著者
村田 康乃 篠田 日菜子 大平 雅之 松本 尚子 宮武 滝太 堀野 良和 小田 晃規 黒田 重靖
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.248-248, 2011

1,6-メタノ-2,3-シクロペンタジエノ[10]アヌレンとジクロロケテンとの反応により付加体を得た。ついで,これを加水分解すると1,6-メタノ-2,3-トロポロノ[10]アヌレンの異性体 (1)、(2) が得られた。また現在更に3,4-ジホルミルフランを原料として新規な合成経路により1,6-メタノ-2,3-シクロペンタジエノ[10]アヌレンの合成を行った。これから、3,4-異性体 (3),(4) の合成を行っている。
著者
山内 慎 西森 正志 西嶋 直人 新谷 一也 松本 恭徳 松井 克憲
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.35-38, 2011-07-31

本研究は,画像認識技術を用いた列車運転士用支援システムを開発することを目的とし,ラボスケールで実施できる鉄道模型用の標識認識システムを作成した.本技術は,実車において運転士の目視による安全確認時の支援用ツールとして提案できるものである.本システムでは,画像認識用の標識を模型車両の車載カラービデオカメラによって動画撮影し,PCにキャプチャーし,画像認識ソフトウェアによりリアルタイム処理した後,標識で決められた音を自動的に鳴らす仕組みを実現した.画像認識用の標識はRGBの3原色を用いて5段の横縞状にデザインし,16種類作成した.標識サイズは8mm角とした.画像認識処理法には投票処理法を用いた.認識手順は,1)16種類の標識に投票箱を用意し,2)ピクセル毎にRGBの輝度値を調べ,3)最大値を持った色をその位置での色とし,4)最終的に一番多い票を獲得した標識番号が出力され,5)認識した標識画像をPC画面に表示し,6)標識で指定された音を鳴らすとした.楕円形の軌道上に「鉄橋」,「踏切」,「カーブ」部を設け,それぞれの開始,終わりの標識を進行方向右側に設置したコースを作成して実験した.その結果,実車スケール速度40km/h相当での走行時の標識認識率は100%であった.
著者
高倉 耕一 松本 崇 西田 佐知子 西田 隆義
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.255-265, 2012-07-30
被引用文献数
1

種間に生じる繁殖干渉が生態学的に重要である理由は、この相互作用が種間の排除を最も強力にもたらすためである。一方で、外来生物による在来種の排除には多くの例が知られているにもかかわらず、外来種による繁殖干渉についてはほとんど研究例がなかった。西日本固有種で主に都市部での減少が注目されるカンサイタンポポを材料とした一連の研究により、野外において近縁外来種セイヨウタンポポの比率が高いほど在来種の結実率が低下すること、その直接的な要因が外来種からの種間送粉であること、その範囲が数メートルの規模におよぶこと、などが明らかになってきた。タンポポ類におけるこれらの研究は、繁殖干渉が、外来種が在来生態系に影響を及ぼす際の重要なメカニズムであることを示す一つのケーススタディになりつつある。本研究ではカンサイタンポポ個体群が衰退した要因としての繁殖干渉の重要性を更に検討するため、個体ベースのシミュレーションモデルを構築した。モデルには、既存研究で明らかにされた繁殖干渉に関わるパラメータに加え、野外において死亡率など両種の個体群動態に関わるパラメータを測定して用いた。シミュレーション解析の結果より、野外で観測される繁殖干渉の強度は1世紀程度の時間で在来種を衰退させるのに十分であること、その効果は人為的な撹乱がもたらす死亡率の増加によって増強されることなど、カンサイタンポポについて観測されてきたパターンと整合性が高いことが確かめられた。また、複数の外来種管理プログラムについて在来種個体群存続に及ぼす効果を検証し、より低コストで効果的な在来種保全手法についての提言を行った。これらの成果は、繁殖干渉の研究が在来種の衰退要因を理解する上で重要であるだけでなく、その保全においてもコストパフォーマンスに優れた対策の選択に貢献することを示している。
著者
松本 聰子 熊野 宏昭 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.11-23, 1999-09-30

本研究の目的は父親,母親,同胞,女友達,男友だちのうち誰からの「やせに対する社会的圧力」という社会的影響が最も強く,そしてどのように摂食障害の発現に影響しているのかを明らかにすることであった.なお,対象は女子学生2,866名,平均年齢は17.20歳(SD=1.81)であった.その結果,いずれの社会的影響も自己像不満,やせ願望,摂食障害傾向,そしてダイエット行動と関連しており,その中でも女友達からの影響は最も関連が強く,父親からの影響は最も弱いことが明らかにされた.また,重回帰分析の結果から,自己像不満には肥満度の影響度の方が社会的影響よりも強かったが,その他の変数に対しては社会的影響の方が強いことが示された.パス解析の結果,肥満度は自己像不満を媒介してのみ、一方,社会的影響は自己像不満とやせ願望,そして食事強迫に直接影響し,それらを媒介してダイエット行動に結びついていることが明らかにされた.
著者
田頭 信博 松本 勉 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.93, no.24, pp.19-27, 1993-05-14

一つの管理センタの下で匿名通信路とブラインド署名技術を用い,一回の投票のために投票者が複数回メッセージを送出するタイプの(単一管理センタ複数ラウンド型)電子無記名投票方式群は,実用性の高い方式を含む可能性があり重要である.しかし,投票のプロトコルを途中で放棄する投票者がいた場合,その投票者分の票を管理センタに悪用される恐があった.そこで,本論文では単一管理センタ複数ラウンド型方式を途中棄権者票の悪用のできない方式に変換する一般的な方法を提案し,具体的も示すことにする.
著者
佐藤 大介 松本 一郎 亀井 淳志
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.117, no.8, pp.439-450, 2011-08-15 (Released:2011-12-10)
参考文献数
38
被引用文献数
1 2

島根県松江市周辺には中新世~更新世の断続的な火成活動が認められる.本研究では,この地域で活動した和久羅山と嵩山を構成する火山岩について岩石記載および全岩化学分析を行った.この火山岩はこれまで和久羅山安山岩と呼称されてきたが,全てがデイサイトに分類されることから和久羅山デイサイトと再定義した.鉱物比および化学的特徴から和久羅山デイサイトはタイプⅠ,タイプⅡ,タイプⅢの溶岩に区分でき,層序的にこの順で噴出したと推定される.そして,和久羅山デイサイトはアダカイトの特徴を示し,スラブメルトの寄与が示唆される.このデイサイトの活動は約5 Maとされていることから,この頃にはフィリピン海プレートの先端が日本海拡大に伴う熱いアセノスフェアの上昇部に到達して部分融解を起こしていた可能性がある.和久羅山デイサイトは西南日本の背弧側におけるアダカイト火山群の萌芽的活動として位置づけられる.
著者
大山 浩美 小町 守 松本 裕治
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.195-225, 2016
被引用文献数
5

近年,様々な種類の言語学習者コーパスが収集され,言語教育の調査研究に利用されている.ウェブを利用した言語学習アプリケーションも登場し,膨大な量のコーパスを収集することも可能になってきている.学習者が生み出した文には正用だけでなく誤用も含まれており,それらの大規模な誤用文を言語学や教育などの研究に生かしたいと考えている.日本語教育の現場では,学習者の書いた作文を誤用タイプ別にし,フィードバックに生かしたい需要があるが,大規模な言語学習者コーパスを人手で分類するのは困難であると考えられる.そのような理由から,本研究は機械学習を用いて日本語学習者の誤用文を誤用タイプ別に分類するというタスクに取り組む.本研究は,以下の手順で実験を行った.まず,誤用タイプが付与されていない既存の日本語学習者コーパスに対し,誤用タイプ分類表を設計し,誤用タイプのタグのアノテーションを行った.次に,誤用タイプ分類表の階層構造を利用して自動分類を行う階層的分類モデルを実装した.その結果,誤用タイプの階層構造を利用せず直接多クラス分類を行うベースライン実験より 13 ポイント高い分類性能を得た.また,誤用タイプ分類のための素性を検討した.機械学習のための素性は,単語の周辺情報,依存構造を利用した場合をベースライン素性として利用した.言語学習者コーパスの特徴として,誤用だけではなく正用も用いることができるため,拡張素性として正用文と誤用文の編集距離,ウェブ上の大規模コーパスから算出した正用箇所と誤用箇所の置換確率を用いた.分類精度が向上した誤用タイプは素性によって異なるが,全ての素性を使用した場合は分類精度がベースラインより 6 ポイント向上した.
著者
松本 陽子 山崎 由可里
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部紀要. 教育科学 (ISSN:13425331)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.43-52, 2007-02-28

小学生におけるADHD傾向と自尊感情の関係を調べることにより、ADHD傾向の高い児童の自尊感情の様相を明らかにするとともに、自己評価を低下させている要因を探ることを目的とし、W市内の小学3年生および5年生を対象にアンケート調査を実施した。ADHD傾向については、学級担任が学級全員について質問紙(1)ADHDRS-IV-Jを用い評価し有効回答数は1195であった。自尊感情については、ポープらの自尊心尺度を参考に作成した自尊感情尺度(質問紙(2))を用い、学級担任の指導のもと児童がアンケートに答えた。有効回答数は1162であった。ADHD傾向についてはDSM-IVの基準を参考に得点の高いものをADHDサスペクトとした。本調査の結果、サスペクトは、混合型17名、不注意型23名、多動性-衝動性型3名の合計43名(約3.6%)であった。自尊感情について、合計得点および因子分析の結果得られた下位尺度「身体イメージ」「家族」「学業」「願望」「友だち」ごとにADHDサスペクト群と非サスペクト群を比較した結果、ADHDサスペクト群が非サスペクト群に比べ、自尊感情の合計得点が有意に低く、「学業」「家族」「友だち」の下位尺度においても有意に得点が低かった。「身体イメージ」「願望」においては、有意な差はなかった。以上により、ADHD傾向の高い児童はそうでない児童に比べ、自尊感情が低く、それは、「学業」「家族」「友だち」のそれぞれの地域においての自己評価の低さによるものであることが明らかにされた。
著者
松本 勝明
出版者
北海道大学公共政策大学院 = Hokkaido University Public Policy School
雑誌
年報 公共政策学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.127-141, 2015-03-31

Nationals of EU member countries (EU citizens) have the right to move and reside in other member countries. However, it is permitted for the member countries to attach restrictions and conditions to this right. When nationals of EU member countries move to another member country and reside there, they can generally receive the same social benefits as the citizens of that country. However, to avoid excessive financial burden on member countries, which accept nationals from other member countries, they are not responsible for providing social assistance benefits to jobless nationals of other member nations. In Germany, for example, such people do not receive basic security benefits provided to individuals seeking jobs (Hartz IV benefits). This treatment has become the object of debate. By taking up issues such as this, this paper examines the relationship between human movement that transcends national borders and the receiving of social benefits.
著者
松本 剛次
出版者
独立行政法人国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.1, pp.103-113, 2005-03-15

本報告は国際交流基金派遣日本語教育専門家である筆者のインドネシア・スマトラ地区における日本語教育ネットワーク支援活動の基本的な考え方とその実践例について報告したものである。筆者はネウストプニー(1997: 181)による「ネットワーク」の考え方に倣い日本語教育ネットワーク支援活動を「日本語教育という活動に参加する者の配置と係わり合いをより活性化するための支援」と捉えて実践している。現在のところその支援の舞台は既に存在している各種の「教師会」であるが、筆者が観察した結果、これらの教師会には「形骸化」、「固定化」、「階層化」が見られ、ネットワークがネットワークであるためには不可欠である参加者の「配置と関わり合い」が停滞している、という問題が確認できた。そこで筆者は春原(1992)による「ネットワーキング・ストラテジー」という考え方を参考に、いくつかの「戦略」を立て、その改善に取り組んでいる。
著者
長尾 茂人 近藤 誉之 中村 敬 中川 朋一 松本 禎之
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.255-259, 2016 (Released:2016-04-28)
参考文献数
16
被引用文献数
4

症例は43歳の男性である.亜急性に小脳失調症が出現し,ヒト免疫不全ウィルス(human immunodeficiency virus; HIV)感染症が確認された.小脳失調症の原因として,HIV脳症や二次性脳症を来たすウィルス,真菌,抗酸菌などの存在は否定的であった.一方で,自己免疫性小脳失調症と関連のある抗体である抗Yo抗体及び抗グリアジン抗体が検出された.HIV感染症では自己免疫現象がしばしば惹起されることが報告されている.HIV感染症に伴う小脳失調症では自己免疫機序による可能性を考慮する必要がある.
著者
松本 忠明
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.352-358, 2012

帝人在宅医療株式会社では,東日本大震災発生直後から被災地をはじめ,停電エリアの在宅酸素療法患者への支援活動を実施した.震度5弱以上の被災地には約2万5,000人に及ぶ当社酸素濃縮装置の使用者がおり,地震発生直後から災害対応支援システム(D-MAP)を活用した安否確認を開始.仙台に災害対策本部,東京に災害支援本部を設置して,全国から応援要員の派遣や酸素濃縮装置,酸素ボンベの緊急配送を行い,避難所や医療機関で酸素療法が継続できる体制を整備した.今後の課題としては,「地震災害対策マニュアル」の改訂を進めるとともに,緊急時の携帯用酸素ボンベへのスムーズな移行,低流量で乗り切るための呼吸リハビリテーション指導など,患者指導の支援があげられる.加えて,災害時支援における行政,医療機関,在宅酸素事業者の連携体制の確立が重要である.
著者
松本 政春
出版者
吉川弘文館
雑誌
日本歴史 (ISSN:03869164)
巻号頁・発行日
no.515, pp.p18-30, 1991-04
著者
多田 幸雄 山脇 一郎 上田 修一 松本 宏 松浦 直資 安本 三治 江田 昭英 堀 幹夫
出版者
情報計算化学生物学会(CBI学会)
雑誌
Chem-Bio Informatics Journal (ISSN:13476297)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.51-59, 2001 (Released:2001-03-31)
参考文献数
17
被引用文献数
3 3

トランスメチレーション反応は免疫システムにおいて重要な役割を担っている。また反応し易いメチル基を有するスルホニウム化合物は生体内においてメチル基の供給源となり得ると考えられる。我々は抗アレルギー薬の開発を開発を目的として、構造活性解析の観点からスルホニウム化合物の物理化学的性質を検討した。そして見出した免疫活性を有するいくつかのスルホニウム化合物の中から、2-hydroxyethyldimethylsulfonium p-toluenesulfonate をリード化合物に選定した。
著者
松本 和也 白石 伊都子 寺町 政美 中川 正嗣
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.770-775, 2007-09-15 (Released:2008-11-19)
参考文献数
14
被引用文献数
2 5

我々が経験した成人の急性膿胸に対する胸腔鏡下手術16例を検討した.男性13例,女性3例,年齢 25~82歳(平均61歳)で,発症から手術までの期間は10~50日(中央値26日),術後ドレナージ期間は9~62日(中央値12.5日),術後在院日数は14~106日(中央値22.5日)で,全例が軽快退院した.手術時期は10例が線維素膿性期,6例が器質化期であった.9例で2ポート,6例で3ポートにて手術可能であり,胸壁膿瘍を伴った1例で小開胸併施を要したが標準開胸への移行例はなかった.合併症は,3例にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による膿胸再燃,1例に肺瘻遷延を認めたが,再度の胸腔鏡下手術もしくは保存的治療で治癒した.急性膿胸に対する胸腔鏡下手術は有用な治療法であり,線維素膿性期での実施が望ましいが器質化期早期でも適応可能と思われた.起因菌がMRSAの場合は膿胸再燃を来す可能性が高く,術後胸腔洗浄などを考えるべきである.