著者
外村 洋一 小野 忠弘 辻 正彦 堀尾 豊 庄野 元 本田 義信 櫛山 三蔵 徳臣 晴比古
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.309-317, 1977-04-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

Kent型WPW症候群3例について,副伝導路不応期の測定を試みた.3例共従来のRapid pacingによってはwide QRS のnormalizationはまったくみられず,ERPAPの測定は不可能でExtrastimulus法で以下のごとき種々の条件でのERPAPの測定を行った.Basic cyclelengthによる変化,およびOuabain ,Procainamide投与前後におけるERPAPの変化を検討した.ERPAPはBCLの短縮に伴い,短縮した.3例共,Ouabain投与後,ERPAPはBCLに関係なく減少を示した.その後,第1例,第3例にProcainamideの静注を行った所,ERPAPが延長した.3例共,心房細動によると思われる頻拍発作の既往を持ち,これに対するDigitalis使用はERPAPを短縮し,頻拍発作をさらに増悪する可能性があるので,注意を要する.
著者
小野寺 翔汰
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.403-406, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
11

近年,動物園ならびに水族館は生物多様性保全や環境問題などに関する科学教育へ有用な施設として,研究者の間で注目されつつある.しかし一方で動物園・水族館への社会的な関心の高まりには欠けるものがあり,生涯教育的な啓蒙には至っていないのが現状である.本研究では,一般市民への動物園・水族館に対する関心惹起の手段としてサブカルチャー作品を用いることを提案し,その一例としてメディアミックス作品「けものフレンズ」を取り上げ,アンケート調査により本作品が動物園・水族館ならびに科学教育へ与える効果を評価した.その結果,「けものフレンズ」が動物園・水族館への来園館頻度・リピーター率・園館の役割に対する理解度に寄与していることが分かり,サブカルチャー作品による動物園・水族館への関心惹起が十分可能であることが示された.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001696, (Released:2022-05-28)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.この各論IIでは,疾患ごとに脳神経内科領域を分類し,各分野の専門家がわかりやすく解説するとともに,最近のトピックスについて冒頭に取り上げた.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠 進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
遊磨 正秀 小野田 幸生 太田 真人
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.142-149, 2021-05-20 (Released:2021-05-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

琵琶湖流入河川においては瀬切れが頻発している.その一つである安曇川の下流部に伏流時水位をも計測できる低水位対応型水位計を設置し,2005-2008年に記録した河川水位から瀬切れの発生状況を把握した.安曇川下流部においては5月から12月まで様々な時期に瀬切れが生じていた.瀬切れ時の河川水位と降水量,農業用水取水,琵琶湖水位との関係を検討した結果,農業用水の取水や琵琶湖の低水位が関与していることが示唆された.琵琶湖と流入河川を回遊する魚類等の保全のためにも,低水位環境をモニタリングができる水位計ならびに流量監視カメラの設置が必要であることに加え,農繁期・農閑期および治水期・非治水期の各季節における河川・琵琶湖における水管理の再検討が必要である.
著者
小野 文子
出版者
大学美術教育学会
雑誌
美術教育学研究 (ISSN:24332038)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.97-104, 2017 (Released:2018-03-31)
参考文献数
33

19世紀後半,日本,西洋ともに,異文化と出会うことで自らの伝統を見直し,新しい芸術表現を探究した。J. McN.ホイッスラーは,イギリスのジャポニスムにおいて,最も早い時期から日本美術への傾倒を示した画家であり,東西の美の普遍性と融合を唱えた。本稿では,ホイッスラーを出発点として,東西の芸術文化交流における,チャールズ・ラング・フリーア,アーネスト・フェノロサ,金子堅太郎の関わりに焦点を当て,その広がりについて吟味し,画家,パトロン,お雇い外国人,そして官僚が,19世紀後半から20世紀にかけてのグローバリゼーションの中で,国境を超えた美の広まりに,それぞれの立場から歴史的役割を担っていたことを明らかにした。また,東西の芸術の源流を,西欧芸術の美の規範である古代ギリシャに求め,「普遍的に広がる美」を肯定したことを示した。
著者
小野寺 理
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.750-752, 2009 (Released:2009-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

神経細胞の機能を維持するために,神経細胞の内部環境を維持する品質管理機構が重要である.とくに蛋白質と核酸の品質管理機構と神経変性疾患との関係が注目されている.代表的な優性遺伝性脊髄小脳変性症であるポリグルタミン病では,蛋白質の品質管理機構の異常が推察されている.一方,劣性遺伝性脊髄小脳変性症では核酸品質管理機構の異常が推察されている.神経細胞のDNAは活性酸素などにより常に障害をうけ損傷している.損傷部の3'末断端はリン酸基,ホスホグリコール酸基または不飽和アルデヒド基となっており,修復のためには,水酸基に置換(エンド・プロセッシング)される必要がある.われわれは劣性遺伝性脊髄小脳失調症の原因遺伝子アプラタキシンの生理機能を検討し,この蛋白質がin vitroにおいて3'末断端のリン酸基およびホスホグリコール酸基を除去し水酸基とする活性を持ち,これにより損傷部のエンド・プロセッシングに関与していることを示した.このことから,本症の病態機序としてDNA損傷の蓄積の関与を示唆し,脊髄小脳変性症での核酸品質管理機構の重要性を示した.
著者
森田 章夫 小野山 裕彦 宮崎 直之 斎藤 洋一
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.1560-1565, 1992-07-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
19

胆嚢摘出術の功罪について検討する目的で,最近10年間に経験した胆石症例で胆嚢摘出術のみを施行した276例を対象として,術後合併症およびアンケート調査に基づいた遠隔成績より胆嚢摘出後症候群について検討した.術前の症状や併存疾患の有無と,術後合併症および遠隔時愁訴との間に関連性は認めなかった.術後合併症は37例(13.4%)にみられたがほとんどが一過性の軽度なものであった.アンケートは229例(82.8%)について回収し26例(11.4%)に遠隔時愁訴を認めた. 26例のうち18例に対し追跡調査を行い,慢性肝炎2例を除く16例の画像診断および血液検査上異常は認めなかった.遠隔時愁訴で最多の腹痛は14例(6.1%)に認められたが,術後5年以上経過した症例には認めなかった.以上より,胆嚢摘出術は術後合併症,遠隔成績ともに極めて満足すべきものであり,その根治性や癌合併の危険性を考慮すると手術療法が治療の原則であると思われた.
著者
小野 良子
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
人間文化研究 = Journal of Humanities Research,St.Andrew's University (ISSN:21889031)
巻号頁・発行日
no.16, pp.137-174, 2022-02-23

In Shakespeare's King Richard Ⅱ, John of Gaunt, Duke of Lancaster,described England before the reign of Richard Ⅱ as "other Eden,"lamenting "This land of such dear souls …/ Is now leased out." TheDuke implied that the political failure of the king had corrupted the "garden"image of England and destroyed England's greatness inherited fromthe Black Prince, Richard Ⅰ. King Richard Ⅱ was written and staged in 1595 as the initial play in asequence about the Lancastrian phase of English history. The first edition(Q1) was published in 1597 and promptly followed by two furtherissues (Q2 and Q3) in 1598. It was the first play-text to prove its popularity,which indicates the "garden" image of England should have beenshared among the Shakespearian audience and readers. This paper is an attempt to examine the myth of England as "the secondEden," tracing back the origins of the legend to Classical mythologyand history. The first chapter consists of three parts: a survey of "Britannia,"ancient Greek and Roman mythology, and Arthurian legends. Thesecond chapter gives a closer reading of "Britannia" under the RomanEmpire.
著者
都 勇志 木谷 裕紀 小野 廣隆
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2022-GI-47, no.14, pp.1-7, 2022-03-11

ゲームの難易比較や AI ベンチマークの妥当性評価などのため,二人零和有限確定完全情報ゲームの「複雑さ」の計量が様々な形で研究されている.代表的な「複雑さ」の尺度の一つが状態空間数であり,これは初期局面から到達可能な局面数として定義されている.本研究では将棋の状態空間数の見積もりを行う.禁則ルールの多さなどから将棋の厳密な状態空間数を測ることは容易ではないが,2008 年の篠田の研究により 4.65×1062 と 9.14×1069 の間の値を取ることがわかっている.本研究では将棋の状態空間数のより正確な評価を行い,2.45×1064 と 6.78×1069 の間の値を取ることを示す.上界値の評価については持ち駒が少ないほど局面のパターンが増えることに注目した計量方法を提案する.下界については,篠田により提案された駒配置のテンプレートを改良し,これに基づく解析を行う.また将棋から派生したゲームである 5 五将棋についても状態空間数が 13 桁から 20 桁の間であることを示す.
著者
市ノ瀬 有佐 横山 茂樹 山本 乃利男 小野 恭裕 本田 透
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12017, (Released:2021-08-24)
参考文献数
23

【目的】高齢者大腿骨近位部骨折患者において術後3 日間のCumulated Ambulation Score(以下,3-day CAS)と術後2 週時の歩行能力との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】大腿骨近位部骨折患者187 名を術後2 週時の歩行能力で,平行棒以下群99 名と歩行器以上群88 名に群分けした。3-day CAS と患者情報をもとに多重ロジスティック回帰分析を行い,カットオフ値を算出した。【結果】術後2 週時歩行能力の関連因子として,受傷前Barthel Index(以下,BI),骨折型,3-day CAS が抽出された。術後2 週時の歩行器歩行の可否判別におけるカットオフ値は,受傷前BI : 92.5 点,3-day CAS : 3.5 点であった。【結論】術後2 週時の歩行器歩行の可否判別には,受傷前BI,骨折型に加え,3-day CAS が有用である可能性が示唆された。