著者
森 貴弘 國方 弘子 多田 達史 和田 晋一
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.33-41, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
22

本研究の目的は,新人看護師に対して自己効力感向上集団CBT介入を行うことで,介入前後の自己効力感,レジリエンス,認知とストレス反応に変化があるかを検証することである.新人看護師9名を対象に,全4回で構成する介入プログラムを実施した.実施前,実施直後,実施1ヶ月後に,一般性セルフ・エフィカシー尺度,看護師レジリエンス尺度,推論の誤り尺度を用いて自記式質問紙で測定した.プログラム毎回の実施前後に唾液アミラーゼを測定した.統計解析は一元配置線形混合モデルを用い効果量を算出した.結果,新人看護師を対象にした自己効力感向上集団CBT介入は,「行動の積極性」「能力の社会的位置づけ」の自己効力感ならびにレジリエンスを向上させる可能性があると示唆された.また,集団で行うCBT介入は,聴き手に負担がかかる可能性があることから,リラックス効果を得るために,セッション終了後にアイスブレイクを設ける必要性が示唆された.
著者
加藤 航平 武山 佳洋 木下 園子 岡本 博之 前川 邦彦 森 和久 成松 英智
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.399-405, 2013-07-15 (Released:2013-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

【背景】一般に骨折のスクリーニングにおいて血液検査はあまり有用ではなく,その意義は主に合併する疾患や既往のための検査である。我々は骨折と血清D-dimer値(DD)の関連について調査し,その診断的意義について検討した。【仮説】DDの上昇は,多発外傷を伴わない鈍的外傷患者において骨折と関連がある。【方法】2008年1月から2010年2月までの約2年間に市立函館病院ERに搬入された症例を後ろ向きに検討した。鈍的外傷患者で,DDを測定された症例を対象とした。このうち専門医による最終診断が得られない症例,受傷から24時間以上が経過している症例,多発外傷,頭蓋内損傷,大動脈疾患,最近の手術歴がある,膠原病・麻痺・血栓症の既往,悪性腫瘍のある症例を除外した。最終診断名から骨折群と非骨折群に分類し,年齢,性別,ER(emergency room)における初期診断,専門医による最終診断,搬入時のDDとの関連について後ろ向きに検討し,ROC解析からそのcut-off値を計算した。【結果】対象となった341例中210例(61.6%)が骨折群,131例(38.4%)が非骨折群に分類された。骨折群は非骨折群に比較して有意に高齢であった(61±23 vs. 49±23 歳, p<0.01)。DD(μg/ml)は骨折群で有意に高かった(DD, median(IQR): 8.4(3.0-24.9)vs. 1.4(0-3.1),p<0.01, ISS, mean±SD: 7.4±3.9 vs. 2.8±2.6, p<0.01)。ROC(receiver operating characteristic)解析からROC曲線下面積は0.81(95%CI 0.77-0.86)で最適なcut-off値はDD ≥4.5μg/mlで,感度69.0%,特異度84.7%,陽性的中率90.6%であった。【結論】骨折群では非骨折群と比較してDDは有意に上昇しており,診断の参考指標として有用と考えられた。今後さらなる検討が必要である。
著者
森藤 ちひろ
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.42-52, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

本稿の目的は,国内メディカルツーリズムにおける消費者の移動動機を考察することである。既存研究では,国際メディカルツーリズムに焦点があてられ,国内メディカルツーリズムに関する研究は少ないが,我が国の国内メディカルツーリズム市場は拡大している。本稿では,金沢市に拠点を置くメディカル・ウェルネス複合施設を事例として,健診・人間ドック受診患者に関する分析を行った。その結果,患者は遠方から移動や宿泊コストをかけて訪れていたことが明らかになった。push要因として,患者の健康意識の高さ,健康関連サービスに対するリテラシーの高さ,情報収集のしやすさが患者の移動動機を醸成していることが示唆された。pull要因としては,観光地としての目的地の魅力,交通の利便性,メディカル・ウェルネスサービスの融合,サービス提供施設のホスピタリティが抽出された。これらの要因が包括的に消費者の移動動機に影響していたと考えられる。また,メディカルサービスの品質によって顧客との信頼関係が構築され,その信頼がウェルネスサービスの知覚品質に影響を及ぼし,顧客の健康関連サービスに対するニーズを喚起し,消費行動を促進している可能性が示唆された。
著者
森山 梅千代 浜 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.212-221, 2011-06-30 (Released:2012-07-01)
参考文献数
23

発症から 8 ヵ月を経過している発語失行および口腔顔面失行を伴う重度運動失語例 (46 歳男性) に,失語症訓練と構音訓練を 4 年経過時まで (実質 3 年間) 実施した。訓練内容および経過を示し,標準失語症検査 (以下 SLTA) および〈発語失行症〉話しことばの評価票,単音節 (109 音節) 検査によって言語機能および構音能力の推移を評価し検討した。その結果,初診時と4 年経過時とを比較すると,SLTA の「話す」「書く」項目と,会話明瞭度の得点が上がり,随意的に構音可能な音が増加した。意思伝達手段はゼスチャーと描画から発話と書字に改変した。SLTA の成績等の経過から,表出面の回復は 1 年を経過した頃から始まり,4 年経過時にも継続しており,回復は長期にわたることが示された。このことから,40 歳以上の重度運動失語例であっても,訓練効果は発症後短期間にのみ見られるのではなく,長期にわたることが示唆された。

3 0 0 0 OA 鴎外全集

著者
森鴎外 著
出版者
鴎外全集刊行会
巻号頁・発行日
vol.第17巻, 1924
著者
鎌倉 快之 森田 敏照
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.82-86, 2005 (Released:2007-05-15)
参考文献数
11

生物の持つ形の意味や機能の解明を試みる場合,個々の要素を個別に詳細に捉えるだけでなく,形の持つ多様性や固有性を性質,特徴,パターンなどの共通の視点から捉えなおし,形をひとつのシステムとして全体的に捉える必要がある.そのためには生物の形態の持つ情報の「デザイン」と可視化が必要であり,モデルの適用が考えられる.本稿では,形態の多様性と固有性を示す巻貝の巻殻を用い,巻殻のモデル化とモデルを用いた形態解析を通して,生物の形を捉える上での情報デザインとモデル化の意義について検討する.
著者
村井 宏徳 加藤 明里 神戸 信人 高瀬 達夫 鈴木 弘司 森田 綽之
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.B_67-B75, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
2

宮崎県児湯郡川南町の一般国道 10 号には,沿道商業施設の往来等から,乱横断する歩行者・自転車が多く,死亡事故が発生する単路区間が存在していた.このため,交通安全対策として,我が国で初めて信号機を設置せず,横断歩道を食い違いに配置した無信号の食い違い二段階横断施設が導入された.本研究は,我が国で初めて導入された,この二段階横断施設の導入効果を明らかにするために,導入前後に実施した各種調査の結果を用いて,二段階横断施設の安全性,円滑性の評価と,横断特性の変化を分析した.分析の結果,二段階横断施設の利用者が増加して乱横断が減少し,車両と接近した横断の減少や横断待ち時間の短縮等の安全・円滑面の効果が確認できた.また,歩道部より横断待ち時間が短縮する等の食い違い二段階横断の特性が確認できた.
著者
門馬 久美子 前田 有紀 梶原 有史 森口 義亮 酒井 駿 野間 絵梨子 高尾 公美 田畑 宏樹 門阪 真知子 鈴木 邦士 千葉 哲磨 三浦 昭順 堀口 慎一郎 比島 恒和
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.530-543, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・スクリーニング検査時に,良性腫瘍に関する予備知識があれば,腫瘍発見時の対応,適切な方法での組織採取が行える.・内視鏡検査にて隆起性病変を認めた場合は,存在部位,形態,表面性状,色調,硬さ,透光性,可動性,大きさ,個数,びらんや潰瘍形成の有無などを観察し,必要があればEUSの所見も加え,質的診断を行う.・最終的には,病理組織学的な診断が必要であるが,上皮が滑って生検しにくい場合は,ボーリング生検あるいはEUS-FNABにて,腫瘍本体を採取する.特に,2cmを超える腫瘍では良悪性の鑑別が必要である.・画像だけでは診断できないGIST,平滑筋腫,神経鞘腫の鑑別には,c-kit・desmin・S-100蛋白の3種類の免疫組織化学的検査が必要である.
著者
星 博幸 森里 真希
出版者
名古屋地学会
雑誌
名古屋地学 (ISSN:13450514)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.15-20, 2019 (Released:2019-03-21)
参考文献数
34

愛知県蒲郡市竹島は,花崗岩質岩石(苦鉄質岩を含む)の露頭および転石に残された矢穴と刻印の存在から名古屋城石垣採石丁場の一つと考えられている。それを自然科学的手法により検証し名古屋城築城の実態解明に資する基礎データを得るために,筆者らは竹島を構成する花崗岩質岩石の帯磁率(初磁化率または初帯磁率)を測定した。竹島の帯磁率は最小値(0.05×10−3 SI)と最大値(56.3×10−3 SI)の差が3桁にも達する幅広い変化を示す。大まかに見れば片状花崗閃緑岩よりも苦鉄質岩のほうが高い帯磁率を示す傾向があるが,苦鉄質岩でも0.5×10−3 SI以下のやや低い値を示す場所がある。地理的に見ると,西側海岸の中央部付近と東側海岸の中央部付近の岩石が高い帯磁率を示す傾向があり,その高帯磁率帯のトレンド(WSW–ENE)は苦鉄質岩の分布トレンドや島北半部の片状構造の一般走向と斜交している。島の南端~南東海岸の岩石は比較的低い帯磁率を示す傾向がある。露頭に多数の矢穴が穿たれている島北西部の海岸露頭では帯磁率が1×10−3~3×10−3 SIの範囲であった。
著者
恩地 森一 道堯 浩二郎 堀池 典生
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.518-523, 2006 (Released:2007-02-21)
参考文献数
39
被引用文献数
1 1
著者
中村 瑠香 工藤 綾乃 南條 優 若月 陸央 萩原 ほのみ 森下 孟 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.68-75, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,GIGAスクール構想下における,1人1台の情報端末のICTを活用した授業実践を把握し,小学校の授業実践に関するDXの現段階を検討することを目的として,2021年1月から2021年11月までに出版された「GIGAスクール構想」「1人1台端末」に関する書籍21冊に掲載された小学校の1人1台端末を活用した授業実践を,SAMRモデルを用いて分類した.その結果,①中学年になるとM・R(変換)の授業実践が増加すること,②教科全体ではS・A(強化)の授業実践が多いが,総合的な学習の時間ではM・R(変換)の実践が多いことが確認できた.