著者
小林 史岳 唐澤 忠宏 松下 智人 小松 修 安達 亙
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.499-503, 2017-11-30 (Released:2017-12-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

ツキヨタケ中毒の6 例を報告する。ある住民が採取してきたキノコを,バター焼きにして近隣住民6 人で食べた。食事開始1 時間から1 時間30分で嘔気が出現し,全員が当院救急外来を受診した。救急隊により,摂取したキノコがツキヨタケである可能性が示された。入院し対症的,保存的加療を行ない,全員翌日に退院した。しかしながら, 1 名が退院翌日からの腹痛,食思不振のため,もう1 名が退院当日からの嘔吐,下血のため,退院翌々日に再入院となり,後者はCT で十二指腸から空腸に強い壁肥厚を認めた。 ツキヨタケ(Lampteromyces japonicus)による典型的な症状は,摂取後30分から3時間での嘔吐,下痢,腹痛だが,重症例では数日後に腸管の浮腫をきたすことがあるため,注意が必要である。
著者
松下 武矢 葉山 恵利 中島 龍星
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12232, (Released:2022-08-05)
参考文献数
21

【目的】回復期脳卒中患者の膝伸展筋力と病棟歩行自立の関連を調査し,そのカットオフ値を決定すること。【方法】対象は回復期リハビリテーション病棟に入院している脳卒中片麻痺患者。麻痺側,非麻痺側,および両側を組み合わせた膝伸展筋力が,歩行自立と関連するかを二項ロジスティック回帰分析で検討した。また,Receiver operating characteristic curve, Youdenインデックスにより,歩行自立のカットオフ値を算出した。【結果】解析対象者は658名(年齢中央値74歳,女性45%)で,歩行自立群は393名(60%)であった。歩行自立に対して膝伸展筋力は独立して関連しており(P<0.001),カットオフ値は麻痺側,非麻痺側,両側合計でそれぞれ,0.631 Nm/kg, 1.010 Nm/kg, 1.621 Nm/kgであった。【結論】回復期脳卒中患者において膝伸展筋力は歩行自立の判断基準となり得る。
著者
大月 友 松下 正輝 井手 原千恵 中本 敦子 田中 秀樹 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.89-100, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、社会的状況や自己に対する潜在的連合がスピーチ場面における個人のどのような側面の不安反応と関連するか、SocialPhobiaScale(SPS)やFearofNegativeEvaluationScale(FNE)といった顕在指標との比較を通して検討することであった。32名(男性16名・女性16名)の大学生に、Go/No-goAssociationTask(GNAT)で潜在的連合の測定を行い、覚醒水準の高い15名をGNATの分析対象者とした。また、スピーチ場面での不安反応として、認知的反応(思考反応)、主観的緊張感・不安感、生理的反応、行動的反応の各側面が測定された。実験の結果、顕在指標はスピーチ時の認知的側面や主観的側面の不安反応と関連しているのに対して、潜在的連合は生理的側面や行動的側面の一部の不安反応と関連していることが示された。これらの結果から、社会不安のアセスメントにおける潜在的連合の有用性が示唆された。
著者
小松 敏彦 松下 唯夫 鳴川 六司 辻 忠
出版者
大阪外国語大学
雑誌
大阪外国語大学論集 (ISSN:09166637)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.257-264, 1990-03-31

本研究は、健康な男女学生14名を対象に大学周辺の坂道(上り坂・下り坂)歩行について、エネルギー量を実測し、この値を基に運動強度、身体活動量を推定することで、日常生活での健康・体力づくりのための運動処方に役立てようとした。その結果、次のことを得た。1)各歩行での歩行速度は、男女間で平均64.9〜74.0m/分であり、上り坂は下り坂よりも小さな値を示した。2)生理的負担度を酸素需要量、RMRから捉えた。男女とも上り坂歩行において大きな値を示した。また、これらの値の男女間には統計的な有意差は認められなかった。3)身体活動量の平均値は、上り坂で男子で61.9RMR・分、女子で59.2RMR・分下り坂ではそれぞれ26.5RMR・分、25.2RMR・分を示し、往復では、男子88.4RMR・分、女子54.4RMR・分であった。4)RMRと身体活動量(RMR・分)の関係をみると、各歩行間において、男女とも有意な相関関係が得られた。また、被検者全員と全歩行とをみた場合も高い相関が得られ(r=0.98)、その回帰方程式はY^^^(RMR・分)=15.32X(RMR)-5.08であった。以上のことから、坂道歩行中のエネルギー量を測定することで、その運動強度、身体活動量を推定することができ、日常生活への身体運動をとり入れるための一つの指標を得ることができた。
著者
加茂 文吉 松下 宗一郎
出版者
コンテンツ教育学会
雑誌
コンテンツ教育学会誌 (ISSN:24342734)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.14-25, 2022-01-10 (Released:2022-02-28)
参考文献数
20

本論文では芸術とサイエンスを融合するSTEAM(Science, Technology, Engineering, Art, and Mathematics)の手法を用いた教育コンテンツ開発を,情報科学系大学学部の授業として実践した事例について論ずる.プロジェクトベースドラーニング(PBL)として週1回5時間,計14週にわたる授業において,従来の音楽授業における楽器や録音装置といった機材に加え,15名の履修者全員が腕時計型運動センサデバイス並びにノート型PCを使用することで,芸術とサイエンスの両面からギター演奏技法のレッスン手法開発と習得を目指した.アクセントつきコードストロークと呼ばれる演奏技法の検討を行った結果,ギター演奏における身体運動についての履修者の関心が深まることで,芸術的視点と科学的視点を融合した思考と実践へと到達することができた.
著者
高橋 正幸 木村 和哲 奈路田 拓史 松下 和弘 宮本 忠幸 川西 泰夫 沼田 明 湯浅 誠 田村 雅人 香川 征
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1563-1568, 1995-10-20
被引用文献数
1

(背景と目的) 夜間陰茎勃起現象の記録は勃起機能検査法として早くから行われてきた検査であるが, 現在でもその.重要惟、は変っていない.特に器質性インポテンスと心因性インポテンスの鑑別には必須の検査であり, 陰茎周径を測定するため活性炭や水銀を用いたストレインゲージが使用されてきた. (対象と方法) われわれは今回, 水銀ストレインゲージにかわるインジウムとガリウムの合金製のストレインゲージを使用した新しい装置を開発しこのストレインゲージを用いた新しい夜間陰茎勃起現象記録システムが臨床に使用可能かどうかを正常ボランティアを対象に検討した. (結果) インジウム-ガリウムストレインゲージは, 伸展-抵抗の特性が直線的でしかも再現性が高く夜間陰茎勃起現象の記録に充分な性能を有していた.測定データの保存, グラフ化のためのソフトウェアは簡潔で, しかもすべて日本語表示であるため操作が容易である.またこの新しいストレインゲージはディスポーザブルなのでメインテナンスが不要であり, 清潔である. (結論) 本システムは夜間陰茎勃起現象の記録の目的で臨床使用が可能であると考えられる.
著者
久保田 修 落合 巧 小川 祐子 横山 明子 長尾 住代 松下 重子 高橋 芳子 今坂 純奈 木部 美帆子 野中 佳子 村松 富子 佐藤 五夫
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.626-632, 2010 (Released:2013-07-31)
参考文献数
19
被引用文献数
2

目的:適切なBMIを維持する事が健康長寿にとって重要であるので,どのような生活習慣がBMIに関連するのかを明らかにする.方法:当院健診センターを受診した6,826人を対象とし,生活習慣に関する質問事項と計測したBMIの関連性について統計学的に比較検討した.結果:年代別BMIの分布では男性では30~50代の中年層で高く,女性では20代と30代の若年層で低い傾向がみられた.男女とも食べる速度が速い群と遅い夕食を摂る群でBMI高値であったが,運動習慣や睡眠の満足度との関連性は認めなかった.男性では夕食後に間食がある群と3合以上飲酒する群でBMIが高く,喫煙者,日常生活での身体活動がある群,歩行速度が速い群,毎日飲酒する群で低値であった.女性では朝食を抜く習慣がある群でBMIが高値であった.結論:保健指導においては,禁煙,運動,適度な飲酒などはもちろんのこと,ゆっくり食べることと遅い時間に食事を摂らないことを指導することが特に重要である.
著者
斎藤 徹 白波瀨 龍一 砂川 裕亮 松下 祐也 髙橋 耕一 牧野 秀樹 山崎 裕 栂安 秀樹
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.233-239, 2020-12-31 (Released:2021-01-28)
参考文献数
15

当院の高齢者に対する歯科訪問診療を評価することを目的として,高齢者の歯科訪問診療症例と外来診療症例の年齢分布および歯科治療の内訳を比較した。当院が2011年1月~2019年12月の間に歯科訪問診療および外来診療を施行した新患症例はそれぞれ6,303例,10,014例であった。これらの症例中,65歳以上の高齢者の訪問診療および外来診療症例はそれぞれ5,753例(91.3%),1,806例(18.0%)であった。訪問診療では外来診療と比較して,歯周治療(60.7% vs 88.1%),義歯新製(28.0% vs 46.7%),抜歯(20.3% vs 45.6%),歯冠補綴(4.4% vs 50.6%),インレー修復(0.5% vs 17.4%),レジン・グラスアイオノマー充塡(21.9% vs 56.1%),抜髄(2.0% vs 18.9%)および感染根管処置(1.7% vs 20.5%)を行った症例の割合が有意(p<0.001)に低かった(歯科治療内容の重複症例あり)。他方,義歯調整・修理(32.5% vs 16.7%)および摂食機能療法(18.5% vs 2.0%)を施行した症例の割合は訪問診療では外来診療と比較して有意(p<0.001)に高かった。 高齢者に対する歯科訪問診療でも多様な歯科治療が行われており,外来診療と比較して義歯調整・修理および摂食機能療法を施行した症例の比率が高く,咀嚼や摂食嚥下機能に問題がある症例が多かった。しかし,その他の治療を行った症例の割合は歯科訪問診療では外来診療と比較して低かった。
著者
松下 洋巳
出版者
立教大学
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.7-21, 1997-03
著者
ボイクマン 総子 根本 愛子 松下 達彦
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2-3, 2019 (Released:2019-07-02)
参考文献数
5

A placement test (PT) should be administered to many test-takers simultaneously, simply, and in a short period of time. Additionally, its results should have high reliability. However, conventional speaking tests do not satisfy these conditions. To address this, we have developed STAR, Speaking Test of Active Reaction, along with two evaluation tools: a rubric and audio samples. Using these, five evaluators graded the performance of 32 test-takers. We found a high intraclass correlation coefficient and that the raters gave results consistent with one another. Time spent on evaluation was short— fewer than two minutes per test-taker. Therefore, we conclude that as a speaking test for PT, STAR has the necessary qualities of reliability, validity, and usefulness.
著者
高橋 徹 松下 正明
出版者
日本病跡学会
雑誌
日本病跡学雑誌 (ISSN:02858398)
巻号頁・発行日
no.89, pp.65-80, 2015-06

本文の機関リポジトリ公開にあたって2020年3月に補遺を新たに作成したため、補遺は学会誌に掲載されていない。2009年に,がんで早逝したSF作家の伊藤計劃を対象として,特に伊藤氏の個人プログ『伊藤計劃 第弐位相』にある闘病に関する箇所を抜粋したうえで,「病と創作」をテーマに考察を行った。ストレス心理学における「コーピング」の概念,特に「考え込み型反応」と「気晴らし型反応」の概念を使うことで,がん闘病下における伊藤氏の心理的変遷を検討した。また「病と死」に対峙した心理状態が,創作に及ぼした影響に関しても検討した。「意識」と「死」に関する伊藤計劃の思想的基盤として,「進化心理学」の存在を指摘し,それらが『ハーモニー』の創作に与えた影響について考察した。