著者
窪田 暁 Satoru KUBOTA クボタ サトル
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.10, 2014-03-31

本稿の目的は、ドミニカ共和国(以下、ドミニカ)の移民送りだし社会としての面、およびトランスナショナルに展開する移民と故郷の人びととの相互交渉に注目し、そのなかから誕生した「ドミニカンヨルク」というイメージにドミニカ社会のどのような価値観が投影されているかについて考察するものである。そのうえで、このような相互交渉にもとづき生みだされた移民イメージが野球選手に移民としての役割を担わせることに結びついたことを明らかにする。 トランスナショナルな現象を扱う先行研究では、故郷の人びとを移民からの影響を一方的にうける(うけない)対象として捉えてきた。そこで描かれるのは、移民からの影響をうけて変容するコミュニティや非移民の姿であった。しかし、多くの人びとは移民からの最低限の送金でなんとか生活を送り、バリオ(共同体としての町、村)内に格差が拡大しないような節度あるふるまいを実践している。それを支えているのが、地域社会の伝統的な規範意識や価値観である。 しかしながら、現在のドミニカをめぐる経済状況は厳しく、より多くの送金を受けとりたいというのがバリオの人びとの本音であることも事実である。そうした状況のなかで、年々増え続ける移民に対して、一時帰国の際に華美で散財のかぎりを尽くす「ドミニカンヨルク」というステレオタイプ・イメージを創りあげ、国際電話やfacebookといったトランスナショナルな相互交渉を通して、移民にも「ドミニカンヨルク」像を演じさせることに成功したのである。さらに、こうした「ドミニカンヨルク」の役割を、野球選手に担わせることによって、今度は「野球移民」を誕生させることに繋がっているのである。 そこで本稿は、こうしたステレオタイプ・イメージの創出を、二国間にまたがるトランスナショナルな相互交渉の過程から明らかにする。そのうえで、伝統的な規範意識や価値観を武器に、新自由主義経済が蔓延する予測不可能で不安定な社会を生きぬくドミニカの人びとの生活戦略の在りようを示したい。Focusing on transnational discursive relations in the Dominican Republic, this article aims to investigate how behavior is symbolized in the process of creating the migrant image of “Dominican York.” I further consider how the process of creating this image produced the figure of the baseball migrant. Dominican emigration has increased substantially since the 1960s, and there are now about two million Dominicans living in the U.S.A. My fieldwork shows that they express a sense of still belonging to their homeland at two levels. The first is by keeping a direct connection through frequent calls to their homeland and sending remittances to their families. The second is reflected in the frequent return trips to their homeland. The existing studies on Dominican emigration dealing with transnationalism have focused on the unidirectional impact of migrants on their native country by their sending of remittances. However, these studies have paid scant attention to an important aspect of everyday cultural practice in the sending society, that is, the effect of this immigration on morale and behavior in the local community back home. Social conditions in the Dominican Republic, however, remain difficult, and it is still true that local people need to receive more remittances. In the transnational discursive relations, nonmigrants have used local knowledge to create a migrant stereotype image of luxury and ostentation in “Dominican York.” In so doing, they have allowed migrants there to perform this role, and this has been a factor in the birth of the baseball migrant. Here I indicate the process of how a stereotype image has been created through the transnational discursive relations of both migrants and nonmigrants. I will show the Dominican life strategy of survival with local knowledge in the face of a spreading, unstable, and unpredictable neo-liberal world.
著者
井手上慶 河村慎二 津邑公暁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 計算機アーキテクチャ研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.1-9, 2014-09-29

スマートフォンなどの普及に伴い,ガベージコレクション (GC) の性能が与える影響範囲が拡大している.一方,GC は主にアルゴリズム面で改良がなされてきたが,GC 実行時のレスポンス低下など,重要な問題の根本的解決には未だ至っていない.これに対し我々は,ハードウェア支援により GC を高速化する手法をこれまでにいくつか提案しており,その有用性について検討してきた.本稿では,まず我々が提案している二つの手法を取り上げ,それぞれ評価結果を示すとともにその有用性について述べる.これらの手法はいずれも,GC における基本的な構成処理要素に着目し,その高速化を図るものである.その後,現在我々が取り組んでいるハードウェア支援を用いたコンパクション機能について述べる.コンパクション機能を実装している既存の GC アルゴリズムはいくつか存在しているが,オブジェクトの移動時には当該オブジェクトを参照しているポインタを張り替える必要があり,これは一般にコストが比較的大きい.そこで本手法では,オブジェクト間の参照関係を記憶する専用の表をプロセッサに追加し,これを利用することで高速なポインタの書き換え,およびコンパクション機能の実現を目指す.そして最後に,この手法により期待される効果について考察する.
著者
阿部 賢一 小椋 彩 井上 暁子 加藤 有子 野町 素己 越野 剛
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国民文学の枠組みでの研究、あるいは同様な枠組み同士の比較検討がこれまで主流であったが、本研究はそのような国民文学の枠組みから逸脱する3つの視点(「移動の文学」、「文学史の書き換え」、「ミクロ・ネーションの文学」)に着目し、個別の現地調査の他、国内外の研究者とともに研究会、シンポジウムを開催した。その結果、3つの視点の有効性を確認できたほか、シェンゲン以降の移動の問題(政治学)、国民文学史の位相(歴史学)、マイノリティの記述の問題(文化研究)といったそのほかの問題系およびほかの研究分野と隣接している問題点や研究の可能性を国内外の研究者と共有し、一定の成果をあげた。
著者
石原 邦雄 松田 苑子 田渕 六郎 平尾 桂子 永井 暁子 西野 理子 施 利平 金 貞任 加藤 彰彦 西村 純子 青柳 涼子
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本、中国、韓国の研究者がそれぞれ自国での家族の総合調査のミクロデータを提供し合い、共同利用する体制を作って比較分析を積み重ねるという新たな試みとなる国際共同研究に取り組み、最終的にChanging Families in Northeast Asia : China, Korea, and Japan. Sophia University Pressという、共同研究者12名の論文を含む出版物の形で成果をまとめた。多彩な分析結果を大きくくくると、(1)人口の少子高齢化と経済社会のグロ-バル化および個人化という同一方向での変化のインパクトのもとで、3カ国の家族が、遅速の差はあれ、共通方向での変化を遂げつつあること、(2)しかし同時に、各国の社会文化的伝統の影響の強弱によって、3カ国の家族の世代間関係と夫婦関係のあり方や変化の仕方に違いが生じていることも併せて明らかにされた。
著者
石原 邦雄 松田 苑子 田渕 六郎 平尾 桂子 西野 理子 永井 暁子 稲葉 昭英
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、日本家族社会学会が5年ごとに実施し、ミクロデータを公開している全国家族調査(NFRJ)を基礎として、中国、韓国の有力な家族研究者たちとの協力関係のもとに、家族の国際比較研究を発展展開させようとする試みである。韓国については、韓国女性開発院が実施した全国規模の家族調査(KNSFS03)のミクロデータを活用し、適切なデータのない中国については、日本調査(NFRJ)との比較のための大規模調査を新規に実施することによって、東北アジアに隣接する3カ国の家族を、クロデータのレベルで比較分析する道を開いた。これは、家族研究において画期的なことと言って良い。そして、3カ国の分析チームが、個々人の研究成果の英文ペーパーを持ち寄って、2007年12月に国際研究集会を開き、さらにこれを彫琢して英文論文集の形で最終報告書をまとめた。内容としては、世代間関係、夫婦の役割関係や結婚満足度、家族生活とストレス、家族意識や家族形成パターン、子どもへの教育投資と階層化など、多岐にわたる家族の諸側面における3カ国での家族の異質性と共通性が浮き彫りにされた。しかし、国際間のデータ相互利用に関わる諸問題をクリアするのに時間を取られ、分析研究段階での時間不足となった面は否めず、個々の分析は、2カ国比較にとどまったものや、未だ初歩的な分析段階にとどまったものも散見される。幸い、基盤研究(C)での研究費補助が継続して得られることになったので、比較分析の幅と深さを一層推し進めた成果に結びつけていきたい。
著者
劉 暁輝
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

リガンド未知の「オーファン核内受容体」に対して、トレーサーとする標準化学物質がないため受容体結合試験ができず、困難な研究課題となっている。本研究では、複数のヒト核内受容体について、表面プラズモン共鳴法(SPR)を利用した分子間相互作用解析装置Biacore T100を用いて低分子量化学物質と核内受容体の結合試験系を確立し、強く結合する化学物質を見出した。そして、放射標識体を用いた受容体結合試験系の構築にも成功し、これまでに全く知られていない化合物が受容体と非常に強く結合することが判明した。
著者
阿藤 誠 津谷 典子 福田 亘孝 西岡 八郎 岩間 暁子 田渕 六郎 星 敦士 菅 桂太 中川 雅貴
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、国連欧州経済委員会により組織された「世代とジェンダー・プロジェクト(GGP)」に参加し、各国共通のパネル調査(GGS)を実施し、各国共通枠組みに従って社会経済・家族政策等に関する時系列データを収集することによって、日本の少子化の背景要因を比較分析し、少子化是正のためには、仕事と子育ての両立支援、長時間労働慣行の是正、若者の非正規労働化の是正、子育ての経済支援が有効であるとの結論をえた。
著者
南部 暁生 稲垣 静枝 小澤 伸介 鈴木 由香 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.617-634, 2003-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
54
被引用文献数
2 5 3

北大東島の礁性堆積物は,大東層と海軍棒層からなる.大東層は3つのユニットに区分される.ユニット1は主にframestoneよりなり,中央盆地に分布する.ユニット2はユニット1を不整合に覆い,2つのサブユニットから構成される.下位のサブユニット2aは,島外縁の環状丘陵地の主体をなし,主にframestoneよりなる礁芯相と,中央盆地縁辺部の急崖に露出しmdstoneの卓越する背礁相からなる.上位のサブユニット2bは,島の最高所付近に露出するframestoneとpackstoneからなる.ユニット3は東海岸に点在し,斜交層理の発達したoackstoneよりなり,下位層を不整合に覆う.海軍棒層は東海岸の標高10m以下に分布し,framestoneからなる.ユニット1は卓礁の堆積物である.サブユニット2a堆積時には,厚い環礁堆積物が形成されたが,その後,礁は著しく減退した.ユニット3堆積時,島の東部に浅瀬や造礁サンゴのパッチが広かった.海軍棒層は小規模な裾礁の堆積物である.
著者
木村 暁 中村 安秀
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.81-90, 2014-06-20 (Released:2014-07-17)
参考文献数
29

目的  途上国では処方箋を必要とする薬剤の販売規制が不十分であり、薬剤耐性の発現という視点からも、抗生物質による自己治療は世界の公衆衛生の大きな問題である。インドネシアにおいては処方箋薬による自己治療は一般的であるうえに危険な偽造医薬品の流通も社会問題となっている。インドネシア首都圏において抗生物質を買い求める顧客の行動様式とそれに対する薬剤師の対応を明らかにし、抗生物質を用いた自己治療に係る要因を考察することを目的とした。方法  南タンゲラン市チプタ地区における地域薬局6店で抗生物質を求めた200名の顧客に出口調査を行った。調査項目は健康保険加入・非加入を含めた一般属性のほか、来店時の処方箋の有無、購入にあたっての薬剤師の指示の有無など構造化質問表を用いた。また薬局に勤務する薬剤師、薬局経営者ら8名に半構造化インタビューを行った。調査項目は一日に抗生物質を買い求める顧客数、そのうち処方箋を持たない顧客の割合、薬剤師の顧客対応、経験した健康被害の有無などとした。調査は2012年5月下旬から7月初めにかけて実施した。結果  薬局に抗生物質を買い求めに来た顧客の48.5% (97/200)が処方箋を持っていなかった。医師の受診か自己治療か、という選択は健康保険の加入の有無と有意に関連していなかった。処方箋を持たない患者が抗生物質を購入するときは飲み残しサンプルを薬局で提示するケースが51.9% (54/104)を占め、家族・友人あるいは薬剤師の推薦などに従うケースに比べて有意に多かった。薬剤師は薬剤耐性とアレルギー発現に留意して問診を行い,処方箋を持たない顧客に抗生物質を交付することは慎重であった。薬剤師は自己治療の問題を軽減するために顧客や地域への働きかけと患者教育が重要であると考えていた。結論  健康保険の加入状況が処方箋の有無及び医師の受診頻度と有意に相関しなかったことは自己治療の選択が経済的要因だけではないことを示すものと考えられた。顧客の自信過剰な態度、飲み残しサンプルでの購入、家族・友人の勧めを薬剤師の勧めに優先させる傾向などから自己治療は限られた経験や情報に基づくヒューリスティックな選択であると同時に限られた選択肢の中でのリスクマネジメントであると考えらえた。  抗生物質は治療効果が短期間で明白となることから高い学習効果と成功体験をもたらして自己治療に好都合である。この成功体験が自己治療の選択行動を強化していることが考えられた。行動変容を促す患者教育は薬剤師の新たな役割と期待される。
著者
門前 暁
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

ヒト臍帯血由来造血幹・前駆細胞であるCD34^+細胞に対する5テスラまたは10テスラという強定常磁場の長時間曝露は、細胞の生死には影響を与えなかったが、10テスラで16時間曝露により、巨核球・赤血球前駆細胞由来コロニー数は有意に増加した。このとき初期造血関連及び細胞周期関連遺伝子がshamコントロールに比べ有意な発現増加を示した。本研究よりヒト造血幹・前駆細胞に対する強定常磁場曝露が、巨核球・赤血球造血への分化を特異的に亢進することが明らかとなった。
著者
内藤 喜之 関 一 小林 暁 伊藤 公一 亀井 宏行
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

FM-CW(周波数変調-連続波)レーダーは、周波数検出方式なので、微弱な反射もとらえ易いと考えられるので、土層の判別能力もパルスレーダより優れていると考えられる。また、アンテナの周波数帯域内に、発信周波数を収めることもできるので、リンギングも抑えられ明瞭な画像が得られると期待される。本研究では、まずFM-CWレーダの試作からはじめた。スロットアンテナを用いた500MHz〜1GHz帯域のレーダ,300MHz〜500MHz帯域のレーダなどを試作し実験を重ね、最終的には中心周波数300MHzのボウタイアンテナを用いたFM-CWレーダシステムを完成させた。このFM-CWレーダは、送受別体の2台のアンテナを持ち、発信周波数は、100MHzから500MHzの400MHzの帯域で、三角波状に周波数変調をかける。この三角波の周期は、5msec,10msec,50msec,100msecの4種類を選択できる。走査する時は、車輪のついた台車の上に乗せて引くか、そりに固定して牽引する。変調三角波の周期は50msecを用いた場合、周波数変調速度は16Hz/nsec(=400MHz/25msec)となり、パルスレーダで30nsecの深さ(土の比誘電率25とした時90cmの深さに対応)はFM-CWレーダでは、480Hzに対応する。このレーダを用い、長崎県壱岐郡原の辻遺跡、茨城県ひたちなか市殿塚1号墳、宮崎県西都市都原古墳群横穴墓、岐阜県大垣市昼飯大塚古墳、大阪府岸和田市久米田貝吹山古墳、岐阜県養老町象鼻山1号墳などで探査実験を行った。とくに原の辻遺跡では、従来のパルスレーダでは捕らえられなかった水田下の環濠がFM-CWレーダでは捕らえることができ、このレーダの土層判別能力の優位性が証明された。また、土の誘電率を現場で直接測定する方法として、同軸ダイポールアンテナやモノポールアンテナを直接大地に刺入して反射係数から推定する方法を開発した。
著者
李 穎 劉 天攸 顧 暁光
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.842-851, 2014-03-01 (Released:2014-03-01)
参考文献数
3

CALISは中国の大学間における文献資源の「共建共有」方針を順守した最有力総合サービスを提供しているデジタル図書館である。その成功の理由は効率的なプロジェクトの管理体制,多元化と便利なサービス,およびシステムをサポートする先端技術である。本稿は「共建共有」体制および技術システムを中心にして,CALISの全貌を紹介する。
著者
大和 正武 門田暁人 高田 義広 松本 健一 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.613-622, 1999-02-15
被引用文献数
19

本稿では 視線によるテキストウィンドウの自動スクロール方式を提案し 提案方式による自動スクロールが可能なテキストブラウザを用いた評価実験の結果について述べる. 従来の視線を入力とするインタフェースでは 視線情報をポインティングデバイスの代替として利用しており メニューやアイコンの選択のために一時的にではあるが作業対象から視線を外す必要があった. これに対して提案する方式では ウィンドウ内での視線の移動に着目する. 作業者はウィンドウ内で視線を移動させるだけで 表示したいテキスト部分をウィンドウ中央部に移動させ 表示させた状態でスクロールを停止させることができる. 評価実験の結果から テキストのスクロールにより文字列を検索するという作業(タスク)においては 視線による自動スクロールはキーボード操作によるスクロールと比較して同程度かそれ以上に有効であることが分かった. この場合 ウィンドウ中央から注視点までの垂直方向の距離をスクロール速度に比例させる制御方式が 他の方式に比べ優れていることが確認できた.This paper proposes a method and implementation for a system to automatically scroll a text window by tracking where a user is looking at. A user of the system can access a portion of the displayed document without using keyboard or mouse. Existing eye-tracking methods, which use eye-gaze as a substitute for pointing devices, require a user to "look at" menus and icons to manipulate a window display. In contrast, our proposed method uses eye movement within a window to control its display. A position of a user's gaze within a text window determines how to scroll the window, what portion of the text to display, and where to stop. Our user study demonstrates that the effectives of scrolling using this method is as good as one with convetional keyboard control as respects string search by scrolling. In particular, we have found that a controlling mechanism to determine the speed of scrolling in terms of the distance of the gaze point from the center of the window was both qualitatively and quantitatively superior to other control mechanisms in the string search by scrolling.
著者
山本 博 吉川 省子 吉田 正則 石原 暁
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.478-486, 2008-10-05
被引用文献数
3

扇状地は、地下水が扇頂で涵養され扇央では地下水面までの深さが深く、扇端で地表に流出するため、農業的には扇頂では河川から、また扇端では湧水帯からの利水が容易であるが、扇央では地下水位が低いため畑地としての利用が多い。扇状地ではこうした利水の一般的特徴をもつが、香川県の瀬戸内海側に位置する扇状地では出水(ですい)と呼ばれる浅層地下水の湧水があり、扇央においても浅層地下水を引き出して水田への灌漑用水として利用している。このため干ばつ時に、湧水を利用して下流の水田へ水を供給し干ばつの進行を防いできた。筆者らは香川用水導入後の土器川扇状地における湧水と農業用水の利用実態を明らかにすることを目的に、1994〜1995年にかけて、湧水及び農業用水の水位、流量の測定を行い浅層地下水の流動、および夏季の水収支を解明したので報告する。そして、この実態解明にもとづいて、香川用水導入後における湧水利用の変化を検討した。