著者
林 香
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

転写因子 KLF4 は腎臓糸球体上皮細胞(ポドサイト)に発現しており、糸球体障害モデルでは発現が低下した。Tet-on システムを用いたポドサイト特異的 KLF4 トランスジェニックマウスや KLF4 発現プラスミド投与による遺伝子導入により、アドリアマイシン腎症モデルにおいて低下した KLF4 を再誘導すると、ポドサイトの形質が改善しアルブミン尿が減少した。更にその機序には KLF4 のポドサイト形質における Epigenetic 調節が関与していることが示唆された。
著者
小俣 政男 下遠野 邦忠 小池 克郎 佐藤 千史 各務 伸一 林 紀夫
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本邦にて急増している肝癌の9割以上が肝炎ウイルスによる肝硬変症に合併したものであり,その大半がC型肝炎ウイルス持続感染に起因するものであった.肝癌の前駆状態ともいえるC型慢性肝炎患者の数からみて,肝癌症例数は当分の間さらに増加するものと予想された.しかし一方では,同ウイルスに対して約3割の駆除率を有するインターフェロン療法が肝癌発生を抑制することを示唆するデータが得られた.また,インターフェロン有効率を向上させるための方策について種々の検討が行われた.B型・C型肝炎ウイルスの増殖と肝癌の発癌機序,およびインターフェロンの作用機序等について各研究者により別紙に示す研究業績が発表されるとともに,研究者間の情報交換と問題点の整理のために“C型肝炎ウイルス制圧への基本的戦略",“C型肝炎ウイルスの変異と病態",“インターフェロンと細胞内情報伝達機構"をテーマとして計3回の班会議が開催された.その結果肝炎ウイルス制圧の為には、基本的ウイルス増殖機構の解明に最も精力を注ぐべきであり、それなくしては肝炎ウイルスの制圧はありえないという結論に至った。その具体的方策としては、例えば他のウイルスで増殖が比較的明らかにされているポリオウイルスの研究等から多くを学ぶべきであるという結論に達した。また細胞内情報伝達機構については、抗ウイルス剤(インターフェロン)により引き起こされる多くの第二、第三のメッセンジャーについて、個々の症例で検討すべき点が合意した。これらの知識を集積することが重要であり、本研究班の如き総合戦略が最も重要であるという点で一致した。
著者
小林 純 コバヤシ ジュン Jun Kobayashi
雑誌
立教經濟學研究
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.63-91, 2011-03-20
著者
足立 啓 本多 友常 林田 大作 朴 貞淑 岡本 加奈子
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

和歌山県みなべ町および上富田町における地域福祉ニーズ調査、各種統計データ抽出、住民アンケート調査、住民参加型ワークショップ等を通じて現状を把握し、町と協同して「地域福祉計画」策定のモデル原案を作成した。次に県下で策定済12市町の「地域福祉計画」を、生活環境、医療福祉、福祉のまちづくりなどの多面的視点から評価し4つに類型化しその特徴を明らかにした。また小地域・圏域での地域福祉ネットワークのあり方も検討した。
著者
石井 吉之 小林 大二
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇. 資料集 (ISSN:03853683)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-20, 1995-03

北海道北部の母子里試験地の山腹斜面において地温の連続観測を行なった。1991年11月から1994年8月までの期間に,南西向き及び北西向き斜面の各々4地点で50cm, 100cm, 200cm深の地温を観測した。融雪期には全ての地点で顕著な地温低下が観測されたが,温度変化は 200cm深で最も大きく,50cm深で最小であった。一方,夏の大雨時には50cm深で最大の温度上昇が起きた。こうした変化は土壌水の圧力水頭の変化傾向と一致し,水頭変化の顕著な場所で大きな地温変化が生じている。
著者
木暮 一啓 小川 浩史 砂村 倫成 河原林 裕 浜崎 恒二 常田 聡 西村 昌彦 浦川 秀敏 千浦 博 井上 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

近年の研究から、海洋の中心層には古細菌が広く分布することが分かってきた。1000m以深では、数的には原核生物のうちの半数近くを占めることが見出されてきたが、今のところ分離株が全くなく、その生態、系統、物質循環に対する寄与などについては殆ど未知の状況である。これらの環境は低温、高圧、貧栄養で特徴付けられるが、こうした環境は従来から知られていた古細菌の好熱性、好塩性、嫌気性などの性質からはずれがある。従ってこれらを非極限性の古細菌と呼ぶことにする。本研究はこの一群を中心とした古細菌に対する学際的研究である。本研究では様々な課題を扱ったが、最大の成果は外洋域中心層から複数の古細菌を分離し、その系統的位置づけおよび性情等についての検討を開始できたことである。これは我々の知る限り、世界で初めてのことである。さらに、それが系統的には好塩性の古細菌に近縁であることが分かったことから、非極限性古細菌群集の起源や古細菌の進化上の広がりなどについて新たな仮説を提示できる段階に至った。
著者
山本 泰彦 太 虎林
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

血液の赤血球中に酸素運搬体として存在するヘモグロビンが示す高い酸素運搬能は、協同的酸素結合機能によって支えられている。私共は、ヘモグロビンにおいて酸素が結合する部位であるヘムの電子構造に着目し、従来の研究とはまったく異なる新しい観点で研究を行い、ヘム、ヘム鉄、そして軸配位子ヒスチジンの間の電子的な相互作用がヘモグロビンの協同的酸素結合機能の調節に重要であることを実証することに成功した。
著者
所 功 川北 靖之 黒住 祥祐 小林 一彦 宮川 康子 若松 正志 海野 圭介 山口 剛史 飯塚 ひろみ 石田 俊 今江 廣道 宇野 日出生 岸本 香織 京條 寛樹 久世 奈欧 (野村 奈欧) 嵯峨井 建 笹部 昌利 篠田 孝一 宍戸 忠男 末松 剛 土橋 誠 橋本 富太郎 松本 公一 村山 弘太郎 山本 宗尚 吉野 健一 米田 裕之 若杉 準治
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近世(江戸時代)の賀茂大社(上賀茂・下鴨両社)では、世襲の社家神職たちにより、朝廷と幕府の支援をえて、葵祭や社務が運営されてきた。私共は、その実情を伝える社家の記録や祭礼の絵巻などを、朝廷の御記や公家の日記などと照合しながら、相互関係の解明に努めた。その成果は、本学日本文化研究所の紀要や所報などに発表し、また本学図書館所蔵の賀茂関係絵巻などは大半をデジタル化し詞書(ことばがき)の解読も加えて貴重書アーカイブスに公開している。
著者
林田 吉恵
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院経済学研究 (ISSN:02876914)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.67-86, 2004-12-20

"Neutrality" is one of the principles of taxation that prevents tax from distorting the actions and activities centered on the private economy. The tax base was largely revised in the tax reform act of 1998, with an aim to maintain and secure corporate competitiveness by reinforcing the neutrality of tax in economic activities. The purpose of this paper is to examine whether the neutrality has been actually improved by the tax reform act of 1998. A major revision made in the tax reform act of 1998 was the expansion of the tax base through abolition/reduction of hikiatekin. Through this reform, the correlation between the corporate scale and the tax burden rate, as well as the correlation between hikiatekin and the tax burden rate, was weakened. Thus, the neutrality of tax was promoted as a result. Finally, it was found that the tax reform act of 1998 was not the cause of the difference in the rate of the tax burden among different business types.
著者
大和 雅之 秋山 義勝 中山 正道 小林 純 長瀬 健一 高橋 宏伸 清水 達也
出版者
東京女子医科大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

成長因子を固定化可能なヘパリン固定化温度応答性細胞培養表面を新たに開発し、肝細胞シートの作製に応用した。従来よりも少ない成長因子の量で肝細胞シートが作製でき、さらに肝特異的な機能がより長期的に維持されていることも明らかにした。パターン化温度応答性細胞培養表面の作製技術を開発し、神経組織構築ための基盤技術として応用した。また、光照射重合を利用した新規な温度応答性細胞培養表面技術の開発にも成功した。ロボット工学技術を取り入れることで、共培養細胞シート作製や細胞シート移植、積層化を支援するための装置、デバイスこれら技術を組み合わせることで、簡便にかつ高速な軟組織作製への応用が期待できる。
著者
林 利彦 大和 雅之 水野 一乗 今村 保忠
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

生体の器官・組織のインフラストラクチャーはコラーゲンの傾斜構造で骨格が形成されている。血管壁では血管の内皮からコラーゲンについてはIV型コラーゲン、V型コラーゲン、III型コラーゲン、I型コラーゲンの傾斜になっている。細胞の種類についても、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、線維芽細胞の傾斜がある。コラーゲンの傾斜構造に沿って、異なる細胞が配置されていることが多細胞系の機能発現・恒常性維持に関係する可能性がある。本年度はIV型コラーゲンゲルを培養基質として、ラット肝星細胞(初代細胞)、ヒト大動脈平滑筋細胞、ヒト腎糸球体メサンジウム細胞、継代したラット肝星細胞の挙動を検討した。比較にI型コラーゲンゲル等を用いた。星細胞はI型コラーゲンゲル上では二極性を示し、IV型コラーゲンゲル上では細胞は星形の形態を示した。IV型コラーゲンゲルにおいては細胞は互いに突起の先端同士で、接合しており、生体内での形態と類似していた。細胞はIV型コラーゲンゲル上では増殖しなかった。培養皿上で継代培養したラット肝星細胞は培養の早期から増殖能を発揮する。このように変化し、ミオフィブロブラスト様になった星細胞はIV型コラーゲンゲル上では増殖が抑制された。肝臓星細胞と共通の性質を有するといわれる血管平滑筋細胞、腎糸球体メサンジウム細胞でも同様にIV型コラーゲンゲル上では、細胞の形態、細胞間の接合および増殖の抑制が見られた。血管内皮細胞はIV型コラーゲンゲルに接着はするものの伸展は殆ど見られなかった。IV型コラーゲンゲルは細胞基質として特異の特徴を有し、生体内での細胞分化に重要な役割を果たしている可能性がはじめて示された。
著者
大和 雅之 秋山 義勝 小林 純 飛田 聡 菊池 明彦
出版者
東京女子医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

電子線重合法により種々のモノマー濃度で温度応答性高分子のナノ構造体をガラス表面に固定化し、そのナノ構造体の特性をXPS、AFMや新たに開発したラマン分光イメージングを用いて詳細に調べるとともに、構造体の特性が細胞接着および脱着に与える影響についても調べた。その結果、ナノ構造体の厚みが薄ければ薄いほど、再表面の高分子鎖は脱水和され細胞接着性を示すのに対し、厚い構造体の場合は相転移以上の温度でも水和しやすく細胞非接着性を示すことを見出した。
著者
中邑 賢龍 坂井 聡 苅田 知則 近藤 武夫 高橋 麻衣子 武長 龍樹 平林 ルミ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、デジタルペンを用いて小学生の読み書きデータを取得し、読み書き速度の標準データを明らかにした。同時に、書字プロセスを時系列的に分析する事で、書き困難を3つのタイプに分類することが出来た。それぞれの困難さに対応した支援技術は即効的であった。支援技術を早期から導入する事で学習の遅れを防ぐ事が出来ると考えられ、その利用を前提にした教育が必要である。
著者
小林芳郎 [ほか] 共著
出版者
丸善出版
巻号頁・発行日
2013
著者
朱 虹 北村 和也 平野 吉雄 小林 知視 田川 俊郎 村田 睦男
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.181-187, 1992-01-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
39

Schwannoma occurs everywhere neural tissue exists, but it is relatively rare in oral regions. It orally originates mostly in the tongue and very little in the lips. Recently we experienced a case of schwannoma arising in the left lower lip. The patient was a 73-year-old man and visited our hospital with the chief complaint of a lower lip. The tumor was excised under local anesthesia, and it was found to be an elliptical mass with a capsule measuring 35 × 20 × 20 mm. From both clinical and light microscopical findings it was diagnosed as schwannoma (Antoni A and B type) and was compared with other reports of schwannomas which had been already reported in Japan. From electron microscopical and immunohistochemical findings the origin of the tumor was suggested to be schwann cells in the present study.