著者
松本 賢一 Kenichi Matsumoto
出版者
同志社大学言語文化学会
雑誌
言語文化 = Doshisha Studies in Language and Culture (ISSN:13441418)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.333-367, 2007-12-31

本稿は、ロシア、ノヴゴロド国立大学教授V.V.ドゥトゥキン氏の論考Достоевский в "Размышлениях аполитичного" Т.Манна(1997)の日本語訳である。マンの最も大きい批評的著作と見なされる『省察』は、ロシアでは長らく採り上げられることがなかった。しかしながら、原著者ドゥトゥキン教授の意図は、ソヴェート時代ならば「反動的」と受け止められたであろう本書を紹介することにのみあるのではない。ナチズムという嵐が到来する前のマンの独特の保守主義が、約40年前のロシアートルコ戦争時のドストエフスキイの汎スラヴ主義的発言を直接にドイツに移し変えたものであることを説明し、マンがドストエフスキイから何を得、何を得なかったかを考究することにも、原著者の注意は向けられている。
著者
池本 賢一 村山 浩一郎
出版者
福岡県立大学人間社会学部
雑誌
福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.45-58, 2019-02-28

今日のわが国における社会福祉制度の動向を鑑みると、各福祉分野で地域支援が重要視されていると考えられる。しかしながら、これまで地域支援の方法論とされてきたコミュニティワークは、概念や展開プロセス、用いる技術等が必ずしも明確化されていないという課題がある。 本稿は、これまでのコミュニティワークに関する研究から、特に定義及び範囲に着目して整理を行い、それらを踏まえた上で、理論の再構築に向けた試論を提示するものである。先行研究の検討から、「ニーズ・資源調整」、「インター・グループ・ワーク」、「統合」、「組織化」、「計画・政策」、「ソーシャル・アクション」、「アドミニストレーション」、「個別課題を踏まえた地域支援」、「主体形成とプログラム開発とその循環」がコミュニティワーク理論のキー概念として明らかになり、これらを基にコミュニティワークの体系図の提示を行った。
著者
辰巳 佐和子 金子 一郎 瀬川 博子 宮本 賢一
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.408-416, 2014-11-25 (Released:2015-02-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

無機リン酸(以下リン)は、細胞膜構成、エネルギー代謝、酵素反応を含むさまざま生理学的機能に必須な栄養素である。血中リン濃度の維持は主に腎臓、腸管および骨が担っている。そしてリンを輸送するトランスポーターの働きによって厳密に制御されているのである。このトランスポーターの発現調節は、古典的にはリン調節ホルモンである副甲状腺ホルモン(PTH)、1,25-dihydroxyvitamin D3によって知られてきた。近年、最初に同定されたフォスファトニンであるfibroblast growth factor 23(FGF23)のリン利尿作用についての研究が飛躍的に進んだ。FGF23は骨細胞から分泌され遠隔臓器である腎臓に作用しリン排泄を制御することから、リン代謝における骨腎連関が重要であることが認識された。本稿では多臓器にわたる生体内リン恒常性維持機構について最近の知見を加えて概説する。
著者
倉本 賢一 白石 章 中西 有 甲斐 真 上野 儀治 上田 八尋
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.26, pp.23-30, 1989-12-26 (Released:2010-08-10)
参考文献数
29

競走馬のトレーニング効果あるいは競走能力を評価する一指標として心エコー撮影による左室機能検査をトレーニングセンター在厩のサラブレッド45頭 (2歳-7歳) について試みたところ以下の成績が得られた。1) 心エコー図の撮影は左側第3・4肋間 (心切痕部) に限定されたプローブ位置からのアプローチによって, 左室の最長軸断層像を正確にとらえることでがき, 簡便で汎用性の高い撮影方法と考えられた。2) 心エコー法と色素希釈法による1回拍出量をサラブレッド15頭 (3-5歳) について比較検討したところ, 両者は相関係数, r=+0.956を有する回帰直線y=0.782x-0.147で示され, 心エコー法による1回拍出量の測定の信頼性が高いことが確認された。3) kg当たりの1回拍出量は加齢と調教の進行に伴ない増加するが, 3歳以降ではほぼ安定した数値 (2.42-3.37ml/kg) を示すことが分った。一方, 比較的優れた競走成績をもつ馬群 (4歳馬5頭) と平均的競走成績をもつ馬群 (4-6歳馬10頭) の1回拍出量を比較したところ, 前者は平均3.55ml/kgで後者 (平均2.85ml/kg) に比べ有意な高値を示した。4) 収縮末期径には被検馬群間で差は認められないものの, 拡張末期径では平均的競走成績をもつ馬群と優れた競走成績をもつ馬群間で明瞭な差が認められた。これらのことから, 本法が競走馬の左室機能の評価に有用であることが示唆された。
著者
松本 賢一 諫早 勇一 山本 雅昭 高木 繁光
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者を含め4人の共同研究者は、それぞれ1.ワイマール共和国時代のドストエフスキイ流行について、2.ベルリンにおける亡命ロシア人の活動と文学作品のかかわり、3.ワイマール時代のドイツにおけるユダヤ人問題について、4.映画製作の手法における独露の影響関係について、といったテーマを設定し、概ね次のような知見に達した。1.ワイマール時代のドストエフスキイ流行は、既にロシア第一次革命の直後に種子が蒔かれており、その仲立ちを務めたのがメレジュコフスキイとメラー-ファン-デン-ブルックであった。後者はドストエフスキイの過激な民族主義とナチズムをつなぐ役目を果たしてもいる。2.亡命ロシア人、ことにウラジーミル・ナボコフにとってベルリンは、サンクトペテルブルグを髣髴とさせる安住の地であったが、作品執筆に当たり、彼はロシア語版と英語版でベルリンを想起させる描写に相違を持たせ、作品に一層の普遍性を与えようとした。3.)ワイマール時代とは、ユダヤ人にとって「同化」を目指す変貌の極点であったが、同時に反ユダヤ主義とシオニズムが一層激しさを増した時代でもあった。そのような中に身をおいたユダヤ人が自らのアイデンティティーの基盤としたのが虚構の精神的共同体としてのJudentumであった。4.ワイマール期から第二次大戦に至る時期のドイツ映画に特徴的なディテールを分析していくとひとつの方向性を見出すことができる。それは、単に時代精神や社会的動向によってのみ説明される方向性ではなく、「バロック的アレゴリー劇」とでも名付け得る流れであり、その影響力は近年の映画製作にも及んでいる。
著者
栗本 賢一 岡田 智秀 落合 正行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.263-278, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
56

本研究の目的は、東京臨海部の小地域を分析単位として、その基幹産業である港湾・空港産業および知識集約型ビジネスサービス業における空間的な産業集積実態やその動学的外部性を明らかにすることである。その分析方法は、Glaeserらが提唱する「動学的外部性」の3つの指標に着目し、特化指数、地域競争性指数、産業多様性指数を用いて、MAR外部性、Porter外部性、Jacobs外部性を導いた。そして、その結果を検証するために、ヘドニック・アプローチを用いて、本研究成果である動学的外部性の妥当性を提示した。
著者
花村 克悟 牧野 俊郎 宮崎 康次 高原 淳一 森本 賢一 若林 英信
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究において、ピラーアレイ構造表面を対向させることにより、ピラー間隙間の表面プラズモン共鳴より波長制御輸送が可能となること、およびピラートップ面においてs偏光波となる電磁波はピラー側面おいてp偏光波となることから、長波長成分のエネルギー輸送はむしろ平滑面に比べて抑制されることが示された。また、スプリットリング共鳴器アレイ構造を利用した白熱電球により、電気から可視光への変換効率が通常の2倍となることが示された。

2 0 0 0 OA 1.糖,蛋白質

著者
武田 英二 宮本 賢一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.7, pp.1029-1033, 1996-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

近年の分子生物学の発展により,腸管での栄養素吸収の分子機構が明らかになってきた.糖質の吸収は能動輸送と促通拡散を示す特異的なグルコース・トランスポーターによって行われる.アミノ酸およびペプチドに対しても中性,塩基性,酸性アミノ酸およびペプチドのトランスポーターが小腸上皮細胞の刷子縁膜や側底膜に存在して,特異的な輸送系を構成している.さらに,これらの輸送を調節すると思われる分子も明らかにされている.
著者
高木 繁光 諫早 勇一 松本 賢一 メーリニコワ イリーナ 銭 〓 大平 陽一 宮崎 克裕
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、文学作品ではナボコフの小説『絶望』、ドストエフスキイの小説『おかしな男の夢』、マラルメの『イジチュール』、中国の『紅楼夢』を、映像関係ではアレクセイ・ゲルマンなど50年代のソ連社会を舞台とした近年のロシア映画、エイゼンシュテインの映画理論、30年代から50年代のドイツ映画と親近性をもつ近いマキノ雅弘作品などを主たる分析対象として、各研究者がそれぞれの分野で、「二重世界」、「二重文化性」、「二重の知覚」といった二重性を生きる分身的主体のあり方について考察したものである。ここで分身的主体とは、ジギルとハイドのような<病的>現象としてではなく、あれでもありこれでもあるという複数的存在様態を肯定してゆく創造的エネルギーを備えたものとして捉えられている。あれかこれかという単一的世界像の見直しを促すこのような分身テーマは、複製技術時代における文学と思想と映像の相互関係を理解する上できわめて有効な手掛かりとなりうるものである。
著者
辰巳 佐和子 桑原 頌治 瀬川 博子 宮本 賢一
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.135-140, 2021 (Released:2021-04-06)
参考文献数
30

血中リン濃度は,主に腸管吸収,骨代謝(骨形成・吸収),腎臓における排泄と再吸収,肝臓,筋肉などの軟組織への組織移行により維持される。血中リン濃度は日内リズムを形成し,その形成機序は早朝空腹時のリン濃度を規定する重要な要因と考えられている。慢性腎臓病(CKD)では非常に早期よりリン代謝異常が生じている。CKDや維持透析患者の死亡リスクは,早朝空腹時の血中リン濃度と正の相関を示すことが知られている。最近,Nampt(nicotinamide phosphoribosyl transferase)/NAD(nicotinamide adenine dinucleotide)系が,ナトリウム依存性リン輸送体であるNaPi-IIa(Npt2a),NaPi-IIc(Npt2c),NaPi-IIb(Npt2b)の発現量を調節することで,血中リン濃度の日内リズム形成に関わることが明らかにされた。実際に,Namptヘテロ欠損マウスでは,血中リン濃度の日内リズムは消失する。また肝臓特異的Nampt欠損マウスでは,異常な日内リズム形成を示すことから,Nampt/NAD系がリンの組織移行にも関与する可能性が示唆されている。血中リン濃度の日内リズム形成のさらなる理解は,CKDや維持透析患者のリン管理において重要である。
著者
平野 吉直 篠原 菊紀 柳沢 秋孝 根本 賢一 田中 好文 寺沢 宏次
出版者
日本野外教育学会
雑誌
野外教育研究 (ISSN:13439634)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-48, 2002 (Released:2010-10-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The purpose of this study was to examine the effects of the experience of camping upon cerebral activity.An experimental method, utilizing the go/no-go task, was used to examine the grasping response of a rubberboll to a light stimulus. The go/no-go task is a representative method of investigating the human inhibitoryfunction. The subjects were 46 children (27-boys and 19-girls) in grades 3 and 4 who participated in a 6-daycamp. This camp was designed to ensure that participants were given ample and vital opportunities for notonly physical activity but for communication with other people. We carried out the go/no-go experiment onfour occasions. (pre-1: 17days before camp, pre-2: first day of camp, post-1: final day of camp, post-2: 13days after camp)The following results were obtained.The post-1 data showed a significant decrease in the number of errors compared with pre-2 data. This resultsuggests that the children's camp which included vital opportunities for physical activity andcommunication with other people had a positive influence on cerebral activity. A similar result of asignificant decrease between pre-camp and post-camp was observed in two separate investigates. However, the change between pre-1 and pre-2, post-1 and post-2 were not significant. The results suggest that thedecrease between pre-camp and post-camp was the effect of camping experience, and its effect continued for 2 weeks after camping experience.
著者
宮本 賢一
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.137-149, 2011 (Released:2011-08-09)
参考文献数
91
被引用文献数
2 1

リンは生体に広く分布しており, 細胞内シグナル伝達, エネルギー代謝, 核酸合成および酸-塩基などに関与している。リン代謝調節機構は, その破綻が低リン血症や高リン血症から生じる病態によって明白なように生命維持に必須である。低リン血症はクル病および骨軟化症を引き起こす。一方で, 高リン血症は心血管疾患に深く関与している。血中リン濃度維持の中心臓器は腎臓であり, また腸管および骨の三つの臓器が協調してリン代謝を制御している。生体には3種類のナトリウム依存性リントランスポーター (SLC17, SLC20, SLC34) が, 腎臓に発現している。我々は, これらリントランスポーターの同定や機能解析, またノックアウトマウスを作製して, その役割を明らかにした。一方で, 低リン血症や高リン血症を示す疾患の解析から, 新しいリン代謝系 (FGF23/klotho) が明らかにされた。 FGF23/klothoの発見は, 慢性腎臓病に伴うリン代謝異常の病態を理解する上で重要な知見をもたらした。また, 早期慢性腎臓病における心血管障害と食餌性リン負荷との関係も明らかにされつつある。本総説では, 我々の知見をもとに, リントランスポーターの役割と新しいリン代謝系の発見について, 最近の進歩を概説した。
著者
中島 弘毅 大窄 貴史 張 勇 根本 賢一 山崎 信幸
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
no.10, pp.185-195, 2012-01-31

長野県A市にある6保育園に在籍する4歳から6歳の園児311名を対象に園庭が芝と土という園庭環境の違いが園児の身体活動量と運動能力にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。調査の結果、芝生の園庭を有する園の園児は、男女共に土の園庭を有する園の園児に比して明らかに平日の身体活動量(歩数およびエネルギー消費量)が多く、また、男児においては立ち幅跳びおよび25m走、後方ハイハイ走における運動能力が高かった。
著者
荒木 峻 岸本 賢一 安盛 善一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.699-703, 1959
被引用文献数
1

ガスクロマトグラフのカラムの温度をあらかじめ設定された温度上昇曲線にしたがって上昇させると,広範囲の保持時間を持つ混合試料のクロマトグラムを迅速に1回の操作で分離記録することができる.カラムは熱容量が小さく槽内温度が迅速に均一になる熱板型昇温槽に取りつけ,サーミスターを温度検出器として電子管回路でコントロールヒーターの電力を制御する.温度設定用可変抵抗をモーターで変化させ希望の直線状の温度上昇を得た.カラムの温度上昇にともなうクロマトグラムの基線の移動は,熱伝導セルをほかの恒温槽に収めて一定温度に保ち,またキャリヤーガス流路に並列流を採用して対照側流路にもカラムを挿入することによって50μV/40min程度におさえることができた.都市ガスおよび石油ペンジンの活性炭および流動パラフィンカラムによる分離は従来の一定温度の分離に比して,優れた結果が得られた.
著者
橋本 賢一郎 遠峰 隆史 関谷 勇司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.236, pp.51-56, 2014-10-07

社会活動や日常生活のうち,インターネットを用いた活動の比重が高くなってきている.それに伴い,これまでの国家間のサイバー戦争だけでなく,インターネットに接続された機器や個人情報,知的財産を狙った被害が増加し対策が急務となっている.本論文では,Interop Tokyo 2014にて構築したShowNetを事例として,昨今のサイバーセキュリティに関する脅威の手法と,それに対抗するための技術,それらを組み合わせた防御システムの構築方法について考察する.また,ShowNetでのセキュリティ対策を通じて得られたデータから,標的型攻撃の存在や未知のマルウェアの侵入,更にはIPv6による攻撃も開始されていることがわかった.短期間の展示会のために構築されたネットワークへの脅威から,日常的に利用されるネットワークへの脅威を推察し,今後の攻撃の傾向と,サイバーセキュリティにとって重要と思われる防御方法に関して考察する.
著者
橋本 賢一 笠巻 祐二 芦野 園子 奥村 恭男 久保 公恵 杉村 秀三 中井 俊子 渡辺 一郎 斎藤 穎
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.16-21, 2006

背景: 両心室ペーシング( B V ) 療法は薬剤抵抗性心不全患者に有効な治療法であるが,必ずしも心臓突然死を減少させるとは限らない.一方μVレベル T-wave alternans(TWA)は心臓突然死の予知に対する有用性が示されているが,BV療法がTWAに及ぼす影響に関する検討は少ない.目的: 今回われわれは, 両室 pacing(BiP) , 右室 pacing(RVP),左室 pacing(LVP)を施行し, TWAに及ぼす影響について検討した.対象と方法: 連続7 例( 男性5 ) , 陳旧性心筋梗塞1 例, 拡張型心筋症6 例( EF31±7% ) を対象として行い, TWAの検出は,各ペーシングモードにおいて HR70~120bpmまでペーシングレートを漸増させTWAの測定を行った.結果: 平均 Valt は BVP,RVP および LVP で 193±0.6, 0.92±0.5および 1.45±0.8(p<0.01vs RV). alternanas ratioはBVP, RVPおよびLVPで 11.9±4.83, 4.83±2.9および 6.5±2.2. TWA陽性率は BVP,RVPおよびLVPで 71%(5/7), 67%(4/6)および 50%(2/4)であった.結語:BVPによる高いTWA陽性率は再分極の不均一性の増大をもたらす可能性が示唆された.
著者
瀧本 賢一郎
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.141-147, 2001-03-31 (Released:2010-10-08)
参考文献数
36

The purpose of this study was to evaluate the effect of an oral appliance (Sleep Splint) for obstructive sleep apnea syndrome (OSAS) patients, and to examine problems with this therapy. Fixed in the oral cavity, the Sleep Splint intends to reduce the occurrence of apnea and prevent blockage of the upper airway during sleep.In this study, the therapy using Sleep Splint was done for 50 patients (41 men and 9 women) who had been introduced by the physician diagnosing with OSAS. Sleep monitoring around an oral appliance mounting was carried out, and the effect was evaluated. In addition, the ESS was used in respect of the evaluation of the daytime sleepiness. However, four patients stopped using the oral appliance due to serious discomfort in the maxillofacial region, and they were excluded from the study. Forty-six patients were classified into three groups by the seriousness of OSAS, or into two groups according to body fatness, and the difference of the effect between each group was compared. The results obtained were as follows.1. As to the Apnea hypopnea index (AHI), Apnea hypopnea density, Oxygen desaturation, and ESS, there was statistically significant improvement regardless of the seriousness of OSAS and body fatness.2 . About all patients except for the patient group of the mild cases (AHI < 10), the occurrence of snoring showed the statistically significant improvement.These results indicated that oral appliance therapy was an effective treatment for OSAS.