著者
成田 亜希 安井 稚子
出版者
一般社団法人 日本予防理学療法学会
雑誌
日本予防理学療法学会雑誌 (ISSN:24369950)
巻号頁・発行日
pp.JPTP-D-22-00014, (Released:2023-04-28)
参考文献数
11

【目的】近隣2 市の理学療法士派遣事業の活動内容から,特別支援教育における理学療法士の役割と今後の展望を示す。【方法】A 市とB 市の教育委員会が実施している地域の公立小・中学校の特別支援学級・通常学級への理学療法士巡回訪問の内容を比較する。【結果】2 市ともに,生活指導,介助方法の指導,相談業務等を行うが,2 市が大きく異なる点は,A 市が医師の指示の下,肢体不自由児に医療行為を実施するのに対し,B 市は知的障害,発達障害児も対象であり,医療行為に代わり医療機関等の紹介や補装具業者との連携を図るところである。【考察】 理学療法士は,対象者や家族,教員の思いを直接聞きながら,学校内生活をサポートできる。また,継続した支援により児童生徒の特性を理解した進路のアドバイスも可能となる。特別支援教育における理学療法は,医療の知識や肢体不自由児への理学療法に加え,学校教育の知識,知的障害・発達障害児への学習場面での環境調整・課題難易度の設定等も重要である。
著者
佐々木 毅 福元 健太郎 中北 浩爾 谷口 将紀 成田 憲彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1 1996年度に引き続き、政治改革に関する一次資料を収集・複写し、目録を作成した。本年度は、とくに国会審議関係の資料、第八次選挙制度審議会関係の資料、マスコミ関係の資料、および政治改革推進協議会(民間政治臨調)関係の資料を充実させることができた。その結果、昨年度以来収集した資料は約1000点に達した。これらの資料は、現在「政治改革ア-カイヴ」として東京大学法学部研究室内に暫定的に保管してある、今後、最終的な収納先および公開方法について検討する予定である。2 上記ア-カイヴを主たる素材として、政治改革に関する政治過程の分析を行うための「政治改革研究会」が、研究分担者・および8名の研究協力者(飯尾潤、岩井奉信、野中尚人、岩崎健久、濱口金也、内山融、岩崎正洋、川人貞史の各氏、順不同)を得て組織された。具体的な研究項目は、竹下〜海部内閣・宮澤内閣・細川内閣の時系列的部分と、自民党・野党・政治改革推進協議会・労働界・マスコミ・選挙制度・政治資金および腐敗防止などのテーマ別部分からなり、それぞれの項目について論文が提出されている。3 研究会の成果を社会化するため、『政治改革の記録(仮称)』編集委員会を断続的に開催し、1998年秋の公刊を目指して作業が進められている。現在は出版社との調整、提出済み論文の検討作業、および掲載資料の編集・インタビュー調査の準備を行っているところである。
著者
成田 徹男
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.109-120, 2013-06-30

本稿では、「おぼうさん」「おてつだいさん」「おつかれさん」など、接頭辞「お~」および接尾辞「~さん」の両者をともなう、現代日本語の一群の語彙について、その意味用法を整理し、形態的なバリエーションの偏りなどを考察した。その結果、「固有名詞」の「人名」については、形態の変異が豊富であるのに対し、「固有名詞」の「神仏」については変異がとぼしくかなり一語化している、「親族呼称・親族関係」については「親族Ⅰ類」は形態の変異がかなりあるのに対して「親族Ⅱ類」は変異がとぼしくかなり一語化している、「職業・地位・性質」についてはかなり一語化している、「擬人化など」については、「おつきさま」「おつかれさま」のようにかなりかなり一語化しているものと、「おにんぎょうさん」のように、形態的変異があるものとがある、というように整理できた。
著者
柴田 昌幸 高森 頼雪 江川 優子 山口 智央 中川 慧人 中村 めぐみ 大江 啓史 成田 圭 田中 由理子 小林 倫子 三科 友二 三科 雅子 明石 雅博 笹本 貴広 土屋 昭彦 西川 稿 横田 亜矢 杉谷 雅彦 滝川 一 山中 正己
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.327-332, 2021-05-01 (Released:2021-05-14)
参考文献数
16

症例は38歳女性.X月1日に友人との食事会でマカダミアナッツを多量に摂取した.翌日から悪心・嘔吐が出現し,徐々に倦怠感,褐色尿,皮膚黄染も伴ってきた.症状改善ないためX月9日に前医受診し,急性肝炎と診断され入院.各種ウイルスマーカーや自己抗体は陰性で,画像検査で器質的異常も認めず入院後も肝機能は増悪した.X月15日に当院転院し,PTが40%未満に低下したためステロイドパルス療法を開始したが,意識障害も出現し状態は悪化した.血漿交換および持続緩徐式血液濾過透析を施行し,計6回の血漿交換後より肝機能は正常化傾向となった.集中治療を脱し,状態が安定してから肝生検を施行したが非特異的な組織像であり,マカダミアナッツのリンパ球刺激試験を実施したところ強陽性で薬物性肝障害と診断した.治療離脱後も問題なく経過し,第46病日に退院となった.食品から劇症肝炎に至り救命された症例は極めてまれであり報告する.
著者
成田 憲彦
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.18-27,180, 2001-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

わが国では1993年以来連立政権が一般化したが,連立の組み合わせは恣意的で,選挙が必ずしも組み合わせを規定していない。選挙を意識して,連立が解消されるケースも見られる。恣意的な組み合わせが成立する理由としては,大統領等が首相を任命したり,その候補者を議会に提案したりするヨーロッパ各国などと異なり,わが国では首相が国会によって自発的に選挙され,かつ国会が手続,アカウンタビリティー,正統化などよりも,多数派の意思の確認に重点を置いた仕組になっているために,政党の合従連衡だけで容易に政権が成立すること,政党の組み合わせに関係なく,官僚主導で政権運営が可能なこと,「与党のうまみ」があることなどが挙げられる。連立政権が政権の獲得から,立法の実現に重点を移したのは,立法に関する参議院の権限が強いわが国の二院制の影響による。一方衆議院の選挙制度である並立制は,穏健な多党制を促進し,連立政権をもたらしているが,政党間の協力の仕組を欠き,連立のための政党間の提携関係に対して破壊的に作用している面もある。今後連立政権が常態化するとすれば,連立にとって整合的な選挙制度とするための改革も求められよう。
著者
成田 寿一郎
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
vol.295, pp.115-124, 1980-09-30 (Released:2017-08-22)

We observed and took a measurment of sizes about ONE MILLION WOODEN MINIATURE PAGODAS, namely HYAKUMANTO, left at Horyuji temple. We manufactured a trial face lathe that had anaxis, and tools or templets in order to acturally produce the HYAKUMANTO, finally checked theire utility.
著者
早川 純子 早川 智 西成田 進
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.150-153, 2013-06-01 (Released:2014-12-20)
参考文献数
38
被引用文献数
1

Autoimmune disorders occur more frequently in women. This predominance is attributed to gonadal steroids related to immunoactivation, fetal microchimerism and/or X chromosome inactivation. Both in vivo and in vitro experiments have shown that estrogen up-regulates humoral immune responses, which are suppressed by androgen and progesterone. The histopathological similarities between Scleroderma (SSc) and Graft versus host disease (GVHD) suggest its pathophysiology as chronic GVHD between fetal cells and maternal tissues. This hypothesis was confirmed using highly sensitive PCR and in situ hybridization. However, other reports have suggested that chimeric fetal cells can restore damaged maternal tissues. Finally, recent advances in molecular biology have revealed skewed X chromosomal inactivation in patients with autoimmune disorders. Females exhibit chimeric X chromosome activation status between Xp (paternal) and Xm (maternal) cells. If thymic antigen presentation cells become skewed for Xp or Xm, central T cell selection lacks Xp or Xm directed regulatory T cells. Other explanations suggest reactivation of silenced X chromosome and subsequent CD40L transcription and/or lack of pseudoautosomal region relatedimmunoregulation in Xo monosomy lymphocytes. From the evolutionary antiquity of sex over the acquired immune system, we suggest that viviparity is the ultimate cause of inconsistencies in autoimmune recognition.
著者
成田 健太郎
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.111-130, 2019

This paper is the second part of an annotated English translation of the section “Calligraphy 書” of the Taiping yulan 太平御覽.
著者
清水 夏恵 村松 芳幸 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.29-35, 2013-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
40
被引用文献数
1

糖尿病患者では高血糖や神経障害などが不眠を認める原因と考えられており,一方で睡眠時間の低下や質の低下が糖尿病を引き起こす可能性も指摘され,相互に影響を及ぼしあっていると考えられている.また睡眠時無呼吸症候群や,抑うつや不安など精神症状を合併しやすいため睡眠障害をきたしやすいとも指摘されている.糖尿病患者の多くは矢感情症,失体感症の存在が明らかであることも指摘されており,不眠を自覚せず訴えがないため医療者側は治療対象にしていない場合もあると考えられる.糖尿病患者の睡眠障害を医療者側が意識的に診断し,良好な血糖コントロール管理に加え併存する症状に対しても,心身医学的な視点をもって適切な治療を行うことが重要である.
著者
成田 有里 浜野 晋一郎 黒田 舞 菊池 健二郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.425-429, 2016 (Released:2016-11-09)
参考文献数
7

【目的】小児の心因性非てんかん発作 (psychogenic non-epileptic seizure ; PNES) の実態はよくわかっていない. 今回, 当センター神経科から心理外来へ依頼のあった症例について検討した. 【方法】対象は男児2例, 女児13例, 日本てんかん学会治療ガイドラインの分類に従い, ①てんかん発作が併存 (7例), ②知的障害を伴わず, てんかん発作が併存しない (7例), ③知的障害が併存 (1例) の3群に分け, 身体症状やその症状の誘因や原因と考えられる背景, 対応方法, その後の経過について検討した. 【結果】①群でてんかんと心因性非てんかん発作の両方とも治療終了できたのは1例のみで, 5例は転院, ②群ではてんかんの治療は全例終了, PNESについては症状の改善はみられるが終了は1例のみ, ③群はてんかんもPNESも治療終了できた. 【結論】②群は小児神経科医から, てんかんではない可能性についての説明が重要で, ③群は心理相談によって本人の発達について親の理解を促すことが重要ではないかと考えられた. ①群ではより対応の難しさがあるため, 小児神経科, 児童精神科, 心理などが協力して対応すべきと考えられた.
著者
成田 年 宮竹 真由美 鈴木 雅美 鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.126, no.1, pp.43-48, 2005 (Released:2005-09-01)
参考文献数
27

依存性薬物に対する精神依存形成時には中枢神経系の可塑的な変化が起きている.近年,中枢神経系における神経伝達効率に対するグリア細胞の重要な役割が認識されるようになった.著者らは数種の依存性薬物のグリア細胞,特にアストロサイトに対する作用に着目し,in vivoおよびin vitroレベルで多角的に検討している.最近,強力な精神依存形成能を有する覚せい剤メタンフェタミンがアストロサイトを直接的かつ持続的に活性化するのに対して,麻薬性鎮痛薬であるモルヒネのアストロサイトへの作用が間接的かつ一過性であることが明らかになった.著者らの一連の研究成果は,メタンフェタミンの強力なアストロサイト活性化作用が,中枢神経系の可塑的な変化を惹起させ得る可能性を示唆するものである.一方,メタンフェタミンのような強力な依存性薬物とモルヒネは本質的に異なるものであり,臨床現場において適切にモルヒネを使用すれば,覚せい剤のように不可逆的な神経変性は形成されないものと考えられる.
著者
柿野 亘 竹内 基 伊藤 寿茂 成田 勝 中村 咲蓮 塩練 元輝 杉山 真言 岡田 あゆみ 筏井 宏実 眞家 永光 馬場 光久
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.23-35, 2023-02-28 (Released:2023-03-07)
参考文献数
109

In recent years, the classification system of Unionoida (Margaritiferidae, Unionidae) has undergone major changes from conventional methods by shell morphology, due to breakthroughs in approaches based on molecular phylogenetic analysis. We compared the classification system trends of the Margaritiferidae and Unionidae distributed in Japan, and pointed out that there is a time lag to the classification determinations of the latter. Although the scientific names have been changed, the existence, distribution, and ecological information (ex. host fish for glochidia) of two Japanese margaritiferids have been established, and conservation measures and regulations based on the Red List and laws can be expected. On the other hand, the Unionidae consisted of 3 subfamilies, 11 genera and 15 species has increased to 2 subfamilies, 13 genera and 26 species (excluding alien species) by the new classification system reported in 2020. Therefore, information on the distribution and ecology of many new species must be elucidated. A new classification system will be assumed the further revision, especially for the genus Sinanodonta, and the risk of some local populations extinction increase before clarifying the actual situation of species. We are now proceeding to clarify the early life stage of some Unionoida mussels (ex. parasitic stage, salinity tolerance), but insufficient knowledge of the life cycle of Unionoida has prevented the establishment of complete ex-situ conservation methods. Conversion project of numerous reservoirs are that the most important habitats for Unionidae species pressing forward in Japan. In light of this situation, it is hoped that the new classification system that can serve as a basis for on-site conservation will spread throughout as soon as possible to realize comprehensive conservation.
著者
続木 康伸 成田 光生
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.5, pp.986-990, 2015-05-10 (Released:2016-05-10)
参考文献数
10

症例は,30歳代女性,1卵性双生児の姉妹.開封し常温保存した市販のミックス粉を使用してお好み焼きを摂取した.摂取後より,アナフィラキシー症状を認め,当院救急搬送となった.血清特異的IgEで,家塵ダニが高値であったこと,プリックテストにて実際に摂取したお好み焼き粉は強陽性に加え,顕微鏡下に多量のダニを確認した.以上より,お好み焼き粉中に発生したダニの経口摂取によるアナフィラキシーと診断した.
著者
亀井 邦裕 児玉 公信 細澤 あゆみ 成田 雅彦
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013-IS-125, no.3, pp.1-7, 2013-09-05

ビジネスシステムにおいて代金計算に伴う消費税の計算は必須であるが,消費税率の段階的引き上げや特例の導入などが見込まれている中で,税制改定に追随し,適用時点に応じた税額計算を,合理的に行う必要があるここには,過去の取引データの遡及的な修正も含む.このための概念モデルのあるべき姿を,取引 (商流) データおよび代金 (金流) データのモデルを含めて提案する.
著者
岩崎 稔 今井 昭夫 篠原 琢 長 志珠絵 金井 光太朗 石井 弓 成田 龍一 板垣 竜太 小田原 琳 土田 環 米谷 匡史 藤井 豪
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本事業は、「歴史にとって記憶の問題とは何だったのか」という共通の課題設定のもとで、「記憶論的転回以後」の集合的記憶に関する言説状況を検討し、東アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカの事例研究を空間的に広げて総括してきた。また、二十世紀後半以後の時系列に即して、個々の社会的コンフリクトのフェーズことに記憶の動態分析も行ってきた。その場合、モーリス・アルヴァックスの概念設定に端を発し、ドイツのヤン・アスマンやアライダ・アスマンの概念装置などにも立脚しながら自覚的に記憶と忘却の反省的理論として整理することをめざしてきている。また、とくに本事業の取組みの焦点となるのは、メモリースタディーズの高度化によって獲得された知見や語彙の明示化であり、また記憶論的転回以後に起こっている歴史像の分断や二極化という劇症化したコンフリクトの分析であった。これまでにも、記憶に関するブレーンストーミングのワークショップなどを開催し、①国民国家の記憶に関するヨーロッパボーダーランド地域の個別研究、②戦後東アジアの記憶の再検討、③記憶と忘却の動態の理論化、④記憶と忘却のレキシコンの作成などに、ひとつひとつ取り組んできた。そうしたなかで、研究分担者からは、新たに意識化されたハザードスタディーズの一環としての記憶の語りや、近年のレイシズム再来現象についても、災害の記憶やコロニアリズムの記憶という論点として、積極的に組み込んでいくべきであるという提案があり、それらを通じて事業計画の視野はより豊かになってきている。