著者
西田 綾美 松村 誠士 堀 雅彦 保富 貞宏 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.767-772, 2009-12-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

先天性表皮水疱症の3 歳児を5 年間にわたり口腔ケアを行った。初診時,プラークコントロールは不良で,多数歯に重症齲蝕を認めた。加えて歯科診療に対する不安が強く,診療は困難をきたした。治療方針を(1)歯科診療に対する協力性の向上(2)口腔衛生の改善(3)齲蝕の進行抑制とし,2 週間に1 回の間隔で来院させた。Tell Show Do 法(TSD)などで行動変容を行い,使用する歯ブラシを加工する等の工夫,診療室でのフッ化物塗布,家庭でのフッ化物洗口等を行った。その結果,プラークの付着が減少し,健全な永久歯が萌出中である。また,初診時には歯冠崩壊のため咀嚼が困難であったが,永久歯の萌出に伴う咬合部位の増加により,食事内容や量が増加し栄養状態もよくなった。患児と信頼関係を築き,両親の理解や協力を得る事で口腔ケアが容易となり,健全な永久歯の萌出を迎えることができた。
著者
松村 亜矢子 後藤 文彦 尾方 寿好
出版者
日本健康支援学会
雑誌
健康支援 (ISSN:13450174)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-11, 2022-02-01 (Released:2022-12-13)
参考文献数
38

BACKGROUND:Multimodal exercise programs are often used to improve the cognitive, physical, and psychological functions of the elderly, and it is believed that the effects of these programs are sustained by continued use. Although it is said that an element of fun is necessary for a person to continue exercising, there are very few reports that have examined the effects of such programs. OBJECTIVE:The purpose of this study was to clarify the effect of Rhythm Synchro Exercise, a multimodal aquatic exercise program, on psychology and especially on enjoyment. METHODS:A comparative study was conducted between 20 elderly subjects who participated in a Rhythm Synchro Exercise class for once a week, 60 minutes, 12 times in total and 17 elderly subjects who participated in a land-based exercise class for once a week, 90 minutes, 12 times in total. Subject demographics and exercise status were obtained by the interview, and questionnaires were administered before and after classes to assess exercise self-efficacy and subjective health perception. In addition, the degree of enjoyment of each program was evaluated in the middle of the classes (20 subjects for rhythm exercise, 15 subjects for land-based exercise) and at the end of the classes (20 subjects for rhythm exercise, 17 subjects for land-based exercise). RESULTS:In both groups, there was a main effect of time on subjective health feeling. The Rhythm Synchro Exercise group showed a tendency to maintain and improve their exercise self-efficacy in bad weather. It was also found that its members were able to be more enthusiastic about the program compared with the land-based exercise group, and it was recognized that the program could provide enjoyment. CONCLUSION:It was suggested that the provision of Rhythm Synchro Exercise could provide enjoyment, which is one of the factors necessary for improving psychological function and especially for continuing exercise, and can be expected to be effective as a new aquatic exercise.
著者
酒井 雄大 井森 恵太郎 松本 直樹 松村 恵理子 千田 二郎
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.1103-1107, 2018 (Released:2018-11-26)
参考文献数
6

筒内直接噴射式ガソリンエンジンはポート噴射式と比較し高効率・低エミッションである一方,非常に緻密な混合気分布の制御が求められる.本研究においては,燃料を加熱する手法による混合気分布の制御を目的とする.本報においては,急速圧縮膨張機関を用いて加熱噴霧が燃焼特性に及ぼす影響を把握する.
著者
松村 幸輝 河元 勝
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.455-466, 2012-03-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
32

This paper proposed a new technique which makes the strategy trees for the derivative (option) trading investment decision based on the behavioral finance theory and optimizes it using evolutionary computation, in order to achieve high profitability. The strategy tree uses a technical analysis based on a statistical, experienced technique for the investment decision. The trading model is represented by various technical indexes, and the strategy tree is optimized by the genetic programming(GP) which is one of the evolutionary computations. Moreover, this paper proposed a method using the prospect theory based on the behavioral finance theory to set psychological bias for profit and deficit and attempted to select the appropriate strike price of option for the higher investment efficiency. As a result, this technique produced a good result and found the effectiveness of this trading model by the optimized dealings strategy.
著者
松村 泰宏 加藤 敦子 夏見 亜希
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.133-138, 2017 (Released:2017-06-17)
参考文献数
13

10歳代,女性。既往歴に花粉症。2013年,自家製サツマイモケーキ(低カロリー顆粒状甘味料,おから,さつまいも使用)とチョコレート,レモンジュース摂取後に全身の膨疹と顔面腫脹,呼吸苦が出現し救急搬送された。過去にぶどう味ゼリーで2回,梨ジュースで1回同様の症状が出現したことがあった。摂取食品のプリック・スクラッチテストで低カロリー顆粒状甘味料,ぶどう味ゼリー,梨ジュースに陽性を示した。3製品の共通含有成分はエリスリトールで,プリックテストで陽性。経口負荷試験ではエリスリトール 500mg 摂取後膨疹の出現を確認した。以上よりエリスリトールによる即時型アレルギーと診断した。ぶどう味ゼリーと梨ジュースには,誘発必要量を超える約 5g のエリスリトールが含まれており,アナフィラキシー症状を起こしたと推測した。また,果物,花粉の皮膚テスト,ぶどう,なしの摂取試験の結果より,ぶどう,なし,バナナの口腔アレルギー症候群の合併例と考えた。エリスリトールはノンカロリーのため甘味料として広く使用されている。天然に含まれているエリスリトールは,人工的に添加される量と比し微量であることがほとんどである。エリスリトールアレルギーはまれではあるが,自験例のように果物アレルギーとの診断にマスクされ見逃されている症例がある可能性もあり注意が必要である。(皮膚の科学,16: 133-138, 2017)
著者
松村 剛 齊藤 利雄 藤村 晴俊 佐古田 三郎
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.211-217, 2012 (Released:2012-04-25)
参考文献数
18
被引用文献数
20 22

呼吸管理や心筋保護治療により,Duchenne型筋ジストロフィーの生命予後はいちじるしく改善したが,心機能障害の遷延により循環動態の脆弱性が課題となる.われわれは,最近心機能指標が比較的保たれたまま腎不全で死亡した症例を6例経験し,本症における腎機能障害に関心を抱いた.筋萎縮症例ではcreatinineが低下するため,筋量に影響されないcystatin CをもちいてDMD 103例を評価したところ,30歳以上の患者では3割以上が異常値を示し,貧血と腎機能障害の関連も示唆された.本症の医療管理では心腎貧血連関に留意すべきで,適切な水分バランスや貧血に対する積極的治療などが必要と思われる.
著者
松村 正清
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.841-848, 1996-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
15
被引用文献数
1

薄膜トランジスタ (TFT: Thin-Film Translsto) は長い歴史を持ってはいるが,その有用性が広く認められたのはこく最近である.この急速に重要性を増しているTFTについて,その生まれと育ち,未来展望,動作原理,構造と種類などを概説する.
著者
橘 才造 森山 仁志 松村 政秀
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.22-00202, 2023 (Released:2023-02-20)
参考文献数
17

強地震時の横荷重の作用により,鋼I桁橋桁端部の支点上補剛材に局部座屈や破断が生じ,早期復旧に支障を来した.一方,橋軸方向の水平荷重に対して主桁ウェブや主桁下フランジの局部座屈を防止するため,支点上に設置される補強リブの有無が横荷重を受ける桁端部の耐荷性能に与える影響は明らかにされておらず,横荷重に対する桁端部の設計法も確立されていない.そこで,本論文では,横荷重に対する桁端部の耐荷性能および補強リブの設置効果を明らかにするため,桁端部の部分縮小模型を用いた繰り返し水平載荷実験および桁端部の構造条件に着目したパラメトリックFEM解析を実施した.その結果,補強リブの設置により桁端部の耐荷性能は向上するが,その高さが横桁取り付け位置より低いと,設置効果が期待できない可能性があることがわかった.
著者
松村 一男
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.51-70, 2022-03-17

Professor Jorg Rupke (1962- ) is Professor of Comparative Religion and Permanent Fellow in Religious Studies at the Max Weber Center, University of Erfurt, Germany. He is an authority on the religions of the ancient Mediterranean regions, and has written many books on this topic, including Pantheon: A New History of Roman Religion, Princeton University Press, 2018 on which this article mainly focuses and intends to elucidate the academic value of.The religious situation in the Mediterranean region was very complex even in prehistoric times, judging from archeological discoveries: Greeks, Phoenicians, Etruscans and Romans were trading and at the same time exchanging their religious ideas. The religious situations became more complicated later, through the period of the Roman Republic down to the time of late antiquity. The Roman Empire held a great expanse of territory extending from the British Isles in the west to the Pontic in the east, from Germania in the north to North Africa in the south. In these regions, there were a large number of different kinds of religions: the official state religion of Rome, Emperor worship, many mysteries such as the Dionysiac, Eleusinian, and Mithraic mysteries, as well as Judaism and Christianity.The history of Roman religions has been a traditional branch of the history of religions since the beginning of the discipline, from Theodore Mommsen, Georg Wissowa, and Walde Fowler of the nineteenth century down to Franz Cumont, Kurt Latte, M. J. Vermaaseren, and John North in the twentieth century. Professor Rupke is the inheritor of this honorable tradition. Pantheon, Professor Rupke’s book mainly discussed in this article, is the latest overview of the fascinating Roman religious history.\n本稿はドイツの比較宗教学者・古典文献学者のイェルク・リュプケ(Jorg Rupke, 1962- )氏による近年のローマ宗教史の概説『パンテオン』(プリンストン大学出版会、二〇一八年)の紹介を中心とする。リュプケ氏は古代地中海世界についての考古学、歴史学などからの最新の成果を摂取し、ローマ宗教の歴史をイタリア半島の先史時代から説き起こして、その後の共和政期、帝政期、そしてローマ帝国のキリスト教国教化に至って、ローマ宗教の一貫性が終焉を迎える時期までの一千年以上にわたって記述している。『パンテオン』の学説史上の意義を見極めるには、二つの視座からの本書の位置づけも併せて必要と考えるので、それを最初に行ったのちに、『パンテオン』自体の紹介と検討に入る。位置づけのための視点の一つは、現在の古代地中海世界の宗教史研究の動向の紹介である。ローマ宗教史は周辺諸地域の宗教史とともに研究されてこそ、相対化・客観化が可能なので、そうした古代地中海世界の宗教の枠組みでの研究についても触れておきたい。そして第二の視点は、本書以前のローマ宗教史研究がどのようであったかの紹介である。これらの視点への言及があってこそ、本書の独自性、革新性がより納得されることになると思われる。
著者
岡藤 勇希 牧田 昌大 松村 耕平 馬場 惇 中西 惇也
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.366-376, 2023-02-15

近年では,人間の労働力のサポート手段の1つとして,コミュニケーションロボットが積極的に活用され始めている.一方で,公共空間でロボットと対話をする際には恥ずかしさが発生することが知られており,これによりロボットの利用が妨げられる可能性がある.そこで本研究では,公共空間においてロボットの利用を促進させるために,ロボット利用時の恥ずかしさの発生要因と,恥ずかしさがロボット利用に対して与える影響を明らかにすることを目的として,ロボットを利用するサクラを用いた実験を実施した.実験結果より,ロボット利用中に感じる恥ずかしさは,周辺からの注目と周辺からの理解による要因に影響を受けることが示された.また,利用中の恥ずかしさを減少させることにより,ロボットとのインタラクション時間が延びることが示された.
著者
松村 嘉久
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.171, 2014 (Released:2014-10-01)

1 はじめに 1980年代,満州国(1932-1945年)に郷愁を覚える日本人が,日中友好ムードのなか,中国東北を旅行するブームがあった(高媛2001)。それから30余年が過ぎ,満州国で過ごした記憶を持つ人々は,日本でも中国でも減り,これからの30年で確実にいなくなるであろう。満州国時代の観光資源に関しては,近い将来,その時代の当事者がいない状況で,見る側と見せる側とのせめぎあいのもと,編集され消費される時代が到来する。 満州国の首都・新京,現在の長春には,満州国時代の都市計画や地割が色濃く残り,当時の政府・軍部関係の近代建築を中心として,「観光」対象となり得る地域資源が多数存在する(周2011;邸ほか2010)。一般に,現代中国の近代化遺産は,植民地の負の「記憶」と重なるため,歴史的文化的な普遍的価値を評価しようとする動きがある一方,対外的にも対内的にも政治的な思惑や意味付けが埋め込まれ,不安定な状態に置かれ続けてきた。 本報告では,長春における満州国時代の近代遺産が現在,「観光」という文脈のもと,どのように保全・利用されているのか,加えて,見る側と見せる側のせめぎあいのなか,満州国時代の観光資源がどのように編集されてきたのかに迫りたい。2 満州国時代の観光資源の分布と保全・利用状況 人民広場や新民広場を中心に放射線状にのびる道路網,寸分狂わず南北軸を描く人民大街や新民大街。長春の衛星画像を見ると,日本や中国の伝統的都市にないヨーロッパ的な文法も取り込み,満州国の新首都を建設しようとした当時の技術者たちの意気込みが感じられる(越澤2002)。 満州国時代の近代建築が現存しているのは,旧市街地の人民広場や新民広場や文化広場の周辺,南北に走る人民大街や新民大街の沿道である。これら近代建築の多くは,補修保全され大学や病院などの施設として利用されていて,文物保護単位などで史跡指定はされているものの,一般の観光客は立ち入り難い状況にある。観光利用されているのは,太陽泛会所(旧満州国外交部)と松苑賓館(旧関東軍司令官官邸)くらいである。 中国共産党吉林省委員会(旧関東軍司令部)などは,外観の写真撮影すら阻まれる。革命政権の共産党は,旧権力の施設を接収利用したため,雲南省などの辺境でも,土司の要塞のような邸宅や大地主の立派な古民家の類も観光資源化されていない。 一方,旧市街地の中心の人民広場から,東北の外れに立地する「偽満皇宮博物館」と,西南の外れに立地する「長春電影制片廠」(旧満映)は,博物館として内外の観光客に公開されている。3 観光資源をめぐる諸相の動態 満州国時代の近代遺産を見る側は,満州国への郷愁を求めた80年代の日本人客から,90年代半ば以降,中国の国内観光客へと劇的に移行した。同時に,中国では国内観光振興と愛国主義教育との連動が強まり,見せる側の観光資源の意味づけも変容し,「愛国」・「抗日」・「中華民族」といったナショナリズムを喚起する言葉が目立つようになる(松村2000)。日本人の中国東北観光では,送り出す日本側での宣伝と,受け入れる中国側での解説に80年代からギャップがあり,90年代に広がった。 見せる側の論理に関して言及するなら,偽満皇宮博物館や長春電影制片廠などは,域外からの国内観光客の対内的なまなざしを意識して,満州国の負の記憶を増幅し,ナショナリズムを強化する象徴として,利用されている。しかしながら,その他の近代建築の多くは,それらを日常生活のなか淡々と利用することが,負の記憶を克服する手段であるかのように,全く観光資源化されていない。 2005年にマカオ歴史地区が世界文化遺産登録され,中国本土でも植民地支配と絡む近代化遺産を再評価する動きが高まった。近年,長春でも,対外的なインバウンド客のまなざしも意識しつつ,満州国時代の近代建築の普遍的価値を認め,観光利用しようとする機運も生まれつつある。日中双方で満州国世代がいなくなるなか,両国の未来を切りひらく議論は,満州国時代の遺産をどのように後世へ継承していくのかをめぐって,展開していくのかもしれない。参考文献越澤 明 2002. 『満州国の首都計画』ちくま学芸文庫. 高 媛 2001. 記憶産業(メモリアルインダストリー)としてのツーリズム─戦後における日本人の「満州」観光─. 現代思想29(4):219-229. 周 家彤 2011. 長春市における「満州国」遺跡群. 現代社会研究科研究報告6(愛知淑徳大学):97-111. 松村 嘉久 2000. 祖国中国をいかに見せるのか─観光,スペクタクル,中華民族主義─. 中国研究月報623:1-26. 邸 景一・荻野 純一 2010.『中国・東北歴史散歩─広大な大地に刻まれた近代日本の足跡─』日経BP出版.
著者
松村 健太郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.179, 2022 (Released:2022-10-22)
参考文献数
35
被引用文献数
1

移動は雄の繁殖に多大な影響を与える。移動活性の高い雄は多くの雌と遭遇することが可能であるため、交尾成功度が増加すると予想される。その一方で、移動活性の低い雄は雌との遭遇頻度が低い分、交尾後の受精成功度の増加のための投資量が多いと予想される。昆虫において、脚は移動のみならず、交尾の際にも使用される重要な付属肢としての役割も持ち、様々な種で脚の形態に性的二型が見られる。雄の脚において、移動に有利な形態は、交尾時の雌の把握では不利になる可能性もあり、雄の脚は様々な選択圧のバランスによって形作られていることが推測される。受精成功度への投資量が多い移動活性が低い雄は、移動活性の高い雄とは異なる形態の脚を持つことが予想される。本研究では、コクヌストモドキTribolium castaneum Herbstを対象として、歩行活性に対する人為選抜への繁殖形質や脚の形態の反応について調査を行った。その結果、移動活性の低い方向へ選抜された系統の雄は、移動活性の高い系統の雄よりも脚が有意に長いことが明らかとなった。長い脚を持つ雄は、交尾時の雌からの抵抗に耐えることを可能とし、交尾時間の延長による受精成功度の増加において有利であることが示唆された。筆者らによる研究の結果から、脚の性的サイズ二型の進化やその度合いに種間変異が見られる現象についても議論したい。
著者
北村 宏 松村 任泰 中川 幹 松下 明正 荒井 正幸 小池 祥一郎 大谷 真紀 中澤 功
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-7, 2021-01-01 (Released:2021-01-14)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

症例は66歳男性.大腸癌に対する5-FUをベースとした全身化学療法中(FOLFILI+パニツムマブ)に食欲不振,倦怠感と急激な腹水の貯留を認めた.血液生化学所見では肝逸脱酵素の上昇と低アルブミン血症,PTの低下を認めた.画像診断では著明な脂肪肝を認め薬物性の肝障害,脂肪肝と考えられた.薬物の中断,利尿剤の投与等を行ったところすみやかに症状,肝機能の改善,腹水の消失,画像上の脂肪肝の消失を認めた.発症1年前の肝切除標本においては背景肝に脂肪化,肝細胞障害,線維化,炎症所見等は認めなかった.発症2カ月前のCTにおいても肝臓に異常所見を認めなかった.3回の肝切除後の肝容積の回復は良好で5年9カ月の全経過の後,間質性肺炎で死亡するまで肝転移の再発は認めなかった.臨床経過からイリノテカンを被疑薬とする薬物性急性脂肪肝と考えられた.
著者
渡邊 大賀 松村 昌典
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
流体工学部門講演会講演論文集 2021 (ISSN:24242896)
巻号頁・発行日
pp.OS03-03, 2021 (Released:2022-06-25)

Three-dimensional structures such as longitudinal vortex appear in the two-dimensional vortex street wake of a cylinder. These structures are very complex structures. It is important to understand the details of the three-dimensional structures in the two-dimensional vortex street wake. The purpose of this study is to construct the three-dimensional structures from layered cross-sectional images and to understand its structures. In the flow visualization, four cylinders with different diameter were used to change the Reynolds number. The 3D structure constructed in this study could be observed from any angles and the details of its structures were revealed.