著者
大礒 正嗣 松村 嘉之 保田 俊行 大倉 和博
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.18-28, 2011-02-15
被引用文献数
4

多数の演算器を持ち並列計算可能な Graphic Processing Units(GPU)は,近年,CPU をはるかに上回る演算性能を持つようになり,GPU を用いて数値計算を高速化する研究が多くなされている.進化計算の計算量に対しても GPU 計算が注目されており,遺伝的アルゴリズム(GA)の分野において,集団の並列化についていくつかの議論が緒についた.本稿では,GPU 向け開発計算環境である CUDA を利用して,集団の並列化だけでなく個体単位での並列化を行うことによりGAの高速化とオーバーヘッドの隠蔽を行う実装手法を提案する.進化計算のベンチマークである関数値最小化問題とアプリケーションである進化ロボティクス問題に対して提案実装手法を適用し,計算機実験を行った.結果として,提案実装手法は従来の CPU による計算に対して 7.6~23.0 倍の高速化を達成した.
著者
千田 昇 松村 一良 寒川 旭 松田 時彦
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.261-267, 1994-10-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
6 3

福岡県久留米市で行われたこれまでの考古学的発掘により, 地割れ群や液状化の跡が数多く発見され,『日本書紀』に記述された678(天武7)年の筑紫地震による可能性が示された. 山川前田遺跡の発掘に伴うトレンチ掘削により断層露頭が現われ, そこでの多数の地割れ跡を検討した結果, 地割れは新期よりイベント1~イベント4の4回の時期 (イベント) に分けられた. それらの時期について, イベント4はAT堆積前, イベント3はAT堆積後, イベント2は(4)層の土石流堆積物の堆積前, イベント1は(2)層の遺物包含層, 特に6世紀の土師器包含層以後, 13~14世紀の遺物包含層以前の時期であり, イベント1を7世紀後半の678(天武7)年筑紫地震によると考えることに矛盾はない. また, この地点での地割れは地震活動に伴うもので, 水縄断層系・追分断層の活動による可能性が大きいと考えられる. したがって, AT堆積 (約2.5万年前) 以後に水縄断層系の活動による3回の地震があり, それにより地割れが発生したことになる.
著者
山口 恭平 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

情報へアクセスするかどうかの判断は提示された情報を元におこなわれる。例えば、Webコンテンツであれば検索エンジンが提示するタイトルやスニペットが用いられる。提示される情報によっては、良質な情報であってもアクセスが阻害される場合もある。逆に不十分な情報であってもアクセスが促進される場合もある。本研究では提示される情報によりユーザの行動がどのように変化するか検証し、Webインタフェースの一検討を行う
著者
松村 真宏 加藤 優 大澤 幸生 石塚 満
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.554-564, 2003-10-15
被引用文献数
17

議論の論点をすばやく発見し理解するためには、議論構造を可視化してユーザに提示することが有効である。そこで本稿では、議事録から話題の単位(セグメント)を同定し、さらに同定したセグメント間の関連を調べることにより、議論構造を構造化マップとして可視化するシステムを提案する。また、構造化された議論に影響の普及モデルIDMを適用することにより、議論の発展のトリガとなる話題を発見することを試みる。アンケートによる調査の結果、適度に議論が分割・構造化された構造化マップは、ユーザが議論の論点を直感的に捕らえるための手がかりを提供していることを示す。また、IDMにより同定された話題は、構造化マップにおける入次数、出次数に着目した結果よりもPrecisionが高いことを示す。
著者
太田 あす香 松村 敦 宇陀 則彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会シンポジウム論文集 (ISSN:13440640)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.16, pp.203-210, 2009-12

近年、デジタルアーカイブの増加により、利用者は多くの資料を容易に見ることができるようになった。しかし、それらのアーカイブは個別に公開されているため、資料を見つけることは容易ではない。本稿ではその問題を解決するため、「人文科学研究の方法論に基づいたシステムモデル」を検討した。具体的には、そのシステムモデルを構築するために、日本文学の論文を分析し、資料間の関連を抽出した。その結果、最終的な目標であるシステムモデルの構築への可能性を示すことができた。
著者
松村 寿枝
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
研究紀要 (ISSN:03871150)
巻号頁・発行日
no.43, pp.49-52, 2007
著者
小林 敏男 金井 一頼 淺田 孝幸 高尾 裕二 関口 倫紀 椎葉 淳 伊佐田 文彦 栗本 博行 松村 政樹 平山 弘 朴 泰勲 寺川 眞穂 古田 武 前中 将之 中田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

グローバルニッチ戦略とは,自社の開発技術を評価する特定顧客に対して,そのニーズに叶った製品を開発・供給していく過程で,事業として存続しうる売上規模を獲得でき,その状態を持続可能にすることによって,当該製品が属する市場において参入障壁が高い小市場を形成でき,グローバルな多地域への展開が可能となる戦略のことである。ニッチ市場は,既存市場のセグメント分析から存在論的に発見できるものではなく,特定顧客との密接な協働から形成しうる過程論的な市場である。

2 0 0 0 OA IDM!水玉潰し

著者
松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

本研究では,影響伝播モデルIDMを用いてウェブコミュニティが蓄えている総影響量GWI(Gross Web Influence)を定義し,GWIを成長させるための道標を導くことに取り組む.具体的には,各種制約下(与える情報の種類および量)のもとでGWIを最大化する条件(どこにどの情報を与えるか)を求める問題に取り組む.本研究の成果は,コミュニティマネジメント/マーケティングへの応用が期待される.
著者
原 實 川崎 信定 木村 清孝 デレアヌ フロリン ユベール デュルト 落合 俊典 岡田 真美子 今西 順吉 木村 清孝 末木 文美士 岡田 真美子 ユベール デュルト 田辺 和子 落合 俊典 デレアヌ フロリン 松村 淳子 今西 順吉 津田 眞一 北田 信 清水 洋平 金子 奈央
出版者
(財)東洋文庫
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度より3年間、「古代インドの環境論」と題し、同学の士を誘って我々の専攻する学問が現代の緊急課題とどの様に関連するかの問題を、真剣に討究する機会を持ち得た事は極めて貴重な体験であった。外国人学者を交えて討論を重ねる間に、我々の問題意識はインド思想や佛教の自然観、地球観にまで拡がって行ったが、それらは現代の環境破壊や無原則な地域開発に警告する所、多大なるものがあった。「温故知新」と言われる所以である
著者
薩摩 雅登 竹内 順一 稲葉 政満 薩摩 雅登 横溝 廣子 古田 亮 佐藤 真実子 松村 智郁子 竹内 順一
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

東京藝術大学大学美術館では、明治期の音楽録音資料・蝋管を212本所蔵している。しかしながら、経年変化とカビにより保存状態が悪く、音楽資料としての価値を失いつつある。そのため、その保存体制として、アモルデン水溶液による蝋管の洗浄、収納棚やトランクの薫蒸、針接触方式のデジタル再録音機・アーキフォン(Archeophone)により124本の音源の再録音を行った。また、蝋管の基礎調査として、国内や海外の各機関や個人コレクターを対象としたアンケート調査および実地調査にて、収蔵環境や音源のデジタル化、蝋管の公開の手法、関連する最先端の情報を収集した。さらに、明治期の蝋管や蓄音機に関する新聞記事および広告を調査し、当時の社会状況を把握した。現在に至るまで断片的な研究しか行われていなかったが、本研究において、蝋管に関する情報を集約した。
著者
宇陀 則彦 松村 敦 寺井 仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は学習と情報資源(教材、図書、学術論文、Web情報)の相互作用に焦点をあてた。思考と情報資源は連動しており、理想的な環境は適切な情報資源が思考に追随してくれることである。本研究では、電子図書館システムと密に連動することで図書館の豊富な情報資源をオープンコースウェアと連携させ、学習者の思考に情報資源が追随する非定型学習環境を構築した。研究を通じて得た知見は、学習における情報資源の役割は予想以上に大きいこと、思考と情報資源の相互作用は補完的であること、情報資源を提供するサービスは学習プロセスと乖離しており、改善を要することの3点である。
著者
松村 淳子
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.1164-1172, 2010-03-25

餓えた牝虎に自分の身体を与えた物語(投身餓虎,捨身飼虎)は,法隆寺の玉虫厨子に描かれていることでも知られるように,仏教の伝わった地域では広く知られ,数多くの文献資料が遺されている.しかしながら,パーリ語のジャータカ物語にはこの話は含まれず,南方上座仏教国にこの物語が存在することはほとんど知られていなかった.この物語がスリランカにも知られていたことは,法顕の短い記述(『高僧法顯傳』)によりわかるが,そのほかの資料についてはこれまでほとんどわかっていない.ところが,スリランカ仏教徒はパーリ・ジャータカに含まれないジャータカのいくつかを伝承しており,それが近年でも寺院の壁などに描かれている.本論文では同本生話の諸伝承を整理し,それとスリランカで知られる伝承の証拠を絵画および文献資料に求め,それらと北伝伝承との関係を明らかにしようと努めた.なかでも大正No.172経はこれまで具体的に研究されていないが,有名な金光明経の物語より古い,ガンダーラの伝承であることは明らかで,その訳者である法盛も,法顯同様ほぼ同時代にスリランカに旅したであろうことは,南北仏教伝承の交流の具体的事例として,非常に注目すべきことを指摘した.
著者
松村 真宏
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, 2004-01-01

本論文は,意思決定にとって重要な事象や状況の発見を扱うチャンス発見をテーマとしてテキストマイニング,コミュニティマイニングについて論じており,3部構成からなる.第I部は「チャンス発見のためのテキストマイニング」と題して,議事録などのテキストデータを対象として,活性伝播,議論構造の可視化によって重要な事象を発見する手法について述べている.参加者の意識を変えるキラリと光るキーワードや発言に焦点を当てている点が新しい.第II部は「オンラインコミュニティにおける影響伝播」と題し,オンラインコミュニティの参加者や投稿内容の影響度を測る影響の普及モデル(IDM)を提案している.対話型コミュニケーションにおいてよく伝播する語ほど影響度が高いとみなして,コミュニケーションに参加している人の興味・関心の焦点を捉えている点が新しく,オンラインコミュニティから影響力のあるオピニオンリーダの発見や,オピニオンリーダのプロファイリングヘの応用も示されている.第III部は「オンラインコミュニティのダイナミズム」と題し,WWWのリンク構造解析と2ちゃんねるの共分散構造分析による解析を行っている.リンク構造の時系列変化が世の中の大きな変動の予兆を示すことや,何の法則性も存在しない混沌としたコミュニティに見える2ちゃんねるにも,その盛り上がりを支配する法則が存在していたことが示されている.
著者
長谷川 広大 松村 彩子 香月 健吾 穐本 昌寛 佐久間 敬之 中嶋 ゆき 宮崎 拓也 藤澤 信 中島 秀明
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1286-1288, 2023 (Released:2023-11-02)
参考文献数
5

A 39-year-old woman with myotonic dystrophy (DM) presented with syncope and was diagnosed with primary mediastinal large B-cell lymphoma, clinical stage IA. PET-CT revealed an upper mediastinal mass with high FDG uptake (SUVmax, 14.8). She had muscle weakness associated with DM, but her performance status was preserved. She was treated with 6 cycles of dose-adjusted EPOCH-R therapy and localized irradiation for the residual mass, without severe adverse events or recurrence of syncope. Patients with DM should be monitored for cardiac events and muscle weakness when undergoing lymphoma treatment.
著者
趙 志新 松村 一男 尾池 和夫 石川 有三
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.383-396, 1987-09-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
23
被引用文献数
4 4

Mutual relations of seismicity in the long period in various regions from North China to Japan trench in East Asia have been analyzed. Time series of events were analyzed in various regions in North China, Korean Peninsula and Japan Island.The seismicity of each region was high in the period from 1550 to 1700. Then quiet period had been lasting until 1900. From 1900 the active period began again and have continued up to the present.Impulsive activities were found in the western part of North China and Japan Islalds in a short time range around 1830 during the quiet period. It seems that short period variations superpose on the long period variation. These short period variations in two regions also correlated to each other.Synchronous variations of seismicity in these regions are implicated in the formation of earthquake generating stress fields from North China to Japan trench under the common tectonic conditions. The release and the accumulation of stresses correspond to the active and quiet period of seismicity, respectively.Correlations among seismicities and stress fields from North China to Japan trench suggest that there is a transmission of the tectonic force from the subduction of the pacific plate along the Japan trench to North China through Korean Peninsula.
著者
植田 篤史 松村 葵 相見 貴行 新熊 孝文 大木 毅 中村 康雄
出版者
一般社団法人 日本スポーツ理学療法学会
雑誌
スポーツ理学療法学 (ISSN:27584356)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.7-15, 2024 (Released:2023-09-30)
参考文献数
35

【目的】肩甲骨の運動異常(Scapular Dyskinesis:SDK)を有する野球選手の肩屈曲運動中の肩甲骨運動を評価すること。【方法】対象は肩挙上・下制時ならびに投球時に肩関節痛のない野球選手51名とした。SDKの評価はSDKを4つのtypeに分類し(type I~IV),type Iを認めた場合は異常群,type IVの場合は正常群とした。測定は肩屈曲動作を実施し,三次元動作解析装置を用いて,肩甲骨と肩関節の角度を算出した。解析区間は,肩屈曲30°~120°位の肩甲骨の上下方回旋,内外旋,前後傾角度を算出した。【結果】異常群の挙上期30°~90°の肩甲骨の後傾は正常群に比較して,有意に小さかった(p<0.05)。また,異常群の下制期30°~60°の肩甲骨前傾は正常群に比較して,有意に大きかった(p<0.01)。【結論】SDK type Iを有する無症状の野球選手の肩屈曲動作中の肩甲骨運動の特徴として,挙上期30°~90°の肩甲骨の過小な後傾と下制期30~60°の過剰な前傾運動を呈していることが明らかとなった。
著者
松村 健史 守村 融 新谷 哲也 横山 勝英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.I_1039-I_1044, 2017 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9
被引用文献数
2 3

複雑な平面形状を有する筑後川感潮河道を対象として三次元流動シミュレーションを構築し,大潮期の塩水遡上の特徴について検討を行った.2002年9月の観測データを用いて精度検証し,水位,塩分,流速のいずれも十分な再現性があることを確認した.三次元計算の結果,本川・筑後川と比べて支川・早津江川における塩水の遡上・後退運動は活発でないことがわかった.これは,支川の河道距離が本川に比べ長く,また河道は蛇行し,川幅が途中で狭まっていることが原因と考えられる.さらに,本川においても導流堤の存在により,左右岸で塩水の挙動が異なり,左岸側澪筋において,水深が深いために塩水運動が活発であるとことが分かった.三次元流動シミュレーションにより河道地形が塩水遡上の時空間変動におよぼす影響を理解することができた.