著者
牛島 廣治 沖津 祥子 高梨 さやか 町田 早苗 カムリン パターラ トンプラチュム アクサラ 野村 明子 早川 智
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ウイルス性胃腸炎で重要なロタウイルスとノロウイルスの混合ワクチンをめざして、基礎実験を行った。ロタウイルスはワクチン株(Rotarix)と人工的に作製したウイルス蛋白(VP6)を用いた。ノロウイルスはウイルス様粒子を用いた。マウスへの経口接種で相乗効果はなく、それぞれのウイルスとして抗体の上昇を認めた。子マウスにロタウイルスの感染実験(下痢)はできたが、ノロウイルスでは下痢が生じなかったので、ワクチンの予防効果の実験はできなかった。ヒトでのロタウイルスワクチンの使用例と繰り返すノロウイルス胃腸炎の例を参考にし、混合ワクチンの開発を進めることが期待された。
著者
須永 剛司 小早川 真衣子 敦賀 雄大 高見 知里
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-7, 2011-01-14

情報通信技術を基盤とするさまざまな表現メディアが私たちの社会の表現活動を広げている.しかし,それらを受け入れられるフィールドはビジネスと個人そして大学だけである.いま,メディアはミュージアムや学校や地域のコミュニティなどパブリックな社会をフィールドにできていない.例えば,小学校に導入された電子黒板は学年の共用教室に置かれ,学び手たちの道具になっていない.表現活動をかたちづくる文化的プログラムの不在.著者らはそれが原因のひとつにあると考えている.技術システムと文化的プログラムをカップリングし,車の両輪として研究開発している,ミュージアム活動を変革するためのデザインを報告する.Various expression activities with the media based on Information Communication Technology have been expanded in our society. However the fields of the activities are limited to business and private. The media are not sufficiently accepted by public activities on social learning or local communities. For example, electronic black boards installed into classrooms of elementary schools by governmental treatment have not been succeeded enough in many cases. The reason why the cases happened is lack of Cultural Programs with the media. This paper shows a new design approach with coupling of Technological System and the Cultural Program into one platform for an innovation on museum activities.
著者
佐野 菜緒子 早川 貴行 吉岡 和哉
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.398-406, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
24

COVID-19感染により重度の呼吸不全に陥り,人工呼吸器離脱後に不安や抑うつ状態を認めたA氏を担当した.作業療法ではA氏にとって価値ある作業に焦点を当て,さらに作業参加に影響する要因をMOHOの視点を参考に分析し介入した.経過中,A氏は再び人工呼吸器管理となったが,床上でのメールや読書など,本人にとって価値ある作業を提供していく中で笑顔が見られ,不安や抑うつの軽減を認めた.重症COVID-19患者に対して,急性期から作業に焦点を当てた介入をすることは作業療法士の重要な役割として示唆された.
著者
田中 夏樹 岡西 尚人 稲葉 将史 山本 紘之 川本 鮎美 早川 智広 加藤 哲弘 山本 昌樹
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第24回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.O032, 2008 (Released:2008-12-09)

【はじめに】 母趾種子骨(以下、種子骨)障害に対しては、保存療法が第一選択となるが、そのほとんどが足底挿板による免荷の有効性を報告するものである。今回、足底挿板が処方できない状況であった症例の理学療法を経験した。Dynamic Alignmentを変化させるべく運動療法を行うことで種子骨周囲の運動時痛が消失した。本症例におけるDynamic Alignmentの特徴と理学所見、荷重時における種子骨の疼痛との関係について考察を踏まえ報告する。 【症例紹介】 症例は野球、空手を行っている中学1年の男性である。2年前から両側種子骨周囲に運動時痛を訴え、本年5月に歩行時痛が憎悪したため当院を受診し、理学療法開始となった。 【初診時理学所見】 両側とも種子骨を中心に圧痛を認め、歩行時痛(右>左)を訴えた。歩行時footprintにて両側ともに凹足傾向であった。また、Thomas testが陽性/陽性(右/左)、SLRが50°/50°、大腿直筋短縮テストが10横指/5横指(殿踵部間距離)と股関節周囲筋に伸張性の低下を認めた。足関節背屈可動域は25°/25°であり、両足をそろえたしゃがみ込みでは後方に倒れる状態であった。歩容はmid stance以降、支持脚方向への骨盤回旋が過度に認められた。 【治療内容および経過】 腸腰筋、大腿直筋、hamstringsを中心にstretchingおよびself stretchingの指導を行い、距骨を押し込むためのTapingを指導した。また、3週後からはショパール関節のmobilizationを行った。5週後にはThomas testが両側とも陰性化、SLRが80°/80°、大腿直筋短縮テストが0横指/0横指と改善を認め、歩行時、ランニング時の疼痛が消失し、全力疾走時の疼痛程度が右2/10、左1/10と改善した。 【考察】 hamstringsのtightnessによる易骨盤後傾、重心の後方化に拮抗するため、股関節屈筋群の活動量が増加し、腸腰筋、大腿直筋のtightnessが出現したと推察された。そのため、股関節伸展可動域の低下が生じ、歩行ではmid stance以降に骨盤の支持脚方向への過回旋による代償動作による足角の増加に加え、凹足傾向と足関節背屈可動域の低下によりmid stance~toe offにかけて荷重が足部内側へ急激に移動することで母趾球への荷重が過剰となり歩行時痛が出現していると推察された。そのため、股関節周囲筋のtightnessを除去するとともにショパール関節のmobilization、足関節背屈可動域増加を目的としたtapingを行い、toe off時における母趾球への過剰な荷重を回避することで種子骨への荷重による機械的ストレスの減少を図ることが可能となり、運動時痛が軽減、消失したと考えた。有痛性足部障害といえども、全身の機能障害が関与しているケースもあると考えられ、足底挿板療法以外にも症状改善に足部以外の部位に対するアプローチの有効性が示唆されたものと考える。
著者
平野 修 河西 学 平川 南 大隅 清陽 武廣 亮平 原 正人 柴田 博子 高橋 千晶 杉本 良 君島 武史 田尾 誠敏 田中 広明 渡邊 理伊知 郷堀 英司 栗田 則久 佐々木 義則 早川 麗司 津野 仁 菅原 祥夫 保坂 康夫 原 明芳
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

奈良・平安時代において律令国家から、俘囚・夷俘と呼ばれたエミシたちの移配(強制移住)の研究は、これまで文献史学からのみ行われてきた。しかし近年の発掘調査成果により考古学から彼らの足跡をたどることが可能となり、本研究は考古学から古代の移配政策の実態を探るものである。今回検討を行った関東諸国では、馬匹生産や窯業生産などといった各国の手工業生産を担うエリアに強くその痕跡が認められたり、また国分僧尼寺などの官寺や官社の周辺といったある特定のエリアに送り込まれている状況が確認でき、エミシとの戦争により疲弊した各国の地域経済の建て直しや、地域開発の新たな労働力を確保するといった側面が強いことが判明した。
著者
鮫島 邦彦 崔 一信 石下 真人 早川 忠昭
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.817-821, 1991-09-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
15
被引用文献数
4 9

粗アクチニジンを市販のキウイフルーツから抽出,調製した.骨格筋アクトミオシン中のミオシンとアクチンは粗アクチニジンによって分解された.粗アクチニジンによる骨格筋ミオシン分子内の分解部位は,α-キモトリプシンによるそれとほぼ同じであった.また,粗アクチニジンはコラーゲンも分解した.牛モモ肉を粗アクチニジン溶液に浸漬した場合,4℃で6時間後の生肉,加熱肉とも切断強度の低下を示した.これらの22時間後の試料のSEM観察においては,筋肉の構造がもろくなっていることが確認された.以上の結果から,キウイフルーツに含まれるタンパク質分解酵素アクチニジンは食肉軟化剤として有効であることが明らかになった.
著者
早川 清雄 高岡 晃教 亀山 武志
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は、毎日、多くの食事を摂取している。食事には、ビタミン・ミネラル・タンパク質をはじめとした必須な栄養素が豊富に含まれており、それらが身体や健康の維持に重要であることが明らかにされている。しかしながら、食品に含まれる核酸による機能性は、ほとんど明らかにされていない。そこで、食品に含まれる核酸に注目し自然免疫応答に対する効果について検討を行った。免疫応答をつかさどるマクロファージ細胞に対して数種類の食品から抽出した核酸と口腔内に存在するペプチドを混合し処理を行うと、細胞質のセンサー分子を介して自然免疫応答が活性化されることがわかってきた。食品由来の核酸は、健康の一端を担っている可能性がある。
著者
高野 真理子 小川 大輔 重松 照伸 藤井 総一郎 早川 信彦 岡崎 守宏
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.519-522, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
21

症例は72歳男性.アルコール性肝硬変と糖尿病の既往があり,認知症のため近医に入院し,クエチアピン100 mg/日の投与が開始された.投与開始約5カ月後に発熱が出現し,血糖666 mg/dl, HbA1c 14.0%, CRP 37.0 mg/dlと高値の上,尿中ケトン体が陽性のため,当院へ搬送された.受診時動脈血ガスでpH 7.12と低下しており,また,胸部X線写真にて肺炎像を認め,糖尿病性ケトアシドーシスおよび肺炎と診断され,入院となった.入院後はクエチアピン内服を中止とし,輸液とインスリン,抗生剤投与にて加療した.徐々に状態は改善し,血糖に関してはコントロール良好となり,最終的にインスリンを離脱することができた.クエチアピンは血糖値を上昇させる副作用があり,まれに糖尿病性昏睡や糖尿病性ケトアシドーシスを来たすことが報告されている.クエチアピンを投与する際は,定期的に血糖を測定し,これらの重篤な副作用を未然に防止することが重要である.
著者
早川 兼司 三星 知 須藤 晴美 忰田 亮平 成田 一衛
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.173-177, 2022 (Released:2022-08-13)
参考文献数
8

CKD患者に対する腎排泄型薬剤の処方は過量投与による副作用リスクが高く、処方監査時には特に注意を要する。病院と診療所では腎機能に対して過量投与が疑われる薬剤の種類が異なる可能性があり、その特徴について調査した。2018年4月から5月に入院した1,630名の中から、除外基準に該当しなかった1,049名の持参薬について、改定45版腎機能別薬剤投与方法一覧に基づき、推奨される投与量よりも過量だった場合に過量投与疑いありと定義した。過量投与疑いがあった患者は66名(6.3%)、過量投与疑いのあった薬剤数は75剤であった。過量投与疑いあり群はCKDステージ2–3群では病院が34薬剤(58%)、CKDステージ4–5群では診療所が10薬剤(63%)を占め、CKDの進行に伴い診療所での過量投与が増加する傾向を認めた。薬効別ではH2遮断薬が11件、糖尿病治療薬が8件、抗アレルギー薬が8件、高尿酸血症治療薬が8件、抗菌薬が7件と過量投与疑いの件数が多かった。糖尿病治療薬の過量投与疑いは病院が有意に多く(P = 0.03)、抗精神病薬の過量投与疑いは診療所が有意に多かった(P = 0.03)。抗菌薬の過量投与疑いはCKDステージ2–3群において診療所が多い傾向を認めた(P = 0.17)。この結果は処方元医療機関の違いにより、腎機能低下時に注意すべき薬剤が異なる可能性を示した。これらを把握することで病院における持参薬の鑑別や保険薬局における処方監査の質を向上させると考えられる。また、過量投与疑いのあった薬剤は、日常的に処方されるものが多かったことから、処方監査時は薬剤の種類を限定せず腎機能を把握しておく必要がある。CKDシールや、院外処方箋への検査値印字、病院と保険薬局の情報共有による薬薬連携により、腎機能の指標となるデータを処方元医療機関もしくは患者本人から確認し調剤を行うことが、薬剤師業務の質を向上させCKD患者における安全な薬物療法を向上できる可能性がある。
著者
早川 尚男 九後 太一 川上 則雄
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.493-499, 2012-07-05 (Released:2018-03-02)
参考文献数
40

We briefly review the birth of the Progress of Theoretical Physics (PTP) and its relationship with Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ). We also trace the development of PTP and the route to rebirth as Progress of Theoretical and Experimental Physics (PTEP). Furthermore, we introduce some milestone papers of PTP in both fields of particle physics and condensed matter physics.
著者
泊 祐子 堀 智晴 曽和 信一 早川 淳 又賀 淳
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.2_9-2_18, 1987-06-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
18

本研究は,自宅分娩時代の産婆の仕事を検討することにより,地域で果たしていた役割を明らかにすることを目的とした。 方法は兵庫県但東町にお住まいの大正末期から昭和の初めにかけて開業を始めた3人の産婆からの聴取り調査により行った。 自宅分娩時代は,産婆と産婦との付き合いは長く,産婆は産婦の家などの環境についても良く知っていたし,過去の妊娠歴などの情報も豊富に持っていた。そのため産婦への援助は情報量に対応して個別性が図れた。そして,産婦側でも産婆が自分について知ってくれているので,すぐに相談も可能であり,精神的な安定につながっていたと思われる。 妊娠・出産・育児は決して母親1人に任せることではなく,家族・地域の人達・医療関係者などが協力し合う中でなされることではないだろうか。そのためにも地域の機能の活性化が必要であろう。
著者
早川 洋行
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.65-88, 2016-10-31

本論文は,人気マンガを題材にして,戦後日本社会におけるジェンダーの変化を考察したものである。1では,ジェンダーの形式的次元と実質的次元を区別して,後者に注目することに重要性を論じる。2では,知識社会学からのアプローチを説明した後に家族を描いた人気マンガを紹介して,そこに描かれた家族像と時代との関連を考察する。3では,家族ではなく個人に注目して,人気マンガの主人公に表現されている男性ジェンダーと女性ジェンダーの特徴をまとめる。そして4では,これまで論じてきたことを振り返り,現代日本社会におけるジェンダーの歴史的位相を総括する。