著者
平岡 隆二
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 (ISSN:21887535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.242, pp.65-77, 2007 (Released:2021-08-11)

This paper discusses the content and characteristics of a hitherto unexamined manuscript Tenmongata kakitome (Astronomical Note), Isahaya City Library, Nagasaki. This anonymous and undated manuscript is a compilation of 83 short passages concerning mainly Western astronomy and geography. Although almost all the passages lack information about the sources from which they are taken, textual comparison clearly reveals that a half of them (41 passages) corresponds to the text of the Nigi ryakusetsu, a typical of Nanban astronomy books which originated from Jesuit missionary activities during the 'Christian century' in Japan (1549-1650). Moreover, the other passages contain much information relating to Rangaku (Dutch studies), such as Latin and Dutch texts with Japanese translations. Textual comparison reveals that some of them obviously correspond to those seen in the Nichigetsukei wage (Translation about the sundial and moondial) of Motoki Ryoei (1735 -1794), a famous Nagasaki interpreter of Dutch. These facts show that this compilation was completed later than the Tenmei era (1781-1788), probably around Nagasaki, by extracting and combining several texts of the two books as well as the other sources. In effect, the Tenmongata kakitome is not only a rare example which illuminates the transmission of these two books, but also provides the evidence that the two lines of circulation, i.e. those of Nanban and Rangaku astronomy, which were hitherto thought un-interrelated, certainly met each other at least later than the Tenmei era.
著者
大橋 幸泰 清水 有子 平岡 隆二 岸本 恵実 折井 善果 牧野 元紀
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度も前年度に引き続き、世界各地に散在しているキリシタン関係史料の調査を進め、科研メンバーの研究課題に有益な成果が得られた。ポルトガルのアジュダ図書館・エヴォラ公共図書館における調査では、キリシタンが殉教者として認定されるために必要とされた情報・証言の史料や、イエズス会日本管区代表プロクラドールの関係史料を見いだした。スペインの王立アカデミー図書館における調査では、「鎖国」へ向かう時期の日本の殉教報告、教皇への書翰の作成に関する史料、ヨーロッパで日本布教をめぐる主導権争いの史料などを発見した。国内では、国立公文書館のほか、高知・長崎・大分・天草などで調査を行い、キリシタン禁制関係の史料を採集した。これにより、キリシタン禁制政策を維持する宗門改・類族改の実情を明らかにできる。ただし、年が明け新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年3月の調査が不可能になった。そのため、一部の予算を2020年度に繰り越し、調査予定を繰り延べた。一方、2019年度で特筆するべき点は、6月22日にシンポジウム「近世東アジアにおけるキリシタンの受容と弾圧」を早稲田大学で開催したことである。清水有子「日本におけるキリシタン禁令の成立過程―正親町天皇の永禄8年京都追放令を中心に―」、マルタン・ノゲラ・ラモス「失われたキリシタン民衆の声を求めて―島原天草一揆後の排耶書を中心に―」、ピエール・エマニュエル・ルー「日本から中国までの禁教―清代の絵踏を中心に―」、牧野元紀「近世ベトナムにおけるキリシタンの受容と弾圧」の4本の報告と、三野行徳「支配・統治の仕組みとしてのキリシタン禁制・弾圧を考える」の1本のコメントを用意し、近世東アジアのキリシタンをめぐる対応について、共通点・差異点を議論した。50人以上の参加者を得て、有意義な討論ができたと思う。
著者
岩城 卓二 平岡 隆二 東野 将伸 鎌谷 かおる 久留島 浩 武井 弘一 小林 准士 瀬戸口 明久
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、石見銀山附幕領では銀山・銅山・鉄山の三つを結節点に、幕領内の農村・山村・海村などが有機的に連関する広域的な「幕領社会」が形成されていたという視点から、とくに研究が手薄な銅山・鉄山の支配・社会構造の解明を通じて、非農業世界からみた「幕領社会」論の構築をめざすものである。具体的課題は、銅山師堀家文書の研究、鉄山の研究、幕領村の研究、鉱山の開発・操業技術の科学史的位置付けと、操業にともなう自然環境変化の研究である。また、研究者と地域住民が一つの史料群を囲んで地域の歴史を考え、地域住民が主体となった文化財保存・活用の場を創造する。
著者
本岡 隆文 山本 正弘
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.394-401, 2011-09-15 (Released:2012-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
2 3

原子力及び生体材料に適している金属材料について,水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動を調査し,熱力学データから予測される安定化学種との対応を検討した.試験材はジルコニウム,チタニウム,タンタルとニオブである.これらを0.1~6.1 mol/dm3水酸化ナトリウム溶液に48時間浸漬した後,重量減量測定,X線回折分析とXPS分析を実施した.また,動電位分極測定を水酸化ナトリウム溶液で実施した.腐食速度はNb>Ta>Ti>Zrの順序で大きかった.分極曲線では,Ti,Ta,Zrは不働態化すること,Nbは腐食が激しいことが示された.X線回折の結果,Nbはニオブ酸塩として溶解したことがわかった.XPSスペクトルは,Zr,TiはZrO2,TiO2,の酸化皮膜を表面に形成していることを示した.SEM写真では,試験材は均一腐食していることが示された.熱力学データから予測される安定化学種と腐食試験と表面分析結果より想定される安定化学種に異なりが見られたことから,アルカリ域での熱力学データの充実が望まれる.
著者
宮下 達哉 木村 敦 山村 豊 岡 隆
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.265-270, 2021 (Released:2021-08-31)
参考文献数
27

The purpose of the present study was to examine whether art students would evaluate paintings based on the economic dimension of value (EDV). Art students (N = 193) were asked to rate 14 paintings (including seven good arts and seven bad arts selected from the Museum of Bad Art) on four scales of aesthetic evaluation. They were also asked to complete a questionnaire assessing their degree of the EDV. The results demonstrated that the EDV was related to aesthetic evaluations for both good and bad arts. These results suggest that art students with the high EDV appreciate paintings based on the EDV and focus on whether paintings would be sold.
著者
岡 隆史
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.802-805, 2006-10-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
29
被引用文献数
1

天然由来の優れた保湿剤であるヒアルロン酸ナトリウム(HA)に新規機能性を賦与することを目的として,種々のHA誘導体を合成し有用性の評価を試みた.その結果,HAの水酸基にアセチル基を導入したスーパーヒアルロン酸(S-HA)が,優れた角質柔軟効果を有する保湿剤であることを見いだした.本稿では,両親媒性高分子保湿剤S-HAについて紹介する.
著者
寺岡 隆
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.32-39,63, 1969-10-15 (Released:2013-02-19)
参考文献数
7

The present study was primarily designed to investigate on “the standard score of sociality” devised as a sociometric index based upon the distribution of sociality. Secondly, to find out the relationships among the school records, intelligence and sociality indicated by this index.1. The standard score of sociality (S. S. S.):The scores of usual indices generally indicate only the relative heights of sociality. A index indicated by the standard score was devised, as it is convenient in practical use for the score of index to be ranked on the standardized scale.An, individual sociality was defined as a social status determined by choice-rejection responses from members of class. Accordingly, subjects were instructed to check responses for all. members (n) one another on the 5-grades scale under a certain criterion. It was all but conformed to the usual indices.It is assumed that the scores on a valuation scale, being the basis of personel feeling, is normally distributed: each grade (i), in case of arrangement, is represented by z score transformed from summations of checked frequency (f) at the grade. An individual score is generally indicated as follows:_??_Assuming the sociality is normally distributed, X is replaced with S. S. S. indicated by Z score, So,_??_The normality was confirmed by x2 test in 209 pupils of a secondary school. The reliability coefficient, by the re-test method, was 0.97 while it was 0.90 in case of the split half one.2. The relations among school records, intelligence and sociality:Subjects were the pupils described in 1. At first, the correlation and partial correlation coefficients among the school records (1), intelligence (2) and sociality (3), were calculated. Also each score of the former two elements was indicated by the standard score.Results are shown as follows: Correlations: γ12=0.62. γ13=0.60, γ33=0.41 partial correlations: γ12.3=0.51, γ13.2=0.48, γ23.1=0.07 They are all significat at 1% level except γ23.1.These results suggest that the correlation between the sociality and school records is relatively high and, moreover, that the former is naturally independent of the intelligence. In other words, the sociality relates to the factors of being the over- or underachiever. Over- and under-achievers were, therefore, selected out under a criterion. In regards to both groups, the mentioned deduction was confirmed at 1 % level of significance.Secondly, to investigate the developmental transition, 4 groups, selected out of primary, secondary and high schools, were examined with the same procedure. The same tendency was found also in all groups but a group of high schools.
著者
佐々木 雄一 山下 達郎 柿澤 雅史 石合 純夫 本望 修 佐々木 祐典 岡 真一 中崎 公仁 佐々木 優子 浪岡 隆洋 浪岡 愛 小野寺 理恵 奥山 航平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,脳梗塞に対する急性期治療の進歩に伴い,死亡率は低下している。しかし,後遺症は日常生活を困難にし,我が国における要介護者の原因疾患第一位となっており,新しい治療の開発が望まれている。脳梗塞に対する骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈的移植は,後遺症を改善する新しい治療法として注目されており,前臨床試験と自主臨床研究(12例の脳梗塞亜急性期患者を対象)での良好な結果に基づき,2013年から,札幌医科大学ではMSCを使用した再生医療の医師主導治験を行っている(第三相)。本治験は二つの治験から構成されており,まず,治験①として,"亜急性期の脳梗塞患者を対象とした二重盲検無作為化比較試験"(発症60日±14日に治験薬を投与)を行っている。そして,治験①終了後,プラセボ群だった患者には,治験②として,"慢性期の脳梗塞患者を対象とした単群非盲検試験"(発症150日±14日に細胞が入った実薬を投与)を行い,安全性と有効性の評価をしている。今回,治験②(慢性期の脳梗塞患者を対象とした単群非盲検試験)においてMSC移植を受けた脳梗塞患者1名の身体機能の経時的変化を,Fugl-Meyer assessment(FMA)に注目して報告する。【方法】対象は30代,男性で,治験②において発症166日目に治験薬の投与を受けた脳梗塞患者である。身体機能は,FMAを使用し,転院時,治験①での投与直前,投与1週後,1ヶ月後,3ヶ月後,治験②での投与1週後,1ヶ月後,3ヶ月後の計8時点に経時的評価を行った。【結果】上肢機能に注目したFMAでは,治験②での治験薬の投与を境にして,大きく改善した。さらに,上肢機能におけるサブ解析では,手関節機能,手指機能,協調性・速度の項目で著しい改善を示していた。【結論】本症例では,発症後5ヶ月以上経過した慢性期においても,MSC移植を契機にして身体機能の更なる改善を示した。特に,MSC移植によって運動・感覚などの神経機能が回復するメカニズムには,移植直後からの神経栄養・保護作用,血液脳関門の安定化,血管新生作用,再有髄化などに加えて,リハビリテーションとの組み合わせによって惹起される脳の可塑性の変化が大きく関わっていることが示唆されており,今後は,症例数を増加するとともに,本治療に適した評価方法の確立やリハビリテーションプログラムの再構築,さらには診療報酬体系を含めたリハビリテーション全体の変革が必要と考えられる。
著者
上岡 隆
出版者
日経BP
雑誌
日経トップリーダー = Nikkei top leader (ISSN:24354198)
巻号頁・発行日
no.435, pp.62-69, 2020-12

今、藤井聡太二冠(18)の活躍を中心に空前の将棋ブームが到来している。タイトル戦の結果がスポーツ紙の一面を飾り、ワイドショーで棋士が対局中に食べる「将棋めし」が話題になるなど、これまでにない盛り上がりを見せている。そんな将棋をこよなく愛する経…
著者
上岡 隆
出版者
日経BP
雑誌
日経トップリーダー = Nikkei top leader (ISSN:24354198)
巻号頁・発行日
no.446, pp.54-57, 2021-11

「オープン当初は人でにぎわい、出店費用は3カ月でペイできた。ただ、その後は客足が遠のき、ランニングコストに見合う収益が得られなくなった。撤退する場合も、違約金も含めて費用がかさんだ。すべてはずさんな出店計画が招いた結果だ」(渡邊専務)。
著者
古木 省吾 佐野 肇 栗岡 隆臣 井上 理絵 梅原 幸恵 原 由紀 鈴木 恵子 山下 拓
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.256-262, 2020-08-30 (Released:2020-09-09)
参考文献数
15

要旨: 補聴器増幅特性の決定は補聴器フィッティングの中で最も重要なプロセスである。 NAL-NL 法や DSL 法などの処方式を選択しソフトウェア上で算出した設定値は平均的な外耳道, 鼓膜の特性を基に計算されたものであり各耳の個体差は考慮されていない。そこで我々は, 純音聴力検査の結果をフィッティングソフトに入力し選択した処方式から算出された設定値と, 実耳測定を用いてターゲット値に近似するように調整した後の設定値との差を比較し, フィッティングソフトにより算出される設定値の妥当性を評価した。結果, 全周波数の修正が±4dB以内に止まった割合は NAL-NL2では10% (2/20耳), DSLv5では5% (1/20耳) とかなり低値であった。適切なフィッティングには実耳測定が重要であることが再認識された。しかしながら, 実耳測定を行っている施設はおそらく限定的である。どのような方法で実耳測定の代用方法を構築できるかは今後の課題である。
著者
山岡 隆志
出版者
日本商業学会
雑誌
流通研究 (ISSN:13459015)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-20, 2020 (Released:2020-03-12)
参考文献数
95
被引用文献数
1

文献レビューより導いた下位概念を用い,他の要素との相関を検討した先行研究はあるが,カスタマー・アドボカシー志向の中心概念の構成要素を入念に探求したものは,これまでなかった。そこで本研究において,その中心概念の構成要素を抽出し,様々な企業カテゴリーに適用可能な汎用性の高い尺度を開発する。先行研究とインタビュー調査から得られたデータを基に行った質的調査から,構成要素の抽出と整理を行った。事前調査を行った後,不変性の確認を行うため時期とサンプルを分けて2度の本調査を実施した。その結果,様々な企業カテゴリー間で使用できる汎用性と頑健性を兼ね備えた,5因子15項目で測定できる尺度を開発した。
著者
平岡 隆二
出版者
長崎歴史文化博物館
雑誌
研究紀要 (ISSN:18815359)
巻号頁・発行日
no.1, pp.51-60, 2006
被引用文献数
2