著者
森井 俊廣 門口 隆太 小松 元太 松本 智
出版者
新潟大学農学部
雑誌
新潟大学農学部研究報告 (ISSN:03858634)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.99-107, 2011-03

砂層とその下部に礫層を重ねた単純な構造の土層地盤では、互いの層の土粒子の大きさあるいは間隙サイズに伴う保水性の違いにより、砂層と礫層の境界面の上部で降下浸潤水が保水され、集積する。境界面に傾斜をつけると、集積水は傾斜方向に流下していくため、境界面はあたかも不透水性の障壁として機能し、それ以深の領域への水の浸入が抑制される。また、境界面に沿って流下した水は、末端で集水することにより、貴重な雨水資源として捕獲することも可能である。砂層と礫層を重ねた単純な土層地盤にみられる浸潤水の遮断・捕獲の機能を、土の毛管障壁あるいは土のキャピラリー・バリア(Capillary barrier of soil)と呼ぶ。傾斜したキャピラリー・バリアのもつ浸透抑制機能を利用すれば、地盤に浸透した降雨水を表層部で効果的に捕捉し、地盤深部への浸潤を低減できるため、地山斜面やため池堤防斜面などの斜面すべり防止技術への展開が可能となる。一方、キャピラリー・バリアを地表面の近傍で平面上に敷設すれば、土壌水を根群域に保水できるため、節水かんがいが可能となる。このような土のキャピラリー・バリアがもつ応用展開の可能性に着目し、まず、土のキャピラリー・バリアの技術的特徴を紹介したのち、野外実験および圃場実験にもとづき、傾斜したキャピラリー・バリア地盤における雨水遮断機能ならびに水平状に敷設したキャピラリー・バリア地盤における節水かんがいの可能性を調べる。
著者
松本 崇 鎌田 一雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.80, pp.41-48, 1993-09-17

聴覚障害者の多くがコミュニケーション手段として用いている手話と,健聴者が用いている音声言語の相互変換をコンピュータを用いて実現することができれば,両者間のコミュニケーションは円滑なものとなり,その社会的意義も大きいと考える.本稿では,そのようなシステムの1つである「日本語かなべた書き文」から「同時法的手話単語列」」を生成する「手話ワープロ」構築の基礎検討について述べる.今回,日本語解析処理部分には,既成のかな漢字変換システムWnnを利用することで,入力日本語文の制限を緩和している.しかし,Wnnを利用する場合も課題がいくつかあり,その解決方法を示すとともに,今後の課題である手話の使い分け,未登録語に対する対処方法についても述べる.Many of hearing impaired people use signed language as the primary means of communication in daily life, while hearing people use spoken language. The realization of system, that translates sign language into spoken language and vice versa, makes communication between hearing impaired people and hearing ones smooth. In this paper, basic investigation of constructing "Sign Word Processor" that transforms a Japanese Kana sentence into a sequence of Japanese sign words is described. We use a Kana-Kanji translation system called "Wnn" in a part of Japanese analysis and certain processing. We bring up issues to be solved which occur in using "Wnn" and give some approaches to finding their solutions. We furthermore, describe processing techniques for selecting an appropriate sign word among candidates and for non-entry words in Japanese-Sign translation dictionary.
著者
後藤 美津夫 松本 尚子 加藤 一雄
出版者
群馬県畜産試験場
雑誌
群馬県畜産試験場研究報告 (ISSN:13409514)
巻号頁・発行日
no.8, pp.62-65, 2002-03

本県の肉用銘柄鶏「風雷どり」の大型化を図るため、母系のGR(レッドロック由来)の代替えとして、増体の良いホワイトロック2系統(13系:劣性白、16系:優性白)を用い、風雷どりの父系のGSGH(薩摩鶏♂×比内鶏♀)に交配し、生産された交雑ヒナについて、増体、飼料の利用性、歩留まり等の生産性について調査した。1.交雑ヒナの羽装は、13系との交雑ヒナの雄は褐色の横班で、雌は灰褐色であった。16系との交雑ヒナは雌雄とも白色で、わずかに黒い差し毛が見られた。また風雷どりは雌雄とも赤褐色の羽装であるのに対し、ヒナの外観は大きく異なった。2.試験終了時(84日齢)の体重は、雌雄とも16系の交雑ヒナが最も大きく、雄が2.913kg、雌が2.312kgで、13系の交雑ヒナは、雄が2.818kg、雌が2.264kgで、いずれも風雷どりの雄の2.527kg、雌が2.022kgを上回り、飼料摂取量は体重の大きさに比例し増加した。3.正肉歩留まりは、16系の交雑ヒナが最も高く、13系のヒナは風雷どりと同様の割合であった。
著者
石川 芳治 山田 孝 川下 茂樹 松本 俊雄 高橋 努 緒続 英章
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
日本火山学会講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.1993, no.2, 1993-10-04

火砕流の運動・堆積機構を力学的に明らかにするうえで、新しい火砕流堆積物の堆積構造並びにその物性を把握することは極めて重要となる。本調査では、1991年6月8日に雲仙普賢岳で発生した規模の大きな火砕流(堆積土砂量約350万m^3)の堆積先端部付近(国道57号直上流)において、調査トレンチを4箇所掘削し、堆積物の構造、層序、構成材料、マトリックスの粒径分布などを調べた。調査区域での火砕流本体部の堆積物の厚さは2.5&acd;3.5m程度であり、20cm&acd;1m大の安山岩の本質岩塊を含み、大礫が堆積物の表面に集積するという、逆級化構造(inverse grading)も認められる。このような堆積実態から土石流において巨礫が流れの表面に集積する現象と同じように、溶岩ドーム崩落型の比較的粗い本質岩塊を構成材料とする火砕流本体部内においても、本質岩塊同士の非弾性衝突による分散応力の効果や動的篩の効果によって、大きな粒子ほど浮上しやすくなる条件が存在するものと思われる。雲仙普賢岳で発生している火砕流の流れの状況を夜間に撮影したVTR画像からも、灼熱の本質岩塊がお互いに激しく衝突し、破砕されながらも、さらにまた衝突を繰り返している様子がよく分かる。また、火砕流本体部の下位に従来、ground-surge deposits^<1〕>と呼ばれてきたサージ堆積物が認められる場合がある。但し、この堆積物の流れ方向の分布は連続的ではなく、部分的である。このような堆積実態から火砕流の流れのモデルとしては、本体部と熱風部の境界層付近には、本体部表面と周辺の空気との剪断に起因した乱れならびに本体部から発砲されるガスの上昇によって、浮遊させられた^<2〕>細粒の火砕物が、熱風部への移行層としてのサージ状の高速流れを形成しており、緩勾配区間で本体部が減速しても、サージはそれ程減速せず本体部に先行して流下・堆積し、その後、本体部が流下するにしたがってその堆積物を埋没したものと考えられる。火砕流本体部のマトリックスは2mm以上の細砂&acd;中砂が主体であり、中央粒径は0.8&acd;2mm程度で噴煙柱崩壊型の火砕流のそれよりも粗い。空隙率は40.7%であり、一般の砂質土とほぼ同じような締まり具合を呈している。今後、火山活動が終息し、上流・中流での現地調査が可能となった時点で、流れの縦・横断方向に複数箇所、調査トレンチを掘削し、詳細な堆積構造の観察や構成材料の土質的な特性の変化(特に、流下方向の本質岩塊の粒径の変化ならびにマトリックスの粒径変化など)を明らかにすることが火砕流の運動・堆積過程を統一的に表現できる力学モデルを作成するうえで重要となる。
著者
畑江 敬子 松本 美鈴 島田 淳子 山中 英明 渡部 終五 橋本 周久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1521-1525, 1990
被引用文献数
5 3

The dorsal muscle of a carp was sliced into pieces 3mm thick, and six kinds of "arai" were prepared by washing the slices in water of regulated temperature for a specific time: 3 or 5 min in 0°C water, 70 s or 3 min in 18°C water, and 20 s or 70 s in 49°C water.<br> The physical property of "arai" was determined by 7 types of measurement. Factor analysis showed that physical properties, of all kinds of "arai" differed significantly from those of untreated fish slices and that "arai" at 0°C and 18°C treatments resembled each other. Treatment at 49°C yielded different results from the others. Sensory panel members could not discriminate the texture of 0°C and 18°C treatment, though they could discriminate 49°C treatment from the others. All of these samples at 0, 18, and 49°C treatment, were judged to be satisfactory.<br> After "arai" treatment, ATP content in the fish slices decreased; the higher the tem-perature of treatment, the more the ATP content decreased.<br> Scanning electron micrography, showed fewer lipid droplets on the surface of the "arai" slices than on that of untreated fish slices. "Arai" at 49°C treatment was smooth, so we presumed that there was thermal denaturation on the surface. Slight gaps between muscle fibers were found, which were not found in the case of untreated fish slices.
著者
山中 英明 松本 美鈴
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.20-23, 1995-02-20
被引用文献数
1

スズキの背肉を用い, 洗いによる筋肉の変化を明らかにすることを目的として本研究を行い, 以下の結果を得た。1) 0℃・5分および18℃・3分洗いでは洗い前に比べ, ATPおよび関連化合物総量はやや減少したが, 組成には大きな変化はなかった。2) 49℃・20秒洗いはATPが著しく減少して1μmol/g以下となり, 一方, IMPは著しく増加した。縮みが強く, 透明感はなかったが, 歯切れがよいと判定された。 3) 洗いによってグリコーゲンの分解は著しかった。G6PとF6Pは洗い前後でそれ程差異はみられなかったが, FDPは洗い温度に関係なく約5倍に増加した。乳酸は49℃・20秒洗いで顕著な増加がみられた。すなわち, 49℃洗いでは解糖の進行によって補給されたATPが硬直エネルギーとして使われ, 強い収縮が起きたと考えられる。4) 45℃~50℃の温度帯で20秒間洗いを行ったところ, ATPおよび関連化合物の組成はほぼ一定であり, IMPがその過半を占めた。スズキの湯洗い温度は46℃~47℃が最適であった。5) 18℃・3分洗いを行い, Ca^<2+>およびMg^<2+>イオンの影響を調べたところ, Ca^<2+>洗いではATPの分解とIMPの生成が顕著であった。縮みが強く, 湯洗いと同様な外観であった。一方, Mg^<2+>洗いでは洗い前とほとんど同じで, 縮みはみられなかった。
著者
松本 美鈴 山中 英明
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.787-791, 1992
被引用文献数
3 1

Culinary "<i>arai</i>" was prepared by washing the muscles from the legs of live tanner crab in water at 0°C for 2 min, at 18°C for 1 min, and at 49°C for 20s, respectively.<br> Sensory panel members distinguished "<i>arai</i>" prepared at 49°C from the others, in addition to which they showed an overall preference for it. "<i>Arai</i>" prepared at 49°C was significantly opaque, elastic, and tasty. After "<i>arai</i>" treatments, ATP and arginine phosphate decreased and lactate increased in the muscle, especially in "<i>arai</i>" prepared at 49°C. This means that a rapid degradation of ATP, which was produced from arginine phosphate and glycolysis, occurred in the "<i>arai</i>" treatment at 49°C. In addition, it was observed that muscle fiber curved distinctly in optical microscopy of "<i>arai</i>" prepared at 49°C. The total amounts of free amino acids were lower in "<i>arai</i>" prepared at 49°C than in the others. The amounts of glucose, organic acids except lactate, and homarine did not differ among the three "<i>arai</i>" samples. However, a large amount of AMP was accumulated and GMP was detected in "<i>arai</i>" prepared at 49°C. These results suggested that AMP and GMP in "<i>arai</i>" prepared at 49°C contributed to its strong taste. The composition of extractive components in "<i>arai</i>" prepared at 49°C was similar to that of cooked tanner crab muscle.
著者
小坂 光男 山根 基 松本 実 小粥 隆司 中野 匡隆 塚中 敦子 加藤 貴英 大西 範和
出版者
中京大学
雑誌
中京大学体育学論叢 (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-15, 2004-11-20

Biological responses due to thermal stimuli were categorized based on the areas of the human body as well as on the modalities of thermal stresses such as icing, cooling and heating applications. These biological responses reported in previous papers were analyzed based on the concepts of Selective Brain Cooling (SBC) and long-term fever range (FR)-mild hyperthermia. Although no thermophysiological problems occurred in the case reports of biological responses induced by SBC, the effects of those induced by cooling of the body trunk and extremities were not so thoroughly evaluated. On the other hand, the idea of long-term fever range (FR)-mild hyperthermia (39.5-41.0℃) proved to be helpful in therapies enhancing the immune defenses against virulent bacterial diseases through the proliferation of Langerhans cells (LCs) and, under these conditions, it might even be beneficially combined with Selective Brain Cooling (SBC) and body heating to enhance human health and physical performance.
著者
松本 豊司 瀬川 忍 末本 哲雄 竹本 寛秋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.453, pp.71-75, 2010-02-26

昨今、我々は情報関連の授業の実践を通じて、自主的な学習の組み立て、グループワークなどをうまくこなせない学生の増加を懸念しており、かつ、きちんと指導をすれば学生は伸びることも感じている。そこで、我々は平成19年度から開講している選択科目「1歩進んだPC活用講座」において、ブレンディッドeラーニングの色々な工夫を実践しており、その取り組みを通じて協調学習を含んだ授業の効果的な構成方法が見えてきた。授業の前半はICTのエキスパート教職員により複数のPCソフトウェア活用法を教え、後半は3, 4人のグループ単位で学習した技術を活用した課題を行う授業構成を考えた。グループ作業の過程でお互いが教えあい、競いあいながら成長することを狙った授業設計である。授業スタート当初はグループ課題は1度であったが、これを2度に増加することにより、はっきりと効果が増加することが確認できた。本論文では、平成19年度後期から平成21年度前期までの授業における協調学習の効果を高める取り組みとその効果について報告する。
著者
松本 哲洋
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-9, 1993

本稿は、一段活用動詞の可能動詞化について、日本語教育でどのように取り扱うかを考察したものである。日本人の学生を対象に行なった実態調査の結果、「見る」「着る」「起きる」などの動詞は可能動詞化が進んでいる一方、「居る」「教える」「比べる」などの動詞は「られる」を使用する割合が高いことがわかった。またこれまでの日本語教育においては、規範的な文法に従い、一段活用動詞の可能動詞を認めない立場のものや、使用頻度の高い一段活用動詞のみを提示するもの、一段活用動詞の可能動詞だけを提示するものなどがあり、取り扱いがまちまちであることがわかった。
著者
新谷 〓 木下 葉子 松本 太郎
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.13, no.10, pp.544-549, 1964-10-20 (Released:2010-01-27)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

In order to make statistical analysis of the melting point of fats in margarine and shortening products in Japan, melting point of products was measured monthly on 18 kinds of household margarine, 14 kinds of bakery margarine, and 14 kinds of shortening. Mean value (x), maximum and minimum values, range (R), and yearly standard deviation (σ) were calculated and these values were found to be the highest in shortening, followed in the order of bakery and household margarines, the values being x 35.55°C, 34.55°C, 33.52°C, R 12.45, 11.24, 10.24°C, and σ 4.13, 3.77, 3.29, respectively. Some of the household margarines, showed hardly any difference in the melting point throughout the year.Salt content, saponification value, iodine value, and thiocyanate value were measured as being responsible for the maximum and minimum values of the melting point, and examinations were also made on the correlation between the melting point and iodine value, linolic acid, and saturated acid.
著者
松本 和也 櫻井 孝平 山根 智
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MSS, システム数理と応用 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.493, pp.25-30, 2015-02-26

株市場を予測しようとする試みは数多くあるが,実用的なものは未だに発表されていない.その理由として,株価の推移には単純な法則は存在せず,また法則があったとしてもニュースなどの影響により法則通りにならないということが挙げられる.そこで本研究では,最新の機械学習手法であるDeep Learningと,世間の動向に対応できるようにTwitterなどのSNSビッグデータ解析を組み合わせた個別株価の予測手法を提案する.