著者
福本 雅朗 平岩 明 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.460-470, 1996-02-25
被引用文献数
22

将来の携帯情報環境には,「装着」するタイプの携帯機器が適している. 腕時計や眼鏡のような超小型のコンピュータを常時身につけておくことによって, 日常生活のあらゆる場面において, 欲しい情報に即座にアクセスすることができる. 本報告では, 装着使用を前提とした入出力インタフェースのありかたについて考察し, その一例として, 加速度センサを用いた指輪型キーボードであるFingeRing (フィンガリング) を提案する. FingeRingは, 大腿部や机の上など, あらゆる場所で即座にタイピングが可能であり, 立位若しくは歩行中の入力も可能である. 更に, FingeRingに適用されるシンボル生成方式として, 順序打鍵併用型の和音入力方式を提案し, 打鍵評価実験によって, 使用すべき指の組合せを抽出した. 鍵盤楽器の経験者では, 本方式によって, 200個/分を超える速度で52種のシンボルを入力することが可能である.
著者
川浦 淳一 鈴木 陽一 浅野 太 曽根 敏夫
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.756-766, 1989-10-01
被引用文献数
30

本論文では、ヘッドホン再生によってラウドスピーカ再生時の音場を模擬する手法について述べる。ヘッドホン再生条件と、ラウドスピーカ再生条件の比較から、頭部が静止している状態の静的な頭部伝達関数と、聴取者が頭部を動かすことによって生じる頭部伝達関数の動的な変化の2点について、ディジタル信号処理などの手法により補償を行った。静的な頭部伝達だけの補償によって、ヘッドホン再生によっても、頭外の水平面内任意方向への音像定位が実現できたが、正面付近のラウドスピーカを模擬した場合には前後の誤判定が増加する、頭内定位が起き易いなどの問題が生じた。静的な頭部伝達関数に加えて、伝達関数の動的な変化を模擬すると、前後の誤判定が減少し、頭内定位も減少するなど、より自然な音像定位が実現された。また、頭部回転に伴う動的な音源位置情報は、静的な伝達関数からの音源位置情報に比べて、少なくとも同程度の重みを持つものであることが示唆された。
著者
布下 裕基 曽山 明彦 福本 将之 原 貴信 丸屋 安広 松島 肇 今村 一歩 足立 智彦 日髙 匡章 金高 賢悟 岡野 慎士 江口 晋
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.19-24, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
11

2019年末に中国武漢で報告され,流行した新型コロナウイルス(以下COVID-19)感染症により,移植医療はレシピエントのCOVID-19感染,移植のための人の往来による感染伝播,移植後患者のCOVID-19感染のリスクなど様々な問題に直面した.実際に,それらの問題のため,COVID-19流行前の2019年と流行後の2020年以降2022年末までの臓器提供数,脳死肝移植症例数を比較すると,減少している.今回COVID-19感染下に発症した急性肝不全患者に対して,診断早期から多職種間,施設間で連携をとり,適切なタイミングで脳死肝移植を施行した一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
朱 佐木 木曽原 昌也 深谷 有 三宅 庸介 河合 辰哉 樋渡 昭雄
出版者
一般社団法人 日本放射線科専門医会・医会
雑誌
日本放射線科専門医会・医会学術雑誌 (ISSN:27586499)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.90-93, 2023 (Released:2023-12-06)
参考文献数
5

In recent years, there has been an increase in reported cases of acute coronary syndrome, as-sociated with allergic reactions, namely Kounis syndrome. In this report, we present a case of suspected Kounis syndrome that occurred after the administration of contrast media.A female patient in her 60s with a medical history of paroxysmal atrial fibrillation, lower limb arteriosclerosis obliterans, and end-stage renal failure underwent contrast-enhanced CT using iodinated contrast media for the evaluation of lower limb arteriosclerosis obliterans. Imme-diately after administration of the contrast media, she experienced itchiness and rash on the right lower-back, followed by difficulty breathing and intense neck pain. Subsequently, she experienced cardiopulmonary arrest and was treated with cardiopulmonary resuscitation. Electrocardiogram revealed ST elevation in the II, III, and aVF leads. Subsequent coronary angiography revealed complete occlusion of the right coronary artery. The patient underwent successful percutaneous coronary intervention. The day after treatment, contrast-enhanced CT showed extravasations at the bilateral internal mammary arteries which were treated with transcatheter arterial embolization. The patient's condition improved, and she was discharged.Kounis syndrome is classified into three types. Type I is caused by coronary artery spasm, type II is caused by rupture of a coronary artery plaque and subsequent thrombus formation, and type III is caused by stent thrombosis. Our case was likely diagnosed as type II based on her cardiovascular risk factors and complete occlusion of the right coronary artery. It appears to be important to recognize the symptoms and physical findings suggestive of acute coronary syndrome during the management of anaphylactic reactions and to consider Kounis syndrome as a potential diagnosis.
著者
荒井 秀和 阿曽 克司 宮島 昌克 喜多 敏春 野村 尚樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1021-I_1033, 2013 (Released:2013-06-19)
参考文献数
11

日本海側は海溝型地震による津波の発生の可能性が低いとされており,太平洋側に比較して津波に関する調査や対策の検討が不足している現実がある.このような中,石川県ではこれまでの知見と東日本大震災後に中央防災会議等で議論された内容を踏まえ,石川県に影響の大きな津波波源を設定し陸域遡上の検討を行った.具体的には,既往の海底地質調査結果から活断層の連動等を考慮し津波波源として設定し,最新の航空レーザー測量データ等を用いた遡上解析を実施し,陸域の浸水状況を把握するともに近海での津波収斂箇所を把握した.また,今回想定した最大クラスの想定波源は、沿岸に既往最大津波以上を発生させることができた.
著者
小木曽 太知 大野 陽哉 鈴木 彩輝 下畑 享良
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.532-535, 2023 (Released:2023-08-29)
参考文献数
12

弓道における異常な運動(いわゆるイップス)のうち,「もたれ」は狙いを定めたときに意図したタイミングで矢を放てない状態を指す.私達は「もたれ」が動作特異性局所ジストニア(task-specific focal dystonia,以下TSFDと略記)である可能性を考え,「もたれ」を呈する3例,対照群として弓道での異なるイップスの一種「早気」3例,いずれも認めない3例に問診と表面筋電図を行った.結果,「もたれ」の特徴として,定型性,感覚トリック,早朝効果が確認されたが,「早気」ではこれらの所見は認めなかった.また検査中に「もたれ」が出現した2例中1例で,上肢の異常な拮抗筋の共収縮を認めた.以上より,「もたれ」はTSFDの特徴を有している可能性が示唆された.
著者
曽我 太三 櫻井 馨士 安岡 尭之 松島 純也 坪内 陽平 金指 秀明 山本 理絵 秋枝 一基
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.458-461, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
5

われわれは, 致死的多発外傷に対しハイブリッド手術室を用いて治療し救命し得た1例を経験したので報告する。症例は54歳の男性。自転車走行中に2tトラックと衝突し受傷した。当院搬送時は血圧低下, 意識障害を呈しており, 大動脈内バルーン遮断後に全身CTで外傷性胸部大動脈損傷, 外傷性血気胸, 腹腔内出血を伴う脾損傷, 不安定型骨盤骨折などの損傷を認めた。ハイブリッド⼿術室で緊急開腹を行った後, 脾損傷に対する塞栓術で止血を得た。術後は合併症なく経過し第52病日に独歩での自宅退院となった。出血性ショック症例に対する脾温存に関しては慎重に適応を判断する必要があるが, ハイブリッド手術室での開腹術と血管内治療への迅速な移行により救命できたと考えられた。
著者
奥崎 穣 高見 泰興 曽田 貞滋
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.275-285, 2012-07-30 (Released:2017-04-27)
参考文献数
28
被引用文献数
3

生態的に似た複数の近縁種が共存するには、種間の資源競争あるいは繁殖干渉が緩和される必要がある。オサムシ科オオオサムシ亜属は、成虫期に多食性の捕食者であるが、幼虫期はミミズ専食である。またオスは異種のメスに対しても交尾行動を示す。彼らは分布域の大部分で2-3種が共存しており、同所的に分布する種間では体サイズが異なっている。この種間の体サイズ差は、幼虫期に捕食可能なミミズのサイズに応じた資源分割をもたらし、資源競争を緩和するかもしれない。また成虫期に異種間の交尾行動を機械的に妨げる生殖隔離として、繁殖干渉を緩和するかもしれない。この2つの仮説を、京都に分布するオオオサムシ亜属4種(山間部の大、中、小型の3種、平野部の大型1種)を用いて検証した。まず、4種の幼虫(1-3齢)に様々なサイズのミミズを与えた。その結果、すべての幼虫は、ミミズのサイズに関わらず捕食行動を示した。またミミズのサイズ増加に伴う捕食失敗は、小型種の1齢幼虫期でのみ観察された。したがって、種間の体サイズ差は資源分割に有効ではないと考えられた。次に、4種の成虫で16通りの雌雄ペアを作り、交尾行動(交尾意欲、マウント、交尾器の挿入、精包形成)を観察した。その結果、体サイズ差が大きい異種ペアでは、交尾意欲があっても交尾器が届かず、挿入ができないペアが多かった。すなわち、種間の体サイズ差による交尾前生殖隔離が成立しており、このことが体サイズ差の大きい近縁種の同所的分布を可能にしていると考えられた。一方、体サイズ差が小さい異種ペア(山間部の大、中型種と平野部の大型種のペア)では、大半のペアで交尾器の挿入が行われ、精包形成まで達成するペアも見られた。このことから、体サイズの似た種が同所的に分布しないのは、資源競争ではなく繁殖干渉のためであることが示唆された。
著者
曽根原 容子 谷口 博志 藤本 英樹 松浦 悠人 村越 祐介 安野 富美子 坂井 友実
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.190-202, 2022-08-01 (Released:2023-05-10)
参考文献数
26

【目的】本研究の目的は一般女性の美容鍼灸に対しての意識や認識等の現状について調査することである。 【方法】対象は国内テストマーケティング好適地といわれる静岡県に在住する一般女性1000人。 方法は質問紙法。 県内の商工会議所を介して人口比率に応じ年代別にアンケートを配布し回答を得た。 項目は①基礎情報②顔の美容上の悩みの有無、 種類③鍼灸治療の経験の有無、 美容鍼灸の認知度、 認知媒体、 効果のイメージ、 美容鍼灸の経験の有無④美容鍼灸の効果、 種類、 マイナス効果の有無、 現在の受療状況、 受療希望とその理由、 治療院に求める要素、 施術者に求める要素⑤1ヶ月の美容に対する投資の質問を設けた。 【結果】 回答率56.2%。 91.8%が顔に対する美容上の悩みを感じていた。 鍼灸治療経験者は28.8%。 美容鍼灸の認知度は42.0%。 認知媒体はテレビ45.3%が最も多く、 美容鍼灸に対する効果のイメージはリフトアップ44.8%が最も多い。 未経験者521人に対する受療希望は43.2%。 理由はなんとなく興味を持った45.3%で最も多かった。 受療を希望しない理由は痛そうが52.6%で最も多く、 美容鍼灸の経験者では効果を感じたと60.0%が回答し、 その効果は対象者が持つイメージと同じくリフトアップが62.5%と最も多い。 しかしマイナスを感じたとの回答も45.0%みられ、 さらに2度以上受けたが今は受けていないとの回答が47.5%と最も多かった。 治療院には清潔感を求める人が多く、 施術者には優れた技術を求める人が多い。 1ヶ月の美容にかける費用は3,000~5,000円未満28.5%が最も多い。 【考察・結語】多くの女性が顔に対して美容上の悩みを持っており、 その中でもリフトアップに美容鍼灸への期待を向けていることが示唆された。 認知度に対する受療率の低さや治療を継続しない理由、 美容鍼灸を展開していく上での問題点が明らかとなった。
著者
江川 優子 麻原 きよみ 大森 純子 奥田 博子 嶋津 多恵子 曽根 智史 田宮 菜奈子 戸矢崎 悦子 成瀬 昂 村嶋 幸代
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.677-689, 2023-10-15 (Released:2023-10-28)
参考文献数
22

目的 日本公衆衛生学会に設置された「平成29/30年度公衆衛生看護のあり方に関する委員会」では,公衆衛生および公衆衛生看護教育の実践と研究のための基礎資料を提供することを目的として,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化を試みた。方法 米国の公衆衛生専門家のコアコンピテンシーおよび公衆衛生看護におけるコンピテンシーを翻訳し,共通点と相違点を検討した。次に,米国の公衆衛生看護のコンピテンシーと日本の公衆衛生看護(保健師)の能力指標の共通点と相違点を検討し,公衆衛生および公衆衛生看護のコンピテンシーの明確化に取り組んだ。結果 公衆衛生と公衆衛生看護のコンピテンシーには,集団を対象とし,集団の健康問題を見出し,健康課題を設定し働きかけるという共通点がみられた。しかし,集団の捉え方,健康問題の捉え方と健康課題設定の視点,集団における個人の位置づけに相違があった。公衆衛生では,境界が明確な地理的区域や民族・種族を構成する人口全体を対象とし,人口全体としての健康問題を見出し,健康課題を設定しトップダウンで働きかけるという特徴があった。また,個人は集団の一構成員として位置づけられていた。一方,公衆衛生看護では,対象は,個人・家族を起点にグループ・コミュニティ,社会集団へと連続的かつ重層的に広がるものであった。個人・家族の健康問題を,それらを包含するグループ・コミュニティ,社会集団の特性と関連付け,社会集団共通の健康問題として見出し,社会集団全体の変容を志向した健康課題を設定し取り組むという特徴があった。日米の公衆衛生看護のコンピテンシーは,ともに公衆衛生を基盤とし公衆衛生の目的達成を目指して構築されており,概ね共通していた。しかし,米国では,公衆衛生専門家のコアコンピテンシーと整合性を持って構築され,情報収集能力,アセスメント能力,文化的能力など,日本では独立した能力として取り上げられていない能力が示され,詳細が言語化されていた。結論 公衆衛生の目的達成に向けたより実効性のある公衆衛生・公衆衛生看護実践を担う人材育成への貢献を目指し,日本の公衆衛生従事者の共通能力が明確化される必要がある。また,公衆衛生看護では,これまで独立した能力として言語化されてこなかった能力を一つの独立した能力として示し,これらを構成する詳細な技術や行為を洗い出し,言語化していく取り組みの可能性も示された。
著者
大澤 絵里 石川 みどり 曽根 智史
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.147-155, 2014 (Released:2014-07-19)
参考文献数
42

【目的】本研究の目的は,子どもに対する高脂肪・糖分・塩分(High in Fat, Sugar or Salt (HFSS))食品・飲料のマーケティング規制政策の国際的動向を把握し,子どもたちが健康的な食習慣を身につけるための政策開発の今後の課題を提示することである。【方法】WHO, Consumer International, International Association for the Study of Obesityの報告書に記載された各国の子どもに対するHFSS食品・飲料のマーケティング規制の政策を整理し,法的規制,政府のガイドライン,自主規制の3分類の一覧を作成した。法的規制政策を展開しているイギリス,韓国,および企業の自主規制が特徴的であるアメリカについて,上記報告書の引用文献を参考に,情報を収集し,規制主体,規制主体の権限,“子ども”の定義,規制内容,HFSS食品・飲料の定義について,3か国で比較検討した。【結果】12歳未満が,3カ国の共通するマーケティング規制対象の子どもの年齢であった。キャラクター使用や無料おまけの使用禁止や使用基準の作成,子どもの視聴が多い時間帯では,放送時間および広告内容の規制,規約の実施が明らかとなった。しかし,HFSS食品・飲料の定義については,3カ国で異なるものであった。【結論】12歳未満に対しては,購買意欲を抑えることが,規制政策の鍵となることが明らかとなった。HFSS食品・飲料の定義は各国で異なり,政策の子どもの食習慣への影響評価の早期実施,および健康増進等の他政策を考慮した検討が必要となる。
著者
香曽我部 琢
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、離職が少なく、長期的に就業を継続する保育者が多い園に着目し、その園の保育実践の質も把握した上で、保育者たちがどのような関係性を築いてきたのか、そのかかわりの経験や出来事を包括的に捉え、そしてそこで生起する感情を明らかにする。とくに、仕事に対する活力や情熱などのポジティブな感情であるワーク・エンゲージメントに焦点を当て、その形成プロセスを巨視的・縦断的な視点で明らかにする。そして、その知見をもとにリーダーシップと同僚性を育む研修プログラムを開発することを目指す。
著者
緒方 一喜 渡辺 登志也 宮本 和代 川口 正将 豊田 耕治 小曽根 努 松岡 宏明 白石 啓吾 森岡 健志 吉岡 照太 鈴木 雅也 千保 聡 美馬 伸治 中村 友三 足立 雅也 芝生 圭吾 池田 文明 玉田 昭男 田中 生男 石原 雅典
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-58, 2012-11-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

ヒトスジシマカ成虫に対する殺虫剤による防除実地試験を東京の寺院の庭で2010年の夏に実施した.5%ペルメトリン,10%フェノトリン,7%エトフェンプロックス水性乳剤の50倍希釈液を背負式噴霧機によって50 ml/m2の量で草むら,植木,空地に噴霧した.スイーピング法,ドライアイストラップによる捕集密度の変化,配置した成虫の死亡率から効果を評価した.結果として,ペルメトリンでは約10日間,他の2剤では4~5日間は成虫飛来密度が0近くに減少した.その違いは,処理面積の違いに基づくものであろうと考えた.その後密度は緩やかな回復に向かったが,吸血シーズンの終了に伴い散布前のレベルにまで回復することはなかった.以上の結果から,処理面積を大きくすることで,感染症発生時の緊急的媒介蚊防圧にこの手法は充分に実用的効果があるだろうと結論した.
著者
宋 成彬 曽田 五月也
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第64回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.OS1-01-02, 2017 (Released:2018-11-13)

In recent years, the Institution of the Long-Life quality housing for Wooden structure house is needed proper maintenance and evaluation of seismic performance. And the application of the vibration control structure for Wooden structure is also increasing. In order to evaluate seismic performance of wooden structure directly, it is useful that time-history earthquake response analysis is useful to evaluate the response about input energy of earthquake. In this report, we analyzed damping of wooden structure from the measured vibration data, and propose the damping model for Wooden structure. We compare response analytical result with experiment.
著者
曽田 五月也 宮津 裕次 松永 裕樹
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.75, no.649, pp.559-566, 2010-03-30 (Released:2010-06-09)
参考文献数
12
被引用文献数
2 1

This study proposes a structural system which aims at improving the seismic performance of new and existing wooden houses making use of oil dampers. Problems to install any special damping devices into wooden structures are known, for one thing to be the wood being brittle in bending and the other the strength of the joint between the device and wood being relatively low. Therefore, to get rid of these problems, we developed an oil damper which works only when subject to compression and is provided with relief valves to limit the maximum resistance. First part of the study deals with a series of harmonic loading tests to see if the damper exhibits the same properties as designed beforehand. Then, the dampers are mounted as knee braces at the corners of wood panels which is subject to dynamic loading tests in two ways. First one is a test to apply sinusoidal inertial force to an isolated panel. Second one is a shaking table test on full scale single-story wood frames. From these tests, we confirmed that the damper can absorb as much as nearly 60% of seismic input energy. It is also confirmed that the installment of the damper makes it possible for wooden frames that collapses at the first strike of strong ground motion to withstand the same ground motion several times with no significant damage accumulation to main structures. Lastly, these test results are compared to analytical results and it is concluded that the proposed structural system do work to improve seismic safety of wooden houses.
著者
奥崎 穣 曽田 貞滋 齊藤 隆
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

オオルリオサムシとアイヌキンオサムシは北海道内で体色とその多型頻度を変化させながら系統分岐を繰り返してきたことが分子系統解析から明らかとなった.体色進化の地理的パターンは2種間で異なっていたが,2種の体色は北海道北部でよく似た赤い色であることが分光計測によって確かめられた.またDNAバーコーディングの結果,オサムシの捕食寄生者3種が確認され,北海道北部にはそのうちの1種,ヤドリバエ科Zaira cinereaのみが生息していた.2種のオサムシの赤い体色はこの寄生バエに対して隠蔽色として機能しているかもしれない.今後はZ. cinereaの成虫を捕獲して,オサムシの体色への選好性を調査していく.