著者
木村 和樹
出版者
日本義肢装具学会
雑誌
日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.45-49, 2016

<p>下肢の感覚障害によって歩行時のクリアランスが消失するなどの異常歩行が生じる.そこで感覚を代償をするために,フットスイッチを使用した聴覚フィードバック装置を作製した.この装置は,足底接地時に日階名(音階)「ド」「レ」「ミ」と発生する設定が可能である.足底接地時の音の発生によりフィードバックが可能.さらに,フットスイッチの信頼性の検討を行った.検者内信頼性は健常者27名54肢(男性13名,女性14名),年齢21.3±0.4歳,検者間信頼性は14名28肢(男性7名,女性7名),年齢21.2±0.4歳を対象とした.フットスイッチを踵と母趾球に貼付して,快適速度にて6歩行周期分の1歩行時間と足底接地時間を測定した.検者内信頼性と検者間信頼性ともに級内相関係数は0.800以上と,高い信頼性があった.</p>
著者
鈴木 進 戸崎 近雄 川島 正昭 小谷 悌三 木村 滋章 水島 克己
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.254-259, 1969
被引用文献数
3

橋かけまたは加硫したゴムの伸びを温度を変えて測定するとある温度 (<i>T</i><sub>max</sub> と呼ぶ) で極大値を示す. この極大値を極限伸張比&alpha;<sub>c</sub>(=1+&gamma;<sub>bmax</sub>) と考えると, 同一ゴム, 同一加硫系では, 網目間鎖数濃度&nu;<sub>e</sub>の逆数の平方根に, 橋かけ点分子量<i>M</i><sub>c</sub>の平方根に比例することがわかった. &alpha;<sub>c</sub>の<i>M</i><sup>1/2</sup><sub>c</sub>に対するこう配はゴムの種類, 加硫系によって変化した. 一方, <i>T</i><sub>max</sub> は網目間鎖数濃度&nu;<sub>e</sub>とともにほぼ直線的に減少し, そのこう配もゴムの種類, 加硫系によって変化した. またこれら試料のガラス化点, <i>T</i><sub>g</sub>は&nu;<sub>e</sub>とともに直線的に上昇した.<br><i>T</i><sub>max</sub> 付近でゴム分子が十分に伸びきっていると考えて, 逆ランジュバン関数からセグメントの数<i>n</i>を推定し, 一方, <i>M</i><sub>c</sub>をモノマー単位の分子量<i>m</i>で割った値, <i>M</i><sub>c</sub>/<i>m</i>を求めた. また, &alpha;<sub>c</sub>=&radic;<i>n</i>として, セグメント数<i>n</i>を推定した. これらの値を比較して, <i>T</i><sub>max</sub> 付近でゴム分子がかなり伸びきってから切断すること, 極限伸びはセグメント数の平方根から推定されること, &alpha;<sub>c</sub>(<i>M</i><sub>c</sub>/<i>m</i>)<sup>1/2</sup>の値を分子の剛さの尺度としてよいであろうことを結論した.
著者
宮本 圭 和田 正昭 田中 文也 木村 清志 岩槻 幸雄
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.19-22, 2011-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
11

Ten carangid specimens belonging to the genus Selar, collected by small set net at Kadogawa Bay, Miyazaki Prefecture (eastern coast of Kyushu Island), Japan, were identified as Selar boops (Cuvier in Cuvier and Valenciennes, 1833), on the basis of scales in curved part of lateral line 22-24 and chord of the curved part of lateral line 2.2-2.7 times in straight part. These specimens represent first record of the species from Japan. Specimens are described and a new Japanese name "Teru-meaji" is proposed for the species.
著者
木村 真樹 山田 卓也 木山 茂 関野 考史 松尾 浩 竹村 博文
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.2712-2716, 2006-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

症例1は40歳台の女性.主訴は検診での血液検査異常. CA19-9高値. CTで膵尾部に辺縁と内部が造影される嚢胞性腫瘍を認めた. MRIでは内部に造影T1強調像で高信号, T2強調像で膵実質性部分と同等の信号の壁在結節を認めた.膵粘液性嚢胞腫瘍と診断し,手術を施行したところ類上皮腫を合併した膵内副脾であった.症例2は50歳台の男性.主訴は検診の超音波検査での膵腫瘤.単純CTで周囲に均一な軟部濃度を有する嚢胞性腫瘍を認め, MRIで3mm大の壁在結節を認めた. Dynamic studyで壁在結節の濃染パターンは脾臓と酷似しSPIO造影で信号低下あり膵内副脾に合併した類上皮腫と考え経過観察中である. SPIO造影剤は網内系細胞に採取され正常脾の信号を低下させ副脾の診断が可能となる. dynamic studyとSPIO MRIで膵内副脾に合併した類上皮腫の術前診断が可能である.
著者
鈴木 慎太郎 本間 哲也 眞鍋 亮 木村 友之 桑原 直太 田中 明彦 相良 博典 柳川 容子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 = Journal of the Showa University Society (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.282-288, 2018-06

症例は38歳男性.自家製のお好み焼きを食べている最中から喉頭違和感,呼吸困難,眼球結膜の充血などを訴え救急搬送された.アナフィラキシーの診断で加療し,後日当科へ精査目的で来院した.患者には著しいダニ・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎の既往があった.お好み焼きの具材に対する抗原特異性IgEによるアレルギー検査とプリックテストを行ったが全て陰性だった.問診上,開封後密封せずに常温で6か月以上経過した市販のお好み焼き粉を用いて調理したことが判明し,お好み焼き粉に混入したダニによるアナフィラキシーを強く疑った.お好み焼き粉を鏡検した結果,多数のコナヒョウヒダニが検出され,さらに,Dani Scan?(生活環境中のダニアレルゲン検出を目的とする簡易型検査キット)を用いた検査においても強陽性を示した.近年,お好み焼きやパンケーキ等の小麦粉製品に混入したダニを経口摂取して生じるアナフィラキシーの報告が急増している.診断のためには,調理に用いた小麦粉製品の保管状況の聞き取りと,感作が成立した同種のダニを発症前に摂取した調理材料中に証明することが求められる.今回,使用したDani Scan?は,一般家庭においても食品中のダニ汚染を検知する簡便なキットであり,本病態の診断や発症の予防に一定の効果が期待できるものと推察した.
著者
千葉 敦子 石田 賢哉 大西基喜 小笠原 メリッサ 宮川 隆美 木村 美穂子 水木 希 澤谷 悦子 梅庭 牧子 奥村 智子
出版者
青森県立保健大学雑誌編集委員会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-28, 2017-03

保健協力員は県民の健康増進の担い手としてその活動が期待されている。しかし,青森県では保健協力員の活動は行政が中心となり,主体的な活動が十分には行えていないという課題や,担い手不足による固定化と高齢化が指摘されている。そこで,保健協力員活動の活性化策を検討するために,A保健所管内の保健協力員を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,活動の主体化およびヘルスリテラシーの現状を明らかにした。 その結果,主体化評価指標の総合得点は市町村間で有意な差はないことがわかった。このことから,保健協力員の質は合同研修等により一定の水準が保たれていることが考えられ,県民全体の健康増進の向上という面からは望ましい結果であると考えられた。ヘルスリテラシー尺度得点と個人属性との関連では,年齢が高い者,健康状態が良好な者,他の役割がある者でヘルスリテラシー得点が統計的に有意に高いという結果が得られた。固定化や高齢化を強みとして保健協力員の活動の強化に活かすことが可能であることが示唆された。
著者
木村 裕二
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 = The journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.105-122, 2016

法務省は,2015 年3 月31 日,民法の改正案を国会へ提出した。その中に,次の2 つの規定が含まれている。(1)金銭の授受がなされる前は,借主は諾成的消費貸借契約を解除することできるが,貸主は損害賠償を請求できる。(2)借主は期限前に弁済することができるが,貸主は損害賠償を請求できる。これらの規定は「元本を期限まで利用する債務」「元本返済により失われた将来利息を補償する義務」を借主に負わせるものではないことを,論証する。また,元本返済により失われた将来利息を補償する義務を定めた当事者間の合意の効力を,利息制限法がどのように制限するかを検討する。 The Ministry of Justice submitted a bill to revise the Civil Code to the Diet on March 31, 2015. Two articles are included in this bill: (1) In a consensual contract for a consumption loan, the borrower may cancel the contract before any giving and receiving of money, provided that the lender may claim compensation for damages. (2) In a consumption loan, the borrower may return money prior to expiration of a term, provided the lender may claim compensation for damages. This paper aims to prove that the above-mentioned articles don't provide for either the borrower being able to take advantage of "the debt to use capital until a time limit" or claiming "the duty to compensate for future interest lost by capital return". In addition, this paper examines how the Interest Rate Restriction Act limit affects the agreement between parties which provide for the duty to compensate for future interest lost by capital return.
著者
佐藤 琢紀 木村 昭夫 佐藤 守仁 糟谷 周吾 佐々木 亮 小林 憲太郎 吉野 理
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.10, pp.687-693, 2007

<b>背景</b> : 2004年に敗血症診療の初のガイドラインであるSurviving Sepsis Campaign Guidelines for Management of Severe Sepsis and Septic Shock (SSCG) が発表され, 全世界的に敗血症の治療法が標準化されつつあり, 初期輸液療法の重要性が提唱されている。<b>目的</b> : 本研究では, 初期輸液療法の重要性の再確認と具体的な輸液量の検討を行った。<b>対象と方法</b> : 2001年1月1日から2006年8月31日までに当センター救急部に救急搬送されたsevere sepsisあるいはseptic shock 64症例について検討した。治療開始後72時間と28日でそれぞれ死亡群・生存群に分け, 各群間で来院時の重症度スコアやSSCGで推奨されている治療法について比較した。<b>結果</b> : 初期輸液療法に関して, 72時間後・28日後ともに生存群の方が死亡群に比して有意に輸液量が多かった。来院時の重症度スコアや抗菌薬, 昇圧剤投与等の初期輸液療法以外の治療法の施行割合では, 各群間で有意差を認めなかった。来院後1時間輸液量が1,700ml以上であれば100%の生存が得られた。1時間輸液量が1,700ml未満であっても, 24時間輸液量が3,200ml以上であり, 24時間尿量が550ml以上確保できたときは, 93%の生存率が得られたが, 24時間尿量が550ml確保できなかったときは, 38%の生存率であった。1時間輸液量が1,700ml未満, 24時間輸液量が3,200ml未満であっても, 24時尿量が550ml以上確保できたときは, 82%の生存率が得られたが, 24時間尿量550ml確保できなかったときは, 36%の生存率であった。<b>結語</b> : severe sepsisの初期治療法では, 臓器灌流量を維持するための適切な初期輸液が, 重要であることが再確認され, 従来から言われている輸液量の指標は妥当であることも確認された。
著者
木村 拓也 西郡 大 山田 礼子
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:13440063)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.189-214, 2009

<p> 本研究は,国際的に通用する「学士」水準の維持・向上が求められて行く中で必要とされる「大学教育効果」の測定方法論について検討したものである.本研究では,サンプルサイズ,多量の質問項目,従属変数にまつわる追跡調査と大学生調査が孕む構造的問題について,潜在クラス分析を用いることでその解決を試みた.まず,大学入学前後の状況を表した「高大接続情報」を用いて,潜在クラス分析を行い,5つの学生群にクラス分けした上で,学生の各クラスへの帰属確率を求めた.次に,因子分析によって,多量の質問項目をカテゴリー化して因子得点を求め,各学生群の帰属確率との間でノンパラメトリック回帰分析を行った.こうした分析方法により,各大学が学生の特徴に応じた「学士課程教育の構築」に資する基礎情報を過誤なく獲得する可能性を提示することができた.</p>
著者
田中 文也 和田 正昭 吉野 哲夫 木村 清志 岩槻 幸雄
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.23-27, 2011-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
16

A single specimen of a carangid fish, Alepes kleinii (125.1mm in standard length), was collected by a small set net at depths shallower than 8m off the northeastern Kadogawa Bay, Kadogawa-cho, Miyazaki Prefecture, Pacific coast of Kyushu Island, Japan. Alepes kleinii is distinguishable from its congeners by the following combination of characters: two rows of small conical teeth arranged irregularly in a narrow band on upper jaw but those on lower jaw in a single series, a diffuse dusky blotch present on upper margin of opercle, and straight part of lateral line starting behind below origin of second dorsal fin. The specimen represents the reliable record of the species from Japan.
著者
楠本 憲一 木村 多江 鈴木 聡
出版者
農林省食品総合研究所
雑誌
食品総合研究所研究報告 (ISSN:03019780)
巻号頁・発行日
no.68, pp.43-47, 2004-03

Aspergillus oryzaeのテロメア配列のうち,繰り返し単位(5'-TTAGGGTCAACA)2回ずつを逆方向繰り返し配列として付加し,Aspergillus nidulansの自己複製配列AMA1を連結した環状プラスミドおよび繰り返し単位2回を両端に有し,内部にAMA1を連結した線状プラスミドを作成した。これらのプラスミドをA. oryzaeに導入した結果,環状プラスミドとして導入すると環状のまま保持され,線状プラスミドの場合は自己閉環した。このことから,テロメア2回繰り返し配列は末端として認識されず,A. oryzaeのテロメア配列を利用して線状ベクターを作成するためにはさらに多くの繰り返し単位が必要と考えられた。