著者
岡前 暁生 原田 和宏 岡田 誠 和田 智弘 和田 陽介 道免 和久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1375, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】介護者のレスパイト目的などで利用されるショートステイにおいて,介護負担感と関連している要介護者の神経精神症状(以下 NPS)の変化に関連する要因を明らかにすることは重要である。しかし,これまでショートステイでの各要因が要介護者のNPSに与える影響については十分に検討されていない。離床時間は廃用症候群の予防のためにも重要であるが,ショートステイ中に具体的にどの程度の離床時間が適切なのか明らかでない。そこで本研究の目的は,ショートステイ利用前後における要介護者のNPSの変化に関して,離床時間を含めた各要因との関連について検証することである。【方法】対象は介護老人保健施設のショートステイを利用した要介護者50名(男性23名,女性27名),平均年齢84.0±9.8歳である。除外基準は,調査期間中に急な体調の変化が生じた者,要介護者の普段の生活の様子を観察できる介護者がいない者,介護者から正確な情報を得ることが困難な者とした。データ収集は利用前の状況は入所2日前から前日の状況,利用後の状況は退所翌日から2日目の状況について,主介護者から回答を得た。評価項目は基本属性,ショートステイ利用状況,個別リハビリテーション実施加算の有無,NPSについてはThe Neuropsychiatric Inventory(以下 NPI)を改変したNPI重症度2日間評定版(以下 NPI 2d)を用いて調べた。また,離床時間は1日のうち座位および立位の姿勢を取っていた時間として,自宅の状況は主介護者から,施設の状況は介護スタッフから情報を得た。さらに施設の離床時間から自宅の離床時間を減じた値(以下 離床時間の差)を求めた。統計学的検定は,NPI 2dの利用前後の変化値から改善群と非改善群に分類し,各項目の差をMann-WhitneyのU検定,対応のないt検定,χ二乗検定を用いて比較し,有意差が認められた項目を独立変数,NPI 2dの変化を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。抽出された因子についてROC曲線により感度・特異度,カットオフ値を算出した。有意水準は5%とした。【結果】改善群(18名)と非改善群(32名)を比較した結果,利用前NPI 2d(p<0.01),施設の離床時間(p<0.05),離床時間の差(p<0.01)に有意差を認めた。ロジスティック回帰分析の結果,利用前NPI 2d(odds比=3.484,95%信頼区間1.287-9.431,p<0.05),離床時間の差(odds比=1.297,95%信頼区間1.004-1.676,p<0.05)が独立した有意な関連因子として抽出された。改善群と非改善群を分けるカットオフ値は利用前NPI 2dが1.5点(感度:0.824,特異度:0.727),離床時間の差が2.5時間(感度:0.647,特異度:0.879)であった。【結論】ショートステイ利用後の要介護者のNPSの改善には,利用前のNPS,施設と自宅の離床時間の差が関連していることが示された。今回の結果は,ショートステイにおける理学療法士の効果的な関わりの手がかりになる可能性がある。
著者
山本 直樹 柏 淳 車地 暁生
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、脳内在性D-セリンの代謝調節に着目し、統合失調症のなかでもとくにドーパミン受容体阻害作用をもった定型および非定型抗精神病薬によっても十分な治療効果が得られないいわゆる難治症例に対する新たな治療戦略を提供することを目指している。シナプス間隙における内在性D-セリン濃度の制御およびD-セリンの生合成・代謝にかかわる細胞分子機構を明らかにすることによって、統合失調症の新規治療薬をスクリーニングするための標的分子候補の同定を行なった。本研究期間において、主としてD-セリンの細胞外濃度制御因子D-serine modulator-1(dsm-1)の機能解析およびグリア細胞選択的細胞毒をもちいたin vivoにおけるラット大脳新皮質細胞外D-セリン濃度調節の解析を詳細におこない、グリア細胞におけるD-セリンの調節機構をあきらかにした。さらにD-セリンの代謝にかかわるグリア系各細胞の特性を検討している。また、統合失調症症例におけるdsm-1遺伝子の一塩基多型(SNPs)について検討した。統合失調症の感受性遺伝子解析のみならず治療反応性予測への応用を試みている。欧米において統合失調症に対する治療薬候補としてNMDA受容体アロステリック部位アゴニストD-セリンの他、グリシン、部分アゴニストであるD-サイクロセリンの小規模臨床試験がおこなわれ、従来の抗精神病薬に抵抗性症状に対する効果が多施設からなされている。ただしアゴニストの脳内移行性の問題ゆえに臨床的には経口投与量の評価等がまだ定まっておらず、長期大量投与による生体への影響を危惧する考えがもたれるが、興味深いことに今回我々はD-サイクロセリン投与後に中枢性に細胞外D-セリン濃度が選択的に上昇することを見いだした。さらに、このような統合失調症新規治療薬開発の現状や統合失調症の分子神経薬理学的病因論に関して総説および著書を発表した。
著者
立林 めぐ美 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.403-410, 2015

非ステロイド性抗炎症薬含有テープ剤などの貼付剤は皮膚と密着し,主剤の皮膚への浸透性を高めて効果を発揮するが,各種成分へのアレルギー感作が成立し,アレルギー性接触皮膚炎や光アレルギー性接触皮膚炎が生じうる。貼付により皮膚バリア機能が低下すると,アレルゲンの皮膚内への浸透性が高まり,感作がより生じやすくなる。しかしながら,貼付剤による皮膚バリア機能におよぼす影響はほとんど評価されていない。20歳以上の本研究に同意が得られた健常人ボランティア20例を対象にロキソプロフェンナトリウム水和物貼付剤とケトプロフェン2%貼付剤を7日間連続貼付し,貼付終了直後および貼付終了7日後における皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。評価項目として経皮水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss)と角質水分量(capacitance)を測定した。角質水分量に貼付剤間の差は認められなかった。ケトプロフェン2%貼付剤群では,貼付終了直後と貼付終了7日後の経皮水分蒸散量が優位に高値を示した。テープ剤の各種成分の選択と構成比の最適化を図り,皮膚バリア機能が低下しない,もしくは低下しにくい貼付剤の開発と普及が望まれる。(皮膚の科学,14: 403-410, 2015)
著者
岡井(東) 紀代香 石河 暁子 安友 小百合 岡井 康二
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.311-324, 2009-12-01 (Released:2017-04-11)
被引用文献数
4 10

中国や日本では古来より乾燥した温州みかんの皮を「陳皮」と称して循環器系疾患や呼吸器系疾患の予防や改善の目的で漢方薬・生薬・薬膳料理などに利用してきた. 本研究ではこれらの陳皮の薬理効果の作用メカニズムのひとつとして抗酸化・ラジカル消去活性に注目して分析した結果, 陳皮の冷水・熱水抽出液にきわめて強い抗酸化・ラジカル消去活性が認められた. そこで水抽出液をエタノール可溶性画分と沈澱画分に分けたところ, 主要な活性はエタノール可溶性画分に認められた. そこでその活性本体に対応する水溶性・低分子性物質としてアスコルビン酸とクエン酸を仮定してそれらの陳皮水抽出液中の濃度を測定し, その濃度に対応する両者の抗酸化・ラジカル消去活性を分析したところアスコルビン酸は強い1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl(DPPH)ラジカル消去活性を示したが, リノール酸の過酸化脂質の生成に対する作用は弱かった. ところが, クエン酸は逆にDPPHラジカル消去活性は弱かったが, リノール酸の過酸化脂質の生成に対して強い抑制作用を示した. さらにクエン酸は微量金属とアスコルビン酸によるリノール酸の過酸化脂質の生成の促進を消去・抑制することを見出した. 以上の実験結果により陳皮の水抽出液の示す強い抗酸化・ラジカル消去活性はアスコルビン酸とクエン酸がお互いにそれぞれの作用を補完するとともに一方の物質の酸化促進作用を他の物質が消去・抑制するためであることが示唆された.
著者
森 久史 伊藤 暁 辻村 太郎
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.638-641, 2006 (Released:2006-08-22)
参考文献数
8

This paper presented the results of application of super hydrophilicity TiO2 coating on Shinkansen vehicle. Also effect of metalic powder on hydrophilicity of TiO2 coatings was investigated. It was found that durability of protection from dirt adhesion was less than five months in real vehicle tests. The reason of degradation on protection was due to the contamination of metal powders produced by abrasive wear on the coating surface. Accordingly, it was considered that the degradation of hydrophilicity was attributed to the metal powder on the interface between TiO2 and water.
著者
大倉 裕貴 藤本 健治 斎藤 暁生 池田 英俊
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.812-820, 2018 (Released:2018-11-22)
参考文献数
21

This paper describes a procedure to design potential functions for path following control of port-Hamiltonian systems. The conventional path following control method needs to find a time invariant potential function which takes its minimum on the desired path. It is difficult to find such a function for a complex path, since it has to satisfy additional several constraints. Inspired by the results of the existing trajectory tracking control method of port-Hamiltonian systems, we propose an improved path following control method in which a potential function for path following control is acquired by solving simple partial differential equations.
著者
岡村 暁生
出版者
日経BP社
雑誌
D&M日経メカニカル (ISSN:13486314)
巻号頁・発行日
no.586, pp.51-56, 2003-07

1990年代後半,欧米ではテレマティクスが自動車メーカーの重要な戦略の一つになった。将来の自動車会社の屋台骨を支えるビジネスになるという期待が広がった(図1)。米国では1996年に米Ford社がRESCU*1 のサービスを開始した。次いで1997年には米GM社,DaimlerChrysler社,ドイツBMW社が相次いでサービスを開始し,テレマティクスの競争が始まった。
著者
箕田 泰大 太田 亮平 横尾 昇剛 益子 暁弐
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.289-292, 2015

<p>本研究では奥日光エリア温泉施設を対象に、未利用エネルギーの一つである温泉熱を利用した排熱回収による給湯・冷暖房ヒートポンプ(以下HP とする)システムを導入した施設を実測し、結果を分析することで温泉熱利用システムの有用性を見出す。また一次エネルギー量・CO2排出量削減率の算出を行い、システム導入による直接的効果について検証する。</p>
著者
今村 正隆 鍋師 裕美 堤 智昭 植草 義徳 松田 りえ子 前田 朋美 曽我 慶介 手島 玲子 蜂須 賀暁子 穐山 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.239-247, 2018-10-25 (Released:2018-11-14)
参考文献数
4
被引用文献数
1

2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故により,放射性物質による食品汚染が発生した.地方自治体による出荷前放射性物質検査の有効性を検証するため,放射性セシウムが検出される蓋然性が高い食品・地域を重点的調査対象とした買い上げ調査を行った.2014年度は1,516試料,2015年度は900試料,2016年度は654試料を調査した結果,一般食品における放射性セシウムの基準値を超過した試料数は2014年度では9試料(0.6%),2015年度は12試料(1.3%),2016年度は10試料(1.5%)であった.放射性セシウムが検出される蓋然性が高い食品・地域を重点的に選択したが,基準値超過率は1%程度であったことから,各地方自治体における出荷前の検査体制は適切に整備され,かつ有効に機能していることが確認された.原木栽培や天然のきのこ,天然の山菜,野生獣肉などは放射性セシウム濃度が高い試料が存在したことから,継続的な監視が必要であると考えられた.
著者
仁井谷 暁子 松浦 浩徳 藤本 亘 河野 匡彦 石原 諭 堀家 英之 佐々木 環 佐々木 慎理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.387-392, 2008-08-01
参考文献数
13

単純血漿交換法を施行した中毒性表皮壊死剥離症(toxic epidermal necrolysis;TEN)の2例を報告する。症例1:50代の女性。感冒様症状に対し,ルル<SUP>&reg;</SUP>,バファリン<SUP>&reg;</SUP>,アルピニー<SUP>&reg;</SUP>坐薬を使用後発症。症例2:60代の男性。急性心筋梗塞を発症し,治療過程で多剤を使用しており原因薬剤は特定できず。いずれもステロイドパルス療法を施行後も紅斑,表皮剥離が進展し,単純血漿交換法を施行した。2例とも数日以内にびらん面の上皮化が認められたが,症例2は急性心不全により死亡した。TENの発症機序にFas/Fas系を介した表皮角化細胞のapoptosiが提唱されているが,自験例では血漿交換施行前の患者血清中sFasLの上昇が認められなかった。自験例で単純血漿交換法が有効であったことはTENの発症&middot;進展にはsFasL以外にも重要な因子が関与する可能性を示唆している。
著者
高橋 京子 侯 暁瓏 高橋 幸一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.5, pp.270-275, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

東西医薬品の併用投与は有効な治療手段となっているが,歴史的経験知は東西薬物併用療法を想定していなかったため,適正使用に必要な情報が著しく不足している.最適な併用療法の実践には,安易な漢方薬の使用中止ではなく,薬物動態学的相互作用情報の提供が求められる.CYP3A4はヒトチトクロムP450(CYP)に最も多く存在する分子種で,小腸には全体の30%程度が分布することから,経口剤の薬物動態学 的相互作用の主要な因子である.従来の生薬・漢方薬に関する相互作用報告は統一的見解に至らず,結果の相違が生薬の多様性や実験動物の種差などで処理されている.そこで,動物実験の利点と限界を理解し,目的に応じた評価系構築を提案する.その目的は,(1)漢 方方剤(漢方薬)の総合的評価,(2)薬物代謝酵素CYP450とP-glycoproteinに対する影響,(3)漢方薬の服用方法(経口剤・前処置・連続投与)に則した実験法の構築,(4)薬物動態学的パラメーターの算出,(5)相互作用発現機序を検証できることである.まず,著者らは,雄性ラットに柴苓湯(さいれいとう)(蒼朮(そうじゅつ)配合)を反復前処置することで惹起される消化管CYP3A代謝変動を,ニフェジピンの体内動態パラメーターから解析した.その変動を肝臓および小腸ミクロソームのCYP3A活性,関連タンパクの発現状態,相互作用の持続性について検討し相互作用発現機序に至る過程を明らかにした.また,柴苓湯による異なる相互作用報告は,製造企業間で素材生薬(日本薬局方収載の蒼朮または白朮(びゃくじゅつ)配合)や混合比率の相違のため比較が困難で,生薬製剤の品質が重要な課題となることを再確認した.一方,柴苓湯の含有成分パターンから,高濃度を占めるバイカリンなどの配糖体由来成分の動態は,腸内細菌などの生体の反応性に左右される.漢方薬の真価を評価し適正使用を推進するためには,同じ規格毎の方剤で科学的エビデンスが蓄積され,情報発信ができることを切望する.
著者
金 英傑 浅岡 佐知夫 黎 暁紅 朝見 賢二 藤元 薫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-105, 2005-03-01
参考文献数
15
被引用文献数
4

天然ガスからの燃料合成の潜在的ルートであるメタノールおよび/あるいはジメチルエーテル(DME)の液化石油ガス(LPG)への転化について,H-ZSM-5およびH-FeAlMFI-シリケート触媒上で,高転化率でLPG成分への高選択性が得られる条件,生成エチレンのリサイクル,触媒の活性低下と再生を検討した。<br> LPG選択性は,触媒性能,反応温度,原料分圧および接触時間に依存した。原料分圧が高くなるほど,炭化水素生成物分布が広幅になった。エチレンは,H-ZSM-5触媒上ではメタノールおよび/ないしDMEとの組合せ反応によって,LPGに選択的に転化できた。LPGのプロセス選択性は,生成したC<sub>2</sub>成分を可能なリサイクル比で反応器に循環すれば,大幅に向上できることが明らかとなった。ただし,ワンスルーで良好なH-FeAlMFI-シリケート触媒はリサイクルモードでは能力が発揮できないことが判明した。活性の低下した両触媒とも適度の炭素燃焼処理によって,成分選択性を含めてうまく再生することができた。H-FeAlMFI-シリケート触媒は,H-ZSM-5に比べてわずかな活性低下におさまっており,またFeを骨格に導入することにより再生と反応の繰返しによる活性を抑えることができた。この触媒について観察される再生に伴う安定性の改善は強酸点の消失に起因すると推定した。<br> 以上,エチレンリサイクルモードでの使用を除くと,H-ZSM-5触媒よりもH-FeAlMFI-シリケート触媒がよい触媒であることが分かった。<br>
著者
山下 暁子
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.511-522, 2014-03-20 (Released:2017-06-12)

美術科教育の目標に含まれる「情操」とは何を意味しているか。「情操」を豊かにするための,人間の基本的な機能である「感性」について,風景,環境世界,自己形成をキーワードに,哲学や教育心理学,乳幼児精神医学の文献を参照して考察を行う。自己形成や自己変容の能力を人間が生れながらに本来備えている能力であるとする,D.N.スターンの「自己感」という概念から「感性」の機能を捉え,風景や環境世界の捉え方と関連づけて説明することで,自己形成や自己変容に働きかける「自己感」の機能と,感性や芸術の感受との関係について明らかにした。
著者
加藤 暁生 平田 八郎
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.75-80, 1990-04-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

1) ナマコ (アカナマコ) の活動日周性を調べるために, ナマコの底面縁周性を活用した移動記録装置を作成した。2) ナマコの活動速度は低温区 (12~17℃) で平均49.6±2.8m・d-1と活発であったが, 高温区 (18~25℃) では平均21.6±6.3m・d-1と不活発であった。なお, 最高活動速度は16℃区の52.3m・d-1であった。3) ナマコのリズムパターンは, 水温12~17℃では双峰型 (日中54%: 夜間46%) を, また, 水温18~25℃では単峰型 (昼間12%: 夜間88%) を示す傾向が伺えた。4) そのように異なるリズムパターンの発現は, 代謝量の増減に伴う摂餌時間帯の増減によるものと推察した。