著者
石見 佳子 竹林 純 横山 友里 吉﨑 貴大 多田 由紀 岡田 恵美子 瀧本 秀美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.79-95, 2022-04-01 (Released:2022-05-24)
参考文献数
49

【目的】人びとが健康な食生活を営むためには,適切な食品の選択が求められる。諸外国では消費者が食品の栄養価を総合的に判断できるよう,特定の栄養素等の含有量で食品をランク付けする「栄養プロファイルモデル」が活用されているが,我が国においては策定されていない。そこで本研究では,加工食品について,日本版栄養プロファイルモデル試案を作成することを目的とした。【方法】WHO Technical meeting 2010報告書,WHO健康な食生活のための食品の包装前面表示ガイドライン及び諸外国のモデルを参考とし,国民健康・栄養調査,日本人の食事摂取基準(2020年版),日本食品標準成分表2015年版(七訂),日経POSデータ等を根拠資料として用いて,加工食品の日本版栄養プロファイルモデル試案を作成し,妥当性を検討した。【結果】①日本の公衆栄養の観点から,対象を18歳以上,対象項目を脂質,飽和脂肪酸,ナトリウム(食塩相当量)及び熱量とした。②日本版栄養プロファイルモデルとしてカテゴリー特異的モデルを選択した。対象食品を調理済み加工食品を含む加工食品とし,一般加工食品は国民健康・栄養調査食品群別表の中分類を基に15カテゴリーに分類した。③対象項目の閾値基準を設定し,各食品カテゴリーについて閾値を設定した。【結論】日本の公衆栄養の状況に応じた日本版栄養プロファイルモデル試案を作成した。
著者
菓子野 元郎 漆原 あゆみ 児玉 靖司 小林 純也 劉 勇 鈴木 実 増永 慎一郎 木梨 友子 渡邉 正己 小野 公二
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.209, 2008 (Released:2008-10-15)

我々は、DMSOによる放射線防護効果が、放射線による間接作用の抑制ではなく、DNA-PK依存的なDNA二重鎖切断修復の活性化によりもたらされているという仮説の検証を行った。細胞は、マウス由来細胞のCB09、及びそのDNA-PKcsを欠損するSD01を用いた。DMSOの濃度は、1時間処理しても細胞毒性がなく、放射線防護効果が大きく現れる2% (256 mM)とした。DMSO処理のタイミングは、照射前から1時間とし、照射直後にDMSOを除いた。放射線防護効果については、コロニー形成法による生存率試験及び微小核試験法を用いて調べた。DMSO処理細胞により放射線防護効果が現れることが、CB09細胞の生存率試験により分かった。微小核試験においても、同処理により、微小核保持細胞頻度が有意に抑制された。これに対して、DNA-PKcs欠損細胞(SD01)では、同処理による放射線防護効果がほとんど見られなかった。DNA-PKの有無がDMSOによる防護効果の機構に関わる可能性が考えられるので、照射15分後から2時間後までDNA二重鎖切断修復の効率を解析した。その結果、DNA二重鎖切断部位を反映すると考えられる53BP1のフォーカスの数は、照射15分後ではDMSO処理により約10%減っていた。これに対し、照射2時間後ではDMSO処理により約30%のフォーカス数の減少が見られ、照射15分後よりも2時間後に残存するDNA二重鎖切断の方が、DMSO処理により大きく軽減されることが分かった。これらの結果は、放射線照射により誘発されたDNA二重鎖切断生成がDMSOにより抑制されるわけではなく、照射直後からスタートするDNA-PKcsに依存したDNA二重鎖切断修復機構がDMSOの照射前処理により効率よく行われている可能性を示唆している。
著者
西村 太一 堀川 美津代 加来 裕人 角田 鉄人 西井 健 前川 春賀 稲井 誠 伊藤 卓也 鈴木 真也 島津 光明 竹林 純 八木 康行
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.PosterP-51, 2013

<p> アブラムシの中には色鮮やかな体色をしているものがあり,その体色はポリケタイド系色素由来であることが明らかとなってきた.これら色素の役割として,保護色を構成する要素であることが考えられる.さらにポリケタイドであることから,アブラムシ自身の生体防御物質である可能性が考えられたが,その実験的証拠はなかった.しかし,最近の我々の研究で非常に興味深いデータが得られた.すなわち,エンドウヒゲナガアブラムシから単離された赤色色素uroleuconaphin類 (1-4) をアブラムシに感染能力のある昆虫病原菌二種,不完全菌(Lecanicillium sp.)と昆虫疫病菌(Conidiobolus obscurus)に対して成長阻害活性試験を行ったところ,配糖体 1, 2では活性が無いものの,アグリコン 3, 4では活性を有することがわかった<sup>1)</sup>.アグリコン 3, 4は, 死亡したアブラムシ(感染死)から単離できることから,自らを犠牲にして病原菌の増殖をおさえていることが示唆された (Fig. 1). </p><p> </p><p>Fig.1</p><p> </p><p> 当研究室ではこれまでに、ユキヤナギアブラムシから黄色色素furanaphin (5)<sup>2)</sup>, エンドウヒゲナガアブラムシとソラマメヒゲナガアブラムシからは黄色色素megouraphin glucoside A (6)<sup>3)</sup>, キョウチクトウアブラムシから黄色色素6-hydroxymusizin (7)<sup>2)</sup>,セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシからは上記の色素1-4の他に黄色色素xanthouroleuconaphin (8)<sup>4)</sup>, さらにその配糖体 9と, 7の配糖体10を単離してきた (Fig. 2). </p><p> </p><p> </p><p>Fig.2</p><p> しかし,これらの色素について詳細な生物活性は調べきれていない.サンプル量の確保が難しいことが原因となっている.今回我々はアブラムシ色素のもつ生物学的意味を解明することを目標として,色素の生物活性を多面的に評価することを計画した.また,先に述べたように糖部分の有無で活性に差があることから,他の色素も同様のことが考えられるので,その点についても活性比較を行うことを念頭に,これら色素の大量合成を目標にした.今回合成した色素について,抗菌活性試験,細胞毒性試験,抗酸化能試験,昆虫疫病菌に対する成長阻害活性試験を行ったので報告する.</p><p>1. BF<sub>3</sub>•2AcOHを用いたFries転位</p><p> 先ず,5, 6の合成を計画し,その出発原料として12を選んだ. 12をHWE反応により炭素鎖伸長した後に,脱保護,環化によりアセテート16を合成した.一方,7, 8の合成のために13を出発原料としてフェニルスルホン18に変換後,19とのMichael付加,加水分解,環化により20とし,続く脱離反応によりナフトール体へと導き,フェノール性水酸基をアセチル基で保護してアセテート21を得た (Scheme 1).</p><p> </p><p> </p><p>Scheme 1</p><p> </p><p> 次に16, 21に対してBF<sub>3</sub>•OEt<sub>2</sub>存在下でのFries転位を試み,22,</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>
著者
渡辺 弘 宮村 治男 林 純一 高橋 善樹 篠永 真弓 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.301-306, 1996-04-15
参考文献数
10

小児例におけるIABPでは小容量のバルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動させる必要があるため、駆動装置の特性によりバルーンの応答速度が異なる。駆動装置の特性が応答速度に及ぼす影響をin vitroで評価した。2、4、7、10ccのバルーンを4種類の装置を用い、成人用の通常モードと、2種類の装置では小児用モードで併せて評価した。密閉したモック内で90~180bpmで駆動し、inflation時間、deflation時間を測定した。駆動装置の多くの機種は、成人用のバルーンカテーテルの駆動を目的にしているが、いずれの駆動装置であっても小児用バルーンカテーテルの駆動は可能であった。小児用IABPでは小容量バルーンを細いカテーテルを介して高心拍で駆動するため、駆動装置によりバルーンの応答性は異なった。小児用バルーンのより効果的な駆動のためには、駆動装置の小児用IABPモードへの対応が必要と考えられた。
著者
小林 純子 長澤 悟
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.694, pp.2481-2490, 2013-12-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Deterioration by aging goes ahead through the restroom of school, but improvement has not advanced because of a large number. As a result, comfort is spoiled, and some students are reported not to have excretion at school. A purpose of this study is how to lead quick and effective restroom renewal through the project of Setagaya-ku having 94 schools, which was started in 1998, and inspecting an effect and evaluation for 14 years until 2011.After grasping problems and demands, design concept and common specifications document for model school was summarized. Expert performed a model design, and then standard common specifications document is made in consideration for term of works and the cost, performing a periodical revision based on the inspection.This paper summarizes the effect and subject and has proposed the possibility of future quick school restroom renewal.
著者
谷中 かおる 東泉 裕子 松本 輝樹 竹林 純 卓 興鋼 山田 和彦 石見 佳子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.234-241, 2010-06-01
参考文献数
13
被引用文献数
2

大豆中のイソフラボンは構造的にエストロゲンと類似しており,弱いエストロゲン様作用を発揮する.2006年に,内閣府食品安全員会は特定保健用食品から摂取する大豆イソフラボンの上限量を,通常の食事に上乗せして30mg/日と設定した.しかしながら,大豆イソフラボンや大豆たんぱく質が含まれている,いわゆる健康食品には イソフラボンの許容上限量が設定されなかった.そこで我々は,大豆が原料となっている加工食品,特定保健用食品を5品目含む健康食品10品目について,大豆たんぱく質と大豆イソフラボン含有量をそれぞれ酵素免疫測定法(ELISA)と高速液体クロマトグラフ(HPLC)法で測定した。8品目における大豆たんぱく質量は表示の90-118%が確認され,ジュニア選手用のプロテインパウダー2品目においては表示の約半分量が定量された.大豆たんぱく質を含む特定保健用食品中には表示の90-122%の大豆イソフラボンが検出された。一方,表示のない大豆たんぱく質強化食品2品目には一回摂取目安量当たり30mgを超える大豆イソフラボンが検出された。このような食品をジュニア選手が過剰に摂取しないよう注意する必要があると考えられた。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 角田 恭治 山路 浩三郎 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.1051-1058, 1997-10-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
18
被引用文献数
1

高齢者におけるインフルエンザワクチン接種時の, 前年度のワクチン接種の影響について検討した.福岡市内のH病院の65歳以上の入院患者163名に, 1993年12月にインフルエンザワクチン接種を行った. 163名中57名は, 1992年ワクチン未接種者 (未接種群) であった.106名は1992年ワクチン接種者で, 52名はCold-adapted vaccine接種者 (生ワク群), 54名は不活化ワクチン接種者 (不活化群) で, あった. 1993年ワクチン接種前後で, ワクチン株であるA/Yamagata (H1N1), A/Kitakyusyu (H3N2), B/Bangkok (B) に対する血清HI抗体価を測定した.1993年度ワクチン接種前の, H1N1, H3N2, Bに対するHI抗体価は, 前年度不活化群が, 生ワク群, 未接種群に比し高値であり, 前年度のワクチン接種のHI抗体価に対する残存は, 不活化群に顕著であった. 1993年度ワクチン接種後のHI抗体価は不活化群, 生ワク群が, 未接種群に比し高値であった. 1993年度接種前のHI抗体価は, 生ワク群では, 不活化群に比し低かったが, 接種後はそれと同等であり, インフルエンザ生ワクチンの細胞生免疫などに対する効果が示唆された. 不活化ワクチン接種後のHI抗体価が, 27以上の割合は, 不活化群, 生ワク群では, 未接種群に比し高率であった. 以上の成績より, 前年度インフルエンザワクチン接種は, 不活化ワクチン接種によるHI抗体価の上昇を抑制せず, むしろ促進することが期待され, 高齢者に対する継続的なインフルエンザワクチン接種の有用性が示唆された.
著者
加藤 真介 小林 純也
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2010 (Released:2010-12-01)

低線量放射線は、MAPキナーゼ系の活性化やNO合成酵素(NOS)の誘導など細胞内情報伝達系に影響を与える可能性を有するが、詳細は不明である。一方、神経成長因子(NGF)は、末梢神経系に作用し、その軸索伸長を促す生理活性物質である。この因子の細胞内情報伝達経路の詳細は完全には解明されていないものの、その作用発現にはMAPキナーゼ系の持続的活性化を要すること、およびNOを介した経路が関与する可能性があることなどが報告されている。上記を考え合わせると、低線量放射線照射がMAPキナーゼ系の活性およびNO産生に影響を及ぼすことで、NGF誘導の神経軸索伸長を促進する可能性が想起される。そこで、神経分化のモデル細胞として知られるPC12細胞を用いて、低線量放射線のNGF誘導神経軸索伸長に及ぼす影響について検討を行った。 PC12細胞を低線量率γ線の持続的照射下でNGF刺激し、神経軸索伸長の程度を解析するとともに、関連タンパク質の発現をウエスタンブロッティングにより観察した。NGFによるMAPキナーゼ系の活性化は、照射群においてさらなる亢進が一時的に認められたものの、その後は抑制され、NGFシグナルの低下が起きていると考えられた。実際、NGFによる神経軸索伸長は、照射群においてわずかではあるが低下していた。この現象におけるNOの関与を調べるために誘導型NOSの発現を観察したところ、その発現上昇が認められた。さらに、照射による軸索伸長抑制は、NOスカベンジャーおよびNOS阻害剤によって抑制された。以上のことより、低線量の放射線照射は、予想に反し、NOの産生を介してNGF誘導の神経軸索伸長を抑制するものと考えられた。放射線感受性の低い神経系細胞におけるこのような発想の研究はほとんどなく、本知見は、低線量放射線の神経系に対する影響を検討する上で有意義な情報を提供するものと考える。
著者
辻 かおる 小澤 理香 高林 純示
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、(1)花形質の雌雄差の解明の研究を雌雄異株植物ヒサカキを用いて行い、匂いと蜜成分について新知見を得た。また、(2)送粉者の観察と行動実験から、送粉者の反応が雌雄の花で異なることが明らかになった。具体的には、匂いの主成分のイオン強度(匂いの強さ)に有意な雌雄差はなかったが、微量成分は雄花で多く放出されていた。一方、花蜜に含まれる糖の主成分の濃度は雌花で有意に高かった。さらに、送粉者を用いた行動実験では、送粉者の花での滞在時間は雄花より雌花で長くなっていた。これらの結果から、花の雌雄差とそれに対応する送粉者の行動が新たに明らかになった。
著者
小林 純
出版者
The Japanese Society for the History of Economic Thought
雑誌
経済学史学会年報 (ISSN:04534786)
巻号頁・発行日
vol.40, no.40, pp.1-12, 2001 (Released:2010-08-05)
参考文献数
39
被引用文献数
1

The recent state of Weber studies is marked especially by criticism against modern rationality, emerging in the mid-1960s, and by the project of the Max Weber Gesamtausgabe in the 1970s. The image of Weber has been transformed from that of an advocate of rational values into the tragic embodiment of modern culture. We may divide these studies into two kinds, i. e. a) the search for his true intention, and b) the utilization of his ideas. In a), outstanding progress has been made in identifying the traces of Nietzsche in Weber's thought. YAMANOUCHI brought out the scheme ‘chivalry vs. priest’ in Weber's vision of religious development, and in this respect thinks highly of ‘Agrarverhältnisse in Altertum’. The background and intention of Weber's works have also been more adequately explored, epistemologically by MUKAI, and disciplinarily by NAU. In b) NAKANO's analysis of the legal rationalization of Weber's ideas, one can detect the problematic in the Weberian strategy of behaviorism, and can identify the positive and negative of autopoiesis, the systematic strategy of Luhmann. From those ideas, Nakano concluded that society as a whole puts a meta-level of the normative above the legal dimension. SWEDBERG vigorly inspects potential issues in Weber's text of economic sociology that are theoretically applicable for empirical research. The search for true intention produces a continuous awareness of one's own value, as ORIHARA already showed. The current utilization seems to center around the field of economic sociology.
著者
寺岡 久之 小林 純
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.574-587, 1977
被引用文献数
7

著者らは人の頭髪や内臓,農産物,土壌,河川中の浮遊物などを分析の対象として,エミッション・スペクトログラフ法による20余種類の金属元素の同時定量法の研究を続けて来た。<br>日本各地の理髪店と美容院から0.5&sim;5.0kgの頭髪(数百&sim;数千人分)を採集し,電気洗濯機に入れシャンプーと水で洗滌し,完全に均一な混合試料をつくった。その一部を450&deg;Cの電気炉で灰化し,その灰の僅か3mg(個人の一回の散髪量の半分程度に過ぎない)と内標準元素を含む炭素粉末17mgを混合して炭素電極に充填し,アルゴン・酸素雰囲気中の直流アーク(300V, 12A)で試料が完全に蒸発するまで燃焼させ,中間結像法によってアーク(4mm)の中央部分(1mm)のみを分光器スリットに入射させ,各金属のスペクトル線をフィルム上に撮影した。現像後,ミクロホトメーターを使用して25種の金属と内標準元素のスペクトル線の光強度を測定し,合成した標準試料から得られた検量線から各金属元素の濃度を定量した。<br>この方法によって日本各地の頭髪中に含まれる25種の金属元素量を把握しただけでなく,女性には男性に比べて灰量,Ca,Zn,Mg,Cu,Pb,Sr,Ba,Sn,Ni,Cd,V,Coが多く含まれ,逆にSiとAlは男性に多いことがわかった。また環境汚染との関係をも検討した結果,製鉄所付近の住民にはSi,Fe,Alが,亜鉛製錬所付近住民にはCdとPbが多く逆にPが少ないことがわかったが,Crによる汚染地区住民には高濃度のCrは検出されなかった。