著者
京極 真 山田 孝 小林 法一
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.225-235, 2008-12-25 (Released:2017-10-27)
参考文献数
6

非構成的評価(UA)の確かさを担保するとされる4条件((1)第3者が評価者の想定した暗黙の前提を共有しやすい,(2)提示された事実は面接や観察から得られたもので,作業遂行を通して変化が認められる,(3)事実の表記は省略が少なく,概念が明確である,(4)判断は作業有能性に焦点を当てており,論理的に適正で明瞭である)を満たすよう作成したUA結果が,確かさの担保されたUA結果であると判断されるかどうかを検討した。その結果,作業療法士は,4条件を満たしたUA結果を確かさの担保されたUA結果であると判断することが明らかとなった。一方,4条件のうち1条件でも欠けると,確かさが担保されたUA結果ではないと判断することが示唆された。4条件を満たしたUA結果は,良質なUA結果を学ぶ教材として利用できるため,教育者は本研究の結果を参考に学習者に教育的指導を行うことができると考えられた。
著者
橋村 真治 山田 直樹 戸田 均
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:18848338)
巻号頁・発行日
vol.78, no.791, pp.1013-1022, 2012 (Released:2012-07-25)
参考文献数
10

In this study, influence of nut configuration on fatigue characteristic of bolt/nut assembly under transverse vibration has been investigated. In the experiments, the apparent fatigue limits were investigated for two bolt/nut assemblies tightened with a flange nut and a tapered nut. The results showed that the apparent fatigue limit of the bolt/nut assembly tightened with the tapered nut was higher than that of the flange nut. Its causes were revealed by FE Analyses. As the result, it could be seen that a difference of nut inclinations when the assembly received the transverse load caused the difference of fatigue limits. It was also seen that the nominal stresses at root of the first thread were different even if the same transverse load was applied to the bolt/nut assembly.
著者
山田 聡志 岩崎 友洋 佐藤 明人 坪井 康紀 柳 雅彦 高橋 達 薄田 浩幸 江村 厳
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.1947-1955, 2010 (Released:2010-12-06)
参考文献数
24

症例は54歳男性.多発性骨髄腫に対する自家末梢血幹細胞移植約2カ月後に激烈な上腹部痛にて発症(発症時免疫抑制剤は使用していない),鎮痛に麻薬を必要とした.発症7日後に全身に皮疹が出現し内臓播種性の水痘感染症と診断,抗ウイルス剤投与にて改善した.経過中の腹部CTで腹腔,上腸間膜動脈根部付近の脂肪濃度上昇を認め,この所見が腹部症状へ関与している可能性と本疾患の早期診断の一助となり得ることを示した.
著者
天本 宇紀 豊岡 達士 山田 丸 柳場 由絵 王 瑞生 甲田 茂樹
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.125-133, 2023-05-20 (Released:2023-05-25)
参考文献数
25

目的:職業性疾病であるけい肺の原因物質とされる結晶質シリカは,粒径や表面特性等の粒子特性が異なる多種多様な製品(粒子)が製造されている.我が国において,これらの製品は,2018年の労働安全衛生法施行令の一部改正につき,表示・通知義務対象物質である結晶質シリカとして一律に管理されるようになったが,粒子特性によってその毒性が変化することが報告されており,事業者は,シリカ粒子ばく露による予期せぬ健康障害を防止するためにも,製品ごとに適切なリスクアセスメントを実施することが望まれる.本研究では,シリカ粒子による炎症反応のきっかけになると考えられているリソソーム膜損傷を赤血球膜損傷に見立て,炎症誘発性を有する可能性があるシリカ粒子のスクリーニングの指標としての赤血球溶血性の利用可能性を検証することを目的とした.方法:粒径,結晶度,表面官能基の異なるシリカ粒子について,健常者ボランティア男性の血液から単離した赤血球を用いて溶血性試験を行った.また,シリカ粒子と他元素粒子間における溶血性の比較や,市販の結晶質シリカ粒子製品27種類において試験的なスクリーニングを試みた.結果:シリカ粒子の溶血性は,非晶質よりも結晶質の方が高く,粒径が小さいほど上昇した.他元素の粒子はほとんど溶血性を示さず,シリカ粒子の表面に金属イオンが吸着すると溶血性が抑制された.産業現場で使用されている結晶質シリカの製品群では,製品間で溶血性が大きく異なった.考察と結論:本研究は,粒径,結晶度,表面官能基といった粒子特性が,シリカ粒子の溶血性に影響を及ぼすことを明らかにした.中でも特に,シリカ粒子特有の表面官能基(シラノール基)が溶血性に強く関与しているであろうと考えられた.また,産業現場の製品群においても,溶血率を基準にしたグレード分けが可能であり,溶血性は,炎症誘発性を有する可能性があるシリカ粒子のスクリーニングにおける評価指標の一つになりうることが示唆された.
著者
栗田 健 若林 雄介 山田 晴夫 堀内 雅彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
環境工学総合シンポジウム講演論文集 2007.17 (ISSN:24242969)
巻号頁・発行日
pp.54-57, 2007-07-18 (Released:2017-06-19)

It becomes more important to reduce the noise generated from Shinkansen train for further speed-up of Shinkansen. We developed the high-speed test train "FASTECH360" that has new equipment such as low-noise pantographs, "multi-segment slider", pantograph noise insulation plates and sound-absorbing panels for the noise from the lower area of car bodies. We investigated the noise distribution of "FASTECH360" by using a spiral microphone array, and we have taken countermeasures for the noise sources of "FASTECH360" based on the primary results of high-speed tests. Currently, the results show that the noise level of "FASTECH360" at the speed of 330km/h is approximately equal to that of the present commercial train at the speed of 275km/h (at a distance of 25m from the track).
著者
山田 一成
出版者
法政大学社会学部学会
雑誌
社会志林 = 社会志林 (ISSN:13445952)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1・2, pp.41-61, 2010-09
著者
重富 典子 長谷川 ゆり 楠本 紗羅 小松 菜穂子 新谷 灯 山田 美樹 淵 直樹 永田 愛 朝永 千春 三浦 清徳
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.273-277, 2022 (Released:2022-09-09)
参考文献数
22

プロテインS欠乏症は先天性血栓性素因のひとつで,その頻度は本邦における先天性血栓性素因の中では最も高い.血栓症以外の周産期合併症に遭遇することも少なくはない.2014年1月から2019年12月までに当科で分娩管理を行ったプロテインS欠乏症合併妊娠の7例について検討した.既往妊娠合併症として,人工妊娠中絶術後の下肢静脈血栓症を1例認めた.妊娠合併症は胎児発育不全1例,妊娠高血圧腎症1例,妊娠糖尿病2例であった.早産は2例であった.5例は児の血液検査を行い,2例はプロテインS欠乏症と診断した.妊娠中に血栓症を発症した例は1例で,産褥期に血栓症を認めた例はなく,出血性合併症を2例認めた.プロテインS欠乏症合併妊娠は,下肢静脈血栓症だけでなく子宮内胎児死亡や胎児発育不全,妊娠高血圧腎症といった周産期合併症に注意して管理する必要がある.
著者
大西 真美 曽山 いづみ 杉本 美穂 大瀧 玲子 山田 哲子 福丸 由佳
出版者
一般社団法人 日本家族心理学会
雑誌
家族心理学研究 (ISSN:09150625)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.137-154, 2022-03-31 (Released:2023-05-19)
参考文献数
15

In Japan, more than 200,000 children experience their parents' divorce annually. To help parents and children cope with problems that result from divorce, a psychoeducational program called Families in Transition (FAIT) has been conducted with Japanese families since 2013. The current authors have noted the importance of understanding the differences and similarities between custodial parents (CPs) and non-custodial parents (NCPs). The purpose of the current study was to examine differences and similarities between the experiences of CPs and NCPs. This study also examined how conflicts occur and ways to improve the program. Participants were 17 parents who participated in the FAIT program. Data were collected via semi-structured interviews and analyzed using the KJ method. The main findings were as follows. Both parents felt hurt and unstable after the divorce. CPs felt as if they were the victims of the divorce, and NCPs felt ignored and lonely as a result of the divorce and not being able to see their children. These emotions hampered their ability to relate to the other parent. Both parents also felt that they had not received sufficient support and information during the divorce. As a result of participating in the FAIT program, both parents felt accepted by sharing their experiences and emotions and they also learned the importance of the child's perspective. CPs changed their view towards visitation, and NCPs' emotions changed when they were treated the same as CPs. Results revealed the importance of understanding both parents' point of view and keeping a balance between sharing personal experiences and maintaining the framework of a psychoeducational program.
著者
山田 智貴
出版者
一般社団法人 日本家族心理学会
雑誌
家族心理学研究 (ISSN:09150625)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.122-136, 2022-03-31 (Released:2023-05-19)
参考文献数
42

The purpose of this study was to devise a scale to assess role reversal and to empirically examine the relationship between role reversal and a child's mental health. Role reversal is known as an abusive parent-child relationship in which the child plays the role of a parent and the parent behaves as a child. Findings with regard to role reversal and the theory of “Amae” have been integrated, allowing role reversal to be conceptualized in terms of “Amae.” Drawing on the theory of “Amae,” the current study conceptualized role reversal as including four subordinate concepts; (1) a parent displaying “Amae” to a child, (2) the parent not fulfilling the child's need for “Amae,” (3) the child not displaying “Amae” to the parent, and (4) the child attempting to satisfy the parent's need for “Amae.” Five hundred and fifty-three high school students were surveyed. The Role Reversal Scale―Parent version (hereinafter denoted as RRS-P) and Role Reversal Scale― Child version (hereinafter denoted as RRS-C) were devised based on exploratory factor analysis. The relationship between role reversal and a child's mental health was subsequently verified using correlation coefficients and multiple regression analysis. Results indicated that role reversal tended to cause worse mental health, low self-esteem, a diminished sense of authenticity, and a high psychological stress response. Therefore, the RRS-P and RRS-C displayed construct validity in terms of the relationship between role reversal and a child's mental health. In addition, results suggested that role reversal can be conceptualized from the perspective of “Amae.”
著者
本郷 一美 山田 昌久 那須 浩郎 米田 穣 姉崎 智子 茂原 信生
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は高精度の古環境情報を有効に抽出し、人工遺物や遺構などに関する考古学的な情報を統合する研究手法を確立することである。長野県のノンコ岩1岩陰と天狗岩岩陰遺跡において発掘調査を実施した。ノンコ岩1岩陰遺跡では、縄文晩期の遺物が出土した。天狗岩岩陰遺跡では、弥生時代前期から古墳時代前期までの文化層序が確認され、環境考古学的なデータを有効に抽出できた。人工遺物の他、多量の動・植物遺存体を採集し、C14年代測定、動植物遺存体の同定分析作業を実施した。
著者
高澤 秀人 末永 陽一 宮下 岳士 平田 耕志郎 若林 海人 高橋 裕介 永田 靖典 山田 和彦 TAKASAWA Hideto SUENAGA Yoichi MIYASHITA Takashi HIRATA Koshiro WAKABAYASHI Kaito TAKAHASHI Yusuke NAGATA Yasunori YAMADA Kazuhiko
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告: 大気球研究報告 = JAXA Research and Development Report (ISSN:24332216)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-22-008, pp.37-50, 2023-02-17

深宇宙探査を対象とした新しいサンプルリターンミッションに向けて薄殻エアロシェル型カプセルが提案されている.本カプセルのコンセプトにおける一番の特徴は,軽量・大面積エアロシェルを用いることで空力加熱を避けることである.本カプセルはパラシュートレスでの帰還が想定されていることから全速度域で空力的に安定に飛行することが求められている.実機は,直径0.8m,総質量10kg, 機軸周りの慣性モーメント0.58kg m2, 機軸垂直周りの慣性モーメント0.32kg m2のカプセルを想定している.薄殻エアロシェル型カプセルの低速域における動的不安定性を評価するために,2022年7月1日にゴム気球を用いた自由飛行実験RERA(Rubber balloon Experiment for Reentry capsule with thin Aeroshell) を実施した.気球実験機として,直径0.8m,総質量1.56kg,機軸周りの慣性モーメント0.033kg m2, 機軸垂直周りの慣性モーメント0.020kg m2のカプセルを使用した.カプセルは高度25kmにおいてゴム気球から切り離され,自由飛行を開始し,海上着水した.実験中のオンボードセンサーによる計測データとカメラによる撮影画像は地上局へ送信された.自由飛行においてカプセルは姿勢振動していたもののピッチ方向に縦回転することはなかった.自由飛行時のカプセル周りの流れ場はマッハ数0.15以下,レイノルズ数10(exp 5) オーダーであった.このことから再突入時と同オーダーのレイノルズ数環境下で試験を実施できた.実験機は低速域においてピッチ・ヨー方向の振動運動が発散しないことが示唆された.
著者
山田 浩子 原田 利宣 吉本 富士市
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-8, 2003-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
3

今日,ゲームやアニメ作品等に登場する2次元(2D)キャラクターが3次元(3D)CG化や立体造形(以下、フィギア)される傾向にある。また,アニメ等の作品自体の人気をも左右するキャラクターデザインは,今後益々重要になると考えた。そこで,本研究ではフィギア,日本人形,およびリカちゃん人形の顔の造形にはどのような相違があり,また人の顔と比較することによりどのように人の顔を抽象化しているかを明らかにすることを目的とした。まず、人や人形の顔の形状を3次元計測し,顔の曲面を構成するキーラインとして顔の特徴点における断面線7箇所を抽出した。次に,それらにおける曲率半径とその変化の仕方の分析結果と,高速フーリエ変換による曲率半径の周波数分析からそれぞれの顔の特徴分析を行った。また,その解析結果を人形の顔作りに応用し,評価を行った。その結果,それぞれの人形の特徴を作り分けることができ,その指針の有用性を確認した。