著者
大川 裕輝 川上 幸雄
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1021-1024, 2020-09-25

大腿骨ステム周囲骨折に対する手術は侵襲が大きくなりがちであり,骨癒合に長期間を要することから臥床期間が長くなり,術後に移動能力の低下を認める症例が多くみられる.ステム周囲骨折の治療選択は主にステムのゆるみがあるかどうかで区別されるが,ステムのゆるみがない骨折型でも症例に応じてステム再置換の適応を拡大し,術後免荷期間を短縮することでADLの維持につながる可能性があり,患者背景を考慮した術式選択が重要であると考える.
著者
富田 真佐子 福地本 晴美 鈴木 浩子 芳賀 ひろみ 河口 良登 竹内 義明 川上 由香子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.667-675, 2019 (Released:2020-02-06)
参考文献数
25

炎症性腸疾患患者の健康関連QOLを包括的視点と疾患特異的視点から明らかにし,炎症性腸疾患と共にある患者のQOL説明モデルを示すことを目的とする.対象者は,都内にあるA大学病院消化器内科に通院中の外来患者63名.質問紙法により,対象者の属性(疾患名,性別,年代,社会活動,治療年数,治療内容,手術歴),包括的尺度としてSF-8,疾患特異的尺度として著者が作成したIBD患者のQOL尺度19項目を用いた.分析は,各項目について記述統計量を算出し,SF-8の平均値について国民標準値および既存の文献と比較した.QOLモデルを作成するためにSF-8とIBD患者のQOL尺度各項目とのピアソンの相関係数を算出した.QOL尺度は5つの下位概念ごとに因子数を1とした主成分分析によって合成した成分得点を用いた.これらの相関係数を参考にモデル図を作成し,パス解析を行い,総合効果を算出した.倫理的配慮として調査は匿名にて行い,書面にて調査の目的と方法,自由意志での参加,拒否による不利益がないことについて説明した.本研究は昭和大学保健医療学部倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:403).対象者は,潰瘍性大腸炎51名(81%),クローン病12名(19%),男性28名(44%),女性35名(56%),年齢は40歳代が最も多く18名(29%),平均治療年数平均11.7±8.9年,治療内容は,5-ASA薬46名(73%)が多く,開腹手術経験ありは8名(13%)であった.SF-8の8つの概念のスコアの平均は50前後で,PCS(身体的サマリースコア)は50.1±6.4,MCS(精神的サマリースコア)は48.6±7.0であった.国民標準値と比較したところほとんど有意な差はなかった.SF-8とQOL尺度の5つの下位概念の成分得点との相関係数は±.218〜.698であった.SF-8のPCSとMCSを最終的な従属変数とした健康関連QOLモデルを描いたパス解析を行った.総合効果では,「心理社会的生活への負担」に最も影響するのは「食生活上の困難さ」であり,健康関連QOLのPCSとMCSに最も影響するのは「心理社会的生活への負担」であった.対象者のSF-8のスコアは国民標準値とほとんど差がなく,下痢や腹痛による苦痛が少なく食生活上の困難も少ない者は,健常者と大差ないQOLを維持できることが示された.パス解析の結果から,仕事や心理的な負担,食生活の困難さを感じている者は健康関連QOLが下がるが,周囲からのサポートは活力をもたらし,心理社会的負担を軽減させ,前向きに病いと付き合うことにつながることも示された.
著者
宍戸 駿太郎 川上 彰 黒川 基裕
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.40-50, 2011-10-31 (Released:2014-08-07)
参考文献数
9
被引用文献数
1

東日本大震災の経済・社会的損害の測定をストックとフローの両面から地域別に計測し,次に復興の過程の経済効果を地域別とマクロ経済の両面から代替的な政策の下で分析を行う.とくに財源とその規模をめぐる政策如何で,日本経済の中・長期の成長経路とデフレ脱出にいかに影響するかの観点から,代替的政策の評価を行う.使用される計量経済モデルは日米・世界モデル研究所のレオンチェフ・ケインジアンモデル:DEMIOS と(財),東北経済開発センターの地域間産業連関表ならびに経済産業省の全国・地域間産業連関表である.
著者
根本 知己 川上 良介 日比 輝正 飯島 光一郎 大友 康平
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.31-35, 2014 (Released:2015-04-21)
参考文献数
15

2光子励起レーザー顕微鏡(2光子顕微鏡)は,低侵襲性や深い組織到達性といった特徴のため,神経科学を中心に,免疫,がんなどの他領域にもその使用が爆発的に広がっている.植物の研究領域においても,葉緑体の自家蛍光を回避することが可能であるため,2光子顕微鏡の利用は増加している.我々は2光子顕微鏡の開発とその応用に取り組んで来ているが,最近,生きたままでマウス生体深部を観察する“in vivo”2光子顕微鏡法の,新しいレーザー,光技術による高度化に取り組んでいる.特に共同研究者の開発した長波長高出力の超短パルスレーザーを励起光源として導入することで,生体深部観察能力を著しく向上させることに成功した.この新規“in vivo”2光子顕微鏡は,脳表から約1.4 mmという世界最深部の断層イメージング,すなわち,生きたマウスの脳中の大脳新皮質全層及び,海馬CA1領域のニューロンの微細な形態を観察することが可能になった.一方で,我々は超解像イメージングの開発にも取り組み,細胞機能の分子基盤を明らかにするために,形態的な意味での空間分解能の向上にも取り込んでいる.特に,我々は新しいレーザー光「ベクトルビーム」を用いることで,共焦点顕微鏡や2光子顕微鏡の空間分解能の向上にも成功した本稿では,我々の最新の生体マウス脳のデータを紹介しつつ,2光子顕微鏡の特性や植物組織への可能性について議論したい.

1 0 0 0 旦生言語備

著者
[流光斎如圭画] 川上邦基編輯
出版者
光琳社
巻号頁・発行日
1926
著者
谷本 昌太 甫出 一将 川上 晃司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.531-536, 2011-11-15 (Released:2011-12-31)
参考文献数
37

無洗米処理時の副産物であるアリューロン糠(NTWPおよびSJR)を有効利用する目的で,アリューロン糠の全アミノ酸組成,タンパク質濃縮物のタンパク組成および食品機能特性を米糠および白米のそれらと比較した.アミノ酸分析の結果,NTWPとSJRのアミノ酸組成に有意差は認められなかった.GABA含量は,SJRで米糠および白米と比べて有意に高い値を示した.タンパク質濃縮物のタンパク質含量は,白米,NTWP,米糠,SJRの順に多かった.SDS-PAGEの結果,NTWPおよびSJRのタンパク濃縮物は,米糠と白米のタンパク質濃縮物のそれらの中間的な泳動パターンを示した.NTWPのタンパク質濃縮物の起泡力および気泡安定性は米糠のタンパク質濃縮物と同様に白米およびSJRのタンパク質濃縮物と比べて有意に高い値を示した.タンパク質濃縮物の乳化力は,アリューロン糠,米糠,白米でほぼ同等の値を示し,有意差が認められなかった.タンパク質濃縮物の乳化安定性において,アリューロン糠は米糠と比べて有意に低く,白米と比べて高い値を示したが,有意差は認められなかった.以上の結果は,NTWPのタンパク質濃縮物は米糠または白米のタンパク質濃縮物と同等の食品機能特性を有し,SJRのタンパク質濃縮物は起泡性に劣るものの,米糠または白米のタンパク濃縮物と同等の乳化性を示すことが明らかとなった.
著者
坂西 梓里 谷川 力 木村 悟朗 佐々木 健 川上 泰
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.171-176, 2018-12-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
37
被引用文献数
1 6

A survey of the helminth infection in brown rats (Rattus norvegicus) captured in 2017 at Chuo Ward, Tokyo, was carried out. Of the 20 rats examined, 13 (65%) were infected with helminths. The prevalence of helminths was as follows: Capillaria hepatica (35%), cysticerci of Taenia taeniaeformis (20%), Nippostrongylus brasiliensis (20%), Orientostrongylus ezoensis (20%), Heterakis spumosa (20%), Dioctophyma renale (15%), Vampirolepis nana (5%). The helminths were identified based on morphological features, and molecular analyses of the nuclear 18S ribosomal DNA, ITS region, and mitochondrial 12S ribosomal DNA sequences. From the standpoint of public health, it should be noted that 4 helminth species, namely C. hepatica, T. taeniaeformis, D. renale, V. nana were capable of infecting humans. In addition, C. hepatica and V. nana can be accidentally transmitted to humans by direct ingestion of embryonated eggs from rat feces. This is the third confirmed report of D. renale from R. norvegicus in Japan. A total of 11 worms were recovered from the abdominal cavities of 3 brown rats. In this rare case, we describe the morphological features of the adult worms and eggs and determined the 18S ribosomal DNA sequence of D. renale.
著者
川上 敬士 渡辺 容子 小林 康孝
出版者
新田塚学園福井医療短期大学
雑誌
福井医療科学雑誌 (ISSN:24240176)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.10-13, 2019

【目的】脳卒中に罹患した職業運転手の復職状況を把握すること.【対象と方法】対象は2015年から2018年までに脳卒中罹患のため当院に入院または通院し,自動車運転評価を実施した患者のうち,脳卒中罹患前に職業運転を行っていた7名.カルテからの基本情報抽出と,本人または家族へ電話にて退院後の復職状況を調査した.【結果】7名中6名が復職しており,うち2名は原職復帰し,4名は配置転換していた.産業医の関わりがあったのは1名のみであり,他6名は企業の上司による技術確認で職業運転再開の可否が決定されていた.そのため,対応には企業毎にばらつきがみられた.また,発症から1年以内に運転業務を再開した3名中2名が脳出血再発を起こしていた.【考察】現在の日本では,職業運転手の復職に際し明確な判断基準がないため企業毎に対応せざるを得ない状況である.今後,職業運転の再開に対する明確な判断基準を構築していく必要があると考える.
著者
川上 和久
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.854, pp.34-36, 2020-05
著者
森澤 豊 川上 照彦 山本 博司 貞広 哲郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.117-121, 1996-10-15 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6

The pathogenesis of a rotator cuff lesion of the shoulder is still controversial.The authors investigated the mechanoreceptors in the rotator cuff, the subacromial bursa and the coracoacromial ligament in order to clarify the proprioception of the shoulderjoint.

1 0 0 0 OA RS3PE症候群

著者
折口 智樹 有馬 和彦 梅田 雅孝 川㞍 真也 古賀 智裕 岩本 直樹 一瀬 邦弘 玉井 慎美 中村 英樹 川上 純 塚田 敏昭 宮下 賜一郎 溝上 明成 岩永 希 古山 雅子 中島 好一 庄村 史子 荒武 弘一朗 荒牧 俊幸 植木 幸孝 江口 勝美 福田 孝昭
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.48-54, 2019-03-30 (Released:2019-07-03)
参考文献数
16

概念:1985年にMcCartyらは,高齢で急性発症の左右対称性の多発(腱鞘)滑膜炎と手足の背側の浮腫を認める,RS3PE症候群という疾患概念を提唱した.病因・病態:血清Vascular endothelial growth factor(VEGF)濃度の著明な増加が認められ,関節局所の血流増加に関与しているものと考えられる.検査所見:赤血球沈降速度の亢進,CRPの高値を認めるが,リウマトイド因子,抗CCP抗体は陰性である.血清MMP-3濃度が著明に増加する.特に悪性腫瘍を合併した症例の血清MMP-3濃度は高値を示す.手関節の造影MRI検査では,手関節,MCP関節,PIP関節の腱滑膜炎と血流増加を認める.関節超音波検査においても,MRI同様,腱鞘滑膜炎および皮下浮腫の所見が認められる.関節X線画像上変形がないことが,RAとの鑑別に有用である.悪性腫瘍の合併:本疾患は胃癌,大腸癌,肺癌,乳癌,前立腺癌などの腺癌の合併が多いことが明らかになっている.治療:通常プレドニゾロン10~15mg/日の内服で開始する.初期投与量を投与する.通常,ステロイド薬に対する反応は劇的で1~2週以内に寛解に至る.
著者
川上 新二
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 = Bulletin of Gifu City Women's College (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.15-20, 2017

Spirit possession often occurs at shamanic rituals of Korea, and it can be classified into four types. First, shamans make themselves possess spirits through dances and songs, in this case shamans control spirits and almost never make mistakes. Secondly, when clients attempt to contact with spirits that have particular relations to them through dances and songs, these spirits sometimes possess the clients, but this kind of circumstance rarely occurs. Thirdly, spirits suddenly possess clients. In this case, spirits have the initiative to possess, but it is rare to happen. Fourthly, shamans make spirits possess clients, but sometimes it ends with failure of possession. This article is about to study spirit possession that occurs at shamanic rituals of Korea.
著者
磯部 宏 西村 正治 稲葉 秀一 山本 宏司 神島 薫 川上 義和
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.535-538, 1987-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
19

症例は28歳女性で, 咳嗽, 喘鳴を主訴に当科に入院した. 約5年前より上記症状を繰り返し, 気管支喘息として通院加療を受けていたが, コントロールは不十分であった. ペットとして猫を飼育している. アロテック吸入による1秒量の改善率は24.4%であり, 皮内テストでは猫毛, 犬毛, ハウスダストが陽性, IgE-RAST score は猫毛4, 犬毛3, ハウスダスト3であった. 猫毛抗原による吸入誘発試験を施行したところ二相性喘息反応を呈した. 以上より猫毛による気管支喘息と診断し, 猫を遠ざけた生活を指導し良好なコントロールが得られている. 我々の知る限りでは, 我が国での猫毛, 猫毛皮屑による気管支喘息の報告は少なく, また二相性喘息反応を呈した報告例は認めない. 猫毛による気管支喘息の臨床像とともに, 特に二相性喘息反応での臨床的, 肺生理学的変化について報告した.
著者
小澤 夏紀 富家 直明 宮野 秀市 小山 徹平 川上 祐佳里 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.521-529, 2005-07-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

痩身記事を含む女性誌への曝露と食行動異常の関係をモデル化することを目的とし,女子学生933名を対象として調査を行った.その結果,定期的に女性誌に曝露している学生はEAT-20のカットオフポイントを超える割合が女性誌を読まない学生の7倍もあることが示された.また,彼女らは女性誌からの影響を受けやすい被影響特性が高く,痩身理想の内面化が顕著という認知的特徴をもっていた.一方,女性誌に曝露していても被影響特性が低ければ摂食障害傾向への影響は小さかった.最後に,共分散構造分析により,被影響特性,痩身理想の内面化,自己像不満,やせ願望は循環的関係を有し,食行動異常に悪影響を及ぼすことが示された.これらのことから食行動異常の予防や治療にはメディア曝露のコントロールが必要ではないかと思われた.
著者
スィーワッタナクン キッティポン 浅井 さとみ 平山 晃大 重松 秀明 新井田 牧子 川上 智子 反町 隆俊 松前 光紀
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.sr.2020-1000, (Released:2020-05-15)
参考文献数
11

新型コロナウイルス感染症が社会および医療システムに大きな問題を起こしているが,機械的血栓回収術のような緊急度が非常に高い治療は提供し続ける必要がある.しかし一方で,コロナウイルス感染症は院内感染を来しやすいため,その予防にも努めなければならない.本稿ではCOVID-19 疑い例に対する緊急血管内治療における患者スクリーニングや評価,感染予防・環境汚染対策のための当院のプロトコールを紹介する.
著者
川上 梅
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.298-308, 2016-04-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
19

男女高校生を対象として自己意識,化粧意識,化粧行動に関するアンケート調査を行い,自己意識と共に化粧行動が内面化して化粧意識に影響を及ぼすとの仮説を立て,因子分析及び重回帰分析により検討した結果,男女共に自己受容が高くなる程,「変容」「印象操作」などの高揚感を期待する化粧意識が強くなるという結果が得られた.また,男子では低充実感,女子では非自己実現的態度や否定的家族感情などの否定的評価が高くなる程,「必需品」としての化粧意識が強くなった.男子では,上記の両者が同一因子「変容・必需品」として抽出されたが,女子では「印象操作」と「必需品」は別の因子として抽出された.そして,化粧意識には,男子では化粧行動よりも自己意識のほうが,女子では自己意識よりも化粧行動のほうが大きく影響するという結果が得られた.
著者
明崎 禎輝 川上 佳久 平賀 康嗣 野村 卓生 佐藤 厚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.689-692, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

〔目的〕本研究では,書字練習方法として,なぞり書練習と写字練習を比較し,なぞり書練習が書字正確性を向上させるために有用であるか検討した。〔対象〕健常者20名(男性10名,女性10名,年齢30.3歳)とした。〔方法〕対象者を介入A,介入Bに分類し,書字練習を行った。介入Aは規定文章の上にトレーシングペーパーを重ね,その上から写っている文字に反復してなぞり書練習を行った。介入Bは規定文章を白紙の横に並べ,白紙に反復した写字練習を行った。書字評価は書字正確性と書字時間を測定した。〔結果〕練習前後において,介入Aのみ書字正確性に有意な向上が認められた。〔結語〕なぞり書練習は,非利き手による書字正確性を向上させるために有用な練習方法であることが示唆された。