著者
鈴木 敏和 茅暁陽 今宮 淳美
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.78, pp.49-54, 2000-09-07
参考文献数
6

印象的で,綺麗な模様を作り出す伝統的技法であるマーブリングは,芸術的な作品だけでなく,我々が日常よく目にするような包装紙などの工業デザインとしても重用されている.現実のマーブリングにおける溶液の流動は,本来的に不可逆操作であり,一度できてしまった不本意な模様を元に戻すようなことはできない.そこで,所望の模様を得るには,試行錯誤が繰り返しおこなえるコンピュータ上での処理が有用である.本稿では,マーブリング製作に必要な様々な要素を考慮して,マーブリングという特有な問題についてナビエ・ストークス方程式を数値的に解くことによりCGマーブリングテクスチャを生成する手法を提案する.For centuries, marbling has been loved by peoples all over the world both as an art and a useful texture generation technique. Today, we can see marbled designs on everything from jewelry and scarves to greeting cards and tissue boxes. This paper proposes a new technique for generating marble textures with computer graphics. Marble textures are generated as the results of moving colored particles along the 2D vector fields obtained by numerically solving the Navier-Stokes equation of the marbling process. A simple user interface is also provided for allowing users to interactively design their combs and apply marbling operations.
著者
牧田 直樹 大橋 瑞江 渡邉 直人 遠藤 いず貴 暁 麻衣子 矢原 ひかり 谷川 夏子 片山 歩美 久米 朋宣 松本 一穂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>森林生態系の炭素循環を評価する上で、土壌呼吸の約半分を占める有機物分解呼吸の特性を正確に理解することは重要である。本研究では、リター基質の菌根菌種特性及び分解時間に対する変化が分解呼吸にどの程度影響を与えるかを評価するため、枯死細根の初期形質および呼吸速度・分解率・形態特性の変化を調査した。マレーシア・ランビル国立公園において、外生菌根種、内生菌根の単子葉類種(ヤシ科)と双子葉類種の計3タイプの枯死細根をメッシュバッグに詰めて土壌に設置し、18ヶ月の間に定期的に回収した。枯死根の残存重量は時間経過と共に低下し、それらの分解速度は種タイプによって異なった。枯死根における規定温度での呼吸速度は、分解進行に伴い上昇傾向がみられた。以上より、分解呼吸のパターンは時間経過に伴う基質の変化に特徴付けられ、それらの呼吸速度の強度は種特性によって規定されることが示唆された。</p>
著者
向居 暁
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.136-136, 2011

本研究は、符号化時と検索時における自然音の差異がカテゴリーリストの再認、および、虚再認にどのような影響を及ぼすかを検討した。全ての被験者(73名)は音声呈示されたカテゴリーリスト(5リスト、15項目)を雨の音を聞きながら聴取した。直後再認課題(冊子にて視覚呈示)においては、ある被験者群(37名)は符号化時と同じ雨の音を聞きながら行った(雨音群)のに対し、別の被験者群(36名)は全く別の風の音を聞きながら課題を行った(風音群)。その結果、風音群は、雨音群より正再認率が有意に高くなった。さらに、風音群の方が、ルアー項目の虚再認率、および、remember判断率において有意に高くなった。再認時に呈示された雨の音が、単語を「再認する」という行為を全体的に抑制する可能性が示唆された。
著者
岡崎 怜子 宮内 靖史 小林 義典 丸山 光紀 岩崎 雄樹 平澤 泰宏 阿部 純子 谷口 宏史 堀江 格 舘岡 克彦 上野 亮 小鹿野 道雄 篠田 暁与 小原 俊彦 平山 悦之 加藤 貴雄 高野 照夫 新田 隆 大森 裕也
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.115-122, 2005

症例は74歳,女性.70歳時に僧帽弁置換術および慢性心房細動に対しradial手術施行.手術2カ月後より周期220msの心房頻拍(AT)が持続.AT中,冠静脈洞(CS)の興奮順序は遠位から近位であり,CS内広範囲でpost-pacing interval(PPI)が頻拍周期にほぼ一致するconcealed entrainment(CE)を認めたことから僧帽弁輪を旋回するATと考えた.左房後壁切開線が接合する僧帽弁輪部直下のCS内部にて波高の高い電位が記録され,PPIが頻拍周期に一致するCEを認めた.同部位における高周波通電開始4秒後に頻拍は停止し,以後誘発不能となった.通電部位より2mm近位部でのペーシングで1cm遠位部への伝導時間が200msとなったことからこの通電で左房後壁切開のブロックが完成したと考えた.術中完全に凍結し得なかったCS筋層を介する伝導が頻拍発生の原因と考えられたradial術後ATを経験したので報告する.
著者
北田 暁大
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「社会と名指される集合的対象を、特定化し、その集合的状態の変化・改善を、何らかの統制された方法を用いて目指す社会的実践(social practice)」としての「社会調査(social survey)」の歴史・社会的機能を、19世紀末~20世紀半ばのアメリカ社会学、行政、財団の動向に照準して分析するものである。この作業は、現代にいたる量的/質的の区分の誕生や統計的手法の採用の起源を確証し議論を活性化させると同時に、欧州と異なる”social”概念のアメリカ的用法の解明に寄与し、近年注目を集めている「社会的なもの」をめぐる議論のブラッシュアップにも繋がるであろう。
著者
中島 一夫 樋口 陽 後藤 暁子 後藤 昌三
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-116, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

要旨:心原性脳塞栓症発症急性期の経食道心エコー検査にて左房内血栓を認め,dabigatran etexilate(DE)投与後に血栓消失を確認した非弁膜症性心房細動5 例を呈示する.発症時年齢は平均83 歳,女性が3 例,左房内血栓の最大径は平均13 mm であった.未分画ヘパリン投与後のDE への切り換え例が3 例,発症前よりのワルファリン投与からDE への切り換え例が1 例,発症前よりワルファリンが投与され発症後に未分画ヘパリンへの変更を経てのDE への切り換え例が1 例であった.発症各3 日,5 日,5 日,7 日,18 日後からの平均18 日(6~39 日)間のDE(4 例で110 mg×2/日,1 例で150 mg×2/日)投与により全例で症候性再発を認めることなく左房内血栓消失が確認された.心原性脳塞栓症急性期に心内血栓が検出された非弁膜症性心房細動患者におけるDE 投与が,再発予防を目的とした急性期抗凝固療法の一方法になりうることが期待される.
著者
野澤 暁子 NOZAWA Akiko
出版者
名古屋大学人文学研究科
雑誌
名古屋大学人文学研究論集 (ISSN:2433233X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.245-268, 2018-03-31

本研究はJSPS科研費(15KK0048)の助成を受けたものです。
著者
芥田 暁栄 伊福 靖
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.243-246, 1963

1. 各種の強化味噌汁をつくり、調理中の島およびB<SUB>2</SUB>の変化と、玉葱としじみを具に使用して、これらのビタミンの損失におよぼす影響を研究した。<BR>2. 味噌汁をつくるとき、遊離のB<SUB>1</SUB>およびB<SUB>2</SUB>を強化すると、他の強化味噌の場合に比して、煮返しによる損失が大きく、具を使用しない場合もそれぞれ20%、15%の減少率を示した。<BR>3. 前項の強化味噌汁の場合、玉葱を具に使うと、B<SUB>2</SUB>には特別の作用を示さなかったが、B<SUB>1</SUB>の煮返しによる損失を防ぎ、しじみを使用すると、アノイリナーゼの存在するため、煮沸中にB<SUB>1</SUB>の減少が大であった上、煮返しによる減少率も他区に比し大きかった。<BR>4. B<SUB>2</SUB>に対しては、しじみは意外にも煮沸までの損失も大きく、煮返しまでの損失も最大であって普通強化味噌の場合でも、その傾向が認められた。<BR>5. 仕込時強化された味噌中のビタミンは温湯中で短時間攪拌しただけでは充分水に溶出されず、煮沸によってよく溶解するに至る。仕込時に強化剤を添加した普通強化味噌は、麹菌のフラビン生産力を利用した兵庫農試式強化味噌に比し、煮返しによるB<SUB>2</SUB>の損失が大きいが、一般に両者とも味噌汁調理時に強化した方法に比し安定度高く、煮返しによる損失は具を使用しない場合B<SUB>1</SUB>では2%に達せず、B<SUB>2</SUB>については前者は15%、後者は5%程度であった。<BR>6. 玉葱を具に使用すると、前項の両強化味噌汁の場合とも、具を使用しない時と同じくB<SUB>1</SUB>の損失は少いが、しじみを使用した場合は、煮沸後は玉葱区に比し約20%対照区より10%少くなり、煮返し後の含量も他区と平行して減少した。<BR>7. B<SUB>2</SUB>については、しじみを使用した場合、両味噌汁とも煮沸後他区より15~20%減少して最少となり、兵庫農試式強化味噌汁では対照区と平行して煮返し後の減少は少なかったが、普通強化味噌を用いた味噌汁は調製時強化した味噌汁と同じ傾向で急減した。故にしじみは遊離B<SUB>2</SUB>を減少する要素を含むものと考えられ、兵庫農試式強化味噌の場合は麹菌の生産したB<SUB>2</SUB>が結合型であるため対照区、しじみ区とも減少が少ないものと考えられる。
著者
木股 文昭 石原 和弘 植木 貞人 内田 和也 小山 悦郎 佐藤 峰司 鈴木 敦生 高山 鐵朗 竹田 豊太郎 辻 浩 寺田 暁彦 中坊 真 浜ロ 博之 平野 舟一郎 松島 健 宮島 力雄 森 済 八木原 寛 山本 圭吾 渡辺 秀文
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-43, 1999-04

1998年以降, 火山活動が活発化している岩手山火山において, 火山活動に伴う地殻上下変動とその圧力源を議論する目的で, 水準路線を設置し, 1998年7, 9, 11月に精密水準測量を実施した。1998年9月3日, 水準測量実施中に, 直下でM6.1の地震が発生し, 20cmに達する断層運動を水準測量で検出した。岩手山南麓ではこの4ヶ, 月間に4cmに達する山側隆起の上下変動が観測され, その圧力源は岩手山西方に深さ3km前後と推定される。Earthquake swarm is observed around the Iwate-san Volcano, Northeast Japan since 1998. The leveling route with distance of 36 km was set up around the volcano and the precise levelings have been repeated to discuss the crustal deformation four times in July, September, September and November in 1998. When the precise levelingis doing in September 3, 1998, earthquake of M6. 1 was occurred close to the volcano. One leveling team was making leveling in the epicenter area, Re-levelings were repeated since the next day of the earthquake, and coseisimic deformations of 20 cm are detected along the leveling route. However the precursor of the vertical movements is not recognized in the leveling data made just before the earthquake. Uplift of the Iwate-san Volcano is observed and which amounts to 4 cm in the period of July to November in 1998. The pressure sources of the vertical deformations are estimated to be under the west side of the volcano with depth of 3 kim, which is the almost the same location of the pressure estimated by GPS measurements and the DInSAR (Differential Interferometric SAR).
著者
安田 洋平 下川 智嗣 大橋 鉄也 新山 友暁
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
pp.TETSU-2018-082, (Released:2018-11-01)
参考文献数
27
被引用文献数
2

Strain hardening behavior of ferrite layers in the microstructure of drawn pearlite wire is studied theoretically and numerically. It is shown that stress field associated to dislocations could diminish quickly if the dislocations enter the phase or grain boundaries and decompose into smaller segments to distribute along the boundary. Some atomistic simulations of single-phase media validate this phenomenon; dislocations show to pass, decompose or accumulate on tilt-type grain boundaries depending on their atomistic configuration. Mechanical responses of nine-layered pearlite models subjected to tensile load are analyzed by a strain gradient crystal plasticity finite element code, where possible passage or absorption of dislocations is expressed in the model of dislocation mean free path. The critical resolved shear stress for slip systems consists of the lattice friction, the Taylor and Orowan terms and the strain hardening is given by the Taylor one. The density evolution of accumulated dislocations is evaluated by the model of Kocks and Mecking where the dislocation mean free path plays a major role. Results show that the smaller the dislocation absorption ability of the phase boundary and thinner the layer thickness, larger the strain hardening becomes. Slip localization in cementite layers is shown to be suppressed when the strain hardening of ferrite layers is higher, and this trend is consistent with results obtained in previous studies by molecular dynamics simulation and classical elasto-plasticity analyses. Scale sensitive phenomena taking place at phase boundaries in layered structure are briefly discussed in views of atomistic process and continuum mechanics.
著者
門田 暁人 井上 克郎 松本 健一 岡原 聖 真鍋 雄貴 山内 寛己 Yamauchi Hiroki Okahara Satoshi Inoue Katsuro Monden Akito Manabe Yuki Matsumoto Kenichi マツモト ケンイチ モンデン アキト ヤマウチ ヒロキ オカハラ サトシ マナベ ユウキ イノウエ カツロウ
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.362, pp.7-11, 2008-12-11

Generally, if a piece of code clone was found between two different programs, a plagiarism or a code reuse (program piracy) might be made. On the other hand, code clone also occurs accidentally or by code idioms. This paper experimentally derives the probability of program piracy based on length of code clone. In the experiment, we identified code clones among many different programs which we confirmed that program piracy has not been made, and formulated by power approximation the relation between the length of code clone and its derivation probability. By using this formula, we can compute the probability of program piracy from the maximum length of code clone derived from given two programs.一般に, プログラム間で一致するコード列(コードクローン)が見つかった場合, コードの盗用もしくは流用の疑いがある. 一方で, 独立に開発されたプログラム間で偶然(もしくは定型処理など)によりコードクローンが生じることもある. 本稿では, どの程度の長さのクローンであれば, 偶然に生じたものではないと言えるか, その判断基準を実験的に導出する.実験では, 独立に開発された(流用のない)多数のプログラム間で検出されるコードクローンの長さと個数を調査し, 最大クローン長とクローン検出確率の関係を算出した. そして, 偶然に生じうるコードクローンの検出確率を累乗近似により定式化した. 導出した式により, 2つのプログラム間の最大クローン長を計測することにより, 偶然や定型処理ではない, すなわち, 盗用や流用が行われた確率を求めることが可能となった.