著者
松本 紘 篠原 真毅
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.123, no.3, pp.164-167, 2003-03-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
14
著者
松本 俊彦
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.158-168, 2019

<p>非自殺性自傷とは,感情的苦痛の緩和や他者に対する意思伝達や操作などの,自殺以外の意図からなされる,故意の身体表層に対する直接的損傷行為を指す。この行動は,DSM-Ⅳ-TRの時代までは,境界性パーソナリティ障害の一症候としてのみ認識されてきたが,DSM-5では,この行動は境界性パーソナリティ障害とは独立した診断カテゴリーとなった。このことは,従来の,自傷を限界設定の対象と見なす考え方から,自傷それ自体を治療の対象とする考え方と,治療理念の変化が生じたことを意味する。</p><p>本稿では,まず非自殺性自傷に関する臨床概念の歴史的変遷を振り返り,今日における非自殺性自傷の捉え方へと至る過程を確認したうえで,物質使用障害などの嗜癖,ならびに自殺との異同を論じ,最後に,DSM-5における非自殺性自傷の診断カテゴリーの意義と課題について筆者の私見を述べた。</p>
著者
松本 和也
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.91-122, 2019-10

本稿では、昭和10年代(1935~1944)の国民文学論を再検証した。先行研究の検証によれば、従来、昭和10年代の国民文学論は、不毛なものだとみなされてきた。昭和10年代の国民文学論は、すぐれた実作や厳密な定義を生みだすことがなかった、と捉えられてきたからだ。それに対して、同時代の視座から国民文学論を捉え直すことを目指し、広範な言説(主には新聞・雑誌上の記事)の調査と分析によって、その歴史的な意義を考察した。1章で示した問題関心につづき、2章で、1937年の国民文学論(昭和10年代における国民文学論第一のピーク)を検証した。そこでは、国民という概念をめぐって、さまざまな立場からの議論が交錯していた構図を整理しながら、国民文学論についての言説を分析した。3章では、数年間のブランクを経て後に、再び盛んになった1940~1941年の国民文学論(昭和10年代における国民文学論第2のピーク)を検証した。この時期の国民文学論に、政治の影響力が大きく関わっていることを重視した。その上で、政治と文学との関係に注目しながら、国民文学論の多様な論点について、整理と分析を行った。これらの作業を通じて、一つの結論へと至ることのなかった国民文学論の論点を、六つに整理した。その上で、国民文学論の多様な論点・立場が、文学の諸問題に関する議論としても重要な議論であったことを明らかにした。最後に、4章で、昭和10年代後半における、国民文学論の変化を分析した上で、国民文学論が国策文学と重なっていくことを確認した。以上の分析成果をまとめ、国民文学論がインターフェイスとなって昭和10年代の文学のさまざまな問題を浮かび上がらせたことこそが、その歴史的意義であると論じた。
著者
成田 敦史 植村 和彦 松本 みどり 矢部 淳
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.5-18, 2012-09-28 (Released:2017-10-03)
参考文献数
44

A late Middle Miocene megafossil flora (Konan Flora) is preserved in lacustrine deposits in the Konan Tuffaceous Sandstone and Mudstone Member of the Bifuka Formation in Shibetsu City, Hokkaido, the northernmost island in Japan. The Konan Flora is composed of 38 taxa in 17 families and 24 genera and includes 4 evergreen conifers, 1 monocotyledonous perennial herb, 33 deciduous dicots, and 2 seeds of unknown affinity. The most dominant species in the flora is Fagus palaeojaponica, followed by Acer subcarpinifolium, A. protojaponicum, Picea sp., Salix sp., Cercidiphyllum crenatum, Betula protoglobispica, and Cladrastis chaneyi. The vegetation inferred from the Konan Flora is broad-leaved deciduous or mixed northern hardwood forest which is typical in northern Japan at the Middle Miocene. The composition and components of the Konan flora are similar to those of the Late Miocene Mitoku-type floras in Hokkaido. The leaf physiognomy and quantitative climate analysis based on the CLAMP (Climate Leaf Analysis Multivariate Program) revealed that the prevailing climate was a wet cool temperate climate similar to modern Hokkaido or northern Honshu. Compared with Sakipenpetsu flora (early Middle Miocene), Shanabuchi flora (Late Miocene) and Rubeshibe flora (Early Pliocene), there were no great differences between the Konan flora and those three floras in terms of climatic conditions.
著者
大江 祐一郎 神前 英明 松本 晃治 清水 猛史
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.478-482, 2017-12-25 (Released:2018-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

唾液腺導管癌は局所再発や遠隔転移を生じやすいが,再発・転移例に対する確立した治療法はない。また,アンドロゲン受容体(AR)の発現が高率に認められる特徴を有する。今回,唾液腺導管癌の局所再発・多発骨転移に対し,抗アンドロゲン療法が奏功した1例を経験したので報告する。症例は64歳,男性。右顎下腺癌T3N2bM0に対し手術加療を行い,唾液腺導管癌と診断され,病理学的にARの過剰発現を認めた。術後に化学放射線療法を施行したが,6ヶ月後に局所再発を認めた。17ヶ月後には多発骨転移が出現し,ビカルタミド(80mg/日)内服投与を開始した。腰痛に対して30Gy/10Frの緩和照射も行った。ビカルタミド投与6ヶ月後のPET-CTで局所の腫瘍は消失し,7ヶ月後の腰椎造影MRIでも大部分で腫瘍の造影効果が消失した。遠隔転移から1年経過し,乳房腫脹を認めているが,その他大きな副作用はない。AR陽性の唾液腺導管癌に対して,抗アンドロゲン療法は有用な治療選択肢の一つである。
著者
中村 啓二 松本 範裕 黒田 晃 小牧 正子 野村 央文 大西 良祐 高瀬 裕章 松村 洋一 永畠 秀樹 橋本 良一 武田 康一 小林 大樹
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.7-10, 2010-03-31 (Released:2017-03-02)
参考文献数
1

「山田錦」並の酒造適性をもち,石川県で安定生産可能な早生品種「石川酒52号」を,「予236(五百万石/フクヒカリ)」を母本,「新潟酒28号(後の「一本〆」)」を父本とする交配組合せから育成した.出穂期および成熟期は,それぞれ「五百万石」とほぼ同じである.稈長は「山田錦」よりも20cm程度短く,収量性は「五百万石」並である.耐倒伏性は「五百万石」にやや優り,穂発芽性は「山田錦」の"やや易"に対して"中",脱粒性は「山田錦」の"易"に対して"難"である.玄米千粒重は「五百万石」並,心白発現率は「山田錦」より高い.試験醸造による酒造適性評価は「山田錦」並に高い.現在,「石川門」の愛称で流通している.
著者
新井 悠 吉岡 克成 松本 勉
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1388-1396, 2020-09-15

近年,様々な違法物品ならびにサービスが,ダークウェブ上に構築された仮想取引所などで取引されている.これを利用することにより誰でもそれらの違法物品を手に入れることが可能になってきている.研究者らがダークウェブをクローリングすることで,こうした違法物品取扱サイトの状況などを確認する試みも行われてきている.他方で,ダークウェブ内の違法取引所の自動検出に焦点を置いた研究は少ない.本研究ではダークウェブ上に構築されているこれらの秘匿サービスのクローリングを行い,データを収集した.そのうえで,隠語の変化などに左右されない,HTTPヘッダを特徴量にする手法で,かかる違法物品取扱サイトを自動検出する手法を案出した.
著者
近藤 義典 松本 秀一 岩田 隆敬 佐藤 直樹 今田 高峰 山本 一二三 小林 聡 本山 昇
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp._S191022-1-_S191022-5, 2012

We are now studying high accuracy reentry guidance algorithms for reentry capsule. In this paper, we propose a real-time prediction guidance using numerical integration. The real-time prediction guidance is an explicit guidance law using numerical integration for range prediction during reentry flight. One of technical issues of the real-time prediction guidance using numerical integration is that navigation error and wind error lessens the navigation accuracy. Especially, errors in the last phase of reentry flight affects the navigation accuracy. So we researched that mechanism by investigating the navigation ability (ability of range adjustment) of several navigation segments.
著者
本間 秀彰 橋本 義人 宮崎 信義 松本 隆亜 佐々木 希吉
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.457-462, 2007-05-10
参考文献数
24
被引用文献数
3 5

To ascertain the use of health foods by patients and the associated problems, we asked 364 patients who brought prescriptions to our pharmacy to fill out a questionnaire. The questions asked aimed to determine the percentage of patients using health foods, the purpose of using them and the kinds of health foods used as well as the period, the frequency, amounts, and the effects of using them. Other questions concerned the person advising them on the use of health foods, the side effects of health foods, and the awareness of patients regarding the interactions between drugs and health foods. The knowledge obtained from the responses received should enable us to provide better pharmaceutical care to patients.
著者
松本 健太郎
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.109-116, 2018

ポケモンGOはそのリリース直後、都市の意味空間を規定するレイヤーを多層化させ、われわれが認知するリアリティをより錯綜したものへと変質させた。実際それは物理空間と仮想空間の領域区分を越境しながら多くの社会問題を引き起こし、われわれが生きる意味世界に「分断」(それをプレイする人とそうでない人のあいだのそれ)をもたらす存在として報道されるに至った。本論考ではプレイヤー/非プレイヤーのあいだの「軋轢」、あるいは、そこから派生した社会的な「分断」を視野にいれつつ、複数の領域にまたがる理論的言説を参照しながら、また、それを前提に「ゲーミフィケーション」概念を再考するなどしながら、デジタル・テクノロジーが現代の記号世界にもたらしつつあるものを考察の俎上に載せてみたい。
著者
松本 和久 秦野 正治 大宮 慎一 藤井 秀樹
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.54-63, 2017 (Released:2016-12-31)
参考文献数
40
被引用文献数
4 5

To investigate an effect of internal hydrogen on mechanical properties of a new austenitic stainless steel “STH2” having a nominal composition of Fe-15%Cr-9%Mn-6%Ni-2.5%Cu-0.15~0.2%N, tensile tests and fatigue crack growth tests were conducted for the specimens containing around 80 ppm hydrogen charged by the exposure in 45 MPa hydrogen gas at 300˚C for 200 h and the ones heat treated in air with the same heat pattern.At room temperature and –40˚C, no significant ductility drop by hydrogen charging was observed and about 80% of relative reduction of area was obtained, which is the same as that of JIS SUS316L with the same amount of internal hydrogen. In the specimens tensile tested at –40˚C, a small quantity of quasicleavage fracture surfaces were observed. In the banded areas in which Mn, Ni and Cu were negatively segregated, some relatively coarse voids coalesced with cracks extended along the maximum shear stress plane, which is similar to what is called void-sheet type of fracture. It is quite different from the case for tensile tests in 90 MPa hydrogen gas, in which coarse longitudinal cracks form, suggesting that the concentration of hydrogen at crack tips in 90 MPa hydrogen gas is higher than 80 ppm. It was also confirmed that fatigue crack growth rates were not accelerated by 80 ppm internal hydrogen although some faceted fracture surfaces composed of (111) γ formed.It is confirmed that STH2 has excellent properties not only in high pressure hydrogen gas but also in the circumstance of internal hydrogen of around 80 ppm.
著者
辻野 彰 松本 武浩 前田 隆浩
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

遠隔医療への期待が高まっている昨今、ビデオカンファレンス方式による遠隔診療の診断精度や治療効果(質)に及ぼす影響については十分に検討されていないのが現状である。本研究では、専門医が不在の離島にカメラ付きスマートグラス(MOVERIO Pro:エプソン)を利用したDoctor To Doctor To Patient(D to D to P)のバーチャル専門外来を開設して、その有用性を質に重点を置いて検討するものである。本年度は離島の基幹病院にバーチャル神経専門外来を開設し、慢性神経疾患診療、特にパーキンソン病における治療効果に重点を置いて、D to D to Pの遠隔診療支援の有用性を検討する。専門診療介入前後でパーキンソン病の治療効果や診療満足度が向上するかどうかの評価を開始した。診察プロトコール:1ヶ月に一度の外来受診(年12回)を基本として、同意取得後の6カ月間は通常診療を行う。この期間の診療をコントロール期間として、その後に引き続いてバーチャル神経専門外来を実施する。通常診療時とは別の現地の専属医師が大学の専門医のアドバイスを受けながらパーキンソン病患者を診療して抗パーキンソン病薬の薬物調整を行う。評価項目:PD統一スケール改訂版(MDS-UPDRS)、ウエアリング・オフ現象のオンとオフ状態の時間、ジスキネジアの有無、PD特異的QOL尺度質問票(PDQ-39)、臨床的全般印象度の変化(CGI-C)、認知機能(MoCA)、レボドパ換算総薬物投与量、入院回数、併存合併症(骨折など)、慢性疾患患者ケアシステム評価(PACIC)、アンケート調査を開始前から3カ月ごとに評価する。
著者
松本 秀明
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.720-738, 1984-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
19
被引用文献数
20 27

本論は東北地方の5地域の海岸平野を例に,そこに形成されている浜堤列の成因と形成時期を明らかにするものである. 沖積層の露頭観察,堆積物の粒度分析をもとに,過去6,000年間における旧汀線位置・高度の連続的な変化を復元した.その結果,現在を含めて4回の極大をもつ旧汀線高度の上下変動が認められ,これに伴い沖積上部砂層上面に風成・浅海底砂からなる波状の起伏が生じ,その凸部が地表で浜堤列として認められていることが明らかになった.従来,浜堤列は3列に大別されることが多かったが,本論では地表面下に埋没している浜堤列の存在も認められ,各浜堤列形成時の海水準高度は,仙台平野中部地区において,それぞれ+1m, -1.5m, -1m, ±0m (現在)である. 各海岸平野において個別に求められた浜堤列の形成時期には明らかな同時性が認められ,各列の形成時期は,内陸側から5,000~4,500年前, 3,300~3,000年前, 2,600~1,700年前および800年前~現在であることが明らかになった.