著者
塩田 恒三 有薗 直樹 吉岡 徹朗 石川 和弘 藤竹 純子 藤井 逸人 立岡 良久 金 龍起
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.76-82, 1999-01-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
20
被引用文献数
6 12

A 38-year-old Japanese male who had traveled in China from September 13 to October 5, 1997, developed fever and severe conjunctivitis from October 20. After he was hospitalized in Kyoto CityHospital for persistent high fever on October 29, he developed muscular weakness and dysphagiawhich continued for two weeks. An electromyogram showed a myogenic pattern, and laboratoryfindings showed significant elevation of serum enzyme levels of muscle origin: CPK, 3, 095 IU/l; aldorase, 195 IU/l; myoglobin, 7, 570 ng/ml, and myoglobinuria, 94, 700 ng/ml. The WBC was 10, 800/111with 45% eosinophils. Muscular biopsy showed degeneration of muscle fibers with infiltration ofmacrophages and lymphocytes.On further inquiry, it was revealed that the patient had eaten smoked bear meat in China onSeptember 30, three weeks prior to the onset of symptoms. A dot-ELISA serologic test for parasiteswas positive forTrichinella. Further, a coiled 1.2 mm longTrichinellalarve was recovered from approximately100 mg of frozen biopsied muscle by an enzyme digestion method. Mebendazole wasgiven to the patient at a dosage of 200 mg/day for seven days. CPK levels were normalized within 3days of the beginning of the treatment, and he was discharged without any symptoms. Physiciansmust be aware of trichinellosis and should include it in their differential diagnosis when examiningpatients with myositis and eosinophilia of unknown origin.
著者
岡 徹 古川 泰三 中川 拓也 末吉 誠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0116, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】腓骨筋腱脱臼は比較的珍しく,また症状が足関節外側側副靭帯と酷似するために見逃されることが多い。そのため症例数が少なく治療方針や手術方法,術後理学療法の評価や治療プログラムの報告が非常に少ない。今回,我々は外傷により生じた腓骨筋腱脱臼の1例を経験したので報告する。【症例紹介】56歳男性,瓦職人。仕事中に屋根から転落し左足から接地して受傷,左足外側に痛みが出現する。他院にて治療するが歩行時の疼痛と脱力感や不安感が改善せず,受傷から2ヶ月後に当院を受診しMRI,CTおよびレントゲン検査にて左腓骨筋腱脱臼(Eckert分類・GradeI:上腓骨筋支帯と骨膜が連続した状態で腓骨より剥離)と診断され手術となる。手術手技はDas De変法で腓骨外果後方部に骨孔を作成し,上腓骨筋支帯断端を付着部に再逢着した。【方法】疼痛(以下:NRS),足外反筋力(MMTにて計測),足背屈ROM,片脚立位保持時間,日本足の外科学会足関節判定基準(以下:JSSFスコア)などの各評価を術前,術後4週,8,12,及び24週で評価した。理学療法は術後2週間はギプス固定,3週よりプラスチック短下肢装具装着し部分荷重と超音波治療を開始,6週でサポーターと足底板を使用し全荷重独歩となる。12週でスポーツ動作練習のランニング開始しとなる。術後より,筋力強化練習(体幹・股・膝・足関節患部外)をおこない,術後6週より患部外反筋強化運動とROM運動を開始した。その後,足底板のチェックを行いながら,バランス練習,スポーツ動作を実施した。【結果】歩行時の脱力感や不安感は全荷重時より改善したが,疼痛は術前NRS4/10が術後12週で3/10と改善したが16週までは残存した。外反筋力は術前,術後8週,12,24でMMT3,3,4,5と改善した。背屈ROMは術前0度が術後12週で10度と健側と同等まで回復した。片脚立位保持時間は術前5秒が術後24週で30秒以上の保持が可能となった。JSSFスコアは術前,術後4週,8,12,24で59,32,65,81,100点と改善した。ADLは術後16週ですべて痛みなく自立し,仕事復帰は術後12週で可能となった。足関節のサポーターは術後24週まで装着した。【考察】新鮮腓骨筋腱脱臼はまれな疾患であり保存療法では再脱臼率が74~85%と高いとされ,新鮮例の場合でも診断が確定すれば手術療法を選択したほうが良いとされる。受傷機転としては,強制背屈や外反により腓骨筋腱を押さえている上腓骨筋支帯が腓骨より剥離あるいは断裂して生じる。本症例も転落時の左足強制背屈回旋により発症したが,術後の足機能は良好な回復となった。これはDas De変法の上腓骨筋支帯断端を付着部に再縫着し長腓骨筋腱の不安定性が改善したためと考える。Das De変法術後の固定期間の報告では,白澤らは2週,新井らは3週,安田らや萩内らは4週間の固定と様々である。今回,我々は術後6週まではギプスとプラスチック短下肢装具で他の報告よりも長めに固定した。また,その後のサポーターも術後24週まで継続して装着した。術部の足外反筋強化運動も術後6週以降に自動介助で痛みに留意して進め,早期より炎症の軽減や癒着防止などを目的に超音波治療も積極的に施行した。Das DeらはDas De変法術後の長期成績として21例中3例に疼痛や瘢痕でのROM制限を認め,白澤らも17例中2例に再脱臼を認めたと報告している。Das De変法を用いた術後理学療法は,上腓骨筋支帯断端部の癒合が未完成な術後12週までは上腓骨筋支帯断端部の再断裂や縫着部位の炎症に注意しながら慎重に理学療法を行うことが重要と考える。また,仕事やスポーツ復帰後も継続的な筋力強化運動が必要である。【理学療法学研究としての意義】本疾患の報告は少なく,理学療法の評価方法や治療プログラム,患者の回復経過などの報告はほとんどない。今後,本疾患の予後や評価,理学療法プログラムの一助になると考える。
著者
片岡 徹也
出版者
陸戦学会
雑誌
陸戦研究
巻号頁・発行日
vol.49, no.568, pp.21-46, 2001-01
著者
稲岡 徹 早川 博文 米山 陽太郎
出版者
The Society of Plant Protection of North Japan
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.33, pp.139-141, 1982

1981年6月5日より9月17日まで北海道和寒町の町営三和, 福原両牧野において, 吸血性アブ類の種構成と季節消長を調査した。5属12種が記録され, このうちニッポンシロフアブが全体の約50%を占め, これに次いでアカウシアブ, シロフアブ, ゴマフアブ, キノシタシロフアブ, キバラァブが多かった。アブは6月下旬より9月中旬まで見られ, 種数, 個体数とも7月中旬より8月中旬までが最も多く, 牛体への害もこの時期に集中していた。
著者
山岸 則夫 入江 陽一 能登 はる菜 浪岡 徹 岡田 啓司 大澤 健司 内藤 善久
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
日本家畜臨床学会誌 (ISSN:13468464)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.16-19, 2006-06-10 (Released:2009-04-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

30日齢のホルスタイン種子牛1頭(雄)が、急性に落ち着きなく寝起きを繰り返し、起立時には腹部を蹴り上げるなどの疝痛症状を示した。排便量は少なく、腹部は進行性に膨満し振盪にて拍水音が聴取された。血液一般検査では、白血球数の著しい増加が顕著であった。腹部X線検査では、ガスが膨満しループ状になった小腸が腹腔内全域に観察された。右〓部切開による試験的開腹では、ガスで膨満した小腸が腹腔内に充満していた。触診にて腸問膜根の約180°反時計方向への捻転を確認し、これを用手的に整復した。術後、症例は速やかに回復した。
著者
宮本 伸二 葉玉 哲生 濱本 浩嗣 穴井 博文 迫 秀則 岩田 英理子 嶋岡 徹
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.862-865, 2002

症例は77歳,男性.身長169cm,体重66kg.特別な器具を用いず両側総腸骨動脈の拡大を伴う最大径7cmの腎下腹部大動脈瘤に対し全長12cmの小正中切開にて径腹的にYグラフト置換術を施行した.末梢側吻合は両側とも内外腸骨動脈分岐部で行った.術二日目に経口摂取を開始し術後経過良好で退院した.ほとんどの腹部大動脈置換術は小切開で可能と思われ,今後推奨される術式と考える.
著者
宮岡 徹
出版者
静岡理工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

宮岡は,対象表面の粗さ・滑らかさを触ることによって知る触微細テクスチヤー知覚について研究し,「振幅情報仮説」を提唱した.この仮説が正しいなら,触覚系はローパスフィルタ特性を示すはずである.本研究は,このローパスフィルタ特性を調べることを研究目的とした.1.数理モデルの作成:触覚系がローパスフィルタ特性を持つなら,どのような結果が導出されるかについて,その特性を記述する数理モデルを作成した.このモデルによれば,触覚系がローパスフィルタ特性を示す場合,心理測定関数に特定のパターンが観察されるはずであった.2.能動触による実験:本実験では,回折格子を刺激として用いた。回折格子に指で触れ,溝に対し直角方向に一定速度で動かせば皮膚には三角波状の振動が与えられる。この振動は,基本周波数がはっきり決まっており,それより低い周波数成分を含まない。従って,基本周波数成分が皮膚及び神経系のフィルタを通過できた場合にはじめて,その回折格子表面に何らかのテクスチャーが感じられるはずである。本実験では,刺激に触れている指を20mm/sの速度で能動的に動かし,2つ1組の刺激のどちらを粗く感じるかを,二肢強制選択法により判断した。その結果,触覚系フィルタの通過限界周波数は400〜600Hzの間にあることが明らかとなった。また,この能動触実験の結果得られた心理測定関数は,ローパスフィルタのモデルで予測された心理測定関数と一致した.3.運動制御装置の作成と受動触による実験:ローパスフィルタ特性測定実験をさらに正確に実施するために,刺激移動速度を機械的に制御して,固定した指に受動触の状態で刺激を呈示する装置を作成した.この装置により実験を行なった結果,能動触実験と一致する結果が得られた.受動触実験で得られた心理測定関数も,数理モデルの予測に合致した.本研究の結果,触覚系の微細表面テクスチャー知覚における「振幅情報仮説」は基本的に正しいことが明らかとなった.
著者
上月 正博 椿原 彰夫 前田 真治 山口 昌夫 高岡 徹 永田 雅章 渡邉 修 田中 尚文 渡部 一郎
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.808-813, 2006-12-18

日本リハビリテーション医学会認定研修施設における心理関係業務の内容・臨床心理業務担当者の実態と望まれる資質に関するアンケート結果の報告と,それに基づく提言を行った.リハビリテーション(以下,リハ)診療において,臨床心理業務担当者のニーズは極めて高いことが確認された.対応疾患も脳血管障害,外傷性脳損傷,精神発達遅滞,自閉症のみならず,慢性疼痛,循環器・呼吸器疾患,骨・関節疾患,悪性腫瘍などにも及んでおり,臨床心理業務担当者がリハ関連医学(リハ概論,リハ医学など)をカリキュラムに組み込むことが必要であると考えられた.臨床心理業務担当者養成において診療現場のニーズにあったカリキュラムの導入と質の向上が,リハ診療の発展・質の向上のみならず,臨床心理業務担当者の国家資格の確立や心理関係業務に対する診療報酬のアップにもつながるものと期待される.
著者
市川 治 淵野 雄二郎 秋山 邦裕 吉岡 徹 菅原 優 田野 光彦 仁平 恒夫 發地 喜久治 中村 稔 村田 まり子
出版者
酪農学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、農業構造改革に対応する農業経営の成長という観点から大規模土地利用型農業生産法人に着目し、農業経営内的展開と外的農業参入展開に分類し、その量的・質的な分析を通じて、経営成長のモデルの条件を提案した。具体的なモデルの条件としては、先駆的な経営者や後継者、中核的な従業員が存在し、大規模化の農業生産技術や先端技術を獲得したもので、農産物の加工・販売などの付加価値生産部門や直接販売部門・直売所やレストランをもつものである。
著者
荒木 和秋 小糸 健太郎 清水池 義冶 井上 誠司 杉村 泰彦 淡路 和則 吉岡 徹 森 久綱
出版者
酪農学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

細断型梱包被覆機の登場は、日本の畜産業および酪農における自給飼料の生産および流通に大変革をもたらしている。本調査研究では以下のことが明らかになった。第一に、牧草や青刈りとうもろこしのサイレージおよび食品残渣を圧縮梱包することで長期保存を可能とする調製革新をもたらしている。第二に、圧縮梱包された自給飼料やTMRの広域流通を可能とする流通革新をもたらしている。第三に岩手県において青刈りとうもろこしの収穫、調製、給与の各作業の効率化による飼料構造の大変革をもたらしている。このことから細断型ロールベーラは日本畜産の競争力強化と飼料自給率の向上の有効な手段となりうることを明らかにした。
著者
鈴木 康夫 岡 徹也 根路銘 国昭
出版者
静岡県立大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1989

本研究は、インフルエンザウイルスの受容体をイメ-ジした広域性インフルエンザワクチン開発の基礎の確立目的としている。本年度は本研究の最終年度であることを鑑み、当該研究をまとめ結論を引き出すことを考慮した。今年度は、昨年度に引き続以下の成果が得られた。(1)インフルエンザウイルスレセプタ-糖鎖を簡便かつ高感度で検索する新しい方法を開発した。(2)最も病原性が高く抗原変異による流行を続けているA型インフルエンザウイルスの全ての亜型(H1ーH13)のヘマグルチニン遺伝子の塩基配列、アミノ酸配列を決定することが出来た。また、同時に各ヘマグルチニン亜型が認識するレセプタ-糖鎖を明らかにした。これにより用いた全てのA型ウイルスヘマグルチニン亜型のレセプタ-シアロ糖鎖の認識は、ヘマグルチニンの変異とは関係なくNeuAcα2,3(6)Galβ1,4GlcNAcβ1,3Galβ1,4Glcβ1ー(ガングリオシドシアリルパラグロボシドが持つ糖鎖)をレセプタ-として最も強く認識することを初めて明らかにした(Virology,in press)。(3)上記共通のレセプタ-糖鎖に対するモノクロ-ナル抗体(NS24)の作成に成功した。天然および化学合成ガングリオシド誘導体を用いて調べた結果、本抗体は上記の糖鎖のみと反応し、極めて特異性の高い抗体であった(J.Biochem.,109,354ー360,1991)。(4)NS24によりインフルエンザウイルスの赤血球膜レセプタ-への吸着は効果目に阻害されることが解った。この結果からNS24はA型ウイルス共通のレセプタ-シアロ糖鎖を認識する抗体であることが判明した。(4)さらにNS24に対する抗イデイオタイプ抗体を産生するハイブリド-マの作成を試み、いくつかの抗ウイルス活性を持つクロ-ンを得ることに成功した。この結果はNS24が広域インフルエンザワクチンとして応用可能であることを示すものであり、ウイルス受容体をイメ-ジした広域性ワクチンの開発が可能であることを実証できたと考えられる。
著者
藤田 耕一郎 白川 一彦 高橋 直 劉 翊 岡 徹 山下 雅治 作野 圭一 川村 博史 長谷川 正智 高 秀樹 籠島 謙知 貴島 洋史 佐藤 浩哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.560, pp.15-20, 2004-01-14

InGaP/GaAs HBT 2段構成による5GHz帯Wireless-LAN用パワーアンプを開発した。セルフアライン技術とベースメササイドエツチングによりHBTの高利得化を実現した。また、微細ビアホール作製プロセスを開発した。HBTの各フィンガー間に微細ピアホールを配置することによって、マルチフィンガーHBTの利得の向上を実現した。さらに、新規可変負帰還回路の開発により、線形性も改善した。これらの技術をとりいれたパブーアンプMMICを試作し、54 Mbps伝送時に、Pout=19.7dBm、Gain=22dB、PAE=22.5%、EVM=5.0%と良好な性能を得た。
著者
重岡 徹
出版者
別府大学
雑誌
別府大学国語国文学 (ISSN:09112197)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-12, 2007-12-30
著者
寺岡 徹 有江 力 鎌倉 高志
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

(1)我々が構築したdifferential cDNA libraryから、付着器形成時、侵入時に特異的に強く発現している病原性関連候補遺伝子をマクロアレイ、RT-PCRにより選抜した。その中から特異性の高かった、FMI1(Functional gene of Magnaporthe Infection 1; クローン#B19)、FMI2(クローン#B48)、MGH61A(Magnaporthe Glycoside Hydrase family 61A;クローン#B59)を選抜して、それら遺伝子の構造解析、ゲノム解析を行い、当該遺伝子の破壊株を作出して、付着器の形態形成ならびにイネ葉への感染過程における機能を解析した。いずれも既報の遺伝子と高い相同性を示すものはなかったものの、部分的にいくつかのドメインを保持していた。FMI1はN末端にセリン残基に富んだ配列と核局在性シグナル様配列をコードし、そのC末端側にsucrase/ferredoxinと部分的相同配列をコードしていた。当該遺伝子の破端株は付着器形成の異常、侵入の遅延をもたらした。FMI2はdual specificity phosphataseの活性ドメインを一部コードしていた。当該遺伝子破壊株は付着器形成の異常をもたらしたが、両遺伝子とも顕著な病斑形成能の低下はもたらさず、その発現も接種後3-4日以内の肉眼的病斑形成以前に限られていた。MGH61Aはシグナル配列を持つ分泌型タンパク質で、5'側の一部にglycoside hydrase family 61と相同性の高いドメインを保持していた。当該遺伝子の破壊株は付着器形成、侵入、病斑形成の低下をもたらした。(2)ベトナムを中心として、世界各地で分離されたイネいもち病菌の病原性レースと交配能について、自然交配能を有する雲南産ならびにアメリカ産イネいもち病菌を基準に調査したところ、ベトナム菌株は病原性レースは多様性に富むものの、交配能を保持している菌株は見いだせなかった。ただ、今まで報告されたことのない二本鎖RNAウイルスを見出した。本ウイルスは容易に水平移動し、いもち病菌の生育、病原性を低下させた。
著者
藤岡 徹
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (行動科学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6183号)