著者
岡本 眞實
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.158-162, 1995-03-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1

人類の争いの源はすべてエネルギー争奪にあったことを受けて, 「地上に太陽を」がこれまでの核融合研究(高温核融合)のうたい文句であった。その意味するところは, 無限のエネルギーを人類にもたらすということである。そのために, これまでに膨大な研究開発投資が先進国を中心になされてきたが, いまだに実用化は見えていない。このような状況の中で登場したのが, 常温核融合である。あまりにも簡単な装置で実験がなされたこともあって, 世界的に多くの研究者が手を染め, 一種のフィーバーとなったが, ことの真偽はどうなっているのだろうか?に答えを求めてみる。
著者
保母 敏行 飯田 芳男 石橋 耀一 岡本 研作 川瀬 晃 中村 利廣 中村 洋 平井 昭司 松田 りえ子 山崎 慎一 四方田 千佳子 小野 昭紘 柿田 和俊 坂田 衞 滝本 憲一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.363-392, 2008 (Released:2008-09-29)
参考文献数
87
被引用文献数
6 6

(社)日本分析化学会は1993年にU,Thの含有率を認証した二酸化ケイ素標準物質を開発して以来,燃焼灰,土壌,底質,河川水,排水,プラスチックス,工業材料,食品と多岐にわたる種類の標準物質の開発を続けており,現在頒布中の標準物質は23種類に上る.認証対象は特定成分の含有率で,成分はダイオキシン類,金属元素など環境分析で扱われるものが多いが,食品では栄養成分を対象とした.本会の標準物質の大きな特徴は純物質あるいはその溶液ではなく,上述のように,環境試料あるいは工業製品であること,つまり一般分析者が実際に扱う試料の形態であることである.認証値の決定方法は,まず均質性の保証された試料の調製と,多数の試験機関の参加による分析共同実験,そして得られた報告値をロバスト法を導入した統計手法で処理して評価し,信頼性ある認証値を得る,という手法によっている.また,これらの標準物質の開発時において,例えばダイオキシン類のガスクロマトグラフ分離の状況,PCBの抽出条件と塩素置換数の変化など,貴重な知見が得られたことは分析手法改善につながる収穫といえる.
著者
小竹 俊郎 山川 知之 岡本 幸大
出版者
Japan Shoulder Society
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.629-632, 2005

The purpose of this study was to evaluate 4 patients with marked atrophy of the shoulder girdle muscles caused by degenerative processes of cervical spine.4 patients presented themselves with deltoid paresis with the absence of sensory deficits or myelopathy. The patients were 3 males and one female. Their age at treatment was from 49 to 74 years-old with an average of 61.7 years old. Their mean follow-up period was 17months (17-29).3 cases underwent a cervical anterior decompression and one case was treated conservatively. The severity of deltoid paralysis was classified into five grades according to the manual motor power test and swallow tail sign. Theclinical outcome of each case was evaluated at pretreatment and at followup with JOA scores. Of 4 patients, three had C4/5 cervical spondylosis and one had C4/5 and C5/6. In the all cases, muscle power had improved significantly from MMT 2 to MMT 5. The JOA scores averaged 65.8 points at pretreatment and 98.8 points at follow-up. It is important for the differential diagnosis of shoulder girdle damage in cervical spondylotic syndrome of rotator cuff tears. The swallow tail sign in diagnosis and treatment was effective for a cervical spondylotic amyotrophy.
著者
川野 大二郎 宮下 浩二 井出 善広 増田 清香 岡本 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P3432, 2009

【目的】野球肘の発生要因として、投球動作などの個体要因、投球数などのトレーニング要因、使用するボールなどの環境要因が挙げられる.硬式球と軟式球ではボールの重さが異なり、特に成長期の選手における硬式球の使用は経験的に発生要因となることが知られているが、その影響について定性的に分析した研究はほとんどない.そこで本研究では、ボールの重さの違いによる投球時の肩関節と肘関節の運動学的差異を比較することを目的とした.<BR><BR>【方法】対象は中学生の軟式野球選手15名(年齢13.9±0.7歳、野球歴6.1±1.9年)とした.対象に硬式球(146.5g)および軟式球(135.5g)の2条件で投球を行わせ、ステップ脚の足部接地時からリリースまでの肩外旋角度、肘関節外反角度、肘関節外反角加速度を三次元動作解析にて算出し、両条件間で比較した.また、肘関節外反角加速度とボールの質量の積による運動方程式を用い、加速期において肘関節に加わる外反方向への力を求め、軟式球投球時に加わる力に対する硬式球投球時に加わる力の比率を算出した.各角度の両条件間の比較には繰り返しのある二元配置分散分析を用いた.肘関節に加わる外反方向への力の比率の検定にはWilcoxon符号付順位和検定を用いた.いずれの検定も危険率5%未満を有意とした.<BR><BR>【結果】肩関節外旋角度、肘関節外反角度については両条件間に有意な差はなかった.肘関節外反角加速度については、肩最大外旋位からリリースの間で硬式球投球時が軟式球投球時より有意に大きかった.また、肘関節外反方向へ加わる力の比率は、軟式球投球時を1とした時、硬式球投球時は1.8±1.7となり、硬式球投球時には軟式球投球時と比較して約1.8倍の力が肘関節外反方向へ加わっていた.<BR><BR>【考察】野球肘の発生は加速期における肘関節外反ストレスが原因の一つとされており、そのストレスを増大させる要因を明らかにすることが野球肘の予防には重要となる.肘関節外反ストレスは、主に加速期おいて近位部に対して遠位部が遅れる現象、いわゆるlagging backによって生じる.今回、加速期において硬式球投球時には軟式球投球時の約1.8倍の力が肘関節外反方向へ加わっていた.これは硬式球投球時にボールの重さの影響で、ボールを持った手部を含む前腕部の慣性が大きくなり、後方へ残る結果として、肘関節外反角加速度が有意に大きくなったためと考えられる.以上より、硬式球は肘関節外反ストレスを増大させる要因の一つとして考えられ、野球肘発生のリスクとなる可能性が示唆された.
著者
岡本 勝男 小野 公大 土井 佑也
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.109-116, 2015-11-30 (Released:2016-06-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1

統計資料は災害把握や食料需給見積もり、政策立案のうえで基本資料となる。広域や地上調査困難地域で客観的で信頼できるデータを得るためには、衛星リモート・センシングは強力なツールとなる。筆者らは衛星光学センサ・データから算出した改良型正規化差分水指数(MNDWI: Modified Normalized Difference Water Index)と正規化差分植生指数(NDVI: Normalized Difference Vegetation Index)を用いて水田に注目して土地利用・土地被覆を分類する手法を開発した。この手法を青森県のLandsat TM(Thematic Mapper)/ETM+(Enhanced Thematic Mapper Plus)データに適用して水田を検出した。水田とその周囲のミクセルから画素内水田面積率を計算して、2002 年の市町村別水稲作付面積を推定した。ミクセル内の水田面積率100%は田植え期の水域のMNDWI 平均-3σ(Path= 107 は0.15、Path= 108 は0.10)、水田面積率0%は田植え期の土・人工構造物のMNDWI 平均+2σ(= -0.17)だった。その結果、2002 年の青森県の水稲作付面積は、51,283 ha と推定され、統計値52,597 ha の97.5%だった。水田分類精度は93.0~97.7%、水田検出精度は、85.0~97.0%だった。本研究で開発した簡易分類手法を用いることにより、従来の教師なし分類や教師付き分類より作業時間が短縮できた。
著者
岡本 淳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48102152, 2013

【はじめに、目的】当院療養型病棟では非経口栄養患者に半側臥位セミファーラー位姿勢(背上げ30°、足上げ0°)で注入食を行っている。当院の看護側は仰臥位では嘔吐に伴う誤嚥・仙骨部の褥瘡発生の点から半側臥位姿勢を促していた。しかし患者の多くが頚部後屈ずり下がり姿勢となり、肺炎発症を認めた。これはこのポジショニングに原因があると考えた。この仮説をもとにポジショニングを変更することに決定し、頚部後屈を呈す実態と不顕性誤嚥を起こしている現状を調査するとともに、ポジショニング変更前後の頚部後屈角度について検証した。【方法】研究1)非経口栄養患者31名、平均82±9.3歳を対象とし、ベッド注入時の頚部後屈角度、骨盤傾斜角の測定を行い、2011年4月から2012年の6月までの1年2ヶ月分の肺炎回数について調べた。骨盤傾斜角については骨盤傾斜角20°未満(骨盤後傾位)8名、骨盤傾斜角20~30°未満(骨盤後傾位傾向)11名、骨盤傾斜角30°以上(骨盤中間位)12名の3群に分けた。頚部後屈角度については非頚部後屈9名、頚部後屈20°未満(軽度後屈)5名、頚部後屈20°以上40°未満(中等度後屈)11名、頚部後屈40°以上(重度後屈)6名の4群に分けた。骨盤傾斜角は、恥骨結合と両上後腸骨棘を結んだ線と腰椎水平線の角度の測定を行った。骨盤傾斜角3群と頚部後屈、頚部後屈4群と肺炎回数について、統計処理は多重比較検定Tukey-Kramer法を用いた。研究2)研究1の結果に基づき、半側臥位セミファーラー位の足上げ角度を10°に設定、肩甲帯後退、骨盤後傾角の修正を行い、1ヶ月後に頚部後屈角度の測定を行った。研究1の非経口栄養の対象者の中で頚部後屈患者22名中10名が退院となったため、12名(軽度後屈2名、中等度後屈6名、重度後屈4名)平均83±10.7歳を対象とした。ポジショニング変更前後の頚部後屈角度の比較を行い、統計処理は対応のあるt検定を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、本研究の目的、方法、趣旨を口頭にて説明し、同意を得て実施した。【結果】研究1)頚部後屈角度は骨盤中間位で平均3.3±6.5°、骨盤後傾位傾向で24±9.4°、骨盤後傾位で38±9.9°で中間位と後傾位傾向、中間位と後傾位、後傾位傾向と後傾位(P<0.01)で有意差を認めた。肺炎回数は非頚部後屈で平均1.6±1.1回、軽度後屈で5.2±0.9回、中等度後屈で5.7±2.3回、重度後屈で5.6±4.4回で非頚部後屈と中等度後屈、非頚部後屈と重度後屈(P<0.05)で有意差を認めた。研究2)ポジショニング前後の頚部後屈患者12名の頚部後屈角度の変化は変更前で平均30.4±12.8°、変更後で18.3p±9.3°であり有意差を認めた(P<0.01)。【考察】骨盤後傾度により頚部後屈が増加したのは運動連鎖により胸椎後弯位をとり、下位頚椎屈曲位、上位頚椎伸展位をとるためと考える。また肺炎回数は頚部後屈20°以上の中等度・重度頚部後屈群で増加を認めた。これにより喉頭部が拡大し、不顕性誤嚥の高リスクにつながったと推察された。一般的にファーラー位は仰臥位で行われ、足上げは腹筋群の緊張を解き、上半身がずり下がらないための援助技術として行われている。しかし当院では30°半側臥位は殿筋部で支持して、仙骨部と大転子部を除圧する目的で行っている。しかし半側臥位では上半身のずれを招き、ベッド上側の肩甲帯が後退し、上位頚椎回旋・伸展となる傾向を認めた。また足上げ0°は背上げに伴いハムストリングスが引っ張られ、膝関節が屈曲し骨盤帯が後方に倒れてしまう。ポジショニング変更1ヶ月後においては頚部後屈患者の後屈角度が平均18.3p±9.3°に改善した。頚部後屈軽減に至った理由としては足上げ角度を設定し、骨盤後傾角の修正を行ったことで胸椎後弯方向への運動連鎖が減少し、頚部前屈姿勢へとつながったと考える。これにより不顕性誤嚥のリスク軽減につながった。これらは半側臥位セミファーラー位姿勢が原因であったと示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究では当院療養型病棟の入院患者における頚部後屈を呈す実態と頚部後屈がもたらす不顕性誤嚥のリスクについて客観的数値を示した。今回不良なポジショニングにより、肺炎を助長してしまう現状を危惧するとともに、長期臥床にて全身状態が悪化し離床が困難な患者に対して、注入時のポジショニングを調整することが重要となり、頚部後屈予防、不顕性誤嚥のリスク軽減につながっていくと示唆された。
著者
岡本 一男
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.361-366, 2017 (Released:2017-12-13)
参考文献数
19
被引用文献数
11

骨は運動器としてだけでなく,造血幹細胞や免疫前駆細胞の維持・分化増殖の場を提供する免疫組織としても重要な役割を果たす.また骨と免疫系はサイトカインや受容体などの多くの制御分子を共有しており,そのため様々な炎症疾患において骨組織に障害が波及する.その代表的な例が関節リウマチであり,Th17細胞による破骨細胞活性の亢進が関節リウマチにおける骨関節破壊の根幹を築いている.関節リウマチ研究の進展によりIL-17と骨の関係性がクローズアップされ,骨免疫学の推進力となった.さらに近年,IL-17による骨制御は予想以上に複雑であることが分かりつつある.強直性関節炎ではIL-17産生細胞が腱靭帯付着部の骨化誘導に関わり,また骨折治癒ではIL-17産生性γδT細胞が間葉系幹細胞に作用して骨再生を促す.免疫と骨の双方が絡む病態を理解するには,骨と免疫細胞の相互関係を包括して捉える視点が必要不可欠である.
著者
押谷 仁 乙丸 礼乃 岡本 道子 古瀬 祐気 小田切 崇
出版者
東北大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

呼吸器ウイルスの多くはヒトのみを宿主としており、ヒトからヒトに継続的に伝播することでウイルスが維持されていると考えられる。しかし、ウイルスがどのように維持されているかについては不明な点も多い。また、フィリピンのような熱帯・亜熱帯地域では、年間を通して呼吸器ウイルスが伝播しており、ウイルスの維持に重要な役割を果たしている可能性ある。熱帯地域に位置する小規模な島という環境で長期にわたり検出したウイルスを解析することにより、呼吸器ウイルスの地域内での伝播・維持のメカニズムについて明らかにするとともに、グローバルレベルでの呼吸器ウイルスの伝播・維持に果たす役割についても明らかにする。
著者
岡本 伊作 鎌田 信悦 三浦 弘規 多田 雄一郎 増淵 達夫 伏見 千宙 丸屋 信一郎 武石 越郎 松木 崇
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.1, pp.27-30, 2013 (Released:2013-03-05)
参考文献数
14
被引用文献数
3 10

副咽頭間隙に発生する腫瘍は全頭頸部腫瘍の0.5%といわれ比較的まれな疾患である. 2005年7月から2011年6月までの6年間, 国際医療福祉大学三田病院頭頸部腫瘍センターで入院加療を行った副咽頭間隙腫瘍76例を経験した. 対象は男性35例, 女性41例, 年齢は15歳から78歳で中央値44歳であった. CTやMRIによる術前画像診断や穿刺吸引細胞診 (FNA: fine needle aspiration) と術後病理組織診断について検討した.病理組織学的診断の内訳は良性腫瘍が69例 (90.8%), 悪性腫瘍が7例 (9.2%) であった. 良性腫瘍では神経鞘腫32例 (42.1%) と多形腺腫28例 (36.8%) で大部分を占めていた. 多形腺腫は茎突前区由来が26例 (93.8%), 神経鞘腫は茎突後区由来が28例 (87.5%), 悪性腫瘍に関しては茎突前区由来が7例 (100%) であった. 術前FNAを施行している症例は55例で正診率は39例/55例 (70.9%) であった.術前画像診断は病理組織を予測する上で非常に有用であると思われた. また茎突前区由来の場合では, 常に悪性腫瘍の可能性を考慮し術前にFNAを施行しておく必要があると思われた. 正診率に関してはFNAの手技を検討することで改善の余地があると考えている.
著者
松木 崇 三浦 弘規 多田 雄一郎 増淵 達夫 伏見 千宙 岡田 拓朗 丹羽 一友 岡本 伊作
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.53-59, 2017-06-30 (Released:2017-08-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1

当センターにおける副咽頭間隙多形腺腫45例の手術症例に対して検討を行った。患者背景は男性:女性が17:28,年齢の中央値は47歳,すべて茎突前区由来であった。腫瘍最大径に関わらずすべて経頸部法で摘出できた。手術時間は中央値86分,出血量は中央値50mlであり,術後合併症は顔面神経麻痺が12例で大半が一過性の下顎縁枝不全麻痺,first bite syndromeが11例であった。副咽頭間隙多形腺腫は経頸部法でほとんどが永続的な術後合併症なく摘出可能と考えられた。術前FNAを施行できた35例において97.1%でclass IIIまで,71.4%で多形腺腫と診断できており,FNAは有用と思われた。
著者
岡本 匡史 山内 徹 矢野 駿太郎 黒瀬 直孝 川北 貞夫 高橋 康次郎 中村 輝也
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.827-832, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

(1) 清酒中の溶存酸素の保存中での消費速度はビンの色によって異なり, 無色透明ビンのような光透過量の多いビンに詰めた清酒の溶存酸素は速く消費された。(2) 光透過量が多い容器では, 溶存酸素を低減させることにより日光着色を顕著に抑制できた。しかしながら, 日光臭が強く発生して品質が悪くなった。(3) 光透過量の少ない褐色ビン, 黒色ビンおよび緑色ビンの場合, 初発の溶存酸素濃度が従来清酒と同程度 (3.2ppm) であれば, 保存中に老香, 雑味, 着色が増加した。また, 低すぎる (0.7PPm) と苦味, えぐ味および日光臭が発生した。これらの結果から, その間の溶存酸素濃度の中に品質維持に最適な濃度が存在するものと考えられた。(4) 最適な溶存酸素濃度は褐色ビンと黒色ビンでは2.0 ppm前後, 緑色ビンでは2.0 ppmよりも高いところにあり, この溶存酸素濃度に清酒を調整して詰口を行うことによって, 詰口時の品質を流通段階で長く維持できると考えられた。
著者
岡本 浩一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.150, no.2, pp.92-97, 2017 (Released:2017-08-08)
参考文献数
21

現在,吸入療法には,気管支喘息もしくは慢性閉塞性肺疾患などを対象とした局所作用薬が用いられている.吸入剤には,吸入液剤,吸入エアゾール剤,吸入粉末剤がある.吸入液剤はネブライザを用いて生じる微細な液滴を吸入するので,乳幼児から高齢者まで使用できるが液の無駄が多い.吸入エアゾール剤は1950年代から広く使われてきたが,環境問題がある.吸入粉末剤は環境にやさしく吸入の失敗が少ないが,高度な粒子設計と使いやすい吸入デバイスの開発が必要である.肺は全身作用薬の吸収部位としての利点を多く備えており,消化管吸収が困難なペプチド性医薬の吸入剤化研究が進められている.しかし,2006年に米国と欧州で承認されたインスリン吸入粉末剤は,売り上げが伸びず翌年には製造中止となった.2014年に米国で承認された新しい粉末剤も売り上げが伸び悩んでいる.今後肺局所疾患を対象とした抗体医薬や核酸医薬の開発が期待される.
著者
岡本 三夫
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2000-09-25

新制・論文博士
著者
岡本 拓夫 平野 憲雄 和田 博夫 西上 欽也 竹内 文朗 伊藤 潔
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.B, pp.235-239, 2008-06-01

福井県は, 1948年に福井地震(M7.1)を被り, 近代における最初の都市直下型地震の震災を経験した県である。余震活動も顕著に認められていたが, 2003年末より直上で有感をもたらす地震の発生が, 余震域で認められなくなった。このことは, 福井地方気象台の報告書でもふれられている。同時に奥越を除く嶺北地域で, 地震の発生数の減少が指摘されている。2007年12月21日にM4.5が鯖江市東部付近に発生したが, 2004年10月5日のM4.8とは推定断層面が直交関係になっていることが確認できた。M3クラス以上は, 嶺北地域では奥越付近のみに限定され, 応力に揺らぎが発生している可能性を指摘できる。
著者
鈴木 千帆 山本 京 植田 康次 岡本 誉士典 小嶋 仲夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-106, 2012 (Released:2012-11-24)

【目的】セレン(Se)はその代謝過程においてグルタチオン(GSH)と反応しセレノジグルタチオン(GSSeSG)を生成する.GSSeSGはがん細胞増殖抑制作用を示すことが知られているが,その反応機序は明らかになっていない.本研究では,GSSeSGの細胞傷害性,酸化的DNA損傷性およびその機構について検討した.【方法】ヒト乳がん細胞(MCF-7)生存率,生細胞蛍光染色; アポトーシス誘導率,アネキシンV染色; グアノシン酸化体(8-oxodG)定量,電気化学検出器付きHPLC;DNA損傷試験,アガロースゲル電気泳動; スーパーオキシドアニオンラジカル(O・2-)検出,ヒドロキシルアンモニウム/スルファニル酸/N-(1-ナフチル)エチレンジアミン二塩酸塩.【結果および考察】細胞生存率はGSSeSG用量依存的に減少し,それに伴いアポトーシス陽性細胞の割合が増大した.このとき,ゲノムDNA中の8-oxodG量が有意に増加したことから,GSSeSGは細胞内において酸化ストレスを誘発することが示唆された.仔牛胸腺DNAを用いたin vitro DNA損傷試験において,GSSeSGはGSH共存下で酸化的DNA損傷を誘導したことから,本反応が細胞内での酸化ストレスの誘導に関与しているものと考えられる.その過程で活性酸素種としてO・2-が生成していることを確認した.またGSSeSGは培地添加後速やかに減少したことから,その還元産物であるH2Seが生成し,細胞内に移行後さらに還元される過程でO・2-が生成していると考えられる.今後,GSHをはじめとする生体内チオールが関与する代謝過程を解析することにより,Seの抗がん作用の詳細が明らかになっていくと期待される.