著者
高橋 哲也 今野 晃市 曽根 順治 徳山 喜政 原美 オサマ
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.38-48, 2010 (Released:2010-07-13)
参考文献数
17

ハードウェアの低価格化,高性能化により,リアリティのあるVirtual Reality(VR)環境構築は容易に実現可能になってきている.VR技術は医学,工学,教育,ゲーム,グラフィック関連のアプリケーションなどでの利用が期待されている.従来,VR 環境構築に関する要素技術は数多く研究されている.要素技術の一つである衝突検出法は,計算コストが高くインタラクティブ性を損なう一因である.一つの考え方として,PCクラスタなどによる分散処理によって,高速化することで問題点を解決できる.本論文では,PCクラスタで動作する衝突検出法を用いたバーチャルタッチングシステムを提案する.本システムは,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突を高速に検出し,衝突部分の局所領域に関して力覚を提示するシステムである.本手法は,大量のポリゴンを有する複雑な対象物の衝突をPCクラスタを用いて高速に計算し,レスポンスを向上する.また,計算量が少なく処理が高速な力覚提示スレッドで擬似的に力覚を生成することによって,スムーズな力覚提示を行うことが可能である.
著者
徳山 喜政 今野 晃市 曽根 順治 Janaka Rajapakse R.P.C.
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-9, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

CGアニメーションでは,人物や動物などのキャラクターの形状モデルが重要である.これらの形状を複数枚のBazier, B-splineやNURBSなどのパラメトリック曲面で表現する場合,曲面同士を滑らかに接続するのは困難であり,複雑な処理を必要とする.この問題を解決するために,近年細分割局面(Subdivision Surfaces)がよく利用されている.しかし,デザイナーが直観的にモデリングすることができる効率的なモデリング手法の確立は依然として大きな課題である.一方,複雑な自由曲面形状を設計するための手法として,曲面の境界曲線を入力して曲面メッシュを生成し,境界で囲まれた領域をGregoryパッチで内挿する手法がある.このような手法は,曲線メッシュを直接修正することで,意図する形状を得ることができるため,細分割曲面を利用する方法と比較して,直観的な形状変形を行うことができるという利点がある.本研究では, Catmull-Clark細分割曲面とGregoryパッチ両方の特徴を生かすために,ポリゴンメッシュから同一位相をもつ曲線メッシュをCatmull-Clark細分割法則に基づいて生成し,生成された曲線メッシュを直接変形し,変形された曲線メッシュ形状をポリゴンメッシュへ反映させるような局所変形手法を提案する.本手法は,曲線メッシュ上の頂点や稜線に変形を施した場合,その頂点や稜線につながっている曲面形状しか変形されないのが特徴である.また,曲線メッシュ上の任意の範囲を指定し,指定した範囲外の曲面との連続性を保ちつつ,範囲内の曲面を自由に変形することも可能である.曲線メッシュ上の変形をポリゴンメッシュへ反映させることで,ポリゴンメッシュで行いにくい局所変形や直観的な変形が実現できる.
著者
文 奈美 曽根 順治 夏井 伸隆 長谷部 智宏 吉田 康一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.244-249, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

⌈普段見上げている夜空の星たちを、時には、手のひらに抱いてみたくはならないだろうか…⌋本作品は手のひらの上で宇宙を表現する事をテーマに、3次元コンピュータグラフィックスを霧ディスプレイに投影し、加速度センサーを入力機能として、インタラクティブな作品として制作された。
著者
曽我 麻佐子 海野 敏 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.96-107, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

モーションキャプチャで取得したバレエの3次元モーションデータを利用し,バレエの振付をWeb環境で対話的に創作し,3次元アニメーションによってシミュレーションするシステム"Web3D Dance Composer(WDC)"の開発を進めてきた.バレエ教師が作成した振付をWeb上に蓄積し,それを生徒がダウンロードして再生し,復習や自主学習に利用することを想定している.本論文では,まず,WDCがバレエの実用的な教育支援システムとなるように,その機能を大幅に強化するため,バレエ動作の体系的符号化と,創作支援システムの開発を行った.次に,バレエ教師が舞踊の保存手段として利用できるように,バレエ用語に基づいたテキストベースの符号化手法を考案した.さらに,この体系的符号化に基づき,バレエ教師がレッスン用の振付を効率的に創作するための支援システムとして,動作連結の自動制御,ランダム選択機能,自動振付機能,蓄積・再利用機能を導入した.創作支援システムの有用性を評価する実験を行い,その結果を考察した.
著者
曽我 麻佐子 海野 敏 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.30-38, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

プロ・ダンサーの実演から採取したモーション•キャプチャ•データを利用して,クラシック•バレエの振付をWeb上で対話的に創作し,3次元CGアニメーションでシミュレーションできるシステムを開発した.ユーザにはバレエ教師を想定し,利用目的には,基本ステップの組み合わせをレッスン用に短時間で多数創作することを想定した.基本ステップのアニメーション情報はVRMLで記述し,Javaアプレットで実装したGUIによりWebにおける逐次的な振付の編集・再生を可能にした.システムには振付を支援する機能として,基本ステップのプレビュー機能,速度変更機能,編集機能を実装し,アニメーション出力を制御する機能として,人体モデルの選択,背景の選択,ユニゾンのシミュレーションができるようにした.バレエ教師などによってシステムの評価を行ったところ,実際に使うことのできるレッスン用の振付が本システムで創作できることを確認した.同時に,実用的なシステムとして公開するために改良すべき点が明らかになった.
著者
久曽神昇著
出版者
厚生閣
巻号頁・発行日
1939
著者
小木曽 航平
出版者
現代文化人類学会
雑誌
文化人類学研究 (ISSN:1346132X)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.12-36, 2021 (Released:2021-01-21)
参考文献数
45

20世紀以降、マラソンのような長距離走は人間の持久力の限界を見極めようとする科学的実験の対象となり、人間にとっての走ることの意味にそれまでとは異なる地位を与えてきた。 本稿の目的は、マラソンのような長距離走を通じて人間の身体がスポーツ科学や種々のテクノロジーと協働しながら、いかにして走るという運動形態を変容させてきたのかについて検討することである。なかでもナイキが2017年以来、世に送り出してきた「Nike Zoom Vaporfly 4%」や「Nike Air Zoom Alphafly Next%」などのレース用ランニングシューズと、やはりそのナイキが主催した「Breaking 2」及びその後に続いた「INEOS 1:59 Challenge」というフルマラソン2時間切りを目指した2つの世界記録更新プロジェクトに着目し、そこにおけるアスリートとスポーツ科学の異種協働関係に焦点を当てた。 結果として、スポーツにおける運動形態は身体の適切な使用によって、アスリートの身体から自ずと生まれるわけではなく、むしろ、道具やスポーツ科学との相互作用の中で共-身体的に発生してくると考えることができた。こうした考察から、現在のスポーツがeスポーツやデジタルテクノロジーの介入によってその在り様を変容させているとしても、それが示唆することは身体観や人間観の変容ではなく、異種協働による共-身体化によって、私たちがこれまで見たことのなかった運動形態がそこに発生してきているからであると示唆された。したがって,現在のスポーツを理解する上で必要なのは、身体観や人間観の概念的更新というよりは、スポーツする身体が見せる運動形態の生成過程に、人間の身体とそれ以外のどんな他者が関係しているのかをつぶさに観察していくことであるといえる。スポーツする身体の人類学を試みるとき、本稿の主たる主張はここにある。
著者
信田 幸大 曽根 智子 衛藤 久美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.256-264, 2022-08-01 (Released:2022-09-17)
参考文献数
28

【目的】野菜摂取動機付けセミナー及び野菜飲料提供による環境サポートに加え,野菜摂取量推定装置による自己モニタリングを取り入れた栄養教育プログラムが,勤労者の野菜摂取量に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】勤労者男女を対象に層別化無作為比較試験を実施した。解析対象者は145名(介入群74名,対照群71名,平均年齢42歳)であった。両群に,管理栄養士による野菜摂取動機付けセミナー及び野菜飲料提供による4週間の環境サポートを実施し,介入群のみに野菜摂取量推定装置の測定を試験開始から10週間実施した。介入前,環境サポート終了後,及び野菜摂取量推定装置の測定期間終了後に食物摂取頻度調査票を用いた野菜摂取量,及び野菜摂取に関する行動変容ステージを調査し,群内比較及び群間比較を行った。【結果】介入前と比較した野菜摂取量の変化量を群間で比較した結果,介入4週目では有意差は認められなかったが,介入10週目では対照群よりも介入群の方が,有意に変化量が大きかった。行動変容ステージは,介入群では介入前と比較して各期間で有意な前進が認められたが,群間差は認められなかった。【結論】動機付けセミナー及び環境サポートに加え,野菜摂取量推定装置による自己モニタリングを実施することで,環境サポート終了後も野菜摂取に関する行動変容ステージの前進が維持され,それに伴い野菜摂取量の減少も抑えられる可能性がある。
著者
小木曽 加奈子 伊藤 康児
出版者
日本教育医学会
雑誌
教育医学 (ISSN:02850990)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.301-308, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
17
被引用文献数
3

Work engagement was recently introduced as a positive concept contradictory to burnout. Nurses who are actively engaged in their work are considered to be full of vitality, feel confident in their duties, and are able to cope well with the demands of work. This study aimed to elucidate the present situation of work engagement in hospitals for community-based care (Hs-C-BC). The Japanese version of the Utrecht Work Engagement Scale (UWES) was administered to nurses in 137 facilities in four prefectures in the Tokai region using. The valid response rate was 41.6% (N = 570). In an exploratory factor analysis, no items had factor loadings below 0.40 and all question items converged on the first factor. Regarding item-total correlation, all question items were correlated with each other. Ceiling and floor effects were not exhibited. Therefore, the UWES was judged to be usable in Hs-C-BC. The UWES revealed that family support, continuous learning, and duty position were important for nurses, in addition to support systems and human relationships in Hs-C-BC. Through continuous learning and being supported by their families and friends, nurses can be positively engaged in their work based on their duty positions.
著者
大山 要 曽良 一郎 小澤 寛樹 竹林 実 今村 明 上野 雄文 岩永 竜一郎 福嶋 翔 酒井 智弥 植木 優夫 川尻 真也 一瀬 邦弘 山口 拓 縄田 陽子 中尾 理恵子 小川 さやか
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

ゲーム依存はゲームへの没頭で不登校、家庭内の暴言・暴力、昼夜逆転や引きこもりなどの健康・社会生活障害をきたす状態である。ネットとゲームの利活用は今後も拡大するため、脳への影響を多角的・統合的に評価し、健康使用から依存症となる境界線を知る指標が必要である。本研究では、患者脳画像情報・患者情報、そして患者検体から得られるタンパク質変動情報からなる多次元情報を人工知能解析することで依存バイオマーカーの特定を目指す。本研究の進展でゲーム依存の実効的な対策研究を進められる世界でも例を見ない研究基盤が形成される。
著者
曽我 茂義 大西 文夫 奥田 茂男 見越 綾子 三鍋 俊春 陣崎 雅弘 新本 弘
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
日本磁気共鳴医学会雑誌 (ISSN:09149457)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.53-57, 2022-05-15 (Released:2022-06-10)
参考文献数
11

This retrospective study analyzed the magnetic resonance lymphography (MRL) findings of 112 lower limbs of 56 lymphedema patients, and identified characteristic patterns of lymphatic impairment that change with the location in lower limbs and clinical stage. The authors proposed an MRL staging system that enables a new patient stratification based on the severity of the lymphatic injury, thus potentially improving clinical management.
著者
大曽根 眞也 森口 直彦 今井 剛 篠田 邦大 伊藤 剛 岡田 恵子 三木 瑞香 田内 久道 佐藤 篤 堀 浩樹 小田 慈
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.127-132, 2015 (Released:2015-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

L-アスパラギナーゼ(ASP)による血栓症は重大な治療関連合併症だが,本邦における発症実態は不明であり有効な発症予防法は未確立である.そこでASP血栓症の発症頻度と発症例の詳細,ASPを投与中に行われる凝固検査や血栓予防法の現状を知るために,JACLSに加盟している96施設を対象にアンケート調査で後方視的に検討した.47施設(49%)から回答を得た.2002年~2011年の10年間にASPを使用した1,586例中,8例(0.50%)で血栓症を認め,うち7例は寛解導入療法中に生じ,このうち6例では中枢神経系に生じていた.血栓症を発症した時,全例でステロイドを併用しており4例は発熱していた.血栓症発症時のアンチトロンビン(AT)活性は中央値71%,フィブリノゲン同93 mg/dL,D-ダイマー同2.2 μg/mLであった.血栓症を発症する前に4例でAT製剤を,1例で新鮮凍結血漿(FFP)を使用していた.血栓症で1例が死亡し1例で後遺症が残った.有効回答のあった45施設中,寛解導入療法でASPを投与する時に40施設がAT活性を週2~3回測定し,43施設がATを補充し,21施設がFFPを補充すると回答した.本邦でのASP血栓症の発症頻度は国外より低かったが,現在の凝固検査でASP血栓症の発症を正確に予測することは難しい.ASP血栓症を予測する新たな指標や適切な血栓予防法の確立が望まれる.
著者
中島 健二 中曽 一裕 古和 久典 YASUI Kenichi 安井 建一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々はこれまでにParkinson病(PD)の発症要因および増悪因子を検討する中で,PD患者における血漿高ホモシステイン(Hcy)の存在を報告してきた(Yasui et al.,2000).今回高Hcy血症の生じる機序を検討するため,20例の未治療PD患者において,L-dopa内服前後の血漿Hcy及びメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子多型を検討した.PD患者のL-dopa内服前の血漿Hcy値は11.0±4.5μMで健常対照群(n=55)の10.2±5.3μMと有意差を認めなかった.一方,L-dopa内服後の血漿Hcy値は18.8±13.5μMであり,内服前と比較して有意な上昇を認めた.さらに血漿Hcy値をMTHFR遺伝子多型別にみると,C/C型(wild)では10.9±1.6μMから14.6±2.4μMへ,C/T型では10.3±4.0μMから14.1±4.2μMへ,T/T型では11.9±7.1μMから29.3±21.8μMへと上昇し,いずれも有意な上昇であり,特にT/T型では顕著だった(Yasui et al.,Acta Neuro Sca in press).さらに,高Hcy血症は血管障害の危険因子であるため,L-dopa内服PD患者における動脈硬化性変化を頸動脈超音波検査で検討した.PD群(n=100)では健常群に比して有意に中内膜複合体厚が高値であったが,L-dopa非投与PD患者では健常群と有意な差を認めなかった.さらに血漿Hcy値,MTHFR多型を同時に検討したところ,MTHFR 677T/T多型を有するL-dopa投与PD患者においては高Hcy血漿を伴う頸動脈中内膜肥厚が認められた.以上よりPD患者群における頸動脈中内膜肥厚への,L-dopa内服に伴う高Hcy血症の関与が示唆された(Nakaso et al.,J Neurol Sci 2003).また,53例のPD患者においてHcy産生の中間代謝産物s-アデノシルメチオニン(SAM)およびs-アデノシルホモシステイン(SAH)を測定してSAM/SAH比を算出し,臨床型と比較検討した.同比は罹病期間が長くなる程,またwearing off現象を有するPD患者において低値であったが,有意差は無かった.