著者
木村 陽子
出版者
昭和文学会
雑誌
昭和文学研究 (ISSN:03883884)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.150-162, 2008-03
著者
鈴木 正美 梅津 紀雄 岡島 豊樹 大井 弘子 アンタナス ギュスティス セルゲイ レートフ ミハイル スホーチン 木村 英明
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

1950年代後半~1980年代のソ連や中欧において独自の発展を遂げた非公式芸術(非公認芸術)とジャズ文化の密接な関係およびアンダーグラウンドで生まれた創造の場と人的ネットワークの形成に関して現地調査行い、基礎資料を収集し、それらをもとに研究を重ね、研究会および一般公開のシンポジウムを開催した。これにより旧共産圏社会における芸術文化の特質と機能がかなり明らかになった。
著者
木村 政樹
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.93-108, 2014-05-15 (Released:2017-06-01)

本稿は、純文学論争における平野謙の批評を、「アクチュアリティ」という語が文芸雑誌で流通していた歴史的文脈に置き直して考察したものである。純文学論争をきっかけとして、「アクチュアリティ」という語は文芸雑誌において急速に流布してゆく。この言葉は、論争以前から、新日本文学会や記録芸術の会といった文学・芸術運動のなかで、キーワードとして用いられていた。平野はそのことを意識しながら、小説アクチュアリティ説を展開した。こうした平野の一連の批評は、文学・芸術運動の動向に応じた言説戦略として捉えることができる。
著者
木村 昌紀 磯 友輝子 大坊 郁夫
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.69-78, 2011 (Released:2012-03-24)
参考文献数
33
被引用文献数
1 3

本研究の目的は,関係に対する展望が対人コミュニケーションに及ぼす影響を関係継続の予期と関係継続の意思の観点から検討することである。先行研究では,実験操作による外発的な関係継続の予期に注目していた。そこで本研究では,自発的に生起した関係継続の意思に注目して,これらの関係に対する展望が対人コミュニケーションに及ぼす影響の共通点と相違点を調べた。未知関係20組40名と,友人関係25組50名の大学生が実験に参加した。結果は以下のとおりであった。先行研究と一致して,これからも関係が続いていくと思うときは,コミュニケーションの動機づけが促進されて,対人的志向性の個人差が消失した一方で,その場限りの一時的な関係と思うときは,社会的スキルの高い人ほど,積極的にコミュニケーションに取り組んでいた。また,先行研究では,関係継続の予期があるときは相手を知るために視線量が増加したのに対して,本研究では,関係継続の意思があるときは発話量が増加して,対人コミュニケーションをポジティブに認知していた点が異なっていた。そして,関係継続の意思が対人コミュニケーションに及ぼす影響の程度は,友人関係よりも未知関係において大きかった。
著者
村藤 大樹 木村 和弘
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第58回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.178, 2009 (Released:2010-03-19)

アトピー性皮膚炎の治療は,一時期ステロイドバッシン グや民間療法の喧伝などにより混乱をきたしていたが, 2000年に日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎診療ガイ ドラインが作成されてからは徐々に治療の統一がなされ, ステロイド外用剤の適正使用と保湿剤によるスキンケアの 重要性が強調されている。しかし,スキンケアの重要性に 対する認識は個々の医師によって差があり,その方法もま ちまちなのが実状である。 我々は2003年に小児科の専門外来として「アトピー外 来」を開設し,2009年4月現在の患者総数は1,135人であ る。そのうち重症と判断した319人(うち小児193人)を対 象に,ウェットラッピング法を用いて治療を行った。 ウェットラッピング法とは,保湿剤(炎症の強い個所には ステロイド外用剤を併用)を塗布した後に水で濡らした下 着やクッキングペーパーで体を覆い,さらにその上から調 理用ラップで被覆して2~3時間過ごすという手技で,通 常のスキンケアで対応困難な重度の乾燥肌に対し,初期治 療として行うものである。 治療の標準化を図るために,クリニカルパスを用いて4 日間の入院治療を行った。入院中に計6~8回のウェット ラッピングを行い,退院後も含めて計10回行った後通常の 外用療法のみへ移行した。患者は早ければ治療2日目の朝 には皮膚状態の改善を実感し,退院時にはほぼ全例で乾燥 肌の明らかな改善がみられた。短期間に皮膚の状態が劇的 に改善することで退院後の外用療法に対する治療コンプラ イアンスが向上し,ひいては治療期間の短縮とステロイド 外用剤使用総量の減量を達成することが可能となった。 アトピー性皮膚炎治療ガイドラインに準拠した外用療法 にウェットラッピング法を併用することは,重症アトピー 性皮膚炎の高度な乾燥肌に対する初期治療として非常に有 用であると考えられた。
著者
堀田 祐志 木村 和哲
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.1, pp.31-34, 2016 (Released:2016-01-09)
参考文献数
18

交通事故などにより陰茎海綿体の栄養血管に障害が生じた場合,動脈性の勃起不全(erectile dysfunction:ED)が生じることがある.EDは患者のQOLを損なうだけでなく,時として夫婦間の不仲の原因になる場合もある.EDの治療にはホスホジエステラーゼ-5(PDE-5)阻害薬が第一選択薬として頓服で使用されている.このPDE-5阻害薬が無効で動脈性EDが確定診断された場合,動脈血行再建術が適応となることもあるが,この治療法は侵襲的であるため患者への負担が大きい.そのため動脈性EDに対する非侵襲的な新規治療法の開発が望まれている.外傷性の動脈性EDの研究には内腸骨動脈を両側共結紮することで陰茎を虚血状態にしたモデルが使用される.我々もこの動脈性EDモデルを用いてPDE-5阻害薬の「慢性」投与の効果を検討した.その結果,PDE-5阻害薬の慢性投与は勃起機能を改善するだけでなく陰茎海綿体の構造保持の面でも有効であることが示唆された.他にもスイカに多く含まれるアミノ酸の一種でありNO産生を促進すると報告されているシトルリンの動脈性EDへの効果についても同モデルを用いて検討し,シトルリン投与により勃起機能や陰茎海綿体構造が改善することを報告してきた.本総説では,動脈性EDに対する新規アプローチと題して,我々が行ってきたこれらの実験データや臨床での報告を紹介させて頂く.
著者
木村 仁 遠藤 真美 小関 道彦 伊能 教夫
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.740, pp.806-813, 2008-04-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

A phenomenon that passengers are getting sleepy is often found in running cars or trains. If a mechanism can reproduce this phenomenon, it is feasible to put insomnia patients or infants to sleep without any harmful effects. This will bring extreme benefit for insomnia patients or parents of babies. The purpose of this study is to elucidate the sleep-inducing factors of running cars or trains, and the final goal is to develop a machine which reproduces the environment to put people to sleep. For the first step of this study, we investigated the relationship between sleepiness and vibrations on several trains. The sleepability of each train is discussed by the ratio of sleeping passengers. According to the vibration analyses, the results suggest that comfortable vibration for sleep has mainly low-frequency (2 Hz) vibration with particular fluctuation. In addition, it is also guessed that low level jerks contribute the sleepability.
著者
田中 直義 木村 小百合 木内 幹 鈴木 あゆ野 村松 芳多子 三星 沙織
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.167-174, 2012-04-15 (Released:2012-05-31)
参考文献数
33
被引用文献数
2

糸引き納豆は醗酵後の冷蔵中ににおいが変化してゆくことが知られており,品質の変化が早く生鮮飲食品並みの消費期限が設けられている.冷蔵中における主要なにおい物質の変化を以下の方法で検討した.(1) 購入直後の市販納豆および1週間冷蔵庫中で保存した市販納豆から臭い物質を連続水蒸気蒸留抽出によりエーテルに抽出し,濃縮した.得られたエーテル濃縮液をガスクロマトグラフ-におい嗅ぎ法で分析したが,試料間の差異が大きかったのでエーテル濃縮液を10の指数関数的に希釈することにより,主要な臭い物質を検索した.その結果,主要なにおい物質として2-メチルプロパン酸エチル,2-メチル酪酸エチル,3-メチル酪酸エチルなどの低分子脂肪酸エステル,2,5-ジメチルピラジン,トリメチルピラジンなどのピラジン類,酢酸,2-メチルプロパン酸,2- or/and 3-メチル酪酸などの低分子脂肪酸,およびエタノールが検出できた.1週間冷蔵中で保存するとそれらの物質の中で,低分子脂肪酸エステルのにおいは弱く,ピラジン類と低分子脂肪酸は強くなる傾向にあった.(2) 醗酵終了直後および冷蔵日数の異なる納豆からにおい物質をSPME法で抽出・濃縮し,ガスクロマトグラフで分析し,主要なにおい物質の変化を測定した.冷蔵日数が長くなるにつれて主要なにおい物質の中で,低分子脂肪酸エステルは減少,ピラジン類と酢酸以外の低分子脂肪酸は増加する傾向にあった.以上の結果から,冷蔵中のにおいの変化は,脂肪酸エステル類が減少し,ピラジン類および酢酸以外の低分子脂肪酸類が増加することによるものと推定した.
著者
三宅 芙沙 増田 公明 箱崎 真隆 中村 俊夫 門叶 冬樹 加藤 和浩 木村 勝彦 光谷 拓実 Miyake Fusa Masuda Kimiaki Hakozaki Masataka Nakamura Toshio Tokanai Fuyuki Kato Kazuhiro Kimura Katsuhiko Mitsutani Takumi
出版者
名古屋大学年代測定資料研究センター
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
no.25, pp.137-143, 2014-03

Although some candidates for the cause of the mysterious cosmic ray event in AD 774-775 have been reported we were not able to specify. In order to investigate the occurrence rate of the 14C increase event like the AD 775 one, we measured 14C content in Japanese tree-rings during an extended periods. As a result,we detected the second 14C increase by significant amount from AD 993 to AD 994. From the occurrence rate (one 14C event/800 years),it was revealed that a large-scale SPE is the most plausible explanation for the 14C event. 775年の宇宙線イベントの原因について、いくつかの候補が挙がっていたが特定するのは難しい状況であった。本研究の年代を拡張した14C濃度測定により、993-994年にかけても似たような14C急増を発見した。また、994年イベントは日本産の2個体の樹木から存在を確認した。14Cイベントの発生頻度から、その原因として大規模SPEが妥当であると考えられる。見つかった14Cイベントの14C増加量は、観測史上最大のSPEの1O~数10倍に相当する。このような規模のSPEが仮に今日発生した場合、現代社会へ深刻な被害を及ぼすと想定される。今回の発見はこうした大SPEが将来において発生する可能性を示したものである。名古屋大学年代測定総合研究センターシンポジウム報告
著者
西村 優佑 今井 啓輔 濱中 正嗣 山﨑 英一 中ノ内 恒如 木村 雅喜
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.620-626, 2020 (Released:2020-09-29)
参考文献数
10
被引用文献数
1

症例は血液透析中の72歳男性.後頭部の頭痛を急性発症し,同部に血管雑音が聴取された.頭部MRIで頭蓋内出血はなく,頭部MRAで左横静脈洞-S状静脈洞(transvers-sigmoid; T-S)にかけて異常信号をみとめた.入院後も頭痛は持続し,血管造影にて左T-S周囲のシャントはなかったが,左上肢内シャント部造影にて左腕頭静脈(brachiocephalic vein; BCV)・内頸静脈の閉塞と左T-Sへの頭蓋内静脈逆流をみとめた.内シャント肢側の左BCV閉塞に起因する頭蓋内圧亢進による頭痛と診断し同閉塞部位を血管拡張術で再開通した.術直後から頭蓋内静脈逆流は低減し頭痛も消失した.透析患者に急性発症する頭痛の原因としてBCV閉塞による頭蓋内静脈逆流も念頭に置くべきである.
著者
木村 睦 大海 悠太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.6, pp.1-6, 2012-04-12

実世界上におけるカオスは外部情報を受け変化しているため、外部情報に対してどの様な関係を持っているのかを調べる必要がある。だが、あらゆる外部情報を想定することは難しい。そこで、楽器とChua回路を結合させて音を発生するエフェクターの試作を行い、楽器入力とカオスとの関係を調べた。将来的には、研究者以外の人がこのエフェクターを使っている間に、カオスの挙動のデータが自然と集まるようなものになることを期待している。
著者
渡邉 映理 木村 真理 今西 二郎
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.9-16, 2013 (Released:2013-04-13)
参考文献数
13

目的:心理,生理,免疫指標等により,緑茶飲用効果を包括的に評価すること. 方法:試験デザインは無作為化クロスオーバー試験とした.対象者は,パソコンによる疲労負荷作業を 120 分間実施した後,抽出した緑茶または水を飲用した.試験開始時,疲労負荷作業後,緑茶または蒸留水飲用 30 分後の 3 回で,採血,事象関連電位測定,質問紙記入を実施し,比較した.心拍測定を行い,HF, LF/HF 値の平均を算出した. 結果:疲労状態の時に緑茶を飲用すると,飲用 30 分で,副交感神経が優位になり,注意力が改善され,NK 活性が一時的に上がり,自覚的な疲労,特に精神疲労が回復するという効果が示唆された. 考察:本研究によって緑茶の疲労回復効果を心理,生理,免疫指標により包括的に示すことができた.このことから,緑茶は,疲労回復に有用な飲料と考えられる.