著者
津福 達二 田中 寿明 末吉 晋 田中 優一 森 直樹 藤田 博正 白水 和雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.1661-1665, 2007-10-01
被引用文献数
2

症例は39歳の男性で,2004年1月,うつ病があり自殺企図にてウォッカを大量に飲用し,高度の胸焼け,嚥下障害を生じたため当院へ紹介となった.食道潰瘍および食道狭窄を認め,腐食性食道炎と診断した.希死念慮が強かったため精神科に入院となり,精神面の治療を行った.2月,狭窄症状が強くなったため,空腸瘻を造設し,全身状態の改善および精神状態の安定を待って,7月,非開胸食道抜去術,胸骨後食道胃吻合術を行った.経口摂取可能となり術後32日目に退院した.高濃度のアルコール(ウォッカ)飲用による腐食性食道狭窄を経験したので報告する.
著者
伊藤 彰博 東口 高志 森 直治 大原 寛之 二村 昭彦 都築 則正 中川 理子 上葛 義浩
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.603-608, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
12
被引用文献数
2

緩和医療を必要とするがん再発症例や終末期患者が陥る栄養障害は、単なる飢餓状態だけではなく、栄養管理や治療に抵抗し、がんの進行に伴う著しい筋肉減少と体重減少を主徴とする代謝異常、すなわち悪液質 (cachexia) が深く関与している。悪液質の定義や病態は未だ明確にされていないが、2010年にEuropean Palliative Care Research Collaborative (EPCRC) において、pre-cachexia→ cachexia → refractory cachexia の3段階に細分化されたものが一般的である。その中で最終段階であるrefractory cachexia (不可逆的悪液質) は、もはや栄養投与に反応しない段階と定義され、本講座の研究ではこの時期にはエネルギー消費量が逆に低下することが知られている。このように、再発、終末期がん患者に対しては、栄養障害の要因を十分に把握し、その時々に応じた適切な栄養管理を実施することが、QOLの維持、向上に直結するため、緩和ケアNSTの活動が極めて重要であると考えられる。
著者
北風 宏明 松下 慎 岡田 紘一 湊 のり子 森 直樹 吉岡 俊昭
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.108, no.4, pp.204-209, 2017-10-20 (Released:2018-10-18)
参考文献数
15

66歳男性.約3カ月前から頻尿と下腹部違和感を自覚したため2015年7月に当科を受診した.膀胱鏡で左側壁~前壁に隆起性病変を認めたため経尿道的切除を施行した.病理結果は印環細胞癌であり精査の結果膀胱原発印環細胞癌,cT3N0M0と診断し膀胱全摘術の方針とした.しかし骨盤壁との癒着が強く膀胱全摘は断念,両側尿管皮膚瘻を造設した.右骨盤壁の生検で癌の浸潤を認めたためpT4N0M0と診断した.術後,2015年8月からTS-1+シスプラチン(CDDP)による化学療法を12コース,16カ月間施行した.投与開始後,腫瘍マーカーは8カ月間低下傾向にあったが,8カ月以降は経時的な上昇を認めた.CT・MRIでは膀胱内腫瘍の増大や遠隔転移・リンパ節転移を疑う所見を認めなかったため,画像上は16カ月間SDであった.化学療法施行中に大きな副作用は認めず,2017年1月現時点では明らかな再発なく経過している.
著者
石森 直人
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.115-120, 1938-07-27
著者
伊左治 俊策 吉永 直子 寺石 政義 小川 大輔 加藤 悦子 奥本 裕 土生 芳樹 森 直樹
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
pp.D18-036, (Released:2018-08-03)
参考文献数
29
被引用文献数
1 10

イネ(Oryza sativa)は干ばつで枯死するとその後に給水しても復活することはないが,酢酸水溶液を与えたイネは,乾燥ストレスで一度地上部が枯れながらも,再給水すると新たに地上部を伸長させる特異な乾燥耐性を獲得する.処理中の酢酸代謝を解明するために,13Cで標識した酢酸をイネに処理し,LC-MS及び13C-NMRで13C標識された酢酸代謝物を追跡した.根抽出物のLC-MS及び13C-NMRの分析結果から,処理された酢酸はイネ体内に取り込まれ,グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)によってγ-アミノ酪酸(GABA)に代謝されると示唆された.酢酸処理したイネのGABA蓄積量を調べると,根に続いて地上部でGABAが蓄積され,また地上部のGABA蓄積量に比例して乾燥ストレスに対する生存率が増加した.以上から,地上部のGABA蓄積が酢酸によるイネの乾燥耐性に寄与する可能性がある.
著者
森 直子 小柏 道子 山下 式部 藤井 わか子 上田 伸男 本間 裕人 鈴木 久雄 益岡 典芳 汪 達紘
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.191-200, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
44

野菜・果物摂取に関する心理社会的要因について性・年齢階級別の特徴をまとめた。 2011年10月-2013年6月の間、中国地方と近畿・九州地方の一部および関東地方に在住する18歳以上の男女3,179人を対象に自記式調査にて横断研究を行った。 高齢世代ほど野菜・果物の自己申告摂取量が多く、野菜の自己申告摂取量が多い者は、全年代とも「自己効力感」および「態度」の得点が高く、「障害」の得点は低いことが分かった。一方、果物摂取に及ぼす同要因として、全年代で「自己効力感」および「態度」、18-20歳代では「社会的支援」が重要要因であると推定された。同要因オッズ比を見ると「責任」、「自己効力感」、「態度」、「障害」、「態度」および「知識」は女性で世代差がある一方で、男性では「態度」および「知識」以外には差がなかったことから、性・年齢階級別に差があることを考慮し野菜・果物摂取量増加に向けた取り組みをする必要がある。
著者
森 哲 竹内 寛彦 森 直樹 Savitzky Alan H. Tang Yezhong Li Ding Tsai Tein-shun Nguyen Tao Thien Das Indraneil Silva Anslem de Mahaulpatha Dharshani 城野 哲平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ヤマカガシは頸腺と呼ばれる特殊な防御器官を持ち、強い皮膚毒を持つヒキガエルを食べることによりその毒成分を取り込んでこの器官に溜める。また、特異的な防御ディスプレイを行って、その毒を効果的に捕食回避に利用する。本研究では、合計18種のユウダ亜科のヘビが同様の防御器官を持つことを確認し、それらの形態は多様化していることを明らかにした。また、分子系統解析の結果、頸腺システムは1回だけ進化してきたことを示した。さらに、ミミズ食に移行した一部のヘビでは、頸腺毒をヒキガエルではなくホタルから取り入れている可能性が示された。
著者
長尾 優 森 直樹 中島 義裕 松本 啓之亮
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会論文誌 (ISSN:13425668)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.400-407, 2008-12-15 (Released:2011-10-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

Recently, the number of trader by internet securities companies has increased rapidly. There have been reported lots of studies on forecast of stock prices based on the closing price. However, there are few researches which utilize real time information such as bid and ask price. In this paper, the authors proposed a novel method of evolving day-trade strategies by means of the genetic programming which utilized only order book information. The performance of the proposed method is shown by means of Day Trade Agent Framework (DTAF).
著者
森 直紀 藤里 和樹 廣瀬 詢 肥後 時尚 末森 薫 吹田 浩 安室 喜弘
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.85-86, 2018-03-13

近年,文化財の記録方法として,複数の写真から対象の3次元形状を復元するStructure From Motion(SfM)の利用が普及している.現状の詳細な記録が可能となる一方,古い調査記録と比較して変容を確認することが文化財において重要となっている.本研究では,現状と過去の写真記録を精緻に照合するシステムを提案し,変容を可視化することを目的とする.SfMで取得した現状の3次元点群と過去の写真記録の画素を対応付け,撮影したカメラの位置姿勢を推定する.視点が整合した3次元モデルを,過去の記録写真に重畳させてCGでレンダリングすることで照合を可能とする.本稿では重畳結果の精度検証について報告する.
著者
森 直樹 藤野 紗耶
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

近年,機械学習の飛躍的な発展を背景として,人工知能(Artificial Intelligence: AI)が社会における重要な基盤技術として注目されている.しかしながら,創作に関する分野への AI の適用は現在でも極めて困難であると考えられている.本研究では AI 技術を用いた人間の心に響く絵本の自動生成について検討し,現在提案中である"ユーザ内のとある感性観測に基づく対話型デジタル絵本'' (Interactive digital picture book with Observing ∃ Kansei ∈ User: IO∃K)において重要な絵本オブジェクトの自動配置手法を提案する.IO∃K はユーザに内在しているある感性に着目し,その感性に基づいて作られた画像とストーリーを融合してデジタル絵本を作成するシステムである.なお,IO∃K という名称は,著者たちにとって深い思い入れがある国鉄 103 系電車に着想を得ている.今回は IO∃K の持つモジュールの中で,オブジェクト自動配置モジュールについて提案する.
著者
廣田 照幸 宮寺 晃夫 小玉 重夫 稲葉 振一郎 山口 毅 森 直人 仁平 典宏 佐久間 亜紀 平井 悠介 下司 晶 藤田 武志
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

教育システム設計の理論的基盤を確立するために、現代の教育理論、社会理論や政治哲学がどのように役立つのかを検討した。教育が果たす社会的機能を考えると、社会の多様な領域の制度との関わりを抜きにして教育システムを構想するのは問題をはらむということが明確になった。本研究では、社会のさまざまな領域の制度、特に福祉や労働の制度を支える諸原理と教育システムを構成する諸原理とを一貫した論理、または相補的な論理でつなぐ考察を行った。