著者
山中 将 前田 英喜 井上 克己 張 新月
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.734, pp.2805-2810, 2007-10-25 (Released:2011-08-16)
参考文献数
11

This paper deals with the radiated noise of strain wave gearing, which is a kind of K-H-V type planetary gears having features of lightweight and high reduction ratio. The vibration of Flex Spline (F/S), which is the element of strain wave gearing and has a thin circular cup, is considered as a main factor of the noise. The magnitude of sound power is expected to become large in proportion to the square of the amplitude of displacement of F/S in the radial direction theoretically. The displacements of 3 kinds of models are calculated using FEM. The vibration of F/S and the sound power are measured using the F/S fixed type experiment apparatus. It is confirmed that the relation between the vibration of F/S and the sound power are agreed well to the theory and the vibration of the F/S causes the radiated noise mainly. Moreover, the radiated noise with changing a rotary speed, a loaded torque and an assembly error are measured and examined. The influence of rotary speed and torque is characterized by dependence of the deformation of F/S. The noise become large with the increase of the assembly error, but the amplitude of displacement is not increased. This is analyzed by a resonance between F/S and experiment apparatus.
著者
及川 真人 加藤 勝利 松原 徹 山中 誠一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Eb0598, 2012

【はじめに/目的】 回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ)は急性期から早期の転院を受け入れ、高頻度のリハビリテーション(以下、リハ)を提供し、廃用症候群の予防、日常生活活動(以下、ADL)向上、早期在宅復帰を目指している。また、在宅復帰後の継続的なリハを提供する場として訪問リハや外来リハ、通所リハ等が存在する。当院回復期リハ病棟は、365日リハ・1日9単位のリハを提供しており、結果として早期退院が実現する事が多く、発症から180日未満で外来リハを開始する方が殆どである。従って、発症から間もないこともあり、能力改善の余地を残して外来リハを開始するケースが多い。また、診療報酬における算定日数上限180日以降も、カンファレンスにおいて医学的判断に基づいた改善見込みについて検討し、外来リハを継続している。病院退院後の片麻痺者の身体機能については古くから研究が行われている。20年前においては機能維持、予後予測の観点から研究が行われている。現在では在宅におけるリハ効果について報告が多く、それらの研究は、FIM等を用い、ADLの経過を追ったものが多く、歩行パフォーマンスの経過を追っているものは少ない。上記のように、今日の医療保険制度を考えると、定量評価によるパフォーマンンスの改善を示す事と、経時的なデータを追う事は、外来リハを継続する上で重要であると考える。そこで今回我々は、10m歩行所要時間(以下、10mtime)を指標とし、当院回復期リハ病棟を退院した脳卒中片麻痺者の歩行能力の変化を追う事とした。【方法】 対象は、脳血管障害(脳梗塞もしくは脳出血)により片麻痺を呈し、かつ2008年1月から2011年1月までに当院回復期病棟に入院し、退院後に当院外来にてリハビリテーションを開始した109名(男性84名,女性25名 年齢61.2±12.9歳)とした。なおデータを採用するにあたり、カルテ上に10mtimeが記載されていなかった者、介助にて10m歩行評価を実施した者、研究期間中に他院へ入院した者は除外した。10mtimeは3カ月毎の定期カンファレンスで報告されている値で、外来開始、3ヶ月後(以下、3M)、6ヶ月後(以下6M)、9カ月後(以下、9M)の値とした。測定方法は当院PT部門で定められており、10m区間前後に約3mの予備区間を設け、ストップウォッチにて最大歩行速度における所要時間を計測した。計測した外来開始、3M、6M、9Mの10mtimeについて反復測定分散分析を行った。また、反復測定分散分析で主効果が有意であった場合、TukeyのHSD検定を用いた。なお、有意水準は5%未満とした。統計解析はSPSS12.0J(SPSS Japan)を用いた。【説明と同意】 本研究は、所属施設の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】 外来開始の10mtimeは14.5±11.2秒、3Mは12.7±9.2秒、6Mは12.3±9.4秒、9Mは11.9±9.4秒であり、反復測定分散分析の結果、有意な差が認められた(p<0.05)。また、多重比較検定の結果、外来開始と3M、6M、9M各期の10mtimeに有意差を認め(p<0.05)、3Mと9Mの10mtimeに有意差を認めた(p<0.05)。【考察】 片麻痺者に対する外来リハの目的の一つとして、病棟退院後の在宅生活の安定が挙げられる。一方で利用者からは更なる機能・能力向上の希望が挙げられ、とりわけ歩行能力向上に対するニーズが聞かれる事が多い。今回の外来開始から3Mの10mtime改善を考えると、外来リハ初期においては積極的に機能・能力回復に対してアプローチする価値があると考える。また、その後の10mtime改善の経過に関しては、はじめの3Mと比較すると緩やかになっているものの、継続した改善がみられた。回復期リハ病棟からの早期退院を考えると、外来開始初期は算定日数上限内に収まるものの、数カ月すると算定日数を超える利用者が殆どである。算定日数上限以降も、医師が改善の見込みがあると判断した場合、リハを継続することが可能である。よって今回の継続的な10mtimeの改善は、維持期リハを継続する為の医学的判断の一助になると考える。今後、さらに調査期間を延長し、歩行パフォーマンスの改善に対する調査を継続して行っていきたい。【理学療法学研究としての意義】 今回、外来通院している片麻痺者の10mtimeの継続的な改善がみられた。外来初期は能力改善の余地が大きく、積極的なリハが望まれる。また、算定日数上限以降の継続的なパフォーマンス改善は、外来リハを継続する為に必要な医学的判断の一助になると考える。
著者
岡野 憲一 山中 浩敬 九鬼 靖太 谷川 聡
出版者
日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.105-114, 2017

This study examined for the first time the correlation between the spike jump (SPJ), an action specific to volleyball, and other jumps among 202 top-level male volleyball players from domestic leagues (84 from the V. League and 118 from the first division of the Kanto University Volleyball Association). We then categorized the ability of the players during stretch-shortening cycle exercise (SSC) to examine the characteristics of SPJ performance and other positions. The results indicated that, on the one hand, ability in both the counter movement jump (CMJ) and rebound jump (RJ) is required for the SPJ, RJ showing more prominence among elite players. On the other hand, for SSC ability, exercise requiring a longer duration, such as the CMJ, was found to be more critical for the SPJ with a one-step run-up. In terms of different player positions, the results suggested that a middle blocker (MB) with a shorter run-up required a jump that exerts force through longer-duration SSC exercise, whereas a wing spiker (WS) with a full run-up demonstrated more ballistic SSC exercise in his jump. On the basis of these findings, this study has shown the importance of evaluating the characteristics of jump performance according to each player position when designing or choosing the most appropriate physical training exercises for volleyball players.<br>
著者
山中 俊治
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.276-279, 2019-05-01 (Released:2019-05-29)

「デザインこそが新しい価値をもたらす」をキーコンセプトに,生産技術研究所は,デザインとエンジニアリングの融合によるイノベーションの創出と,デザインエンジニアリングの教育を目的として価値創造デザイン推進基盤を設置した. 2017年からは,英国RCA(Royal College of Art)と共同でRCA-IIS Tokyo Design Labを設置し,研究者,クリエイター,企業とのコラボレーションを通じて,未来の価値を具現化したプロトタイプを制作し,内外に発表している.
著者
原 徹 田中 啓一 前畑 京介 満田 和久 山崎 典子 大崎 光明 大田 繁正 渡邉 克晃 于 秀珍 山中 良浩 伊藤 琢司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.289-291, 2009-12-30 (Released:2020-01-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

透過型電子顕微鏡(TEM)におけるEDS分析のエネルギー分解能を大幅に向上させることを目的として,超伝導遷移端センサ型マイクロカロリメータをTEMに搭載した分析電顕を開発した.実験機として単素子検出器を無冷媒式冷凍機で駆動する検出器を製作し,現在,TEMの性能を損なわずにシリコンKα線の半値幅として7.6 eVを達成しており,多くの近接したピークを分離した測定が可能になっている.
著者
赤澤 直紀 松井 有史 原田 和宏 大川 直美 岡 泰星 中谷 聖史 山中 理恵子 西川 勝矢 田村 公之 北裏 真己
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.71-78, 2013
参考文献数
27

【目的】健常成人男性のHip Flexion Angle(HFA)値にハムストリングスのマッサージ部位の違いが及ぼす効果を検証することである。【方法】健常成人男性32名(32肢)へのマッサージ部位について無作為に筋腱移行部群(11名),筋腹群(11名)およびコントロール(対側下肢筋腹)群(10名)に割りつけ,3分間のマッサージ介入を同一の圧迫圧で行った。アウトカムは盲検化された評価者によって測定された介入前,介入直後,3分後,6分後,9分後,15分後のHFA値とした。【結果】マッサージ介入直後,3分後,6分後の筋腱移行部群のHFA値はコントロール群より有意に高値を示した。【結論】ハムストリングス筋腱移行部へのマッサージはHFA値を拡大させる可能性を示唆した。
著者
田井 啓太 山中 正紀 石垣 智恒 廣川 基
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1132, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】肩甲骨周囲筋である前鋸筋は,様々な肩関節疾患に関与すると報告されている。先行研究において,前鋸筋の筋活動を強調するために考案された運動は,壁や治療台に手をつくような荷重下での運動で(standard push up plus,wall push up plus)あった。しかしながら,上肢非荷重下での前鋸筋の筋活動を強調した運動に関する報告は少ない。日常生活において,上肢は非荷重下で運動を行なう頻度が高いと考えられるため,上肢非荷重下で前鋸筋の筋活動を促す運動方法が求められる。それゆえ,本研究の目的は,上肢への荷重を伴う,もしくは伴わない様々な動作課題における前鋸筋の筋活動を検討することとした。【方法】被験者は健常男子学生15名(平均年齢21.9±0.83)とし,除外基準は肩関節に疼痛がある者,肩関節に整形外科的および神経学的な症状や既往がある者とした。動作課題は,standard push-up plus(SPP:腕立て伏せの姿勢において,肩甲帯のProtractonを意識させた姿勢),wall push-up plus(WPP:壁に寄りかかるよう手をつき,肩甲帯のProtractionを意識させた姿勢),立位での肩関節屈曲(Flex),肩甲骨面上挙上(Scaption:前額面より30°前方と定義),セラバンドに抗して水平外転方向への筋収縮を伴うScaption(Sera Scap)および屈曲(Sera Flex),バランスボールを両上肢間ではさむように水平内転方向の筋収縮を伴った屈曲(Ball Flex),セラバンドに抗して水平内転方向への筋収縮を伴う肩関節屈曲(Sera Flex)とし,挙上角度は135°で,それぞれ1kgのダンベルを保持して行った。前鋸筋の筋活動は表面筋電計MyoSystem 1200(Noraxon, USA.inc)を用いて計測した。表面電極貼付位置は先行研究に準じ,肩関節90°屈曲位において,腋窩の下部かつ肩甲骨下角と同じ高さで,前鋸筋の走行に沿って貼付した。各動作課題の試行順は無作為化し,各動作肢位は5秒間保持され,各試行を3回反復した。筋電データの解析は,整流化,フィルター処理(band-pass filter;10-500Hz),RMS(ウインドウ100ms)による平滑化を行った。得られた5秒間の筋電データのうち中間3秒間を解析に用い,各筋電データはMVCで正規化し(% MVC)解析した。各動作課題における前鋸筋筋活動の違いを検討するため,統計解析には反復測定一元配置分散分析を用い,Post-hoc testにSidak法を用いた。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本学倫理委員会の承認を得て行い,被験者には事前に研究の要旨を口頭及び書面にて十分に説明し,同意を得た。【結果】SPP(%MVC±SD:54.78±39.69)はWPP(31.50±24.97)よりも前鋸筋の筋活動が有意に高かった。Ball Flex(52.02±19.94)は,WPP,Flex(31.80±10.55),Scaption(32.12±12.19),Tube Flex(23.86±9.33)よりも前鋸筋の筋活動が有意に高かった。【考察】先行研究において,上肢荷重下で行われるSPPやWPPが前鋸筋筋活動を強調した運動として推奨されてきた。本研究において,上肢荷重下であるSPPでの前鋸筋筋活動と,上肢非荷重下であるFlex,Scaption,Ball Flex,Sera Scap,Sera Flexの前鋸筋筋活動との間に有意差を認めなかった。これは上肢非荷重下での運動でも上肢荷重下の運動と同程度の筋活動を導き出すことが可能であることを示す。上肢荷重下での運動は,日常動作において行なわれることは少ないと思われる。本研究結果より,セラバンドによる肩関節水平外転方向の力や,ボールを持つことによる肩関節水平内転方向の力を加えることによって,上肢非荷重位であったとしても,前鋸筋の筋活動を強調することが可能であることが示唆された。特に,Ball FlexはWPP,Flex,Scaption,Sera Flexより有意に高い前鋸筋筋活動を示し,前鋸筋の筋活動を高める介入方法として推奨されるかもしれない。【理学療法学研究としての意義】抗重力位にて上肢運動を行なう時期のリハビリテーションにおいて,通常の上肢拳上よりも,水平内転方向や水平外転方向の力を加えることによって,前鋸筋筋活動を強調した運動が可能となるかもしれない。肩関節は日常生活において,非荷重下で使用されることが多い。臨床で非荷重下での前鋸筋の筋力強化を目的とした介入を行なう場合,上肢挙上時に水平内転方向へ力を加えることによって,より大きい前鋸筋の筋活動を促すことが期待できると考えられる。
著者
伊波 優輝 金谷 文則 東 千夏 山中 理菜 比嘉 浩太郎 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.274-277, 2020

<p>65歳女性.3歳時に右下腿粉砕骨折を受傷(本人申告で詳細不明),12歳までに腓骨・腸骨移植を併用し数回の手術後に骨癒合した.30歳頃にvon Recklinghausen病を指摘され,53歳頃から右足関節の外反変形が増悪し装具や靴を作製したが,症状が増悪したため65歳時に当院へ紹介された.足関節の可動域は背屈/底屈:-10°/45°で,右足関節の外反動揺性が高度であったため,荷重時・歩行時に足関節内側が接地し内果後方に胼胝を形成していた.単純X線像で腓骨遠位が4 cm遺残し,外側遠位脛骨角は67°,踵骨外反は40°だった.CTで距骨下関節の関節裂隙は保たれていた.手術は全身麻酔下に外側アプローチで切除した腓骨遠位を骨移植し,距腿関節固定術を行った.術後4週免荷,その後は装具装着下に部分荷重を開始し,術後8週で全荷重を許可した.術後1年,疼痛は軽快し市販の靴を履いて独歩可能である.</p>
著者
山中 勤 田中 正 浅沼 順 濱田 洋平 YAMANAKA Tsutomu TANAKA Tadashi ASANUMA Jun HAMADA Yohei
出版者
Terrestrial Environment Research Center, the University of Tsukuba
雑誌
筑波大学陸域環境研究センター報告 = Bulletin of the Terrestrial Environment Research Center,the University of Tsukuba (ISSN:13463381)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.51-59, 2003-10

Water levels were measured for 34 wells in the Nasu Fan, Tochigi prefecture, in the end of October, 2002. Water quality of groundwater (34 samples), river water (6 samples) and spring water (3 samples) were also analyzed. Local relief of groundwater table is considerably low, and the typical value of its gradient is approximately 1/100. At an elevation between 220m and 250m, groundwater table approaches to the ground surface. Revival of interrupted stream of the Sabi River and the Houki River can recharge groundwater. These facts indicate that there is active interaction between groundwater and surface streams. Groundwater level fell over most part of the fan in recent 10 years. The maximum reduction of the groundwater level exceeds 3m. Increase in electric conductivity of groundwater was detected in some areas including urban areas.
著者
川田 倫子 牛田 享宏 池内 昌彦 川上 照彦 山中 紀夫 池本 竜則 谷 俊一 小松 誠
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.127-132, 2006-08-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3 6

Hip joint associated pain is known to distribute widely in affected thigh or lower leg and generally not restricted in hip joint area.However detail feature of hip joint associated referred pain is not sufficiently clarified. Therefore the aim of this study is to characterize the types of distribution of hip joint related pain and to give our opinion about underlying neurophysiological mechanisms of hip joint referred pain. Of 36 severe osteo-arthritis joints, 83% of the joints showed remote pain area and 18% of the joints showed pain restricted only in inguinal area. Fourteen percent of the joints had far remote pain in lower leg area. L5 root block study was conducted in 7 cases. In all cases remote referred pains were attenuated at least 2 or 3 days and long lasting pain improvement was achieved in one case. These results suggest that referred pain observed in severe hip osteoarthritis cases may initially triggered by hip joint itself but prolonged referred muscle pain may become a possible generator for triggering and maintaining of mal-pain circuit.
著者
小川 宣子 山中 なつみ 長屋 郁子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2004 (Released:2004-09-09)

(目的)洗米・浸漬・加熱といった炊飯過程におけるマグネシウムイオンの存在が、飯の性状に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。(方法)米は平成14年度岐阜県産初霜(搗精度90%)を使用し、0.0006Nの塩化マグネシウム溶液(以下、Mg溶液)で炊飯した。米と同重量のMg溶液(25℃)で3回洗米し、米の重量の1.4倍量となるようにMg溶液を加えて25℃で1時間浸漬した後、間接式電気炊飯釜にて25分間加熱し10分間蒸らした飯(Mg飯)を試料とした。蒸留水を用い同様の条件で炊飯した飯(蒸留水飯)を対照とした。飯の性状について、加熱吸水率の測定、一粒法による硬さ,付着性,瞬間弾性率の物性測定、走査電子顕微鏡による表面構造の観察を行った。凍結切片をKMG-20-AM染色してマグネシウムの分布を調べ、さらに三点識別嗜好法による官能検査を行った。また、炊飯過程におけるマグネシウムイオンの存在が、飯の不溶性ペクチン量,水溶性ペクチン量に及ぼす影響を硫酸カルバゾール法により測定した。(結果)Mg飯の加熱吸水率は2.30倍で蒸留水飯の2.34倍に比べて有意(p<0.01)に低かった。Mg飯の硬さ1.48×105Pa、瞬間弾性率1.67×105Paは蒸留水飯に比べて有意(p<0.01)に高く、硬い飯であることが示され、官能検査の結果、Mg飯の硬さは好まれなかった。Mg飯の表面における網目構造の空洞が蒸留水飯に比べて小さかったことから、Mg飯が硬くなったのは吸水が不十分であったことが要因として推定できた。これはMg飯は蒸留水飯に比べて水溶性ペクチン量が少なかったことから、飯の表面部分に存在するマグネシウムによって、水溶性ペクチンが不溶性ペクチンとなり吸水を抑制した可能性が考えられた。
著者
竹谷 裕平 髙津 哲也 山中 智之 柴田 泰宙 中屋 光裕
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.9-17, 2017 (Released:2017-01-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

青森県周辺海域におけるキアンコウの背鰭第一棘による年齢査定法を検証した。背鰭第一棘の付け根付近の横断面をエッチング処理した後,メチレンブルーで染色し,実体顕微鏡下で落射光と透過光の両者による比較観察した結果,不透明帯数の読み取り精度が向上した。同横断面には,1年に2本の不透明帯(主に6月と11-12月)が形成されていた。背鰭第一棘による年齢査定は脊椎骨によるものよりも読み取り誤差が小さく,標識放流魚の成長追跡結果と類似したことから,優れた年齢査定法と判定した。
著者
鈴木 克治 山中 俊夫 甲谷 寿史 桃井 良尚 相良 和伸 西田 敏宏
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.5-8, 2016

<p>In this paper the measurement results of deodrant experiments using one-fluid sparay nozzle and weakly acid hypochlorous acid solution as a deodrant material will be reported and the damping behavior of the odor naterial will be clarified.</p>
著者
越野 裕太 山中 正紀 石田 知也 武田 直樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb1149, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 最も一般的なスポーツ損傷である足関節内反捻挫が生じる一因として接地時の不適切な足部肢位が考えられている.また,足関節内反捻挫の後遺症である慢性的な足関節不安定性(Chronic ankle instability:CAI)を有する者では着地動作中の接地時に足関節運動が変化していることが報告されている.この変化した足関節の肢位をもたらす一因として変化した神経筋制御の存在が示唆されているが,接地前における足関節周囲筋の前活動が足関節の肢位に影響を与えるか否かは不明である.よって,本研究の目的は健常者における着地動作中の接地前における足関節周囲筋活動と足関節運動との関係性を調査することとした.【方法】 下肢に骨折・手術歴および足関節内反捻挫の既往がない健常成人9名18脚(男4女5)を対象とした.動作課題は,30cm台上で非計測肢で片脚立位をとり,そこから前下方に位置する床反力計(Kistler社製, 1200Hz)へ,計測肢で着地する片脚着地動作とした.赤外線カメラ6台(Motion Analysis社製,200Hz)を用いて,骨盤・下肢に貼付した反射マーカー25個の着地動作中の三次元座標を記録した.筋電計(日本光電社製,1200Hz)を用いて,着地動作中の長腓骨筋(PL),前脛骨筋(TA),腓腹筋内側頭(GM)の筋活動を導出し,各脚成功3施行を記録した.初期接地は垂直床反力が初めて10N以上となった瞬間とし,初期接地前100msec間における各筋の筋電積分値を算出し,それぞれ最大等尺性収縮中の筋活動によって標準化した.さらにPL積分値に対するTA積分値の割合をTA/PL比,GM積分値に対するTA積分値の割合をTA/GM比として接地前100msec間における筋活動比を算出した.解析ソフトSIMM(MusculoGraphics社製)を用いて,足関節背屈・内反角度を算出した(背屈・内反を正とした).Pearsonの積率相関係数を用いて接地前の各筋電積分値,各筋活動比と接地時の足関節角度との関係性を評価した(P<0.05).【倫理的配慮、説明と同意】 被験者には口頭と紙面により説明し、理解を得たうえで本研究への参加に当たり同意書に署名して頂いた.また本研究は,本学院倫理委員会の承認を得ている.【結果】 初期接地時の肢位は平均して足関節底屈・軽度外反位であった.接地前100msec間のTA積分値は足関節内反角度と有意な正の相関を認めた(R=0.475,P=0.046).またGM積分値は足関節背屈角度と有意な正の相関を認めた(R=0.583,P=0.011).TA/PL比とTA/GM比は足関節内反角度とそれぞれ有意な正の相関を認めた(それぞれR=0.561,P=0.016,R=0.588,P=0.010). 【考察】 着地動作中の接地前における足関節周囲筋活動は接地時の足関節肢位に関連することが示唆された.TAは足関節を背屈させる他に内反させる機能を有するため,接地前のTAの筋活動が大きいほど接地時の足関節内反角度が大きかったと考えられ,TAの過剰な活動は足関節内反捻挫にとって脆弱な肢位を導き得ると考えられる.さらにTA/PL比とTA/GM比が大きいほど接地時の足関節内反角度が大きかった.この結果は接地前の筋活動バランスが接地時の足関節の肢位に影響を与えることを示唆しており,PLおよびGMの筋活動は足関節内反角度の制御にとって重要な役割を担っている可能性が考えられる.GMの足関節前額面運動に対しての機能に関しては一致した見解が得られていないが,足関節を外反させる機能を有するPLの接地前筋活動は足関節内反捻挫を予防するために不可欠であると考えられている.本研究の結果はこの考えを支持するものである.また,GMは二関節筋であり,足関節を底屈させる他に膝関節を屈曲させる機能を有する.足関節の背屈に連動して膝関節の屈曲が生じるため,GMの接地前筋活動が大きいほど接地時の足関節底屈角度が小さいという関係性を認めたのかもしれない.先行研究はCAIを有する者では着地動作中の接地前後において足関節運動が変化していることを明らかにしたが,足関節運動がなぜ変化しているのかについては未だ不明である.本研究は健常者を対象としたが,CAIにおける接地前後の変化した足関節肢位の一因として接地前筋活動が関連している可能性がある.足関節内反捻挫の予防において,特に足関節不安定性を有する者では,足関節周囲の筋バランスを考慮してアプローチすることが,着地動作時の変化した足関節肢位を修正する上で重要であると考える.【理学療法学研究としての意義】 着地動作において急速かつ過度な足関節回外により生じる足関節内反捻挫を予防するためには接地前の筋活動が不可欠であると考えられている.本研究は足関節内反捻挫の予防的介入において,さらにはCAIにおける変化した動態のさらなる解明において有用な情報を提供すると考える.