化に対してグローバルな視野を持ち, 博識であった.<BR>(3) 憲法研究会草案との対比<BR>日本の民間草案は約12あったが, 国民に目を向けていち早く発表された憲法研究会草案は注目に値する.新たに規定されるべき国民の権利義務として, 「言論学術芸術の自由」「労働の義務」「労働に対する報酬の権利」「休息権」「老年疾病の際の生活保障」「男女平等の権利」「民族人種差別の禁止」をあげている.模範とした諸外国憲法は, 憲法研究会草案を知らないベアテが模範にした憲法と同じであった.ベアテと憲法研究会が参考にした憲法の条文を表1に示した.ベアテ草案と憲法研究会との条文の共通性を表2に示した.憲法研究会草案はGHQ上級職員から高く評価され, その意識の中には取り入れられていたと考えられた.<BR>(4) ベアテ草案の先進性および限界<BR>ベアテ草案 (GHQ第一次案) の先進的な部分と限界の双方の指摘を試みた.<BR>先進的部分として3点あげることができた.第一に, 家庭における男女の平等を規定した第18条, 長子相続の廃止を規定した第20条では, 「家」制度を廃止するだけでなく, 民主的な近代家族の実現を図るために, 家族という私的領域におよんで法的規定を行ったこと.第二に, マッカーサー草案としては最終的に削除されたが, 第19条の母性保護と非嫡出子差別の禁止, 第26条の男女同一価値労働同一賃金は, 後に法制化の課題として残ったこと.第三に, 第21条, 第24条, 第25条で「児童」の権利をとりあげ, この時代に子どもを「保護の客体」ではなく「権利の主体者」としてとらえた起草を行っていることである.<BR>次にベアテの限界として2点指摘できた.第一に, 第25条に高齢年金の保障を掲げているものの, ベアテ自身も指摘しているように, 老人社会福祉に関する条項がないこと.第二に, 住居の選択はあるものの, 居住権等の居住の権利に関する条項がないことをあげることができた.
著者
佐久間 英規 小野 翔矢 早川 泰平 佐藤 春樹 小澤 幸泰 宮村 耕一 大岩 伊知郎
出版者
一般社団法人 日本造血細胞移植学会
雑誌
日本造血細胞移植学会雑誌 (ISSN:21865612)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.78-83, 2019 (Released:2019-04-15)
参考文献数
20

同種造血幹細胞移植では口腔粘膜障害を認め,骨髄抑制に起因する敗血症などを合併しやすい状況になる。今回,検討症例を同種造血幹細胞移植患者のみに限定し,同種造血幹細胞移植時における口腔粘膜障害の重症化抑制に影響する要因について検討したので報告する。調査期間は2011年4月~2015年3月までとし,調査項目は年齢,性別,幹細胞ソース,HCT-CIスコア,HLA適合度,前処置強度,放射線全身照射線量,Methotrexate(MTX)投与の有無,造血幹細胞移植の骨髄抑制の有無,現行のoral management実施(2013.4~)の有無,造血幹細胞移植前のprofessional mechanical tooth cleaning(PMTC)の有無とした。口腔粘膜障害の重症度と関連が疑われる項目(P<0.2)として年齢(P=0.0560),造血幹細胞移植前のPMTCの有無(P=0.0021)が選択された。更に,ロジステック回帰分析を行うと,造血幹細胞移植前のPMTCの有無(P=0.0017,オッズ比0.3692)のみが選択された。2017年7月以前の骨髄抑制や出血傾向がないのにPMTCを実施していない症例と2012年8月以降のPMTCを実施した症例で検討したところ,PMTCを実施した群で有意に口腔粘膜障害が軽減していた(P=0.0024)造血幹細胞移植前のPMTCは口腔粘膜障害の重症化を抑制する重要な支持療法であることから,造血幹細胞移植前のPMTCを全例に実施するべきことが示唆された。
著者
水野 康 国井 実 清田 隆毅 小野 茂之 駒田 陽子 白川 修一郎
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.527-536, 2004-10-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
34
被引用文献数
8 6

The present study performed a cross-sectional survey to investigate sleep habits and sleep health in Japanese women aged 40 to 69 years with and without a habit of exercise. A standardized questionnaire evaluating sleep was administered to two subject groups. One was the “exercise group” who habitually performed aerobic exercise at mild to moderate intensity with a frequency of ≥2 times/week and duration of ≥30 minutes/one session (n=207) . The other was the age-matched “non-exercise group” who had no exercise habit (n=567) . Two-way ANOVA was employed for com paring the two subject groups and examining the effects of exercise on aging. Regarding sleep habits, as bed time significantly advanced with advancing age, sleep habits (bed time, waking time and sleep duration) were significantly more regular in the exercise group than in the non-exercise group. Concerning independent sleep health risk factors consisting of sleep initiation, sleep maintenance, sleep apnea, parasomnia, and waking-up, the factor score for sleep maintenance significantly deteriorated with advancing age; and was significantly better in the exercise group than in the non-exercise group. These results suggest that an exercise habit may improve sleep health in middle-aged and older Japanese women among which a higher prevalence of sleep problems has been reported.