著者
早川 尚志
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科「地域と環境」研究会
雑誌
地域と環境 = Region and environment (ISSN:13440985)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.91-108, 2014-12-26

日本の都城プランが中国の長安を模倣したものであるのに対し,恭仁京のプランは都を貫く大河,内在する港,偏在する内裏と「朱雀大路」,左右京に山地が介在する狭隘な甕原の選地,と例外だらけであったが,その原因は長らく究明されてこなかった。そこで筆者は恭仁京を隋唐のもう一つの都洛陽と比較検討することで,その例外性の原因に迫り,恭仁京が他の日本の都城と違って洛陽を模倣して成立したものである可能性が浮上した。
著者
澤村 淳 菅野 正寛 久保田 信彦 上垣 慎二 早川 峰司 渡邉 昌也 丸藤 哲
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.219-223, 2011-05-15 (Released:2011-07-23)
参考文献数
9

QT延長症候群には様々な原因があるが,水泳中に心室細動を発症したRomano-Ward症候群の1症例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する。症例は12歳女児で学校のプール学習で遊泳中に仰向けに浮いているのを発見され,引き上げたところ心肺停止状態であった。直ちに担任教師により心肺脳蘇生法が開始され,自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED) を装着し除細動を実施した(後の解析で心室細動と判明した)。除細動後,間もなく自己心拍が再開した。気管挿管後,ドクターヘリで当科へ搬送された。意識はJapan coma scale(JCS) 200,Glasgow coma scale(GCS) E1VTM3,瞳孔径左右とも3mm,対光反射は両側とも迅速。血圧136/74mmHg,脈拍84/min,呼吸回数 19/min, SpO2 100%(FIO2 1.0,気管挿管下)。12誘導心電図:完全右脚ブロック,QTc 0.49secとQT時間の延長を認めた。24時間の脳低温療法を行い,神経学的後遺症は残さず回復した。日本循環器学会のガイドラインに準拠して植え込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)の適応(class I)となり,第7病日にICDを挿入した。その後,問題なく経過し,第14病日に独歩退院した。若年発症のQT延長症候群の場合,先天性のRomano-Ward症候群をまず疑うことが重要である。またRomano-Ward症候群は常染色体優性遺伝であり,遺伝子診断まで検索が必要である。心室細動で発症するハイリスク例に対してはICDの挿入は必須の治療であると考えられた。
著者
廣田 薫 小沢 和浩 保坂 春恵 早川 雅史
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.132-139, 1989

人間が行う知的動作や芸術的感覚をロボットで実現することを目的として、華道ロボットシステムを構築した.木を3本、花を3本用いた池坊流派の基本的生け方を実現した.2台のロボットとCCDカメラのシルエット画像により、木や花を回転させてその形状を認識し、剣山上の生ける場所をファジィ推論を適用して決定する.ファジィ推論の統合化部分では、水本の貢献度法を変形したものを用い、生け方の多様性を実現した.
著者
内藤 牧男 堀田 禎 早川 修 篠原 伸広 植松 敬三
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1236, pp.811-814, 1998-08-01
被引用文献数
9 13

The effect of ball milling conditions on pulverization of the very small amount of large particles in silicon nitride powder was examined. In this paper, the wet sieve analysis and X-ray sedimentation method were used to measure the content of large particles in the ground powder which influence important properties of sintered ceramics such as fracture strength. As a result, it was made clear-that the wet sieve analysis would be a reliable method to measure the content of just a few large particles in the ground powder. By applying this analysis to the ball-mill grinding of silicon nitride powder, it was found that the processing conditions required to grind the large particles were different from those to obtain high specific surface area as well as small average size of particles. This is because the impact force exerted onto the particles by the media balls is more effective on grinding large particles.
著者
ジョジョメニョ マウリ 金子 明 菊池 三穂子 ウバレー ラッタワン 大澤 彦太 塚原 高広 谷畑 健夫 パールマン ヘドウイク 平山 謙二 小早川 隆敏
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.82-89, 2005-04

血中IgE上昇に帰結するIL4プロモーターの遺伝的変異が,マラリアに対する感受性と相関することが最近の研究によって示唆されてきている.本研究においては集団遺伝学的方法を用いヴァヌアツにおけるマラリア流行度が異なる3島嶼において,IL4-590および+33塩基における変異対立遺伝子頻度,血中総IgEおよび熱帯熱マラリア原虫特異的IgE濃度を調べた.3島嶼は中等度の流行が続くMalakula,中等度の流行だが対策が功を奏しているAneityumおよびマラリア流行がないFutunaである.これらの島嶼住民より採取した血液サンプルよりIL4-590および+33についてそれぞれ計878および750サンプルの解析を行った.変異対立遺伝子頻度はこれら3島嶼間においてC-590Tが0.27〜0.39,C+33Tが0.39〜0.48の範囲で変動した.両対立遺伝子間には顕著な連鎖不均衡が認められた(p<0.001).これら両変異対立遺伝子ともAneityumにおいてはFutunaより高い頻度で認められた(p<0.05).AneityumにおいてはIL4+33位における変異対立遺伝子の存在する群での血中熱帯熱マラリア原虫特異的IgE濃度は有意に上昇していた(p<0.05).しかしながら,これらの関係はMalakulaにおいては認められなかった.本研究はメラネシア住民集団において当該変異遺伝子頻度に関する最初の報告である.見出された変異対立遺伝子頻度はこれまで報告されている,より高いアジア住民集団とより低いヨーロッパ住民集団の中間の値であった.さらにIL4多型が特異的IgEとマラリア病形の関係に関る遺伝的因子の一つであることが示唆された.
著者
早川 由紀夫 小山 真人
出版者
群馬大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

中学1年で学ぶ「大地の変化」のうち、火山に関する部分の学習プログラム(全9時間)をつくって授業実践した。1時間目:火山噴火とは2時間目:火山噴出物とマグマ3、4時間目:火山の形、溶岩の色、噴火の様子とマグマ5時間目:火山がつくる地形・地層と人間生活6、7時間目:火成岩と鉱物8時間目:火山の災害と恵み9時間目:火山について調べよう当初計画していた地震と地層については、教材をいくつか作成するに留まり、学習プログラムをつくるまでには至らなかった。作成した火山学習プログラムには、ITを利用したデジタル教材を多用した。デジタル教材はリアルでわかりやすい表現を可能にしただけでなく、これまでできなかった新しい表現方法も生み出した。しかし、デジタル教材だけで学習プログラムを作成してもよい授業ができないことがわかった。従来のアナログ教材にも捨てがたい長所がある。古くからある教材に工夫を加えて使ったり、独創的なアイデアで新しい教材を開発するなどしてアナログ教材も使い続けるべきである。両者を併用して、バランスの取れた学習プログラムを作成するのが望ましい。本研究で新規作成あるいは改良した教材のうち主なものは次のとおりである。アナログ教材:コーラ噴火、減圧発泡、カルメ焼き、弁当パック立体模型、かざんきっずデジタル教材:カシミール3D、ウェブ紙芝居(立体地形編、自然史編、おはなし編)、噴火勤画、かざんくいず、噴火カタログ、噴火史料データベース、浅間山の北麓地質図、浅間山の火山灰を測ろう、オーロラカメラ、地震波シミュレーション
著者
早川 美徳
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.207-212, 2013-03-10 (Released:2019-05-08)
参考文献数
4
著者
早川 卓志
出版者
一般社団法人 日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.34.004, (Released:2018-06-27)
参考文献数
102
被引用文献数
1

Genetic investigation of wild primates are crucial to understand kinship, population diversity, phylogeographic patterns, and heritable factors of phenotypes. Traditional DNA technology using polymerase chain reaction (PCR) and Sanger sequencing have restricted the genome-wide analysis of primates, particularly due to the low quality and low quantity of noninvasive DNA samples obtained from wild individuals. Following the post-genome era, next-generation sequencing (NGS) technologies have provided a new paradigm in primate studies. NGS has enabled the genome-wide analysis of primate DNA using noninvasive samples, such as feces. Metabarcoding and metagenomics analyses using fecal samples provide information on food items and commensal microorganisms of the host animal. Here, I review a history of DNA sequencing technologies and examples of NGS studies in wild primates. Further, I discuss the effectiveness of NGS application to noninvasive samples.
著者
金澤 治 白根 聖子 早川 さゆり
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.424-429, 2000-09-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6

Shuddering attacks (SA, 身震い発作) は乳幼児期に発症する稀な良性疾患といわれ, てんかんとの鑑別を要する.発作は意識消失のない何秒間かの身震いで日単位で反復する.Essential tremor (ET, 本態性振戦) と同様の発現機序といわれ脳の未熟性による表現様式の違いとされるが, 報告は稀で本邦では皆無である.SAを呈する生後8~14カ月の乳幼児4例で, ビデオないしビデオ・脳波同時記録で発作時をとらえ病態を検討した.1例でSAに同期した筋電図より, ETの周波数とほぼ一致した.全例で発作減少ないし消失をみたが, MRI上脳の未熟性, トルコ鞍扁平, てんかんの家族歴, のある例もあった.従来SAは良性疾患で検索不要といわれるが, 神経系発達に関連した何らかの問題が潜む可能性がある.
著者
早川 紀朱 米澤 貴紀
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.813, pp.3083-3094, 2023-11-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
25

This paper discusses the morphological tendency of mountain monasteries at Hieizan-Enryakuji in the mid- and late Tokugawa period by surveying historical records archived in Eizan Library. A comparative verification of 18 monasteries reveals the existence of certain typologies in layouts and roof shapes, such that most monasteries had three-beam-span frontage layouts covered by gabled or hipped roofs with an additional stepped roof, or shikoro, along the perimeter of the main building. The paper also describes the typology’s relationship with the Kanbun 8 regulation. The knowledge derived is expected to elucidate the situation of the mountain-dwelling religious community in that period.
著者
早川 宗志
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.58-61, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1
著者
鈴木 拓 早川 克彦 岩本 卓士 大木 聡 鳥居 暁子 雨宮 剛 佐藤 和毅
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.237-239, 2018 (Released:2019-07-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

目的:上腕骨外側上顆炎に対するPRP療法の臨床成績について報告する. 対象と方法:上腕骨外側上顆炎に対してPRP療法を施行した7例9肘を対象とした.従来の保存加療が無効であった患者に対して行い,発症からPRP療法を施行までの期間は平均25か月であった.PRP施行前,施行後1,3,6か月時のVAS,握力健側比,患者評価のPRTEEに関して調査した. 結果:PRP療法施行前,施行後1,3,6か月における手関節背屈抵抗時の平均VAS(53→23→14→4),外側上顆の圧痛の平均VAS(79→38→26→14),平均握力健側比(80→89→104→97),平均PRTEEスコア(53→34→23→20)は治療前と比べて有意に改善した. 考察:PRP療法は,他の保存療法に抵抗性の症例に対しても疼痛を有意に軽減させ,有用な治療と思われる.