著者
小林 勝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.407-428, 1992-03-30
被引用文献数
1

南インド・ケーララにおけるカースト制は,ナンブーディリ・ブラーフマンを中心=頂点とする<儀礼的位階>イデオロギーが著しく貫徹され,彼らが王権を超える地位を獲得していたことによって特徴付けられる。そのことの意味は,一番に,この地域が古代の統一王権を喪失して以来近代にいたるまで慢性的な政治的分裂状況にあり,そこにおける汎ケーララ的な次元での社会的統合の宗教的な要としての役割がこのブラーフマンに対して要請されてきたという歴史的な経緯に求められる。また,ナンプーディリは他に例をみない大土地保有者であり,そしてある場合には地方小王権に対抗し得るような強大な武力をさえ抱え込んでいたのであって,そうした彼らの世俗的な側面は一方で自らの汎ケーララ性を裏切りながら,しかし全体からすれば彼らの宗教的権威を王権から自立させて維持するのに大きな意義をもったのである。
著者
Chang Morris 小林 収
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1069, pp.62-65, 2000-12-04

問 半導体産業でファウンドリー(受託生産専業メーカー)という新しい業態を初めて考え出し、急成長を遂げています。売上高は1998年から99年にかけて倍増し、一方で純利益率は3割を超えました。2000年は売上高、利益とも2倍以上の成長が予想されます。どのようにしてファウンドリーというモデルを考え出されたのですか。
著者
永森 久美子 土江田 奈留美 小林 紀子 中川 有加 堀内 成子 片岡 弥恵子 菱沼 由梨 清水 彩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.17-27, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
23
被引用文献数
4

目 的 母乳育児中および母乳育児の経験がある母親の体験から,混乱や不安を招き,母親の自信を損なうなどといった効果的でなかった保健医療者のかかわりを探索する。対象と方法 研究協力者は都内の看護系大学の母乳育児相談室を利用した母親35人と,第2子以降の出産をひかえた家族ための出産準備クラスに参加した母親5人の計40人であった。データ収集は研究倫理審査委員会の承認を得て,2007年8月~11月に行った。データ収集方法は半構成インタビュー法で,内容は,「授乳や子どもの栄養に関して困ったこと,不安だったことは何か」,「それらの困ったこと・不安だったことにどのように対処したか」などであった。録音されたインタビュー内容を逐語録にしたものをデータとし,母親が受けた支援で,「混乱を招いた」,「不安になった」などというような医療者のかかわりを抽出した。抽出された内容をコード化しサブカテゴリー,カテゴリーに分類した。結 果 母乳育児をしている母親が混乱や不安を招くような保健医療者のかかわりとして,【意向を無視し押し付ける】,【自立するには中途半端なかかわり】,【気持ちに沿わない】,【期待はずれなアドバイス】,【一貫性に乏しい情報提供】の5つのカテゴリーが抽出された。母親は保健医療者から頻回授乳や人工乳の補足を強いられているように感じ,授乳の辛さや不安を受け止められていないと感じていた。その結果,母親は後悔の残る選択をし,授乳に対して劣等感や失敗感を抱いていることがあった。また,母親が自分で判断・対処できるようなかかわりでなかったために,自宅で授乳や搾乳の対応に困難を抱えたままでいることもあった。結 論 母親は母乳育児への希望を持っていたが,保健医療者のかかわりにより混乱や不安を感じていることがあった。保健医療者には,母親の意向を考慮した母親主体の支援,母親が自立していくための支援,母親の気持ちを支える支援,適切な観察とアセスメント能力,一貫性のある根拠に基づいた情報提供が求められていると考えられた。
著者
郡司 明彦 田村 幸彦 平尾 功治 町田 光 秋田 季子 小林 奈緒美 藤井 彰
出版者
JAPANESE SOCIETY OF ORAL THERAPEUTICS AND PHARMACOLOGY
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1-8, 2010-04-01

Many epidemiological studies have shown that the prevention of dental caries by fluoride is a basic and indispensable method to maintain and improve dental health. However, the countermeasures for maintenance of dental health and implementation of preventive programs for caries are still not satisfactory in Japan. In developed countries, it is thought that the prevalence of water fluoridation and use of fluoride-containing dentifrices are the primary factors responsible for the remarkable decrease in the prevalence of dental caries in children. Topical application of fluorides, especially fluoride mouth rinsing, has an extremely important role in Japan as compared with various other countries, because systemic application of fluorides, such as water fluoridation and use of fluoride tablets are not yet available in Japan. However, fluoride mouth rinsing has not become prevalent on a nationwide scale. Therefore, it is hoped that fluoride mouth rinsing will be enforced in more kindergartens, elementary schools, and junior high schools to contribute to the improvement of dental health in the future.
著者
林 一彦 渡邉 佳恵 大村 雅 木場 秀夫
出版者
日本身体障害者補助犬学会
雑誌
日本補助犬科学研究 (ISSN:18818978)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.40-43, 2010

一般に、歯が折れたり欠けたりすることは破折と呼ばれている。犬においては、歯の破折は比較的しばしば認められる歯牙の実質欠損である。今回、著者らは2例の介助犬の歯の破折を治療する機会を得たので、その病態と治療方法について供覧する。また、その発生機序についても若干の考察を加えた。症例は2例とも上顎第4前臼歯が斜めに破折(斜折)しており、歯髄は露出していた。治療としては生活歯髄切断術と歯髄覆罩を行なったのちに光重合型コンポジットレジンで充填した。上顎第4前臼歯の斜折は硬いものをかんだ時に生ずる典型的な破折であるため、ストレス解消のために与えた硬いチュウトイが原因と推察された。したがって、今後は硬いチュウトイの代替となるストレス解消法を模索する必要があるのではないかと思われた。
著者
三浦 麻子 小林 哲郎
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.123-132, 2016

<p>This study focuses on "satisficing" (answering behaviors in which participants do not devote appropriate attentional resources to the survey (Krosnick, 1991)) in an online survey and aims to investigate, via various indices, to what extent these behaviors are observed among students whose participation was solicited by the researchers in their universities. This study also aims to explore effective techniques to detect individuals who show satisficing tendencies as efficiently and accurately as possible. Online surveys were carried out at nine universities. Generally speaking, the predictive capability of various types of detection indices was not high. Though direct comparison with online survey panels was impossible because of differences in measurement methodology, the satisficing tendencies of university students were generally low. Our findings show that when using university students as samples for a study, researchers need not be "too intent" on detecting satisficing tendencies, and that it was more important to control the answering environment, depending on the content of the survey.</p>
著者
小林 進吾 田口 幹
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2003, 2003

小型ロボットにとって周りを取り巻く環境は巨大障害物だらけであり, その回避として壁面移動は有用である。小型ロボットの屋外での移動を可能にする壁面移動方法を提案する。
著者
赤澤 淳子 水上 喜美子 小林 大祐
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間学部篇 (ISSN:21853355)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-12, 2009-12-30

本研究では,家族成員間の相互作用として家族との直接的かつ質的コミュニケーションを取り上げ,その実態について家族システム論に依拠して検討することを第一の目的とした.また,第二の目的として,個人が認知する家族とのコミュニケーションと,個人の主観的幸福感との関係について検討した.その分析に際しては,家族形態及び地域という視点を導入した.調査対象者は,子世代については,15歳から30歳までの666名であった.母親世代は,35歳から60歳までの645名を,また,祖母世代は,55歳から85歳までの306名を対象とした.分析の結果,子世代および母親世代が認知する家族のコミュニケーション態度については,特に父方祖母や母方祖母のコミュニケーションについて家族形態による差が顕著に見られることが明らかとなった.また,孫世代と祖母世代とのコミュニケーションに関しては地域差が見られ,家族成員間のコミュニケーションにおいて,家族形態や地域差が影響している可能性が示唆された.さらに,個人が認知する家族とのコミュニケーションと,個人の主観的幸福感との関係について検討した結果,親子関係のみならず,祖母-孫,姑-嫁という世代間の,相互作用のあり方が,個人の主観的幸福感に影響している可能性が示唆された.すなわち,日常のコミュニケーションは相互の関係性に影響するだけでなく,個々の精神的な健康度にも影響するものと推測された.
著者
小林 香 片山 勁
出版者
富山県立大学
雑誌
富山県立大学紀要 (ISSN:09167633)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.42-49, 2008-03

限られた資源を,任意のタイミングでやってくる複数の利用者が利用するシステム-銀行のATMやスーパーマーケットのレジなどが誰にでも分かりやすい例である-を考える.利用者がやってきたときに直ちに利用できる(空いている)資源の数がゼロであれば,当然のことであるが利用できない利用者が出てくる.待ち行列(バッファ)があり,資源に空きが出るまで利用者が待つことが可能であれば,このシステム全体を,資源が利用できるまでの平均待ち時間で定量的に評価することができる.バッファが空になると,休暇(バケーション)で総称される副次的作業に資源を使う場合,利用者の平均到着間隔が資源1つの平均利用時間に近づくに従って,システム内に滞留する利用者数が増え,副次的作業が後回しにされる.必要なタイミングで副次作業を行うことができるように,今回は,本来の待ち行列の前にもう一つ待ち行列を準備し,2つの待ち行列の間にゲートを設ける.このようなゲートを導入したM/G/1+vacationシステムについての諸量を,Level-Crossing法を用いて解析をする.
著者
森岡 あゆ香 辻 幸秀 白 旭 宮村 信 阪本 利司 杉林 直彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.2, 2015-08-25

不揮発の抵抗変化素子であるNanoBridgeを用いた再構成可能回路は、従来のSRAMを用いた再構成回路に比べて高い電力効率を有している。今回、NanoBridgeを用いた再構成回路に実装した論理回路の電力・遅延を評価するための静的タイミング解析ツール(STA)を構築した。単位セルであるリーフセルの選択、実デバイスとの比較について報告する。精度を落とさずリーフセル数を大幅に削減することに成功し、短時間で遅延時間と電力の評価ができ、実測とも一致した。