著者
池松 秀之 鍋島 篤子 山路 浩三郎 角田 恭治 李 文 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.905-911, 1998-09-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

高齢者における不活化インフルエンザワクチンの連続接種の際の, ワクチン接種回数とワクチン効果との関連について, 血清HI抗体価より検討した.60歳以上の長期入院患者146名 (男性28名, 女性118名, 平均年齢82.4歳) に不活化インフルエンザワクチンを接種した.69名は前年度インフルエンザワクチンの接種を受けており, 77名は前年度未接種者であった.2年連続ワクチン接種者中, 35名が今回1回のみ, 34名が今回2回, ワクチン接種を受けた.接種前, 1回接種後, 2回接種後, 流行後のInfluenza A/H1N1, A/H3N2, 及びBに対する血清HI抗体価を測定した.各インフルエンザウイルスに対するワクチン接種前のHI抗体価は, 2年連続接種者が前年度未接種者より有意に高かった.ワクチン接種後のHI抗体価は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が最も高かったが, 3群間に統計学的な有意差は検出されなかった.ワクチン接種後に, HI抗体価の4倍以上の上昇が見られる率は, 2年連続接種者で低かったが, これはワクチン接種前のHI抗体価が高いためと考えられた.ワクチン接種後のHI抗体価128倍以上の割合は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が他の群より高かったが, 3群間に統計学的な有意差は認められなかった.2年連続接種者では, 2回目接種により, HI抗体価が128倍未満から128倍以上に上昇した者は認められなかった.以上の成績より, 高齢者では, 不活化インフルエンザワクチンに対する抗体反応は, 前年度接種の有無に係らず良好で, 連続接種の際には, 接種回数1回でも2回接種と同等の予防効果が期待できると考えられた.
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 角田 恭治 山路 浩三郎 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.60-66, 1998-01-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

高齢入院患者におけるインフルエンザ流行の影響とインフルエンザワクチンの予防効果について, 1995年インフルエンザ流行時について検討した.院内感染対策の一環として発熱患者の発生について継続調査を行っている対象病院において, 1994年と1995年の週間発熱患者発生数で, 1995年第3週と第8週の発熱件数が, 他の週に比し著しく上昇しており, インフルエンザ流行は発熱の原因として大きな因子であると考えられた.Aホンコン型, Aソ連型, B型のいずれか一つにでも罹患した患者は, 60歳以上のインフルエンザワクチン非接種者において, 48.7%と高率であった.インフルエンザウイルスに対する流行前のHI抗体価が, 32倍以下の入院患者には多数の罹患者が見られたが, 128倍以上の患者には, いずれの型のインフルエンザに関しても罹患者が見られなかった.発熱患者の発生頻度は, インフルエンザワクチン接種者86人では32.6%で, 非接種者123人における49.6%に比し表有意に低かった (p<0.05).9カ月間の調査で, インフルエンザワクチン接種者における死亡者は4例 (4.9%) で, 非接種者では12例 (9.8%) であった.以上の成績より, インフルエンザ流行は, 高齢者において重要な問題であり, インフルエンザワクチン接種は罹患予防に有効であると考えられた.インフルエンザワクチンには, 罹患予防効果と共に, 死亡予防効果も期待され, 高齢者には積極的に接種を行うべきであると思われた.
著者
井下 智加 平林 純 加藤 成樹 木村 純子
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.225-230, 2018-04-10 (Released:2018-04-13)
参考文献数
8

質感は,光沢感,立体感,凹凸感,透明感など,人が材質に対して感じる視覚的,触覚的な感覚を指す.貴重な文化財を眺める時であれば,そうした質感情報を通じて,強い印象や豊かな満足を人は得る.近年,印刷やCG技術が大きく向上し,質感表現を活用したビジネスが創出され始めている.我々は,従来の色のみを扱う画像の世界から,質感情報を応用した領域へ技術開発やビジネス展開を進めようとしている.本稿では,文化財保存·高品質複製を踏まえた質感再現技術を紹介するとともに,質感の定量測定を容易に行うことができる「質感測定器·表面反射アナライザー」について紹介する.
著者
諸 久永 富樫 賢一 土田 昌一 藤田 康雄 小管 敏夫 大関 一 林 純一 斉藤 憲 山崎 芳彦 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.507-510, 1989-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10

IABPの腎血行動態に及ぼす効果について、腎交感神経切除を施行して、腎血流と腎交感神経トーヌスの関係を中心に、検討した。雑種成犬10頭を用い、熱希釈法にて腎血流量、心拍出量を測定し、腎血流量分配率、腎血管抵抗および末梢血管抵抗を算出し、次の結果を得た。1. IABP作動時の腎血流量の増加は、主として腎血管抵抗の低下によりもたらされた。2. denervation後では、IABP作動の有無に拘らず、腎血管抵抗は低値を維持し、腎血流量は変化しなかった。3. 腎血管抵抗は交感神経トーヌスにより影響されているが、IABPは、かかる交感神経支配下でも、血管抵抗の低下をもたらした。
著者
赤羽根 良和 永田 敏貢 齊藤 正佳 服部 潤 栗林 純
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>外傷性頚部症候群(WAD)とは、交通外傷後の包括した臨床症状を意味し、我々はこれまでに、頭頚部移行部障害に対する運動療法の有効性について報告してきた。<br> 今回、WAD後に頚胸椎移行部障害(CTD)を呈した症例に対し、当院で実施している運動療法を行った結果、良好な経過が得られたので、その方法論について紹介する。<br> 尚、本研究は患者に対して十分な説明と了解を得た上で実施した。<br><b>【対象】 </b>2009年4月から2012年4月までに、交通外傷により頚(C)・胸椎(T)を損傷し、当院を受診した症例のうち、対象の選定を全て満たした20例(男性16例、女性4例、年齢39.6±13.4歳)を対象とした。<br> 対象の選定は、①臨床症状の主体は頚背部痛であること②頚部の伸展時痛を認めること③両肩関節の拳上時痛を認めること④C7/T1を徒手で固定すると、頸椎の伸展時痛や両肩関節の拳上時痛が消失すること⑤C7/T1の椎間関節に圧痛を認めること⑥第1肋骨(R1)に圧痛を認めること⑦消炎鎮痛剤の投与や物理療法を実施するも3ヶ月以上明らかな変化を認めないことである。これらを全て満した場合をCTDと判断した。<br><b>【方法】 </b>運動療法は患者を側臥位にさせて実施した。<br> 椎間関節に対する治療は、PTの一方の手でC7棘突起を固定し、他方の手でT1棘突起を把持する。そこから他方の手でT1を尾側方向に滑らせ、椎間関節を離解する。つづいて、深層筋群を収縮することでT1を頭側方向に滑らせ、椎間関節を閉塞する。この操作を繰り返し行うことで、椎間関節の可動域を増大させていく。<br> R1に対する治療は、PTの一方の手で患者の肩関節を拳上させる。他方の手で、中斜角筋と前鋸筋が結合するR1を尾側に押し込みながら各筋のIb抑制を行う。この操作を片方ずつ実施する。R1に圧痛が消失することを目的に実施する。<br><b>【結果】 </b>椎間関節の圧痛が消失した推移は、4週以内が13名、8週以内が20名、12週以内が20名であった。R1の圧痛が消失した推移は、4週以内が12名、8週以内が18名、12週以内が20名であった。頸椎の伸展時痛が完全に消失した推移は、4週以内が10名、8週以内が16名、12週以内が20名であった。<br><b>【考察】 </b>WADでは、頚背部痛を呈することが多く、3ヶ月以上持続すると、慢性化することも少なくない。<br> 生理学的に、頚部の屈曲運動は上位頸椎が主体であるが、伸展運動は頚椎間のみならず、可動域の少ない頚胸椎移行部間でも生じる。また、両肩関節の拳上時には頚胸椎移行部での屈曲運動とR1の拳上運動が生じる。そのため、CTDを呈すると、これらの一連の運動は制限され、疼痛が誘発される。その一方で、C7/T間を徒手で固定すると、これらの疼痛は消失する。この検査はCTDを見極めるための重要な所見であり、また、椎間関節の圧痛も、そこに病態が潜んでいるのか判断するに有効である。<br> 運動療法の目的は、椎間関節の滑り運動の誘導と、R1に付着する筋の柔軟性を獲得することである。これにより、CTDとR1の生理的な連結運動が再獲得できたことが、症状消失に至ったと考えられる。<br><b>【結論】 </b>WADでは頚背部痛を呈することが多く、その中の一つの病態であるCTDは、我々の実施している運動療法が有効と考えられた。
著者
斉藤 正佳 赤羽根 良和 永田 敏貢 栗林 純
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.100, 2011 (Released:2011-12-22)

【はじめに】 内側型変形性膝関節症(以下,内側OA)は,関節軟骨の変性を基盤とした非炎症性の疾患である.臨床的症状として動作の開始時・立ち上がり・階段昇降時に膝関節内側部痛を訴え,様々な病態を合併する.その中でも,鵞足炎はもっとも多い合併症の一つであるが,内側OAは,膝内反,下腿内旋位を呈しているため,鵞足はむしろ弛緩しており,これまでのところ,鵞足炎を有した内側OAの発症機序は明らかにされてこなかった. 今回,内側型OAの荷重・非荷重のX-pを検討する事で,鵞足炎の引き金となる特徴的な所見が得られたので報告する. 【対象および方法】 平成21年4月から平成23年5月までに当院を受診し,内側OAと診断された47例47足である(男性:13例13足,女性:34例34足,年齢:68.02 ±11.21歳).OAの重症度分類は,腰野の分類で,grade 0は0例,grade1は16例,grade2 は25例,grade 3は4例, grade 4 は2例,grade 5は0例である. 方法は, 鵞足部に圧痛や同部に疼痛が認められた群を鵞足炎群(25例25足,男性:4例,女性21例,平均年齢:66.10±12.36歳)と圧痛や同部に疼痛が認められなかった群を非鵞足炎群(22例22足,男性:9例,女性13例,平均年齢:69.14±9.62歳)に分類した.つづいて,X-pより荷重時・非荷重時の大腿骨内側顆と脛骨内側顆の距離を計測(荷重時値・非荷重時値,単位:_mm_)した.さらに,非荷重時と荷重時における大腿骨内側顆の距離の差(移動量,単位:_mm_)を計測した.また,FTA,非荷重時FTAについても計測した.尚,統計学的処理はノンパラメトリック検定,Mann-WhitneyU検定を使用した. 【結果】 鵞足炎群の非荷重時値は7.21±3.05_mm_,荷重時値は8.33±3.23_mm_,移動量は内側へ1.12±1.61_mm_,FTAは183.91±4.75°,非荷重時FTAは181.38±2.11°であった.非荷重値と荷重値は,有意差を認めた (p<0.01).鵞足炎無し群の非荷重時値は8.26_mm_±2.2_mm_,荷重時値は7.31±2.49_mm_,移動量は外側0.96±1.13_mm_,FTAは182.77±1.82°,非荷重時FTAは180.77±2.41°であった.非荷重値と荷重値では有意差は認められなかった.また,鵞足炎群と鵞足炎無し群の非荷重時値,の有意差が認められなかったが,鵞足炎群と鵞足炎無し群の移動量の差は,有意差を認めた(p<0.001). 【考察】 鵞足炎は,鵞足構成筋による鵞足腱炎と鵞足腱深層に位置する滑液包による鵞足包炎の両者を含み,スポーツ障害として代表的な疾患である.その臨床的な特徴所見は,鵞足部への圧痛や同部への動作時痛である.圧痛の原因は,脛骨回旋の不安定性により鵞足腱や鵞足滑液包表面に対する直接的な摩擦や圧迫が持続的に加わり,生理的限界を超える過大な応力が炎症を引き起こすと言われている.スポーツ障害膝における鵞足炎の発症は,外反膝・knee in toe outを呈するアライメントである事が多い.鵞足腱には伸張ストレスが加わりやすいため,その発症は理解しやすい.しかし,内側OAでは鵞足はむしろ弛緩位であるため,その肢位を考慮すると発症要因が不明となる. そこで,我々はX-pにて内側OAにおける荷重位・非荷重位を比較検討してみた.鵞足炎群と鵞足炎無し群の非荷重時値の有意差が認められなかったことから,大腿骨内側顆の形態的構造が鵞足炎を発症するとは考えられない.しかし, 鵞足炎群における非荷重時値と荷重時値の差は認められ,鵞足炎無し群では認められなかったこと,さらに,鵞足炎群の移動量と鵞足炎無し群の移動量の差も認められたことから,鵞足炎群では,荷重時に大腿骨の内側への移動量が大きくなることで,鵞足構成筋に伸張ストレスが生じ,鵞足炎が発症したと考えられる. 鵞足周囲における停止部の詳細な構造は,縫工筋腱は下腿筋膜に覆われ,その間に長い線維束が存在する.縫工筋を覆っている下腿筋膜の深層にも線維束が位置し,その直下に薄筋腱が位置している.そして,半腱様筋腱,半膜様筋腱の拡張線維,内側側副靭帯という順で停止している.つまり,大腿骨の内側偏位に対して,鵞足構成筋はスタビライザーとして機能するが,縫工筋・薄筋は長い線維束や下腿筋膜で覆われているため,可動性・滑動性が少ないと考えられる.特に,薄筋腱は大腿骨内側顆の内側かつ深層を走行するため,内側偏位に対して直接的にストレスを受けやすいと考えられる.一方,半腱様筋腱の表層には,縫工筋腱・薄筋腱を覆っている様な組織・線維は存在しないため,可動性・活動性があり大腿骨内側偏位に対するストレスから免れやすいと考えられる. これらのことから,大腿骨の内側偏位には鵞足筋の中でも,縫工筋腱,薄筋腱が伸張ストレスをうけやすく,鵞足炎を生じたのではないかと考えられる.
著者
山口 直美 小林 純 太刀川 弘和 佐藤 晋爾 堀 正士 鈴木 利人 白石 博康
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.25-32, 2000-01-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
30

摂食障害患者を自殺企図の有無で2群に分類し, 2群間でParental Bonding Instrument(PBI)で測定された両親の養育態度や臨床症状などについて比較検討した.PBIの結果において, 自殺企図群では両親のoverotection(過保護)得点が有意に高かつた.また自殺企図群では虐待体験を伴う症例が有意に多かつた.一方, 発症年齢, 調査時年齢, 摂食障害の重症度, 過食, 嘔吐, 下剤乱用, 物質乱用, 抑うつ状態の有無などについては2群間に有意差を認めなかつた.摂食障害患者において自殺企図の危険因子として, PBIの高いover protection得点で示されるような, 親の支配的で過保護な養育態度や虐待体験などが重要と考えられた.
著者
斉藤 正佳 赤羽根 良和 永田 敏貢 栗林 純
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.100, 2011

【はじめに】内側型変形性膝関節症(以下,内側OA)は,関節軟骨の変性を基盤とした非炎症性の疾患である.臨床的症状として動作の開始時・立ち上がり・階段昇降時に膝関節内側部痛を訴え,様々な病態を合併する.その中でも,鵞足炎はもっとも多い合併症の一つであるが,内側OAは,膝内反,下腿内旋位を呈しているため,鵞足はむしろ弛緩しており,これまでのところ,鵞足炎を有した内側OAの発症機序は明らかにされてこなかった. 今回,内側型OAの荷重・非荷重のX-pを検討する事で,鵞足炎の引き金となる特徴的な所見が得られたので報告する. 【対象および方法】平成21年4月から平成23年5月までに当院を受診し,内側OAと診断された47例47足である(男性:13例13足,女性:34例34足,年齢:68.02 ±11.21歳).OAの重症度分類は,腰野の分類で,grade 0は0例,grade1は16例,grade2 は25例,grade 3は4例, grade 4 は2例,grade 5は0例である. 方法は, 鵞足部に圧痛や同部に疼痛が認められた群を鵞足炎群(25例25足,男性:4例,女性21例,平均年齢:66.10±12.36歳)と圧痛や同部に疼痛が認められなかった群を非鵞足炎群(22例22足,男性:9例,女性13例,平均年齢:69.14±9.62歳)に分類した.つづいて,X-pより荷重時・非荷重時の大腿骨内側顆と脛骨内側顆の距離を計測(荷重時値・非荷重時値,単位:_mm_)した.さらに,非荷重時と荷重時における大腿骨内側顆の距離の差(移動量,単位:_mm_)を計測した.また,FTA,非荷重時FTAについても計測した.尚,統計学的処理はノンパラメトリック検定,Mann-WhitneyU検定を使用した.【結果】鵞足炎群の非荷重時値は7.21±3.05_mm_,荷重時値は8.33±3.23_mm_,移動量は内側へ1.12±1.61_mm_,FTAは183.91±4.75°,非荷重時FTAは181.38±2.11°であった.非荷重値と荷重値は,有意差を認めた (p<0.01).鵞足炎無し群の非荷重時値は8.26_mm_±2.2_mm_,荷重時値は7.31±2.49_mm_,移動量は外側0.96±1.13_mm_,FTAは182.77±1.82°,非荷重時FTAは180.77±2.41°であった.非荷重値と荷重値では有意差は認められなかった.また,鵞足炎群と鵞足炎無し群の非荷重時値,の有意差が認められなかったが,鵞足炎群と鵞足炎無し群の移動量の差は,有意差を認めた(p<0.001).【考察】 鵞足炎は,鵞足構成筋による鵞足腱炎と鵞足腱深層に位置する滑液包による鵞足包炎の両者を含み,スポーツ障害として代表的な疾患である.その臨床的な特徴所見は,鵞足部への圧痛や同部への動作時痛である.圧痛の原因は,脛骨回旋の不安定性により鵞足腱や鵞足滑液包表面に対する直接的な摩擦や圧迫が持続的に加わり,生理的限界を超える過大な応力が炎症を引き起こすと言われている.スポーツ障害膝における鵞足炎の発症は,外反膝・knee in toe outを呈するアライメントである事が多い.鵞足腱には伸張ストレスが加わりやすいため,その発症は理解しやすい.しかし,内側OAでは鵞足はむしろ弛緩位であるため,その肢位を考慮すると発症要因が不明となる.そこで,我々はX-pにて内側OAにおける荷重位・非荷重位を比較検討してみた.鵞足炎群と鵞足炎無し群の非荷重時値の有意差が認められなかったことから,大腿骨内側顆の形態的構造が鵞足炎を発症するとは考えられない.しかし, 鵞足炎群における非荷重時値と荷重時値の差は認められ,鵞足炎無し群では認められなかったこと,さらに,鵞足炎群の移動量と鵞足炎無し群の移動量の差も認められたことから,鵞足炎群では,荷重時に大腿骨の内側への移動量が大きくなることで,鵞足構成筋に伸張ストレスが生じ,鵞足炎が発症したと考えられる.鵞足周囲における停止部の詳細な構造は,縫工筋腱は下腿筋膜に覆われ,その間に長い線維束が存在する.縫工筋を覆っている下腿筋膜の深層にも線維束が位置し,その直下に薄筋腱が位置している.そして,半腱様筋腱,半膜様筋腱の拡張線維,内側側副靭帯という順で停止している.つまり,大腿骨の内側偏位に対して,鵞足構成筋はスタビライザーとして機能するが,縫工筋・薄筋は長い線維束や下腿筋膜で覆われているため,可動性・滑動性が少ないと考えられる.特に,薄筋腱は大腿骨内側顆の内側かつ深層を走行するため,内側偏位に対して直接的にストレスを受けやすいと考えられる.一方,半腱様筋腱の表層には,縫工筋腱・薄筋腱を覆っている様な組織・線維は存在しないため,可動性・活動性があり大腿骨内側偏位に対するストレスから免れやすいと考えられる. これらのことから,大腿骨の内側偏位には鵞足筋の中でも,縫工筋腱,薄筋腱が伸張ストレスをうけやすく,鵞足炎を生じたのではないかと考えられる.
著者
赤羽根 良和 永田 敏貢 斉藤 正佳 栗林 純
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第27回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.125, 2011 (Released:2011-12-22)

【はじめに】 外傷性頚部症候群(以下、WAD)は交通外傷をはじめ、外力によって発生する頭部・頚部・肩甲部痛を包括した症候群である。その病態は筋、筋膜、靭帯、椎間関節、椎間板などの頚椎支持機構の損傷を意味する。その中でも筋の損傷は、修復過程の中で攣縮に伴う硬結状態を呈しやすく、鋭い疼痛の発生や頚椎可動域の著しい制限を引き起こすといわれている。 本研究では数あるWADの症状の中で、後頭部から頭頂部にかけての範囲に生じる頭痛について、運動療法と物理療法において治療成績を比較検討したので報告する。 【対象の選定について】 対象の選定方法としては、_丸1_愁訴に頭痛を認めること、_丸2_大後頭神経に限局した圧痛があり、圧迫を加えると後頭部に放散痛を認めること、_丸3_頚部の屈曲可動域が屈曲30°以下に制限されていること、_丸4_肩峰床面距離(以下AFD)は2横指以上認め、いわゆる猫背姿勢を呈すること、_丸5_頭痛は臥床時と比較して座位・立位姿勢の持続により増悪しやすいこと、_丸6_定期的に週に3回の来院が可能であることの6項目を全て満たしたものとした。 【対象】 対象は、停車中に側方および後方からの追突により頭・頚部を交通外傷されて、対象の選定条件を全て満たした30例(男性12例、女性18例、平均年齢42.8歳)とした。さらに運動療法を実施した15例(男性6例、女性9例、平均年齢42.5歳)と物理療法を実施した15例(男性6例、女性9例、平均年齢43.1歳)に分類した。 頭痛を主体としたWADの治療効果を検定するに当たり、交通外傷後から運動療法および物理療法の開始期間、頭痛が発生するまでの期間、初診時のX線側面像における第1頚椎の前縁と後縁を結んだ上縁から、第7頚椎椎体上縁までのなす角(以下、頚椎前弯角と略す)、初診時の頚部屈曲角度、初診時のAFDは両群間に有意差はなく、妥当な比較検討が可能と判断した。 治療効果の判定には頚椎屈曲角度、頚椎伸展角度、AFD、頭痛が消失した割合を、治療開始後2週、4週、6週の時点で求めて運動療法群と物理療法群で比較検討した。 【運動療法】 _丸1_姿勢の矯正を目的としたエクササイズ 猫背姿勢となった脊柱アライメントを、生理的な頚椎の前弯と胸椎の後弯位を再獲得し、頭部の位置が矯正されることを目的に実施した。 _丸2_頭半棘筋のリラクゼーション 損傷した頭半棘筋の攣縮を改善させ、筋肉内を貫通する大後頭神経が除圧されることを目的に実施した。 【物理療法】 ソーマダイン 損損した軟部組織の修復および治癒の促進を目的に、愛知電子工業社のソーマダイン(SIRIUS)を使用した。 【解析手順】 頚部の屈曲角度、伸展角度、AFD、頭痛消失期間について運動療法群と物理療法群で比較検討をした。統計学的検討においては、スチューデントのT検定およびマン・ホイットニーのU検定を用いた。 【結果】 頚部の屈曲角度の推移は、治療開始後2、4週では有意差を認めなかったものの、6週では運動療法群の方が有意に改善された(p<0.05)。 頚部の伸展角度の推移は、治療開始後2週では有意差を認めなかったものの、4、6週では運動療法群の方が有意に改善された(p<0.05)。 AFDの推移は、治療開始後2、4、6週において、有意に可動域は良好であった(p<0.05)。頭痛が消失した割合は、治療開始後2、4週では有意差を認めなかったものの、6週では運動療法群の方が消失した割合が多かった(p<0.05)。 【考察】 頚部周囲筋群などの攣縮に伴う頚部の屈曲制限は、治療開始後6週以降において、頭半棘筋のリラクゼーションと大後頭神経を除圧する運動療法が有効と考えられた。 またWAD患者では、頚部・胸部周囲筋のバランス機構が破綻するため、頚椎の前弯消失と胸椎過後弯化を招来し、頭部は胸郭よりも前方位となり、肩甲帯はプロトラクトする。このため早期から頚部の伸展角度とAFDを改善させ脊柱姿勢を矯正することは、頚部周囲筋群の持続的な攣縮を緩和するきっかけになり、頭痛の速やかな改善につながると考えている。 また頭痛の改善については、治療開始後6週以降において運動療法群の方が有意に消失した割合が多かった。これは早期から頭半棘筋のリラクゼーション、大後頭神経の除圧および姿勢の矯正を速やかに図ったことが要因と考えられる。しかし治療開始4週間以内であればソーマダインは運動療法と同様な頭痛の治療効果が期待できると考えられる。4週以内であれば、簡便であり短い治療時間で効果が発揮できるソーマダインが有効であり、また4週以上継続する場合は、運動療法に治療方針を変えるなどの治療戦略が重要と考えられた。
著者
若林 純一 矢吹 丈輔
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.17, no.82-83, pp.113-120, 1967-04-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
8

The Yamato mercury mine is located in the central part of Nara Prefecture and one of the oldest mercury mines in Japan. The mine area is composed of plutonic rocks and mylonitic rocks of the post-Palaeozoic period, Tertiary quartz andesite and Quaternary sediments. The ore deposits of this mine are controlled by fissure systems such as EW and NW striking shear fractures, and WNW striking tentional fractures which are considered to be formed by the compression of WNW-ESE direction that is connected closely with the movement of the Median Tectonic Line. The ore deposits exist as a group of stringers, ore-pipe and pocket filling these fissure systems. The main Alterations of the country rocks are silicification, argillization, pyritization, carbonatization and chloritization. Ore shoots are formed where the fissures and veins cross, or where they dip at a low angle. It is considered that these ore shoots are controlled by structures of the fissures and the country rock.
著者
桃井 尊央 大林 宏也 栃木 紀郎 小林 純 故塩倉 高義
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-8, 2014-01-25 (Released:2014-01-28)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

前報で構築した東京都西多摩郡奥多摩町に生育する7樹種の樹木年輪指数(年輪幅指数:IWar,年輪内平均密度指数:IDar)と同町で観測された気候変数との関係を検討した。その結果,樹木年輪指数と気候変数との間で認められた有意な相関関係の中には,多くの樹種間に共通した相関関係が,(1)IWarと当年1月から3月の月平均気温との間,(2)IDarと当年5月から8月の月平均気温との間,(3)IDarと前年5月から7月の月平均気温との間,(4)IDarと当年6月から9月の月降水日数との間で確認された。さらに,上記した4つの相関関係には樹種による違いも確認できた。また,月平均気温と月最高気温,月最低気温は,樹木年輪指数との相関関係において似た傾向が認められたが,月最高気温の方が月平均気温や月最低気温よりも樹木年輪指数との間に有意な相関関係が多く,その相関係数の絶対値は大きかった。
著者
林 純子 金子 和幸 井上 豊仁 下村 和則 横瀬 勝美 廣瀬 英晴 西山 實 黒田 隆
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.279-286, 2004-07-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

市販石膏溶解剤12製品を組成分析(IR, WDX, TG-DTA)して主成分を同定するとともに,石膏浸漬前後での溶解剤のpH変化,浸漬時間による溶解量を測定した.石膏溶解剤の主成分はN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン-N, N', N'-三酢酸三ナトリウムである可能性が高かった.溶解剤の固形分含有率は10.4〜31.8%であった.未使用の石膏溶解剤のpHは,10製品で8〜9を,2製品で13以上を示した.普通石膏硬化物の溶解率は,浸漬時間の増加に件い増大し,pH8〜9の10製品では浸漬2〜3時間で100%を示したが,pH13以上の2製品では浸漬3時間で14.3〜37.4%であった.
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 山家 滋 山路 浩三郎 角田 恭治 上野 久美子 林 純 白井 洸 原 寛 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.70, no.12, pp.1259-1265, 1996-12-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
24
被引用文献数
5 4

高齢長期入院患者における発熱や死亡のハイリスクグループのマーカーを検索するために, 観察病院において1年以上入院した患者478名を対象として, 血清アルブミン値と発熱及び死亡との関連について検討を行なった.対象の平均血清アルブミン値は3.79g/dlで, 加齢と共に漸減傾向を示した.延べ504,189日の発熱の調査結果より得られた各患者の平均年間発熱回数と血清アルブミン値の関連は, 血清アルブミン値4.1g/dl以上の群の平均発熱回数が最も低く1.8回/年で, 血清アルブミン値の低下に従って段階的に上昇し, 3.0g/dl以下の血清アルブミン値著明低下患者では5.3回/年であった.年齢補正後の死亡率は, 血清アルブミン値3.0g/dl以下の群が40.4%で, 他の3群の13.0%~19.8%に比し著しく高率であった.血清アルブミン値3.0g/dl以下の群では死亡率はどの年齢層においても高率であったが, 他の3群においては, 80歳以上で死亡率が高かった.血清アルブミン値4.1g/dl以上の群をcontrol群として求めたrelativeriskは, 血清アルブミン値3.0g/dl以下の群では発熱で2.9, 死亡では2.0であった.以上の結果より, 血清アルブミン値は, 高齢期入院患者における, 発熱や, 1年後以降に生じる死亡の予測因子として有用であり, 特に血清アルブミン値3.0g/dl以下の患者は発熱, 死亡のハイリスクブループであると考えられた.
著者
冨田 雅典 小林 純也 野村 崇治 松本 義久 内海 博司
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第54回大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2011 (Released:2011-12-20)

線量率効果は、線量率が低くなると、総線量は同じでも、生物効果が低くなる現象であり、長い照射時間の間に亜致死損傷の回復が起こるためであると古くから考えられている。しかしながら、低線量率放射線照射下におけるDNA2重鎖切断(DSB)修復の分子機構は、いまだに十分解明されていない。高等真核生物では、DSBは非相同末端結合(NHEJ)と相同組換え(HR)により修復される。我々は、さまざまなDSB修復遺伝子欠損細胞を用いて、線量率効果におけるDSB修復機構の役割について検討を進めている。NHEJに関与するKU70、HRに関与するRAD54、およびKU70とRAD54をともに欠損したニワトリDT40細胞を用い、γ線連続照射に対する影響を解析した結果、低線量率域でもっとも高い感受性を示した細胞はKU70-/-細胞であった。この要因を広い線量率範囲で解析するために、京都大学放射線生物研究センターの低線量長期放射線照射装置を用いて重点領域研究を開始した。これまでの研究から、0.1 Gy/hのγ線照射下において、RAD54-/-、RAD54-/-KU70-/-細胞と比較して、KU70-/-細胞ではより顕著なG2 arrestが起こり、その後アポトーシスが生じることを明らかにした。今後、線量率を下げて変化を解析する予定である。 また、NHEJに関与するDNA-PKcsを欠損したヒト脳腫瘍細胞を用い、低線量率照射後の細胞生存率を解析した結果、照射開始後ある一定レベルまで低下した後は、照射を継続してもそれ以上変化しないことが明らかになった。この結果は、低線量率放射線の生体影響を考える場合、細胞のターンオーバーが重要な要因となることを示している。 低線量率放射線の組織への影響を考える場合、幹細胞への傷害の蓄積性が問題となる。特にdormantな幹細胞では、NHEJが重要な役割を担うと考えられ、NHEJを欠損したマウスの造血系幹細胞が加齢に伴い枯渇することも報告されている (Nijnik et al. 2007、他)。細胞での結果をもとに、低線量率放射線の生体組織影響におけるDNA修復機構の重要性について議論したい。
著者
鈴木 一平 竹林 純 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.141-145, 2018-06-25 (Released:2018-07-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2

複数の化合物から構成される微量のビタミンを,一括して定量する際に微生物学的定量法(microbiological assay, MBA)が広く用いられている.MBAは試料溶液中ビタミン濃度と菌体の生育量の関係が通常シグモイドを描くため,一般的な直線回帰で求めた検量線では定量性に問題が生じる場合がある.そこで,本研究では乳児用調製粉乳中のビタミンB6定量をモデルケースとして,回帰モデルの選択(直線,2次,3次回帰モデルおよび4パラメーターロジスティックモデル(4PLM))が定量結果に及ぼす影響について検討した.その結果,4PLMに基づく検量線を用いることにより,試料溶液中のビタミン濃度が標準溶液の範囲を逸脱した際にある程度妥当な定量値を得ることができることから,信頼性の高いビタミンB6定量が可能となった.同様の結果はナイアシンの定量でも確認できた.以上の結果から,MBAにおいて4PLMに基づく検量線を用いることで,ビタミン定量値の信頼性向上が期待される.
著者
古沢 常雄 池田 賢市 板倉 裕治 岩崎 久美子 岩橋 恵子 上原 秀一 小林 純子 園山 大祐 高津 芳則 高橋 洋行 夏目 達也 藤井 穂高 堀内 達夫 小野田 正利 藤井 佐知子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、学業失敗や無資格離学、失業など我が国と共通の様々な教育問題を抱えるフランスにおいて、社会統合と公教育の再構築に向けたキャリア教育の取り組みがどのように行われているかを、全教育段階を対象に総合的に明らかにした。フランスでは、我が国のキャリア教育(英語のCareerEducation)に相当する概念はほとんど用いられていないが、先進諸国においてキャリア教育が必要とされる社会的背景を共有しており、フランスにおいてキャリア教育と呼びうる様々な教育活動が義務教育、後期中等教育及び社会教育・継続教育の分野でどのように実際に展開されているのかを総合的に明らかにした。
著者
杉本 公一 小林 純也 北條 智彦
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1, pp.1-11, 2017 (Released:2016-12-31)
参考文献数
132
被引用文献数
1 24

This paper introduces the microstructure, retained austenite characteristics, strain-induced transformation-deformation mechanism and mechanical properties of transformation-induced plasticity (TRIP)-aided martensitic (TM) steels for the automotive applications. Because the microstructure consists of a wide lath-martensite structured matrix and a mixture of narrow lath-martensite and metastable retained austenite (MA-like phase), the TM steel produced a good combination of tensile strength and cold formability. If Cr and/or Mo were added into 0.2%C-1.5%Si-1.5%Mn steel to enhance its hardenability, the resultant TM steel achieved superior notch fatigue strength and impact and fracture toughness to conventional structural steel such as SCM420. These enhanced mechanical properties were found to be mainly caused by: (1) plastic relaxation of the stress concentration, which results from expansion strain on the strain-induced transformation of the metastable retained austenite; and (2) the presence of a large quantity of finely dispersed MA-like phase, which suppresses crack or void initiation and subsequent connection.
著者
中林 純 中島 賢太郎 川合 慶
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2000年代前半に国土交通省が全国で発注した公共工事で大規模な入札談合が行われていた可能性についての存在を推定する方法について検討を行った。公共工事等の入札で予定価格を全員が超過した場合に行われる「再度入札」に着目し、談合によって業者が入札する予定の金額を事前に打ち合わせしていた可能性を示した。さらに再度入札に参加した業者の入札行動を分析したところ、期間中に談合を繰り返した可能性が高い業者が約1,000社、またそれらの業者が落札した工事は当該期間中だけで約8,000件、予算規模で約9,000億円にも及ぶことがわかった。