著者
広瀬 信
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.121-145, 2014-10-30

本研究では,イギリスのアカデミック技術者がどのように形成されていったのかを明らかにするための基礎的研究として,どのような経歴(教育・訓練を含む)の者がアカデミック技術者に採用されたのか,またどのような教育・訓練を通じてアカデミック技術者として養成されたのかについての経歴研究を行う。本稿では研究(1)として,スコットランドの2大学,グラスゴー大学とエディンバラ大学の工学教員(土木系と機械系)を対象とする。スコットランドの大学が採用していたサンドイッチ制による技術者養成は,大学卒業後に3年程度の実地訓練を受ける場合のように,大学の指導教授と長期に離れることがなく,指導関係を連続させることができ,アカデミック技術者の再生産にプラスに働いたのではないかという仮説についても検討する。
著者
広瀬 玲子
出版者
ジェンダー史学会
雑誌
ジェンダー史学 (ISSN:18804357)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.35-48, 2006

In Japan, the expression "New Women" is often applied to those women who published the magazine <I>Seito</I>. The women, including Hiratsuka Raicho, wanted to improve the lot of Japanese women, and they criticized the "good wife, wise mother" ideal taught at girls' schools at the time, an ideal which effectively relegated all females to the status of servants. Among the women, Hiratsuka Raicho's contribution stands out. She identified the marriage system as "a woman's life-long subjection to a husband's power." She pioneered and advocated what came to be known as "partnership life," in which a woman would never have to depend on her partner, and Raicho dared to become a "single mother."<BR>It has been pointed out that Raicho's courageous behavior was influenced by the works of the early feminist Ellen Key. Key's ideas were initially introduced to Japan at the end of the Meiji era. Raicho read some early works as soon as they became available, and she started to translate <I>Love and Marriage</I> in 1913. It took some two years to complete the translation. At the same time, she physically took up "partnership life." In 1919, she further translated and published <I>The Renaissance of Motherhood</I>.<BR>Perhaps surprisingly, a Japanese man, Honma Hisao, was also active in translating and introducing Ellen Key's works during the same period. Initially appearing in the liberal period of "Taisho Democracy," Ellen Key's thoughts were welcomed not only by women but also by men. However, it is debatable whether or not Ellen Key's ideas were really understood and accepted in the same way that Raicho embraced them as a guiding compass in her life. In this paper, we will try to clearly define the characteristic differences concerning the understanding of western women's liberation as it was interpreted by both Hiratsuka Raicho and Honma Hisao.
著者
広瀬典
出版者
巻号頁・発行日
vol.[18],
著者
新本 修一 林 泰生 土山 智邦 小林 泰三 片山 寛次 広瀬 和郎 山口 明夫 中川原 儀三
出版者
Japan Biliary Association
雑誌
胆道 = Journal of Japan Biliary Association (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.245-252, 1996-07-25
参考文献数
13

悪性胆道閉塞26例にstentによる27回の内瘻化を施行した.使用stentは12Frのtube stentと,expandable metallic stentのうちZ-stent,Strecker stent,Wallstentである.Wallstentは肝内胆管から総胆管まで屈曲した走向でのstent,胆管と十二指腸の間のstent,Z-stent閉塞に対するstent in stentに使用した.stentの種類と留置場所により再閉塞や感染等の成績を比較した.24例(88.9%)で外瘻tubeを抜去でき,22例(91.7%)が退院できた.8例が1~24カ月間無黄疸で生存中で,9例が2~15カ月後に無黄疸で原病死した.再閉塞や感染は7例(29.2%)に認められ,胆管と消化管との間のstentに多く認められた.stentの種類別では,tube stentの50%とStreckerの33.3%に認めWallstentでは11.1%と有意に少なかった.悪性胆道閉塞の内瘻化に,屈曲した走向での留置や下部胆管閉塞の内瘻化にも適応でき再閉塞や感染が少ないWallstentは有用と思われた.
著者
広瀬 明彦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.44, pp.S21-5, 2017

発がん性物質の定量的なリスク評価においては、リスク算定の対象となる腫瘍の発現メカニズムが遺伝毒性、特に遺伝子の変異に基づくものであるかどうかでそのアプローチが異なる。発癌のメカニズムが、プローモーション作用に基づく場合や、細胞傷害を起因とした組織の再生過程で誘発される場合、変異原性の伴わない染色体異常に基づくと考えられる場合では、NOAEL等のPODに不確実係数を適用してTDIを算定している。一方、変異原性が明らかな場合は、数理モデルを用いたユニットリスク、最近ではベンチマークドース(BMDL)からの直性外挿に基づく計算した10<sup>-5</sup>から10<sup>-6</sup>リスクに相当する値を基準値や管理のための参照値として設定する手法を採用する。しかし、この変異原性の有無を科学的に明らかにすることは困難であることが多い。このような場合に、同じ発がん性が疑われる物質の評価でも、管理機関やリスク評価を審議する委員会等の科学的なポリシーの違いが反映され、異なった評価結果がもたらされることがある。さらに、選択するモデルの違いによる算定結果が、低用量まで外挿する場合に比べて小さくなる利点を持つと考えられているベンチマークドース法においても、実際のリスク評価に採用するモデルの選択により数倍から10倍近くの違いをもたらすことことがあり、例えば、数理モデルの選択基準の違いが反映された結果、同じ発がん性物質のリスク評価が国際的な評価機関の間でも大きな隔たりが示されることがある。本発表では、変異原性の有無の違いに基づく閾値の有無が行政的な発がん性評価の結果に違いをもたらした事例や、同じ閾値なしとして評価したにもかかわらずベンチマークドース法の数理モデル選択の違いにより、異なったPODが算定された事例を紹介することにより、行政的な観点における発がん性物質のリスク評価にたいする閾値の有無の判断が与えるインパクトについて考えてみたい。
著者
高橋 孝典 篠崎 毅 二宮 本報 遠藤 秀晃 佐藤 公雄 多田 博子 深堀 耕平 広瀬 尚徳 大友 淳 杉江 正 若山 裕司 苅部 明彦 沼口 裕隆 三浦 昌人 福地 満正 菊地 淳一 渡辺 淳 白土 邦男
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.606-613, 2003-11-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
27

アミオダロン (AMD) が慢性心不全患者の左室収縮能に与える効果を検討した.頻脈性不整脈の治療目的にAMDが投与され, かつβ遮断薬を使用しなかった慢性心不全患者のうち, AMD投与後6カ月以上生存した連続15例を前向きに観察した, NYHA機能分類 (NYHA) , 左室駆出率 (EF) , 左室拡張末期径 (LVDd) , 心拍数 (HR) , 収縮期血圧, QTc, BNPについてAMD投与開始時から6ヵ月間の変化を検討し, 年齢・性別をマツチさせた対照群15例と比較した, AMD投与後にEFとQTcは有意に増大し, NYHA, LVDd, HR, BNPは有意に低下した.EF, QTc, NYHA, LVDd, HRの変化は対照群に比べて有意に大きかった.全15例中5%以上のEFの改善を示した9例は, 5%未満であった6例に比し, その後の心不全入院回避率が有意に高かった.EFの変化とHR, QTcの変化の間には相関を認めなかった.結論: AMDは慢性心不全症例の左室収縮能を改善させる.その効果はQTcおよび心拍数の変化で説明することはできない.
著者
河井 恒 広瀬 啓吉 藤崎 博也
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.433-442, 1994-06-01
参考文献数
19
被引用文献数
8

規則による日本語の音声合成において、高品質の韻律的特徴を生成しうる規則を作成した。この規則は、アクセント型、統語構造、文の焦点などの言語情報から韻律的特徴を表現する記号を生成する。韻律記号は、3種類の休止記号、4種類のフレーズ記号、及び6種類のアクセント記号からなり、音声の基本周波数パターンを生成するために用いられる。統語構造は、文境界、節境界、ICRLB境界などの統語境界によって表され、主として休止記号とフレーズ記号の生成に用いられる。一方、文の焦点は、韻律語の強調/抑圧として表され、アクセント記号の生成に用いられる。規則によって生成された韻律的特徴の正当性を評価するため、規則作成に用いたものとは別の文章を対象として、規則によって生成された韻律上の単位と職業アナウサが発声した自然音声の韻律上の単位との対応関係を調べた。その結果、両者は70〜90%の高い割合で一致しており、合成音声の自然性とあいまって本規則の有効性が示された。
著者
高橋 健 小林 成禎 広瀬 洋 杉山 恵一 高井 國之 川口 雅裕 白鳥 義宗 野田 俊之 冨田 栄一
出版者
Japan Society for Health Care Management
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.443-447, 2007

岐阜地域は、岐阜市と近隣医師会が地域診療を担当し、中核となる病院が複数設置された人口約80万人の医療圏である。この医療圏において各々の病院で一疾患に対し、異なる様式の地域連携クリティカルパスが運用されると、複数病院と連携しているかかりつけ医には不都合である。このため、岐阜地域の既存の連携体制を基に、2006年8月、各病院と岐阜市医師会の連携を担当する医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務職を中心とした岐阜医療連携実務者協議会を設置し、統一地域連携クリティカルパスを作成し運用する試みを行った。<BR>連携ネットワーク構築を先行した展開において、協議会が各病院の専門医の意向を確認し、地域連携クリティカルパスの作成対象疾患をウイルス性慢性肝炎と心筋梗塞とした。続いて、両疾患の専門医と、院内クリティカルパスの専門グループの参加を得て、両疾患地域連携クリティカルパスのワーキンググループを立ち上げ、統一規格の基で地域連携クリティカルパスを作成し、2007年5月、「岐阜地域医師会連携パス」として岐阜地域のかかりつけ医に向けて広く公開した。<BR>「岐阜地域医師会連携パス」の目的は、対象疾患の安定維持と異常所見の早期発見、役割を分けた地域完結型医療の確実な実施、ならびに質の保持された地域における医療の均一化とした。地域連携クリティカルパスの評価と改定は、各ワーキンググループが行い、連携部門は運用の支援・モニターと、ネットワークの維持・安定を担当することとした。
著者
石井 明子 橋井 則貴 松本 真理子 香取 典子 新井 進 粟津 洋寿 磯野 哲也 井上 友美 永座 明 大山 幸仁 奥村 剛宏 梶原 大介 田熊 晋也 丹下 浩一 塚原 正義 筒井 麻衣子 寺島 伊予 中川 泰志郎 服部 秀志 林 慎介 原 芳明 松田 博行 村上 聖 矢野 高広 巌倉 正寛 大政 健史 川崎 ナナ 広瀬 明彦
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.15-29, 2017 (Released:2017-12-21)
参考文献数
17

The use of single-use systems has been getting more popular in biologics manufacturing. Utilization of this novel technology enables the efficient manufacturing, including prevention of cross contamination, flexibility to manufacture multiple products, and elimination of the need for cleaning and steam sterilization including those validations. In order to ensure the quality and stable supply of biologics, appropriate risk management considering the characteristics of the system is necessary. However, there is no regulatory document describing the examples or recommendations on it. In 2015, we published the White paper of “Approaches to Quality Risk Management When Using Single-Use Systems in the Manufacture of Biologics” in AAPS PharmSciTech, which was a fruit of discussion in the research group consisting of Japanese pharmaceutical manufacturers, single-use suppliers, academia and regulatory agencies. This review introduces the contents of the White paper with some revision reflecting the comments on it as well as the discussion in our research group after publishing the paper. The basic concept is consistent with ICH guideline on quality risk management. Here we describe the points to consider in risk assessment as well as in risk control when single-use systems are used in biologics manufacturing.