著者
山田 理恵 渡辺 融
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.47-60, 2011 (Released:2011-07-08)
参考文献数
50
被引用文献数
2 1

The traditional Japanese game in which players hit a wooden disk known as a hama with wooden sticks is considered to be derived from gittyô, which is believed to have originated from dakyu, which is believed to be derived from the stick game that was played in western Asia in ancient times. Therefore, traditional Japanese stick games and Western polo have the same origin. In Kagoshima Prefecture, the game is called hamanage (literally, “disk-throw”), and it has been passed down in its traditional form through the Satsuma clan, having been performed by the children of samurai class in the old educational system (or gojû kyôiku) widely practiced since the Edo period. Today, the Kagoshima City Hamanage Preservation Society (Kagoshima-shi Hamanage Hozonkai), the Kajiki Town Association of Old Age Clubs (Kajiki-chô Rôjin-Kurabu Rengôkai), and the National Institute of Fitness and Sports in Kanoya (NIFS) set each of the playing rules, which have been compiled along traditional lines. The present study investigated the actual conditions of the Satsuma game of hamanage, focusing on Kajiki Town (Aira County). The sources used included mainly pictures and interviews with members of the Kajiki Town Association of Old Age Clubs collected by investigations, and game rule books edited by each organization. In Kajiki Town, the Association of Old Age Clubs set the original rules of hamanage using modern elements while considering the safety of the older people playing these games, and a hamanage meeting has been held as a part of the New Year events since 1980. It can be said that the hamanage played in Kajiki is an exciting and traditional culture activity passed down since ancient times, and illustrates the ideal role of traditional sports in local areas.
著者
國石 洋 関口 正幸 山田 光彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.156, no.2, pp.62-65, 2021 (Released:2021-03-01)
参考文献数
32

慢性的なストレスへの暴露は,シナプス伝達といった脳の情報処理機構に様々な影響を与える.特に,前頭前皮質と扁桃体など情動処理に関与する脳領域に対し,ストレスが与える影響やその詳細なメカニズムを理解することは,ストレス関連精神疾患に対する新しい治療標的の探索のために重要である.近年,うつ病などのストレス関連精神疾患の症状を引き起こす責任部位として,前頭葉の腹側領域である眼窩前頭皮質(orbitofrontal cortex:OFC)が注目されている.OFCは扁桃体などの辺縁系領域や,腹側被蓋野など報酬系といった情動に関与する様々な領域に神経投射を送っており,特にOFC外側領域は負の情動処理に重要な機能を持つと推測される.本稿では,OFCの機能とストレス関連疾患への寄与を示すこれまでの知見を記述しつつ,マウスの外側OFCから扁桃体基底外側核(basolateral amygdala:BLA)へ投射するシナプス伝達を光遺伝学的に単離計測し,ストレス負荷が与える影響と負情動行動への寄与を明らかにした,我々の研究について紹介する.
著者
山田 健史 飯田 和則 山子 茂
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.329-342, 2007 (Released:2007-10-01)
参考文献数
106
被引用文献数
1 1

リビングラジカル重合(LRP)が基礎,および応用化学の両面から多大な注目を集めている.その理由は,このような重合系の開発が化学における大きな挑戦であるとともに,ラジカル重合とリビング重合の優れた特徴を併せ持つこの方法が,高度な機能を持つ高分子材料創製の基盤技術となることが期待されているからである.本報では,この 15 年弱の間に開発されてきた,代表的な LRP 法であるニトロキシドを介するリビングラジカル重合(NMP),原子移動ラジカル重合(ATRP),可逆的付加・脱離連鎖移動重合反応(RAFT),有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合(TERP)を中心として,それらを重合機構から比較することで,それぞれの方法らの特徴を明らかにすることを目的とする.これを通じて,LRP の現状を概観するとともに,この方法の将来の展望を図るものである.本報は 2 回にわたり掲載される予定である.初回の本報では,LRP の定義とその開発の歴史的な経緯,共通する反応機構,および NMP の機構について紹介する.次論文では,ATRP, RAFT, TERP の反応機構と,LRP における最近のトピックスを紹介する予定である.
著者
高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性を調べた。その結果、テリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンおよびペンタガロイルグルコースは濃度依存的にIgE産生を抑制した。これに対し、ストリクチニンのIgE産生抑制活性は非常に低かった。これらの結果は、加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性にはガロイル基が4つ相当必要であること、加水分解性タンニン類がIgE産生を抑制することでアレルギー症状を緩和する可能性を示唆している。
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 野口 公喜 新井 奈津美 角田 麻衣 渡邊 嘉朗 飯郷 雅之
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成21年度(第42回)照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.66, 2009 (Released:2010-01-08)

睡眠障害を含む生体リズム障害の治療法としては,早朝に高照度(≧2500 lx)の白色光を浴びる,光療法が有効とされている.一方,1日を周期に持つ概日リズムに深く関連するメラトニン分泌を,低照度の青色光が抑制する効果が発見された.このことから本研究は,早朝の低照度青色光照射で,日中の覚醒と夜間の良質な睡眠を促し,生体リズム障害を予防・緩和することを目指し,青色光の覚醒と概日リズムへの影響を検証する実験を行った. 光照射実験には,白色照明(蛍光灯)と青色LEDを内蔵する照明器具を使用した.照明条件は,白色照明のみと,それに青色照明を加えた条件の2条件とした.各条件で1週間に1条件,2日間連続して実験を行った.光照射は8:45~10:15とし,1日を通した被験者のコルチゾール濃度,体温,眠気申告,活動量の測定を行い,概日リズムと覚醒度を評価した. 実験結果から,青色照明下の方が白色照明下より授業中の覚醒度が向上し,青色光の日中の覚醒の持続も確認できた.また,青色照明を照射した日の方が夜間活動量を低下させた.このことから,青色光が日中の覚醒と活動量を向上,夜間の活動量を低下させ,メリハリのある睡眠・覚醒リズム形成を促すことが明らかになった.
著者
豐田 隼 山田 智之 加戸 隆司 飯塚 駿 百瀨 光一 遠藤 俊郎
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2022-2204, (Released:2023-02-05)
参考文献数
50

Affirmative opinions on tolerating corporal punishment are deep-rooted in athletic activities. This study investigated conditions of corporal punishment and inappropriate coaching in high school athletic club activities by examining factors explaining attitudes tolerating corporal punishment from the perspective of proactive or reactive aggression. We surveyed university students (n=180) and assessed their rate of experiencing some form of corporal punishment or inappropriate coaching. Next, we examined factors explaining attitudes toward tolerating corporal punishment through hierarchical multiple regression analysis using the Bootstrap method. The results indicated that the experience of corporal punishment had a positive effect on the degree of tolerating corporal punishment. Moreover, positive assessment of aggression, revengeful intentions, and anger continuity positively explained the degree of tolerating corporal punishment. These findings clarify specific psychological variables explaining pro corporal punishment attitudes and would contribute to the future elucidation of their detailed psychological mechanisms.
著者
梅原 昌宏 山田 康夫
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.139-156, 2012 (Released:2012-08-09)
参考文献数
36
被引用文献数
1

少子高齢社会の影響もあり,医療保険制度の財政は非常に厳しい状況に陥っている。そして国民医療費の抑制を目的とした自己負担率の引き上げが過去幾度か行われてきたが,効果は限定的であった。しかし近年,スイッチOTC化の進歩とともに医療サービス需要を代替するセルフメディケーションが注目されはじめている。セルフメディケーションが普及することは医療サービスの価格弾力性を大きくし,自己負担率引き上げによって医療サービス需要を抑制させ,その効率化を図ることが期待できる。本稿では対象疾病をアレルギー性鼻炎および花粉症に限定し,WEB調査によるアンケートを行った。そして,医療サービス需要関数,セルフメディケーション需要関数をProbit分析によって推定し,自己負担率が現在平均の2割8分から最大6割まで引き上げられたときに関連する要因をχ2独立性の検定,差の検定によって分析した。分析の結果は,交差価格弾力性が0.54~0.90と大きくなり,自己負担率引き上げによる医療サービス需要の抑制効果が高くなる可能性があることが確認された。しかし,自己負担率が6割まで引き上げられると自然治癒を選択する割合が高くなり健康水準の低下とそれに伴う国民医療費の増加が懸念されるようになる。そして,性別,年齢,自己負担率,世帯労働所得,薬の知識,自覚症状といった要因の分析を行ったが,自己負担率の引き上げに関連するものは薬の知識と自覚症状ということが明らかになった。
著者
那須 倫範 吉田 仁 山田 正名 荒井 理歩 長岡 治美 片岡 久嗣
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.327-330, 2017-05-15 (Released:2017-06-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

症例は52歳,女性.原発性左上葉肺癌の診断で胸腔鏡下左肺上葉切除術が予定された.35Frの左用ダブルルーメンチューブ(DLT)を用いた気管挿管操作に難渋することはなかった.術中の片肺換気は異常を認めず,バイタルサインも落ち着いていたが,肺切除後にリークテストを行ったところ縦隔より気漏があり,DLTにより左主気管支膜様部損傷が生じていることが判明した.開胸直視下に修復術が行われ,術後経過は良好であった.DLTを用いる際には,気管・気管支損傷を起こしうることを認識する必要がある.
著者
南部 久男 徳武 浩司 石川 創 大田 希生 藤田 健一郎 山田 格
出版者
日本セトロジー研究会
雑誌
日本セトロジー研究 (ISSN:18813445)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-22, 2009 (Released:2019-12-04)

2005年春に東京湾に出現したコククジラの出現状況を調査した。このコククジラは4月中旬から5月初旬にかけて東京湾内で目撃され、5月11日に千葉県南房総市旧富山町沖1kmの小型定置網で混獲されて死亡した。筆者等は5月5日から10日の間に東京湾の3海域(千葉県袖ヶ浦市沖、同県習志野市沖、神奈川県横須賀市〜横浜市沖)でこのコククジラを観察する機会を得た。いずれの出現海域も沿岸の浅海で、袖ヶ浦市沖(沖合50〜100m、最短20m程)と習志野市沖(沖合10m〜100m)では索餌をしていたと考えられ、横須賀市〜横浜市沖(沖合100〜1400m、水深11〜18m)では沿岸にそって北へ遊泳していた。本個体は東京湾へ迷入したものと思われる。観察結果からは泥底での摂餌嗜好性、北上しようとする意図があった可能性などを窺うことができた。