著者
森内 浩幸
出版者
長崎大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

(1)CCR5の発現が朝低く夜に高くなる概日リズムを示すことを、リアルタイムRT-PCRを用いてmRNAのレベルで、そして定量的フローサイトメトリーを用いて細胞表面発現のレベルで示した。この機序として、概日リズムの影響を受ける転写因子であるDBPが関与する可能性を、(1)DBPが末梢血リンパ球においても発現し、細胞核抽出液を用いたゲル・シフト実験で朝に低く夜に高い発現パターンを示すこと、(2)CCR5プモーター領城にDBPが結合することをゲル・シフト実験で示したこと、(3)DBPがCCR5プロモーターの活性を亢進させることをトランスフェクション実験によって示したこと、そして(4)CCR5プロモーター上のDBP結合部位の変異導入によってこのような活性化作用が消失することによって示した。(2)EBウイルスの急性感染(伝染性単核症)に際してリンパ球が活性化されしかもTh1に強くシフトされることから、Th1のマーカーともされるCCR5の発現とこれを用いて細胞に侵入するR5-HIV-1の感染効率を調べたところ、(1)伝染性単核症急性期においでCCR5の発現が高まり回復期にはコントロールのレベルに戻ること、そして(2)急性期と回復期にそれぞれ採取保存していたリンパ球を用いてR5-HIV-1の感染実験を行ったところ、急性期のリンパ球は特に細胞に刺激をさらに加えることなくとも感染を効果的にサポートすることを明らかにした。(3)漢方薬としても用いられる紫根の主成分シコニンがCCR5の発現をプロモーターのレベルで抑制することを示した。(4)胎児・新生児および妊婦の血清に大量に含まれるα-フェトプロテインがCCR5の発現を抑制することを示した。
著者
高嶋 和毅 大森慈子 吉本 良治 伊藤雄一 北村 喜文 岸野 文郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.3811-3820, 2008-12-15

キャラクタの瞬目率を制御することによってキャラクタの魅力や心理状態の表現を操作する手法を検討し,キャラクタの瞬目アニメーションに関する設計指針を提案する.本研究では,2つのキャラクタ印象評定実験を行った.実験1では,刺激に中程度のリアリティを持つキャラクタモデル(男女2体ずつ計4体)を用い,瞬目率を9,12,18,24,36 blinks/minと変化させた場合の観察者の印象をSD法により評価した.実験2では,カートゥーンキャラクタモデル(男女,動物,未知の生物を各2体ずつ計4体)を用いて同様の実験を行った.これらの結果,18 blinks/minの瞬目率が最も親近性のあるキャラクタであると判断され,この傾向は人型キャラクタにおいて顕著であった.また,36 blinks/minなどの高頻度の瞬目を行うキャラクタは活発でない印象を与え,9 blinks/minといった低頻度の瞬目では知的な印象を与えることなどが分かった.
著者
沖林 洋平 神山 貴弥 西井 章司 森保 尚美 川本 憲明 鹿江 宏明 森 敏昭
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.149-152, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

本研究では,児童生徒の情報活用の実践力と情報モラルの関係について調査を行った.情報活用能力実践尺度得点と情報モラル課題について学年間比較を行った結果,次の2点が明らかとなった.まず,全般的な情報活用の実践力は,中学生の方が小学生よりも高かった.つぎに,情報モラルについては,小学生と中学生ともに情報モラル意識と情報活用の実践力に関連が見られた.また,全般的な情報活用の実践力については,中学生の方が小学生よりも有意に高く,とりわけ,情報活用の実践力の中でも「収集力」「判断力」「処理力」について,中学生の方が小学生よりも有意に高かった.また,情報モラルの高さと家庭における教育に関連があること,初等中教育課程での学校教育における総合学習等の授業における授業実践の効果が示唆された.
著者
今井 民子 笹森 建英
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.29-53, 1991-10

ヴァイオリン音楽の発展を可能にした背景には,17世紀から18世紀の楽器製作の改良,演奏技術の確立があった。この論文では,先ず楽器製作の変遷を概観する。この時代の演奏技術の確立を把握する上で重要なのは,器楽形式の発展と,一連の技法書の出版,技巧を駆使して葵すカブリスの類の作品の出現である。レオボルト・モーツァルトMozart, Johann GeorgLeopoldやジェミニア一二Geminiani,FrancescoSverioの奏法に関する著書,ロカテッリLocatelli,PietroAntonioのカブリスは重要な役割をはたした。この論文では,彼らによって掲示された技法を具体的に考察する。20世紀,特に1945年以降は,音楽様式,演奏法が画期的な変貌を遂げた。その技法上の特質を明らかにする.これらを踏まえて,音楽文化が新芽し,形成され,さらに発展,変遷していく過程に教育書がどのような役割を果たすのかについても検証する。
著者
菊谷 大樹 大森 政美 長神 康雄 加藤 達治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.134-139, 2021-12-25 (Released:2021-12-25)
参考文献数
24

【背景と目的】医療・介護関連肺炎の多くは高齢者の誤嚥性肺炎であり,嚥下機能,咳嗽機能が低下している例が多い.咳嗽力の測定には咳嗽時最大呼気流速が用いられることが多いが,認知機能が低下した患者では実施困難である.今回,医療・介護関連肺炎患者に対し,より簡便な最長発声持続時間を用いて咳嗽力評価としての有用性と日常生活動作,嚥下機能との関連性について検討した.【対象と方法】2018年12月~2019年6月に戸畑共立病院に入院した患者で,医療・介護関連肺炎患者61例を対象とした.最長発声持続時間3秒未満群と3秒以上群に分類した.【結果】最長発声持続時間3秒未満群において自己排痰が困難である例が多く,日常生活動作能力と嚥下機能が有意に低値であった.【結語】医療・介護関連肺炎患者において,最長発声持続時間は咳嗽力評価として有用であり,日常生活動作能力・嚥下機能とも強い関連性があると考えられた.
著者
森脇 克行 大下 恭子 堤 保夫
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.91-99, 2021-06-25 (Released:2021-06-25)
参考文献数
27

2022年1月1日に国際疾病分類第11版(ICD-11)が発効される.ICD-11には,はじめて慢性疼痛の分類コードが加えられる.この分類コードは国際疼痛学会(IASP)のタスクフォースによって開発された慢性疼痛の体系的な分類に基づいている.分類の特徴は慢性疼痛を3カ月以上持続または再発する痛みと定義した上で,慢性一次性疼痛と慢性二次性疼痛に分けたことである.慢性一次性疼痛には基礎疾患や組織障害が明らかでない線維筋痛症や複合性局所疼痛症候群などの慢性疼痛症候群が含まれる.一方,慢性二次性疼痛は基礎疾患や組織障害による二次的な疼痛で,病態や身体部位によってさらに6つのカテゴリーに分類されている.IASPの分類には慢性疼痛に関する最近の新しい科学的知見をもとにした疼痛概念が反映されており,今後の慢性疼痛の診療に大きな進歩をもたらすと考えられる.また公開されたWHOのICD-11ブラウザは,慢性疼痛の診療用ツールとしても有用である.
著者
森原 徹 木田 圭重 久保 俊一
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.841-848, 2017-11-17 (Released:2017-12-21)
参考文献数
4

肩関節疾患の治療法として,注射やリハビリテーションによる保存療法が第一選択として挙げられる.代表的な肩関節周囲炎や肩腱板断裂では,肩関節痛と可動域制限を認めることが多い.その鑑別として問診,視診,触診,理学検査(肩関節可動域・筋力・誘発テスト)および超音波検査が挙げられる.本稿では肩関節における代表的疾患を説明し,これらの疾患に対する評価の進め方について解説する.
著者
齋藤 一雄 伊東 良 桑森 真介
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.109-117, 2012-12-25 (Released:2014-04-04)
参考文献数
23

The aim of this study was to clarify the effects of the expansion of the dohyo (the ring in which sumo bouts are performed) on the winning percentage for a lighter wrestler, the number of kimarite (the winning techniques in a sumo bout) and the competitive time. Forty-four pairs of collegiate sumo wrestlers, 21 pairs with a large weight difference (above 10 %) and 23 pairs with a small weight difference (below 10 %), performed 10 bouts of sumo in both a standard dohyo (diameter: 4.55 m) and an expanded dohyo (diameter: 4.85 m). We evaluated the winning number for a lighter wrestler, the number of kimarite and the competitive time in the 10 bouts.The following results were obtained.1) The winning number for a lighter wrestler was 4.67 ± 1.35 (average ± SD) bouts in the standard dohyo and 5.52 ± 1.33 bouts in the expanded dohyo (significant difference, P < 0.01) among the pairs with a large weight difference. On the other hand, the winning number was 4.91 ± 1.70 bouts in the standard dohyo and 5.30 ± 1.72 bouts in the expanded dohyo (NS: no significant difference) among the pairs with a small weight difference.2) The number of kimarite was 4.90 ± 1.14 te in the standard dohyo and 4.95 ± 1.28 te in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a large weight difference. The number was 4.00 ± 1.04 te in the standard dohyo and 4.61 ± 1.56 te in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a small weight difference.3) The competitive time was 8.67 ± 3.95 s in the standard dohyo and 8.80 ± 3.09 s in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a large weight difference. The time was 8.47 ± 3.28 s in the standard dohyo and 8.92 ± 3.06 s in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a small weight difference.These results suggest that the expansion of the dohyo (from 4.55 m to 4.85 m of the diameter) increases the winning percentage for a lighter wrestler when the weight difference of a pair is above 10 %, but there is little affect when the weight difference of a pair is below 10 %.
著者
飯野 友里恵 森谷 友昭 高橋 時市郎
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 35.14 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2011-03-04 (Released:2017-09-21)
参考文献数
2

モーションキャプチャシステムを用いて取得されたデータを利用して,ストリートダンスの動作解析を行った.ダンス経験者と初心者のモーションデータを取得し,その違いが数値的に表れているか,特徴抽出を試みた.解析結果によれば,上級者との違いを初心者へ伝達し,練習効率を高めるための処理とシステム化を検討したので,報告する.
著者
井手 昇太郎 森下 真理子 高村 昇
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.294-296, 2004-09

チェルノブイリ原発事故後,放射線ヨードの内部被ばくによると考えられる小児甲状腺癌の増加が,ベラルーシ,ウクライナ,及びロシア連邦において見られたが,その一方でポーランドでは甲状腺癌の増加は見られなかった. これは,ポーランドで事故直後に安定ヨウ素剤を内服させたことによる予防効果と考えられており,被ばく事故の際の安定ヨウ素剤内服の重要性を示すものである. 我が国でも1999年のJCO事故以降,原子力災害対策特別措置法が制定され,実際の放射線災害時の対策の一つとして被ばく直後の安定ヨウ素剤内服が計画されている. 一方で,予防内服の際,誤って過剰に安定ヨウ素剤を摂取した場合の対策も重要である. しかし,ヨウ素過剰内服時の血行動態と甲状腺ホルモンに対する影響についてはあまりデータがなく,その対策については未だ議論が続いている. そこで今回は,比較的大量の安定ヨウ素剤内服時の全身と甲状腺局所の血行動態の変化を,頚動脈脈波・上甲状腺動脈脈波・血圧・脈拍などの指標に加え,造影エコーにより解析・検討した.
著者
森山 三千江
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.19, 2017 (Released:2017-08-31)

目的:クローン病は近年、その患者数が急増している炎症性腸疾患である。その原因は遺伝的要因、環境要因などのうち生活習慣、中でも日本の食生活の欧米化が大きく影響を与えると言われているが、現時点では原因不明の難病とされている。発症年齢は10歳代後半から20歳代に多く、男女別では2:1で男性に多い。クローン病の治療法として栄養療法から最終手段としては手術であるが、この病気は食事に対する免疫反応という説が有力であるため、特に重要なのは栄養療法だと考えられている。クローン病患者が食事療法や絶食時に精神的に辛い思いをすることが多いため、患者の食生活が精神面にどのように影響するのかを関係性を追跡し、より精神的が良好に過ごせる方法を模索することを目的とした。方法:クローン病患者28名を対象とし、手術歴に加えて質問項目として現在の症状、身体的要素、家庭生活及び社会生活の要素、精神的背景、家族及び交友関係、などの36項目について5段階評価で回答を得た。結果及び考察:回答者は男性17名、女性11名で14歳から54歳であった。食事制限として脂質の少ないもの、肉、ファストフード、食物繊維など消化の悪いものを避ける、外食をしないなどの回答が得られた。また辛いと感じることで腹痛、吐き気、下血や入退院の繰り返し、学校で何も食べられない、職場での理解が得られないことなどが挙げられた。さらに、鬱やパニック障害などで通院している者もおり、病気に対する不安を訴えるものが半数以上であった。こうした患者に対して家族や職場など周囲の理解が大きな支えが重要であり、さらには若年層の発症を抑えるような食生活を探求していくことも大きな課題と考えられる。
著者
山田 陽滋 鴻巣 仁司 森園 哲也 梅谷 陽二
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.68, no.666, pp.509-516, 2002-02-25
被引用文献数
26

In the social context of an aging workforce at the labor intensive manufacturing sectors, we discuss an assisting system for older workers who have excellent skills though their physical ability to perform iterative tasks at a constant speed with high quality. "Skill-Assist" which is proposed in this paper is a new type of assisting system which varies its mechanical impedance to give workers who have been working under the lifetime employment system a sense of achievement in being again able to accomplish the skilled tasks they were capable of when younger. This paper discusses the control algorithm of Skill-Assist. First, a criterion for changing the impedance of Skill-Assist in response to task condition variations is explained to propose. "Phase-Dependent Impedance Control". Second, desirable impedance patterns are experimentally determined. The patterns are required to produce a good subjective operational feel and precise positioning when maneuvering Skill-Assist. Finally, the effectiveness of Skill-Assist is verified under more practical positioning tasks, which is evaluated based on the subjective operational feel, physical stress, and productivity.
著者
大森 房吉
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.32, pp.55-"62-1", 1900-09-13

付録1頁