著者
村上 正行 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-192, 2012

本論文では,FDに関する歴史や政策の動向,定義,推進主体などについて説明した上で,大学教育・FDに関する研究について調査,分析を行った.授業,カリキュラム,組織的なFDの3つのレベルに分類し,紹介した.そして,教育工学研究者が大学教育やFDに対してどのような役割を担うべきか,今後どのような研究を行なっていくべきか,について検討した.教育工学研究者は,大学教育やFDにおける現代の問題について,教育政策も踏まえながら,実践を通した研究を行うことが求められていると言え,今後,大学教育の改善やFDに関する研究を発展させていくことが必要であると考えられる.
著者
山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.87-96, 1998-02-01 (Released:2007-01-30)
参考文献数
50
被引用文献数
6 5

Nitric oxide (NO) is a free radical gas that is synthesized from L-arginine by NO synthase (NOS). Activation of NMDA, non-NMDA or metabotropic glutamate receptors causes NO formation through NOS activation. From data obtained in experiments performed by microdialysis together with nitrite and nitrate assay, we have proposed that NO production in the cerebellum following non-NMDA and metabotropic glutamate receptor activation may be independent of NOS activity, while NMDA receptor-mediated NO production depends on its activity. Glial cells appear to play a role in modulating NO production by regulating L-arginine availability. Activation of NMDA receptors and the increase in intracellular calcium concentration is a trigger for the long-term potentiation (LTP). NO acts as a retrograde messenger in the hippocampal LTP to enhance glutamate release from presynaptic nerve terminal, in which cyclic GMP may be involved. Behavioral studies demonstrate that NO is involved in some forms of learning and memory. Our studies suggest that NMDA/NO/cyclic GMP signaling plays a role in spatial working memory. Further, it is suggested that NO production in the brain is altered by aging. These results support the hypothesis that NO plays a role in mechanism of synaptic plasticity.
著者
真嶋 隆文 高木 千恵子 小池 雄太 重本 道香 山田 敬行 赤城 格
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2197-2200, 2004-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は73歳女性.心不全の原因となった心房細動にコハク酸シベンゾリンを使用した際,低血糖が出現した.シベンゾリンによる低血糖の機序としてはATP感受性K+チャネル閉鎖によるインスリン分泌亢進が考えられており,本例でのインスリン分泌負荷試験の評価もそれに矛盾しなかった.また本例のような腎機能正常例でのシベンゾリンによる低血糖症の報告は少なく,その他ATP感受性K+チャネル作用薬併用の影響等も考えられた.本例はシベンゾリンの臨床的留意点や,その低血糖発症機序に関する有意義な症例と思われた.
著者
土肥 宏志 山田 明央 圓通 茂喜 福川 胎一郎
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.474-480, 1997-05-25
被引用文献数
3

オーチャードグラス(Dactylis glomerata L. cv. Akimidori),ペレニアルグラス(Lolium perenne L., CV. Friend),トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb. cv. Lubrette)トメドーフェスク(Festuca pratensis L. cv. Tolnosakae)のエーテル抽出物から,コールドとラップ法を用い揮発性の化学物質を捕集した.その揮発性物質について,ガスクロマトグラフとガスクロマトグラフー質量分析計を用い分析を行った.その結果,緑の葉の特有なにおいを示し,また,広く植物界に存在することが知られている,シス-3-ヘキセノール(青葉アルコール)とトランス-2-ヘキセナール(青葉アルデヒド)が調べたどの牧草においても多量に検出された.そこで,この青葉を示すにおい物質を乾草に3段階の異なる濃度(50μg,5mgと100mg)で添加し,ヤギの採食に及ぼす影響を調べた.シス-3-ヘキセノールを100mgと5mgを添加した乾草に対するヤギの採食は,無添加の乾草に対する採食に比べ有意に抑制され,50μgの添加では有意でにはないが採食が抑制された.しかし,トランス-2-ヘキセナールは,どの濃度においても採食に影響を示さなかった.これらの結果により,草食家畜の採食する牧草に念まれている,青葉特有のにおいを示すシス-3-ヘキセノールが,ヤギの採食行動を抑制する作用のあることが示唆された.
著者
山田 哲好
出版者
史料館
雑誌
史料館研究紀要 (ISSN:03869377)
巻号頁・発行日
no.10, pp.p51-84, 1978-03
著者
多田 昌裕 飯田 克弘 安 時亨 山田 憲浩
出版者
Japan Society of Traffic Engineers
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.A_79-A_87, 2015

<tt>筆者らは,先行研究の事故調書解析によって,接触と追突という異なる形態の事故が高速道路の本線料金所において,どちらも多く発生していることを明らかにした.一方,交通コンフリクト指標として汎く用いられている TTC は,計算の際,各車両を点として扱うために,衝突形態(接触事故,追突事故の別)の判別が困難であるという問題があった.そこで,本研究では車両の大きさを考慮に入れることで,衝突形態を把握できるよう工夫した 2 次元 TTC を用い,西名阪道・柏原 TB の交通流データ(23.5min,845 台)を解析した.その結果,TTC が 3 秒以下となった 11 件の事例のうち,5 件は接触事故,6 件は追突事故の危険性を示唆するものとなり,柏原 TB において接触事故と追突事故,それぞれのリスクを高めるような交通状況が同時に発生していることが明らかとなった. </tt>
著者
山田 吉二郎
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 = Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
no.7, pp.69-97, 2008

This paper aims at discussing Max Weber's methodology, specifically based on his essay "Objectivity in Social Science and Social policy". It is well known that Max Weber made continuous efforts to construct modern social science; his Gesammelte Aufsätze zur Wissenschaftslehre are full of highly suggestive ideas and concepts for students who are interested in methodology generally. If media studies is also expected to be one of genuine social and cultural sciences, every piece of Weber's thought will be important. Every social reality is unique, concrete and infinitely rich; we cannot grasp it without constructing "ideal type" which is not real image of reality, but its edited one. It will be shown that Weber's "ideal type" is composed of three ingredients, that is, economy, value and history.
著者
山田 厳子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.54, pp.p267-294, 1993-11

通常とは違った特徴を持つ子どもが生まれることは民俗社会の中では歓迎されざることであった。そのことは、民俗社会の中で語られるさまざまな話の中からもうかがうことができる。しかしこのような子どもが却って富をもたらすと説明する話もある。ここでは現実との関わりによって語られる、しかも事実そのものとはいえない話(世間話)を例として検討しながら通常とは違う子どもに対する「過剰な意味づけ」を問うていきたいと考えている。「歓迎される」異常児として「福子」が、「忌避される」異常児として「鬼子」が挙げられる。「福子」には自身を犠牲にして「家」の繁栄をもたらすイメージがある。一方「鬼子」には「富」とともに「他界」からもたらされるイメージと、歓待されることによって「富」をもたらすイメージがある。異常児が、富とともに他界からもたらされるというイメージは、異常児の去来によって家の盛衰が決定されるという話へとつながるであろう。また異常児の誕生という不幸によって「富」の獲得という幸福とのバランスをとろうとする家の外部の者の心意もうかがうことができる。子どもの「異常」の説明のために「富」の推移が語られ、家の盛衰の説明のために「異常児」の誕生が語られたことが推測される。その際に「異常児」は家の盛衰と密接に結びついた霊的な存在と受け取られていたといえるであろう。It can be said that a child with a distinctive feature different from the normal was an unwelcome existence in the traditional folklore society of Japan. However, there are signs that, due to the distinctive feature which part it in the minority, such a child was regarded as an existence close to the Other World, determining the ups and downs of its family.In this paper, the author takes up stories regarding children connected with "wealth" from rumors called Seken-banashi (small talk), and aims to clarify the image people had of such children.When a child different from ordinary children is favorably accepted, it is called "Fukugo" (lucky child), literally meaning a child who brings happiness. However, if we look back to the origins of this tradition, we find that the "lucky child" was thought to bring happiness to the family through the sacrifice of the child itself. On the other hand, an unwelcomed "abnormal" child was called "Onigo" (devil child). Though a devil child was detested, it seems to have been believed that people would have a devil child after they had obtained wealth, or would be able to obtain wealth by welcoming a devil child.A child born with an abnormality was thought to be sent from the Other World, together with wealth. Therefore, stories about children who were born with an abnormality and left home were stories hinting at the decline of the fortunes of the family concerned.Also, in relation to wealth, there were examples in which people regarded children born with abnormalities as serving spirits to be used for the wealth of the family ; or identified such children with a dangerous god (God of Plague) bringing wealth to the families that welcomed the child.Rumors about children born with abnormalities can be considered to have arisen in two ways as follows : One was to explain, when a child was born with an abnormality, why such a child was born : The other was to see the reason for a sudden rise or decline in a family's fortunes in the birth of the abnormal child. In the latter case, there seems to have been examples in which the "abnormality" of the child was exaggerated more than necessary. The stories of children born with abnormalities should be examined with a wider vision, with consideration also given to rumors of "Zashikiwarashi" and animal spirits.
著者
山田 博胤 田中 秀和 宮原 俊介 尾形 竜郎 楠瀬 賢也 西尾 進 鳥居 裕太 平田 有紀奈 大北 裕 佐田 政隆
出版者
一般社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2016

症例は,46歳男性,循環器内科医師,主訴は左足関節内果部と上腕の疼痛である.僧帽弁逸脱症による僧帽弁逆流と発作性心房細動の既往がある.足関節の疼痛は蜂窩織炎を疑って,血液検査と表在エコー図検査を行った.疼痛部は皮下浮腫が著明であったが,軟部組織の血流シグナルが乏しく,後脛骨動脈の血管壁を主体とした炎症と,同動脈の閉塞が確認された.一方,左手関節近位の尺骨動脈は逆行性血流を示しており,左尺骨動脈分岐部直後で閉塞していた.これらの所見から多発性血管閉塞性動脈炎と診断し,その原因究明のために直ちに心エコー図検査を施行した.その結果,僧帽弁に可動性を有する棍棒状の異常構造物を認め,僧帽弁逆流は高度に増悪しており,感染性心内膜炎と診断された.頭部MRI検査で異常を認めなかったため,外科的加療(疣腫摘除術,僧帽弁形成術,左房縫縮術,左心耳閉鎖術,Maze手術)が行われた.血液培養は陰性であったが,摘出した疣腫の培養からStaphylococcus warneriが同定された.Staphylococcus warneriは皮膚常在菌であり,本病原体による自己弁の感染性心内膜炎は報告が少ない.術後の経過は良好であり,抗生剤を6週間静脈投与した後に社会復帰した.患者が循環器内科医であり,自身の足関節および上腕の疼痛を契機に,表在エコー図検査と心エコー図検査を用いることで,感染性心内膜炎を迅速に診断した稀有な症例であり,かつ,感染性心内膜炎の起炎菌としては稀なStaphylococcus warneriが同定されたので,文献的な考察を加えて報告する.
著者
山田 剛一 森 辰則 中川 裕志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.2431-2439, 1998-08-15
参考文献数
12
被引用文献数
2

情報検索においては, 検索対象の規模が拡大するにつれ, 検索精度の向上がより強く求められてきている.そこで本論文では, 複合語をまとまりとして扱う手法と, 単語の共起情報を用いる手法を統合することにより, 探索システムの精度向上を図ることを提案する.複合語は全体で1つの概念を表現しており, まとまりとして扱うことが望ましいが, 複合語どうしマッチさせる場合には部分的なマッチングを考慮する必要が生じる.このマッチングを行い文書をスコア付けする手法を考案した.さらに, 単語が複合語を構成せず共起する場合もスコアに反映させるため, 共起情報を利用する手法と組み合わせ, 評価実験を行ったところ, 単語の重みに基づく手法, およびそれに共起情報を加える手法のいずれよりも良い探索精度が得られることが確認できた.
著者
山田 あゆみ 田尾 龍太郎
出版者
園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.133-138, 2007-04
被引用文献数
3 12

6 倍体のカキ (<i>Diospyros kaki</i> Thunb., 2n = 6x = 90)'藤原御所'実生にみられる倍数性変異の原因を明らかにするため,2004年と2005年に'禅寺丸'の還元花粉 (3x) と非還元花粉 (6x) を選別して受粉した.8 月中旬に未熟果を採取し,正常に発達した種子から胚を取り出し救助培養を行った.種子中の胚乳の倍数性と胚培養により得た実生の倍数性をフローサイトメトリーにより測定した.また,数個体の実生については,根端細胞の染色体数を数え倍数性を決定した.その結果,還元花粉受粉区の種子は正常な 6 倍性の胚と 9 倍性の胚乳を含んでおり,一方,非還元花粉受粉区ではほとんどの種子が12倍性の胚と18倍性の胚乳を含むことが示された.これらの結果から,'藤原御所'では 6 倍性の極核 2 個と 6 倍性の卵を含む胚のうが形成されており,非還元性の胚のうが存在する可能性が示唆された.還元花粉受粉区では 9 倍性の胚乳を含む種子のみが発達し,一方非還元花粉受粉区では18倍性の胚乳を含む種子のみが正常に発達する理由について考察した.<br>

2 0 0 0 OA 越知神社文書

著者
山田秋甫 編
出版者
越知保存会
巻号頁・発行日
1920
著者
林 侑輝 山田 仁一郎
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.655-688, 2015-12-25 (Released:2016-12-25)
参考文献数
42

本稿は、日本の電子出版ベンチャーによる中国市場参入に関する事例研究である。K. E. Weick (1979) の組織化理論に依拠してビジネスモデル概念を再解釈することで、プラットフォーム・ビジネスの創造にともなう一連の試行錯誤を組織化過程として理解する枠組みを示し、またその再編過程における戦術的コミュニケーションの役割を明らかにした。
著者
中村 一樹 竹内 明男 山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-68, 2004
被引用文献数
2

短い期間に急速に発展を遂げた鉄道網に存在するトンネル群が, 斉に補修を必要とする時期が近づいている. 限りある財源の下に効果的な維持管理を行うために, 管理者はさまざまな方法を模索している.<BR>京浜急行電鉄株式会社 (京急電鉄) においても同様で, 多くのトンネルを所有しているため, 特に効果的かつ経済的な維持管理方法の策定が必要とされている.<BR>そこで, トンネルマネジメントシステム (TMS) の導入を決定し, 構築を開始した.<BR>TMSは, 現在のトンネルの変状状態を「健全度」という定量指標で評価し, 将来の劣化を予測すると共に, 変状原因を推定し, 適切な対策工を適切な時期に適用することができるように管理者の意思決定を支援するシステムで, 健全度評価システム, 変状原因推定システム.劣化予測システム, 対策工選定システムおよび維持管理最適化システムの5つのサブシステムから構成される.<BR>今回は, 管理者が予算配置の意思決定に必要な情報を提供することのみを目的としたバージョン1として, 健全度評価システムに点検を組み入れた「点検および健全度評価システム」と維持管理最適化システムのうちライフサイクルコスト (LCC) を計算する「LCC積算システム」を構築し, TMSの暫定運用を開始した.
著者
坪子 侑佑 渡辺 祥太 白石 泰之 三浦 英和 山田 昭博 鈴木 拓志 平 恭紀 山家 智之
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学
巻号頁・発行日
vol.53, pp.S200_01-S200_01, 2015

The authors have been developing a pulmonary mechanical simulator in order to establish a design parameters of a novel artificial cardiovascular devices. In pulmonary circulation, interactive pressure-flow changes are regulated by pulmonary impedance characteristics. We focused on the native impedance characteristics variation in the pulmonary circulation. To examine the effect of respiratory control on pulmonary resistance, we measured pulmonary arterial pressure and flow in adult goat under the different respiratory settings with open/closed-chest condition. Pulmonary input impedance in two respiratory conditions under the anesthetized open-chest positive pressure ventilation (PPV) and the awake spontaneous respiration (SR) were calculated. Longitudinal impedance at 0 Hz in SR showed lower than in PPV, and at high harmonic area in SR was bigger than in PPV. In order to examine the hemodynamic response for newly designed artificial internal organs, pulmonary impedance variation caused by respiratory control should be considered. For sophisticated pulmonary resistance model, reproducing the negative pressure condition in the thoracic cavity, and pulmonic vascular resistance regulation might be required.
著者
高橋 純一 山田 憲幸
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1257-1277, 2004 (Released:2005-03-28)
参考文献数
87
被引用文献数
9 17

誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)のバックグラウンドスペクトルには,試料やプラズマガスに起因する種々の多原子分子イオンが観測される.微量定量分析を妨害するこれらのイオンを除去する上で,質量分析計の手前にセルで囲ったイオンガイドを設け,気体分子とイオンとを衝突させる手法(collision/reaction cell)が非常に有効であることが示された.Collision/reactionガスの選択,セル内で副成するイオンの除去法,イオンの運動エネルギーの制御の仕方などにいろいろなバリエーションが見られ,少しずつ方式の異なる装置が市販されている.それらの原理,使用に際しての最適化,種々の試料への応用について概観する.試料への応用を通じて,期待される性能,あるいはその限界について紹介する.