著者
松下 嘉一 今野 昭義 鎌田 慶市郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-23, 1993-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7

平成1年12月から平成2年6月まで千葉大学耳鼻咽喉科外来に口内乾燥を主訴として来院したシェーグレン症候群 (SjSと略) 4例について, 同大学第1内科において, 症例によっては現代医薬を併用し漢方治療を行った。漢方方剤としてはエキス製剤および煎剤, 丸剤を用いたが同名方剤でも煎剤のほうが有効と考えられた。治療経過については唾液分泌量を指標とした。4例中1例に正常化がみられた。他4例には多少なりとも唾液分泌量の増加をみとめた。したがって口内乾燥症状に多少なりとも漢方治療が有効であったことから, QOLに幾分なりとも寄与するものと考えられる。
著者
高橋 徹 松下 正明
出版者
日本病跡学会
雑誌
日本病跡学雑誌 (ISSN:02858398)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.65-80, 2015-06

本文の機関リポジトリ公開にあたって2020年3月に補遺を新たに作成したため、補遺は学会誌に掲載されていない。
著者
松下 貢
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.676-680, 1997-09-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
11
被引用文献数
1 2

散逸構造は熱平衡状態から遠く離れた非線形・非平衡・解放系で自己組織的に生じる時空パターンである.系の制御パラメータを増していくと分岐現象として次々に質的に異なった散逸構造が現れる.散逸構造は物理,化学系に限らず普遍的に存在することを,いくつかの具体例を示しながら強調する.
著者
藤井 浩之 道下 一朗 井澤 朗 三浦 元宏 梅田 研 松下 和彦 元田 憲
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.102-106, 2000-02-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

症例は,72歳,女性.1998年2月初旬より感冒様症状があり,近医で内服治療を受けていた.2月9日胸痛が出現し同医院を受診したところ,心電図上ST上昇を認め心筋梗塞の疑いにて当院に救急搬送された.心筋梗塞を疑い冠動脈造影を施行したが,異常所見を認めなかった.スワンガンツカテーテルにて心拍出量の低下および心臓超音波検査による壁還動のび漫性低下の所見を合わせ急性心筋炎による心不全(フォレスターIII度)と考え,昇圧薬と利尿薬による心不全治療を開始した.第3病日突然に心原性ショックに陥ったため,大動脈内バルーンパンピング法,経皮的心肺補助装置による補助循環を開始した.心機能の回復がなく,第5病日に人工呼吸器管理,さらに第8病日には腎不全のため透析を開始したが,第12病日に多臓器不全のため死亡した.ペア血清でインフルエンザA型(H3N2)のウイルス抗体価の有意な上昇を認めた.さらに剖検心組織からRT-PCR法によりインフルエンザA型ウイルスが検出された.97年度はインフルエンザが流行した.そのインフルエンザウイルス感染が原因で心筋炎を発症し激烈な経過をたどり,剖検心筋組織からウイルスが証明された症例を経験したので報告する.
著者
三輪 和久 松下 正法
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.152-163, 2000-06-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
19
被引用文献数
5

We investigated the processes of mental constraints relaxation as a key factor for gaining insight, using a discovery task. In our experiments, we set up four kinds of experimental conditions. First, we introduced three conditions while controlling mental bloking factors: (1) a condition in which subjects searched an incorrect hypothesis space, (2) subjects clung a blocking hypothesis in an incorrect hypothesis space, and (3) subjects gained no constraints as above. Second, based on feedback factors, the condition (2) was subdivided into the following two cases: (2a) a case in which a prediction from a subject's hypothesis missed largely from an experimental result, and (2b) a case in which a prediction and an experimental result were separating gradually. The experimental results showed that finding the target was disturbed more remarkably as stronger blocking factors were given. Especially, when subjects who formed an invalid blocking hypothesis were given only gradual feedback, the subjects' performance of finding the target extremely declined.
著者
松下 孝太 中村 裕樹 竹内 明禅 永留 篤男 八反丸 健二
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.93, 2016 (Released:2016-11-22)

【目的】 投球動作において、late cocking(LCK)~acceleration(ACL)に投球時痛が多く、さらにmaximum external rotation(MER)となる時期でストレスが増大すると報告されている。MERは、肩甲骨、胸椎、胸郭など肩複合体として機能する必要性があり、それらの動きを意識して普段のケアを行うことが重要と感じている。今後、「肩甲骨、胸椎、胸郭の投球動作への関連」という医学的観点から選手に指導を行い、ケア意識の向上とMERにおける機能改善を図りたいと考えている。そこで今回、現場での投球時痛の割合とケア意識の実態を把握するための基礎調査を研究目的とした。【方法】 対象は2016年2月時点で某大学野球部に所属していた49名(投手16名、内野手22名、外野手11名、平均年齢19.5±1.5歳)とし、アンケート調査を行った。今回は、49名中有効回答が得られた47名ついて検討した。内容は、調査時の肩・肘痛の有無、投球時痛の生じる時期、重要だと思う時期と気を付けている点(複数回答)、LCK~ACLにおいて重要だと思う部位、普段のケアの重要度とした。【結果】1)投球時痛の有無 18名(38%) 肩10名、肘5名、肩・肘3名2) 投球時痛の生じる時期 LCK~ACL:8名(44%)、LCK:5名(28%) ACL:3名(17%) follow through:2名(11%)3) 重要だと思う時期と気を付けている点 ① LCK~ACL:18名(38%) 肘下がり8名(44%)、体の開き8名(44%)、力み2名(11%) ② early cocking~LCK:13名(27%) 体の開き7名(54%)、壁を作る5名(38%)、テイクバック1名(8%) ③ wind up:11名(23%:全て投手) 軸7名(64%)、重心の位置3名(27%)、力み1名(9%) ④ その他・特になし: 5名(10%)4) LCK~ACLにおいて重要だと思う部位 特になし・分からない:34名(72%)、股:6名(13%)、肩:5人(11%)、肩甲骨:2名(4%)5) ケアの重要度 重要と感じ行っている:24名(51%)、重要だが時間がない:9名(19%)、重要だが面倒くさい:9名(19%)、重要でない:4名(9%)、重要だが、方法が分からない:1名(2%)【考察】 全体の約4割の選手が投球時痛を有していた。うち9割がLCK~ACLの痛みであり、疼痛を有する選手の約6割が「体の開き」や「肘下がり」等、動作面で気を付けていた。しかし、「体の開き」や「肘下がり」にならないようにするためには「どう動かすか」という意識する選手は少なく、LCK~ACLにおいて胸椎や胸郭を意識する選手はいなかった。また、ケアの重要性を感じていても時間がない、面倒くさい、方法が分からない選手が約4割いた。投球動作においては一連のスムーズな並進運動と回転運動が重要であるが、今後「LCK~ACLにおける肩甲骨、胸椎、胸郭の関連」に着眼点を置き、医学的観点から選手へ指導を行うことで、普段のケア意識の向上に繋げたいと考える。そして、現場へケアの方法を浸透させ、MERにおける機能改善を図り、肩複合体として投球動作を遂行することで、MERのメカニカルストレス軽減を目指したい。今後、縦断的な調査を行い、投球時痛に悩む選手の減少に繋げたい。【まとめ】・約4割の選手が投球時痛を有していた・動作面への意識はあるが、機能面への意識が低かった・ケアの重要性は感じているが、実施できていない、方法が分からない選手が約4割いた・今後、MERの機能改善により、投球時のメカニカルストレス軽減に繋げたい【倫理的配慮,説明と同意】本研究は当院倫理委員会より承認を受け実施した(承認番号:1602)。
著者
藤長 愛一郎 大脇 遼 諸澤 正樹 渡邊 信吾 松下 稔
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.172-179, 2014-03-20 (Released:2014-04-01)
参考文献数
18

2009年に世界中で流行した新型インフルエンザA(H1N1)を対象に,発病する可能性のある感受性者S,保菌者E,発病者I,免疫保持者RへといたるSEIRSモデルを作成した.そして,特定の学校内など局所的,地域的な傾向を予測できる方法として,発病者と接触し感染する人の行動を確率的に捉えてシミュレーションする「動的解析」を行った.この解析結果を微分方程式の数値解と比較し,動的解析の有効性を確認後,現実社会への応用として,学級・学年閉鎖の効果を検討した.
著者
亀田 啓悟 松下 泰章
出版者
関西学院大学
雑誌
Working papers series. Working paper
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-19, 2008-04

伝統的な経済理論に従えば政府財政の悪化は長期金利を上昇させはずである。しかしOECD諸国中最悪の財政状況にあるわが国の長期金利は、依然として低位安定を続けている。本稿ではWachtel and Young (1987)等を参考に財政赤字と長期金利に関するイベントスタディーを行い、財政赤字の悪化が長期金利に与える影響を分析する。財政赤字の予想値には財務省の『予算の後年度歳出・歳入への影響試算』による4年度先財政赤字予想値を、長期金利には10年物国債の最長期物利回りを利用した。実証分析の結果、国債市場の整備がほぼ完了したとされる2000年以降において、財政赤字の予期せざる1兆円の変化が、長期金利を約0.15〜0.25bps上昇させることが確認された。この結果は、海外の先行研究結果と比べ小規模な反応であるものの、昨今の日本の低金利を考えると妥当な反応と思われる。
著者
山口 莞爾 福元 和真 松下 侑輝 川崎 洋 小野 晋太郎 池内 克史
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.115-121, 2016-03-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

近年,ドライブレコーダーなどの車載カメラの増加とWeb による画像や動画の共有サービスの一般化により,世界中の都市の風景画像や映像をインターネットから取得することが出来るようになってきた.これらの情報は,都市の三次元モデル生成への応用や,地図の頻繁な更新,あるいは景観シミュレーションなど,幅広い応用が期待されるが,そのためには撮影された位置の情報が必要となる.しかし,GPS などの位置情報が,必ずしも画像や映像に付加されているとは限らない.そこで,このようなシーン情報から撮影位置を同定する研究が盛んに行われているが,ほとんどの研究は,ある程度の位置が分かっていることを前提に,詳細な位置合わせをするものであった.一方で,世界中の都市を対象として,大域的な位置推定を目指した研究例はほとんど無い.そこで,本論文では世界中の映像を対象として,大域的な位置推定を行うことを目標とする.大域的な位置推定ができれば,既存の詳細位置合わせ手法を適用できると考えられる.提案手法では,Google Street View の画像を学習データとして深層学習(Deep Learning) による認識を行うものとし,認識に際して,カメラごとの特性の違いや,視点の位置姿勢が異なることよる見えの変化に対応するものとした.都市の数が増えると難易度が上がると考えられることから,今回は,主要都市のみを対象として,どの程度の認識が可能か検証を行った.実験の結果,提案手法により,従来よりも高い認識率を実現できることが分かった.
著者
寺本 邦夫 大木 直人 阿部 圭一 内田 美喜子 岡田 謙一 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.327-328, 1995-03-15
被引用文献数
1

マルチメディアという言葉が一般に広く用いられるようになってずいぶんと時間が経過している.マルチメディアは,"マルチ+メディア"という言葉の通り,画像,音声,文字など複数のメディアを統合して処理できる環境として脚光を浴びており,現在では,ごく当たり前のように様々な分野で用いられている.しかし,マルチメディアは,これら複数のメディアがあってこそ意味がある場合が多い.したがって,これらのメディアのうち一つでも欠けてしまうと不快感を生じてしまうこともある.音の出なくなったテレビがよい例であろう.その他に人為的なミス,例えば,ビデオ撮影の際の音声や映像の取り忘れなど様々考えることは容易である.このようなマルチメディア情報の内,1個または数個のメディアが欠如している時,他のメディアから欠如しているメディアを創出する事を"メディアの補完"と呼ぶことにする.著者らはメディアの補完の中でも「画像」から「音声」への補完に注目した.ここでいう「音声」とは,人間のコミュニケーション手段である会話だけでなく,波の音や風の音,昆虫の鳴き声など「文字」で正確に表現するのが困難な「音」を指す.また,今回取り扱う画像は風景画や風景写真に限定し,それに対応する「音風景」を補完する音検索システムOKeS(仮称)を構築した.音風景とは英語のSoundscapeに因んで名付けた言葉で,臨場感のある音場で構成された空間である.
著者
北澤 啓雄 松下 弘幸 鈴木 敏昭 奥西 宏基
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.43, pp.5-8, 2002-06-27

BSジャパンでは、BSデジタル放送用の緊急速報スーパー装置を新規開発し、2000年12月1日の開局時から運用を開始した。本装置を開発することにより、地上アナログ放送で制作した素材をそのまま使用して放送できる合理的な運用を実現するとともに、テレビ放送をはじめラジオ放送やデータ放送を受信している全ての視聴者に公平に緊急情報を提供することができるようにした。
著者
加藤 弘通 太田 正義 松下 真実子 三井 由里
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-30, 2014-03-25

本研究の目的は、思春期における思考の発達過程を明らかにすることと、こうした思考の発達が、自尊心の低下や大人への反抗といったこの時期の諸問題とどのように関係するのかを明らかにすることである。そのために中学生468名を対象に、批判的思考態度、自尊心、親との関係、教師との関係を含む質問紙を用いて、2年間で5回の縦断調査を行った。その結果、思考の発達を示す批判的思考態度は、2年生の後半あたりから上昇する傾向にあることが分かった。また批判的思考態度の発達の状況により生徒タイプを分類し、その後の自尊心などの発達的推移を検討した結果、中学入学時の段階で思考の発達がより進んでいる者ほど、より早く自尊心の低下や大人との関係の良さの低下が生じることが示された。
著者
藤代 裕之 松下 光範 小笠原 盛浩
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.49-63, 2018 (Released:2018-05-19)
参考文献数
10

東日本大震災以降,ソーシャルメディアは大規模災害時の情報伝達ツールとして重要度を増しているが,情報爆発やデマといった課題により活用が困難になっている。本研究では,課題解決を目的に,限られた時間的制約のもとで優先度の高い情報を整理する情報トリアージのソーシャルメディアへの適用可能性を検討する。調査手法は,熊本地震に関するソーシャルメディア情報を収集・分析するとともに,報道機関や消防機関に対してソーシャルメディア情報の影響についてインタビューを行った。その結果,ソーシャルメディアから救助情報を探すことは困難であること,消防機関では通常時には情報トリアージが機能しているが,大規模災害時にはソーシャルメディアの情報を含む膨大な通報が寄せられたことにより,機能不全に陥っていたことが明らかになった。ソーシャルメディア情報の整理を消防機関の活動と連携して行うことで,情報トリアージが機能し,情報爆発やデマといった課題を解決出来る可能性があることが明らかになった。本研究は,大規模災害時の情報伝達ツールとしてソーシャルメディアを活用するためには,ソーシャルメディア情報のみを対象に研究するだけではなく,被災地での活動を調査し,連携する方法を検討することが重要であることを示している。この知見は,救助活動のみならずソーシャルメディアを通した被害状況の伝達や物資支援などにも応用が可能であろう。
著者
平田 好洋 松下 晋一 中釜 晋 石原 義巳 堀 三郎
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1129, pp.881-887, 1989-09-01
被引用文献数
5 14

Dispersion, rheology and consolidation of the colloidal suspension in the alumna powder-silicon nitride whisker system were studied to control the microstructure and density of the green compact. Al_2O_3 particles with au average diameter of 0.15 μm and Si_3N_4 whiskers with an average size of 0.4 μmX3.7μm were electrostatically dispersed in water in the pH range 3 to 10 and consolidated by filtration. Well- dispersed stable suspensions were obtained at low pH. Decreasing the viscosity and at the same time increasing the solid content of the suspension is the hey step in making the green compact with high density and a narrow pore size distribution. Application of isostatic pressing to compacts consolidated by filtration increased green density and shifted the pore size distribution to smaller size. These green compacts by colloidal processing were densities to relative densities of 98.4-99.4% by hot-pressing at 1500℃ at a pressure of 39 MPa in N_2 atmosphere.