著者
岡本 秀貴 川口 洋平 永谷 祐子 浅井 清文
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

再生医療の分野では皮膚や骨、軟骨、網膜など比較的単純な組織では臨床応用が盛んになされている。爪や毛髪などの組織は一見単純な器官に思えるが、産生された硬性ケラチンを複雑な層状に重ねてさらに緻密な硬組織と成してそれを秩序的に一定方向に伸長させていくという非常に複雑な働きがある。本研究によって爪母細胞の元となる再生能力の高い爪幹細胞を発見できれば爪再生の研究は飛躍的に発展すると予想される。本研究期間内に1)爪組織の器官培養法の確立2)爪幹細胞の存在部位同定とその培養3)組織工学的手法を応用しての爪再生を明らかにする
著者
松岡 知津子 岡本 智美 MATSUOKA Chizuko OKAMOTO Tomomi
出版者
三重大学国際交流センター
雑誌
三重大学国際交流センター紀要
巻号頁・発行日
vol.10, pp.75-87, 2015-03-27

Beginner level errors are sometimes seen in texts written by intermediate andadvanced students. Even if such errors are pointed out and corrected by teachers, thesame errors occur in subsequent assignments. However, teachers cannot be availableall the time to correct such errors, so students need to acquire the skill to find andcorrect errors in their own texts. Therefore, the present study investigates theparticularities of errors and the difficult points of the correction process for thepurpose of improving the writing skills of learners. The study had some interesting results. 1. It is not easy for intermediate and advanced learners to correct errors in beginner level salutation experessions. 2. In some cases, the correction itself was not difficult, but students had difficulty inidentifying the error. 3. Ommission errors are difficult to identify even if they are underlined. 4. Mix-ups of related expressions, the influence of topics, tense and sentence structure, and other types of errors not related to salutations were also among the items that make error identification and correction difficult.
著者
住田 弘祐 國府田 由紀 岡本 謙治 高藤 勝 重津 雅彦 小松 一也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.10, pp.697-703, 1998-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13

酸化セリウムを酸素貯蔵材として使用したパラジウム担持触媒の二酸化硫黄 (SO2) ガスによる被毒現象を検討した. 還元雰囲気下において, 酸化セリウムに担持したパラジウムに吸着した硫黄の脱離温度は, 酸化アルミニウムに比較して高温化しており, 被毒状態からの触媒活性の回復に影響を与えていることが判明した. この高温化は, 吸着した硫黄量と触媒の状態変化の解析から, 還元されたパラジウムと酸化セリウム間における酸化セリウムの還元性に基づく栢互作用が原因であると推察された. また, 573Kにおける, パラジウム担持酸化セリウムのSO2被毒に対する酸化, 還元雰囲気の影響を検討した結果, 酸化雰囲気では, SO2の吸着が酸化セリウムの酸素貯蔵を阻害し, 還元雰囲気では, パラジウム表面を不活性化しているものと推論した.
著者
岡本 真一郎
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-56, 1986-08-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
20
被引用文献数
5 3

状況的要因が依頼の言語的スタイルの変動に及ぼす影響を検討するため, 男子大学生を被験者として, 2つの研究が行われた. 研究1では, 被験者 (73名) は同性・同学年の親しい相手, 疎遠な相手に対する, 依頼表現を筆答した. 疎遠な相手に対しては親しい相手に比べて, 6場面中4場面で依頼型が減少, 意向打診型が増加して, 依頼スタイルは間接化することが明らかになった. 研究2では親しい相手に対する依頼に限って, 依頼内容 (場面) によるスタイルの変動が検討された. 2組の恩恵場面群と1組の修復場面群でそれぞれ, 依頼を履行する際の相手のコストが変数として導入された. 被験者 (43名) は依頼を口頭で答えた. 予想された恩恵場面群だけでなく修復場面群でも, 依頼のコストが増すと依頼型が減少し, 意向打診型が増加した. 以上の結果の考察のほか, 他のスタイルの分布や, 慣用句, 依頼の長さについても分析・考察が行われた.
著者
登島 早紀 岡本(中村) 理恵 阿部 健一 坂嵜 潮 小松 春喜 國武 久登
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.345-352, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

温暖な日本の気候に適し,健康機能性を有するラズベリー品種の作出のため,環境適応性の高い在来野生種ナワシロイチゴ(Rubus parvifolius L.)とラズベリー‘インディアンサマー’(R. idaeus L.)の種間交雑を行った.葉,花および果実の形態的調査において,‘07RUBIXP01’は両親の中間的な値を示し,RAPD分析によるDNA評価でも雑種性が確認された.‘07RUBIXP01’は小さな刺が見られるものの,暖地環境下でも旺盛な生育を示し,両親に比べ果実重が有意に高いことが確認された.総ポリフェノール,アントシアニンおよびエラジタンニン含量測定において,‘07RUBIXP01’は両親の中間的な値を示した.特にエラジタンニン含量において‘インディアンサマー’と比べ約4倍高い値を示した.さらに,糖と有機酸含量の測定では,両親に比べ糖酸比が高く,食味に優れていた.2012年に‘07RUBIXP01’として品種登録し(農林水産省品種登録第21801号),今後日本の温暖地域において有望なラズベリー品種として期待できる.
著者
岡本 淳
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.59-62, 2017 (Released:2018-05-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

手術室には多くのパッシブな装置が導入されている.手術中に機器を任意の位置に位置決めするニーズが多いこと,本質的に安全な装置で手術を行いたいこと,そもそもアクティブな装置を使うことが難しい特殊環境であることなどがその理由である.本解説では,手術室の機器としてパッシブなメカニズムが採用されている手術顕微鏡,機器の位置決め装置,定位脳手術・穿刺支援装置,執刀医の支援装置について紹介する.手術顕微鏡は微細な手術には必須の医療機器であり,顕微鏡本体はオーバーヘッド型のパッシブアームに吊り下げられている.また,汎用の位置決め装置や,内視鏡保持アームなども同様にパッシブアームが用いられている.精密な位置決めが必要な定位脳手術等でも,パッシブな位置決め装置が使われている.これは術前計画に合わせて機構の位置姿勢を調節する方法であり,近年はナビゲーション誘導で行うタイプも登場している.執刀医のサポートを行うパッシブアームも登場しており,iArmS® はスイッチレスでアームのロック・フリーを切り替える新規のインテリジェント手台装置である.「手術室で使われているパッシブな装置」という分野においては我が国の独特な技術が世界をリードしているといえる.
著者
高田 彰人 杉浦 史郎 豊岡 毅 岡本 弦 西川 悟
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.F-124-F-124, 2019

<p>【はじめに,目的】</p><p> 不安定な面での体幹トレーニングは体幹筋の筋活動を上昇させるという報告は散見するが,実際に腰痛の予防効果を示した報告は少ない。そこで,不安定面を含むTrunk Instability Training(以下TIT)による腰痛予防効果を前向きに調査することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p> 対象は腰痛既往のない高校男子バスケットボール選手40例とした。2017シーズンから腰痛予防を目的として毎回の練習後にTITを導入した。2017シーズンの22例(平均年齢15.9±0.8歳)はTIT介入群とし,2016シーズンの18例(平均年齢15.6±0.5歳)は対照群として,1シーズン7ヶ月間での腰痛発生状況を比較した。TITは①バランスディスク上での臀部バランス,②ストレッチポールEX(LPN 社製)上でのSit-up,③四肢伸展位でのサイドブリッジで構成した。統計処理にはカイ二乗検定を用いて,有意水準は5%とした。</p><p>【倫理的配慮】</p><p> 本研究は当院倫理委員会の承認を得て(承認番号:2430番),対象者に説明と同意を得た上で行った。</p><p>【結果】</p><p> 腰痛発生は対照群で5/18例,TIT介入群で0/22例となり,有意差を認めた(p<0.05)。</p><p>【考察】</p><p> TITは腰痛既往のない選手に対して,腰痛の発生予防を期待できる可能性が示唆された。今後は対象毎の負荷設定を含めたトレーニング内容の検討を行いたい。さらに,TITによって改善が得られる身体機能因子についても検証していきたい。</p>
著者
岡本 真彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.131-142, 2012 (Released:2013-01-16)
参考文献数
69
被引用文献数
6 2

メタ認知は, 曖昧な概念であり, 認知心理学の中でもアプローチが難しい概念であるとされてきた。一方で, 学校教育のみならず, 社会教育などの場面でもメタ認知の重要性が指摘され, 近年, 特にそのはたらきに注目が集まっている。メタ認知には, メタ認知知識とメタ認知モニタリングの2つの側面が含まれているとされる。本稿では, 最初に, 教科学習に関するメタ認知知識の発達変化についての研究を紹介し, 次に, 学校教育場面で行われる教科学習の中でも, 特に, 読解や問題解決の中に含まれる理解過程に焦点化して, それらの過程におけるメタ認知モニタリングのはたらきについての研究を展望する。最後に, これまでの研究のレビューに基づいて, 今後のメタ認知研究と教科教育研究の課題を示す。
著者
岡本 和彦 小林 佳代
出版者
日経BP社 ; 2002-
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.108-110, 2018-01

今日は私の47年に及ぶビジネスライフの中で見聞きしたエピソードや、経営者として得た教訓などをいくつかご紹介します。大学卒業後に入社したのは松下電器産業(現パナソニック)です。社内留学制度を活用し米スタンフォード大学ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得…
著者
中矢 明歩 岡本 雅史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 94回 (2022/3) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.13, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)

本研究では、複数の会話参加者が同時に話す発話の重なり箇所を「発話重複」と定義し、オンライン会話における先行発話への「阻害」に着目して発話重複の機能を解明することを目的とする。また対面会話との違いを考察し、それぞれの発話重複の回避の仕方についても明らかにする。日常的な会話場面の1つである4人組の「飲み会場面」を取り上げ、対面会話2組、オンライン会話2組の映像を観察した。発話重複の回数や生起箇所、言い止めの生起頻度などを定量的に分析し、その後発話重複による先行発話への阻害の有無を、発話内容や発話重複が生起するタイミングに即して定性的に考察した。その結果、オンライン会話は対面会話よりも先行発話への阻害の機能をもちやすく、発話重複の中でも「自己選択競争による同時発話」、「割り込み・意図的介入」、「TRPの誤認」、「ターンを要求しない発話」による重複は阻害のある発話重複になりやすいことが示唆された。
著者
山下 晋吾 岡本 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.F03-F03, 2007

近年の情報技術の発達により、ユーザを取り巻くウェブコンテンツは急速に変化してきた。ウェブコンテンツを記録するブックマークは、その多くがディレクトリ構造による整理を行なっている。ディレクトリ構造は、非日常的で、論理的な整理を強いられるため、ひとたび編成されたディレクトリ構造は、再編成に手間がかかり、日々変わりゆくユーザの状況や視点に柔軟に対応できない。新たに登場したソーシャルブックマークは共有目的で、私的なブックマークとのシームレスな連携が必要であると考えた。 この問題を解決するために、本研究では「使用頻度による分類」と「位置による特徴付け」という実世界の整理法を用いたソーシャルブックマーク"Drawers"を提案した。日常的に使うものは机の上に、滅多に使わないものは押し入れの中に入れておくような感覚で操作することができる。また、Drawersはユーザの関心を表したデジタルダイアグラム"BookmarkStatus"を生成する。BookmarkStatusは全てのユーザで共通の関心領域の指標であり、これはユーザのソーシャルブックマークとしての用途をサポートすることができる。 評価実験の結果、個人のブックマークは良い評価を受けることができた。しかしBookmarkStatusが不完全であり、各ユーザの関心領域を示すパラメータの解析等、改良の余地が見られた。
著者
岡本 直輝 伊坂 忠夫 藤田 聡
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.225-235, 2012 (Released:2012-06-02)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

The purpose of the study was to evaluate sprint time during zigzag running among short-distance track and field runners (n=9), long-distance track and field runners (n=10), basketball players (n=13), and soccer players (n=8), and to determine the ability of the various competitive groups to change their running direction. Zigzag running involved weaving through cones arranged along a 15-m line with 4 different intervals between the cones (i.e. 1, 1.5, 2, or 3 m). Also in a separate study, nine subjects performed zigzag running with the above four inter-cone intervals every day for 11 days to determine the interval that was most effective for improving their ability to change direction.   The results indicated that the basketball players had the best ability to change direction during zigzag running using all of the inter-cone intervals, while the short-distance track and field runners were the slowest at 1-m-width and 1.5-m-width zigzag running. Training failed to improve 1-m-width and 1.5-m-width zigzag running, but improved sprint time for the 2-m and 3-m inter-cone intervals (P<0.05).   In conclusion, zigzag running with an inter-cone interval of either 2 m or 3 m can significantly improve the ability of athletes to change direction in order to sidestep opponents, possibly due to the fact that ball game athletes are able to combine both open and closed steps in their running techniques, whereas only open steps are possible for intervals below 2 m.
著者
岡本 憲幸
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.11, 2006

地域文化は社会的・政治的文脈によって構築され,「伝統」や「真正性」といった概念が付随する。このような地域文化をとらえる視点として,「フォークロリズム」や「文化の消費」などが挙げられる。このように,地域文化は様々な要因によって流用され,再文脈化されるが,研究対象とされる地域文化は成功している事例が多く,維持困難な事例を採り上げる必要がある。本発表では,維持困難な地域文化として「郷土玩具」を採り上げる。郷土玩具概念は,明治期に失われていく江戸文化への再評価の過程で登場したもので,愛好家のまなざしによって構築されたものである。郷土玩具の研究は,主に愛好家を中心に行われており,概念形成を論じた民俗学の研究も見られるが,地理学においてはこけしの地場産業研究が行われるぐらいであり,本発表は郷土玩具を文化的側面から捉えたい。対象とする郷土玩具は,岡山県美作地方に伝わる泥天神を事例とする。この地方には,津山,久米,勝央の各泥天神が集積しており,地域全体の郷土玩具が捉えられる。また,この地方の泥天神は,天神である菅原道真とゆかりがある点,戦前までは雛節供の際に男児に泥天神を贈る風習が存在していた点が特徴として挙げられる。戦後,製作中断から再興し,自治体などの指定や表彰を受けた泥天神もあるが,風習の衰退などにより,維持が困難な状態にある。泥天神の文脈に欠くことのできない風習に対して,製作者たちは泥天神と風習とのつながりが希薄なことを認識し,風習の文脈に「伝統」を感じていない。そして,風習が衰退した美作地方から,製作者は泥天神の販路を地域外へと拡大させている。また,泥天神の大きさを小型化したり素材を変えたりもしている。製作者たちはかつての泥天神を維持することに「伝統」を感じておらず,様々な変化は容認しつつも現在に泥天神を継承していることに「伝統」を感じている。こうした製作者の意識は,かつての泥天神の文脈から分離し,新に創出された「伝統」へと再文脈化したものといえる。製作者たちは,自治体による泥天神への指定の影響から,泥天神を「郷土」に遺す努力をしている。一方,自治体のほうは,泥天神の保存を製作者と地域住民に託しており,また地域住民のほうは,風習が衰退して泥天神に関わる機会が少ないことから,泥天神の保存に対して積極的ではない。このような状況で,製作者が「郷土」に感じている点は,1つ目に泥天神が同じ「郷土」で製作される必要性,2つ目に同じ「郷土」で製作されているから,継承の断絶があっても「真正性」が失われないという2点である。このことから,「郷土」は泥天神の「伝統」の再文脈化を保証する役割を担っている。