著者
木村 愛子 内田 芙美佳 鈴木 哲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.563-567, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
24

〔目的〕介護職員に対する腰痛に関する情報提供が,破局的思考および腰痛予後に対する認知に与える影響,またその影響と腰痛の有無・程度との関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は介護職員29人とし,腰痛に関する情報提供を講義形式の研修会にて行った.対象者を腰痛群と非腰痛群の2群に分け,介入前後間で評価項目の得点を比較した.〔結果〕腰痛予後に対する認知の得点は,腰痛群と非腰痛群のいずれも,介入後に有意に向上した.破局的思考の得点は,非腰痛群では介入後に有意に改善したが,腰痛群では有意な変化はみられなかった.〔結語〕介護職員に対し腰痛に関する情報提供を行うことで,腰痛のある者には破局的思考および腰痛予後に対する認知を,腰痛のない者には腰痛予後に対する認知を改善できる可能性が示唆される.
著者
木村 友子 菅原 龍幸 福谷 洋子 佐々木 弘子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.153-160, 1997-02-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2

鶏骨スープの調製法の迅速化・合理化・実用化を目的に, 食品の新しい処理方法として加熱過程に超音波照射を併用した熱水抽出法を試み, 鶏骨スープ (鶏骨20%濃度) の溶出成分と嗜好性の関係を調べ, 好適な調製条件を検討した.(1) 鶏骨スープの色調は経時的に明度の値が低下しこの傾向は照射ありのスープが顕著に低くなり, 色相のa値, b値では抽出温度および照射の有無で, 相違が認められた.(2) 鶏骨スープ中の抽出成分では照射ありの試料が照射なしの試料に比べ全エキス, 総窒素, ヒドロキシプロリンの含量がやや多く, また80℃・98℃設定は60℃設定に比べ溶出量が多かった.(3) 遊離アミノ酸量では照射ありの場合は30分間でグルタミン酸, アラニン, グリシン, セリンなどが大幅に増加し, 5'-IMPの溶出でも照射30分間で最大となり, 以後下降する傾向を示した.(4) 官能検査で高い評価を得た鶏骨スープは, 98℃設定の照射ありの30分間処理であり, 旨味成分などの理化学的測定値とよく対応した.(5) 超音波照射を併用した調製法は, 対照の照射なしの調製法に比し抽出時間が1/3に短縮され, しかも良質なスープが得られ有利であることが示唆された.
著者
木村 優那 矢入 郁子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.3N33, 2015 (Released:2018-07-30)

近年プログラミングの重要性が高まっている一方で、学習初期段階に躓いてしまうと習得を諦めてしまう人が多いことが問題視されている。そこで我々は、「要求を具体化し問題を細分化していく能力である段階的詳細化能力の欠如こそが、プログラミング学習の妨げになっている」という仮説に着目した。本稿では、プログラミング初心者にグループ学習を、経験者に個人学習を行い、段階的詳細化能力との関係について調べた。
著者
木村 武二
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.j121-j125, 1995 (Released:2010-10-20)

世界的にみた行動学の発展の歴史と対照してみると,わが国における行動学の発展はかなり特殊な経緯をたどって来たし,研究対照やアプローチに関しても未だに偏りが見られる.これらについて概観するとともに,特に脊椎動物を対象とした行動研究の現状と将来の展望について私見を述べた.
著者
酒井 兼司 只野 武 木皿 憲佐 木村 行雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.425-432, 1979 (Released:2007-03-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

犬の勃起および射精に対するdiethyldithiocarbamate(DDC)の影響について観察し,DDC投与時の申枢と生殖臓器および副性腺のモノアミンの定量を行なった.また,後部尿道圧曲線に対するDDCの影響も検討した.得られた成績は次の通りである.1)勃起および射精が正常な犬にDDC50,75,100mg/kgをi.p.投与した結果, 投与1時間後において,勃起は維持されたが射精は著明に抑制された,抑制された射精は投与8時間において, ある程度の回復傾向が認められ,投与24時間後において全例が回復した。2)DDC100mg/kg i.p.投与1時間後の脳内モノアミンを定量したところ, 尾状核においてnoradrenaline(NA)の,視床下部後部においてserotonin(5-HT)の有意な減少が認められたが,射精に重要といわれている脳領域でのモノアミンの変動は認められなかった.3)DDC100mg/kg i.p.投与1時間後,生殖に関与する腹部臓器中のモノアミンを定量したところ,副睾丸において,adrenalineおよびNAの有意な減少と5-HTの有意な増加が認められ,前立腺および後部尿道においてNAの有意な減少が認められた.4)後部尿道圧測定の1時間前にDDC100mg/kgをi.p.投与しておくと後部尿道内へ精液が分泌してくることを示すseminal emissionと,後部尿道の律道的収縮を示すejaculationによる圧の上昇は現われてこなかった.
著者
木村 宏樹 元田 英一 鈴木 康雄 金井 章 吉倉 孝則 種田 裕也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.225-232, 2010 (Released:2016-04-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

前十字靱帯(ACL)再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練の一つにレッグプレス運動がある.本研究では,レッグプレス運 動において,姿勢の違いがACL にかかる負荷である脛骨引き出し力や筋張力に与える影響について考察した.矢状面から動作計測を行い,下肢関節角度と足部に作用する反力から筋骨格モデルを用いて脛骨引き出し力や筋張力を推定した.11 種の姿勢について検討した結果,脛骨へは常に後方引き出し力が作用しACL 再建術術後の大腿四頭筋筋力訓練としてレッグプレス運動は安全であること,体幹を屈曲させることでより大きな後方引き出し力が作用しより安全に行えることが示唆された.
著者
木村 洋 小峯 裕己 飯泉 元気
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.702, pp.663-669, 2014-08-30 (Released:2014-09-30)
参考文献数
17

Recently, use of deodorization equipment at garbage place in apartment buildings is increasing. However, its design method is not established due to lack of its test method and test data. Moreover, information on odor at the garbage place is lacking, and its source and ingredient is not clear. This study aims to establish the design method of deodorization equipment at garbage place. Odor at the garbage place is grasped, and the performance of the presently-used equipment was clarified by devised test method. The result showed that ozone deodorization equipment generally used is adequate to be positioned as complement to ventilation.
著者
木村 和彦 大鋸 順
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

Jリーグチームの誘致が、ホームタウンの住民の運動生活や個人生活および地域に与えた影響を明らかにするために、茨城県鹿嶋市の住民と対象として質問紙による調査を実施し、平成6年度調査と比較検討した。また同様の調査(一部修正)を、Jリーグチームを誘致している千葉県柏市、市原市、埼玉県浦和市および静岡県清水市の住民を対象として実施し、比較検討した。それぞれの調査の概要および結果の概要は以下の通り。1. 鹿嶋市調査(1) 調査内容a.サッカー活動への影響 b.運動生活全般への影響 c.スポーツ観戦への影響 d.支援ボランティア活動への影響 e.個人生活や地域生活への影響、など(2) 調査時期および調査方法(省略)有効標本507 回収率23.8%(4) 結果の概要(特に平成6年度調査と比較して)サッカー活動への影響としては、16〜24歳までの比較的若い年齢層の実施率の低下がみられた。サッカー実施欲求、サッカークラブ参加率ともに低下傾向がみられた。運動生活全般としては、約1割の人がJリーグがきっかけで以前より運動頻度や運動欲求が増加したと回答している。運動実施種目ベスト10にはほとんど変化がなかった。スポーツ観戦について、アントラーズの試合を観戦したことのある人は、78.5%で前回調査より8.7ポイント増加し、住民の約8割の人が観戦経験を持っていた。Jリーグの競技場での観戦欲求は、男性では24歳以下、女性では39歳以下の年齢層で著しく低下しており、比較的若い層の欲求の低下が認められた。支援ボランティア活動として、私設応援団への加入率が特に24歳以下の女性で大きく減少している。4.3%の人が運営ボランティア経験を有しており、次第に増加してきている。個人生活への影響では、「町への愛着が増した」「家族共通の話題が増えた」「生活の楽しみが増えた」という順に肯定的な回答が多く、地域への影響では、「鹿嶋市の知名度が向上」「市民間の共通の話題が増えた」「鹿嶋市のイメージが向上」「地域の連帯感が増した」といった項目で肯定的な回答が多かった。2. 柏市、市原市、浦和市、清水市の調査(1) 調査内容は、鹿嶋市と同様。(2) 調査時期平成10年2月〜3月(3) 調査方法地域版電話帳をもとに、各市から1,000名を無作為抽出し、郵送自記法による調査(有効標本616回収率15.7%)。平成8年度の鹿嶋市調査と平成9年度の4都市調査を一括して分析したところ、サッカーへの参加、サッカー欲求、競技場での観戦および観戦欲求、個人生活や地域への影響に関しても、鹿嶋市が最も大きな影響を受けたことがかわった。しかし個人生活や地域への影響に関しては、高い割合を示す項目は5都市間でほぼ共通していた。

1 0 0 0 OA 雨と植物

著者
木村 和義
出版者
The Society of Agricultural Meteorology of Japan
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-30, 1978-06-15 (Released:2010-02-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2
著者
佐々木 賢太郎 神谷 晃央 丸尾 朝之 木村 剛
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-10, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

〔目的〕車椅子のリクライニング角度が呼吸機能,および呼吸機能測定中の呼吸筋活動に及ぼす影響を検討することであった.〔対象〕健常男子大学生27名.〔方法〕車椅子のリクライニング条件として,最も快適と感じる角度(BASE),それより10°前傾(FORWARD),10°後傾(BACKWARD)の3条件を設定した.呼吸機能と呼吸筋の筋活動を測定し,条件間で比較した.〔結果〕呼吸機能は,ERVにおいてFORWARD条件が他2条件よりも有意に増大した.スパイロメトリー中の筋活動については,最大呼気相において外腹斜筋の筋活動はリクライニングの角度条件間に差が認められた.〔結語〕搭乗者が快適と感じるリクライニング角度よりもわずかに前傾することで,外腹斜筋の活動が増加し,ERVが増大する可能性が示唆された.
著者
木村 淳志 西村 勇輝
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0062, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】肩には医学的な定義は明確ではないが,なで肩といかり肩の肩型がある。通常,見た目で判断されるこの分類は,安静時での胸郭に対する肩甲骨の位置や回旋角度の違いによるものであり,肩甲骨運動を不規則にする一因であると考える。本研究の目的は,なで肩,いかり肩が肩甲上腕リズムに与える影響を調査することである。【方法】対象は肩に愁訴のない成人男性で,事前の調査で分類した普通肩9名,なで肩9名,いかり肩8名の26名(26肩),平均年齢は27.3±4.0歳とした。この分類は,鎖骨遠位端から頚部への線と水平線がなす角度を頸肩傾斜角として,なで肩24°以上,普通肩24未満19°以上,いかり肩19°未満とした判断基準(第50回日本理学療法学術集会)を使用し,普通肩22.7±1.5°,なで肩27.9±2.4°,いかり肩17.9±1.7°で3群に有意な差を認めた。本研究の計測は,磁気センサー式3次元空間計測装置(Polhemus社製)を用いた。運動課題は上肢肩甲面挙上で,下垂位から最大挙上までを練習後,運動を1回行い,上肢挙上0~120°に伴う肩甲骨上方回旋角,後方傾斜角,外旋角および肩甲上腕関節挙上角を10°毎に算出した。この上肢挙上0~120°の算出値と30~120°の10°毎の肩甲上腕リズム(=肩甲上腕関節挙上角/肩甲骨上方回旋角)を普通肩,なで肩,いかり肩の3群で比較した。統計処理は多重比較検定(Bonferroni法)を用い,危険率5%未満を有意差ありと判断した。【結果】上肢挙上0~120°の肩甲骨上方回旋角は,普通肩(0.7~41.3°)と比較してなで肩(-2.6~36.0)は低値,いかり肩(4.7~42.6°)は高値で増加する傾向にあった。普通肩となで肩の比較は10~50°でなで肩が有意に低値を示したが,普通肩といかり肩の比較は全角度で有意な差を認めなかった。なで肩といかり肩の比較では,0~100°でなで肩が有意に低値を示した。肩甲上腕関節挙上角は,上肢挙上0°は普通肩(6.6°)と比較してなで肩(4.8°)が低値,いかり肩(8.3°)が高値であり,上方回旋角と同様であった。上肢挙上10~120°では逆となり,普通肩(9.7~75.7°)と比較してなで肩(12.2~79.1°)が高値,いかり肩(7.8~75.3°)が低値で増加する傾向にあった。普通肩となで肩の比較は上肢挙上40~60°でなで肩が有意に高値,なで肩といかり肩では上肢挙上10~90°でなで肩が有意に高値であった。上肢挙上30~120°の肩甲上腕リズムは普通肩1.8,なで肩2.7,いかり肩1.6(全例2.0)であり,なで肩は普通肩,いかり肩と比較して有意に高値を示した。【結論】Inmanは外転30°,屈曲60°まではsetting phaseで肩甲骨の動きは一律ではないと述べている。本研究の結果より,なで肩といかり肩の上肢肩甲面挙上での肩甲骨上方回旋,肩甲上腕リズムに差があるわかり,なで肩やいかり肩の分類も挙上初期の肩甲骨運動を不規則にする要因の一つであることが示唆された。
著者
木村 博道 秋山 英三
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.SIG19(TOM19), pp.1-9, 2007-12-15

投資家が,あまり価格を動かさずに素早く株式を売買できる市場を「流動性の高い」市場という.また,買い指値注文の中で最も高い注文の価格と,売り指値注文の中で最も安い注文の価格の差をスプレッドという.先行研究によって,流動性が比較的高い銘柄に対し,スプレッド縮小率が流動性の指標になりうることが分かっている.そこで,本研究では,流動性が低い銘柄に対してもスプレッド縮小率が流動性の指標となりうるかどうかを検証した.具体的には,まず,東証1,2部の銘柄を対象に,先行研究の方法を参考にしつつ,スプレッド縮小率とある流動性指標の相関を調べた.すると,両者の相関は十分高いものとなった.次に,スプレッド縮小率以外の複数の流動性指標に対して主成分分析を行い,「流動性の統合指数」と呼べるものを作り,その統合指数とスプレッド縮小率の相関を調べた.やはり両者の相関は十分高かった.以上の分析から,スプレッド縮小率は流動性の低い銘柄についても流動性の指標と見なせることが確認できた.このことは,流動性の低い銘柄では,トレーダがアスクとビッドの間に売り(買い)指値注文を行う場合,アスク(ビッド)付近に注文を行うことを意味する.