著者
藤井 基弘 深町 加津枝 森本 幸裕 奥 敬一
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.587-592, 2012 (Released:2013-08-09)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

The traditional event, “Kyoto Gozan-Bonfire” is one of the annual fire festivals carried out at the Eastern, Northern and Western Mountain surrounding Kyoto city on August 16. It is in conjunction with the famous O-bon festival in Japan, a tradition of seeing the spirits of the dead off. Ritual organizing committees exist at Ginkakuji, Matsugasaki, Nishigamo, Kinugasa and Saga areas. This special tradition is no longer confined to these special areas, but has expanded to involve wider a resident of Kyoto and Japanese. Traditionally, Japanese red pines had been used as bonfire material and also as local resources for daily life or annual events, but the fuel revolution in 1955 caused abandonment of forestry management. As a result, red pines are scarce and only one of five organizing committees can barely manage to get them. There are other additional problems in continuing this tradition despite the people’s intentions to preserve. So, we studied to distinguish the morphology of each bonfire and features of the ritual organizing committees and what is necessary to make this event a success from three point of views: material, talented personnel and funding.
著者
森脇 真一
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.9, pp.1861-1867, 2010-08-20 (Released:2014-11-28)

色素性乾皮症は紫外線性DNA損傷の修復異常で発症する重篤な遺伝性光線過敏症である.臨床的には日光曝露のたびに繰り返す光線過敏症状,雀卵斑様の色素異常などの光老化皮膚の進行,さらには厳重な紫外線防御を怠ると高率に日光露光部皮膚に悪性腫瘍が出現するという特長を有する.本邦では過半数の症例で精神運動発達障害などの中枢・末梢神経系の異常を合併し,その進行度や重症度が患者予後に強く影響する.診断は各種DNA修復試験,遺伝子解析を駆使してなされるが,できるだけ若い年齢での確定診断と専門スタッフによる遮光指導,患者ケア,皮膚悪性腫瘍の早期発見,早期切除が患者,家族のQOL向上に大きく寄与する.
著者
阿登 大次郎 小竹 武 小森 浩二 森山 博由 井上 知美 三田村 しのぶ 日高 眞理 水野 直子 廣瀬 隆 吉田 彰彦 鬼本 茜 八代 哲也 大原 隆司 清水 忠 東海 秀吉
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.2020-033, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
9
被引用文献数
2

本研究は,処方解析報告書を連携ツールとした薬局病院合同教育プログラムが,実習生の処方解析能力にどのような影響を与えたかについて検証することを目的とした.処方解析報告書は,採択理由などを含む4つの大項目で構成された書式を作成した.実習生は本報告書を週1例以上提出し,実習開始1,6,11週目に報告書の内容と自身の考察を発表した.提出された報告書と発表内容に対して評価チームの薬剤師および大学教員がルーブリックを用いて評価した.実習生の報告書と発表に対する評価結果および実習後アンケートの結果から,実習11週目には,1,6週目と比べてルーブリックの全項目が有意に向上し,特に疾患を意識した症例選択能力が向上したと考えられた.また,アンケート調査から,実習生が本プログラムにより自身の成長を実感していることが明らかになったが,発表会後のフィードバック方法に今後の課題が見出された.
著者
畑 佳孝 濱田 匠平 和田 将史 池田 浩子 小森 圭司 荻野 治栄 伊原 栄吉
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.316-326, 2020-03-25

要旨●高解像度食道内圧検査(HRM)の開発によって食道運動機能の詳細な評価が可能となり,HRMに基づく食道運動異常症(EMD)の国際分類であるシカゴ分類が提唱されたことで,機能的な食道疾患が注目されるようになった.EMD診断のゴールドスタンダードはHRMであるが,いまだ検査可能な施設は限られており,EMDを拾い上げる検査として食道X線造影検査に期待される役割は大きい.本稿では食道X線造影所見を,正常,数珠様・コークスクリュー様,波様,蠕動波なしに分類し検討した.食道X線造影所見のみでEMDの各疾患を鑑別することは困難であったが,EMD全体の拾い上げに対する食道X線造影検査の感度(73.3%)と特異度(92.7%)は満足な結果であった.加えて,中下部食道憩室がEMDを疑う重要な所見の一つであることに留意が必要である.
著者
森山 翔文 野坂 朋生
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.34-39, 2019-01-05 (Released:2019-07-10)
参考文献数
13

微視的な世界を探索する素粒子物理学において,最終理論は存在するのだろうか.ここで,最終理論とは,自然界に存在するありとあらゆる相互作用を,高エネルギー領域を含めて正確に記述する理論を指す.原子を単位とする元素表が,陽子や中性子を単位として修正され,さらに,クォークやレプトンを単位にする素粒子標準模型に到達した.そのような素粒子物理学の歴史にいつか終止符が打たれるのだろうか.歴史的に見ても,感情に訴えても,そのような夢物語はすぐには受け入れがたい.しかし,素粒子物理学の現状には最終理論の形跡がある.ゲージ群による統一を見ても,超対称性による統一を見ても,統一のプロセスが際限なく継続されるものではなく,どこかで打止めになる構造を持つ.最終理論が存在するかという崇高な疑問よりも,現時点でより生産的な疑問はおそらく,打止めの構造があればそれを実現する理論は何か,という問いであろう.約30年前に人類が到達した暫定的な答えは,超対称性を持つ弦理論(超弦理論)である.超弦理論が最終理論だとすれば,それは一意的であることが望ましい.10次元時空において無矛盾な超弦理論は,摂動論的な解析から5種類存在することがわかっていたが,これらはさらに11次元時空上に存在すると仮定されるM理論を巻き込んで,双対性を通じて互いに等価であることがわかってきた.超弦理論の発展とともに,超対称性を持つ重力理論(超重力理論)が構築できる最大時空は11次元であることがわかり,M理論の設定と明快に整合する.M理論の低エネルギー有効理論が11次元超重力理論であると仮定すると,超重力理論から,M理論にはM2膜とM5膜が存在することがわかる.超弦理論で知られていた弦や様々なDブレーンは次元還元により再現される.これらの進展を経て,最大時空次元を持つM理論こそが最終理論だと考えられている.しかし,このM理論は超重力理論を通じて得られる知見以外,謎に包まれている.超重力理論の解析から,N枚のM2膜やM5膜の上の場の理論はそれぞれN 3/ 2やN 3に比例する自由度を持つことがわかるが,これらの場の理論が具体的に何であるかは知られていなかった.特に,超弦理論のDブレーンを記述する,N 2の自由度を持つ“行列”の場の理論と比べると,M理論の不思議さが際立つ.長い探索の末,近年,M2膜を記述する場の理論は超対称チャーン・サイモンズ理論であることが発見された.この理論の自由エネルギーはN 3/ 2に比例し,超重力理論の予言を再現する.高い見地に立つと,N 3/ 2の自由エネルギーを持つ一連の理論を系統的に研究することにより,M理論の地図が解明されていくであろう.高い超対称性のため,これらの理論における経路積分は行列模型に帰着する.最近の著者らの研究において,M2膜の行列模型が詳しく調べられた.二重展開となる非摂動項の展開係数は無数の発散点を持つが,格子状に完全に相殺されている.これは,弦理論の非摂動論的な効果の発見後に唱えられてきた教義「弦理論は弦のみの理論ではない.様々な膜まで含めて初めて無矛盾である.」を実現していると解釈できる.さらに研究が進展して,この行列模型は,位相的弦理論,曲線の量子化,可積分非線形微分(差分)方程式と同様の構造を持つことがわかった.これらを指針に,M理論の地図が解明されつつある.
著者
森岡 真史
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.26-38, 2011-04-20 (Released:2017-04-25)

This paper argues what socialism was in the last two centuries and what it still can be in the coming age through reconsideration of the relation among three aspects of Marxism, that is, scientific recognition of reality, struggle for social change, and norms which leads value judgment. Early socialists saw in capitalist society an extreme differentiation over wealth and labor. They criticized capitalism based on the norms that everyone has the right to exist and develop humanly and that everyone has the duty to live not on privately owned property but on his or her own labor. With a few exceptions, most of early socialists advocated universal labor obligation and proclaimed radical reform including the abolition of market and wage labor. While Marx started from this tradition, he drastically transformed the historical nature of socialism. According to Marx's historical materialism, the transition from capitalism to socialism is not a social reform realizing specific norms, but a historical inevitability governed by the objective law of social development. At the same time he admitted that human's conscious actions can affect this transition within a certain bounds. From this viewpoint, the ultimate justice lies in the activity to promote this transition based on scientific recognition of the law. Therefore in Marxism the development of productive force and the victory of labor class in classstruggle are the highest norms which have priority over any other norms. Lenin added following three original propositions to classical Marxism. First, only the party of Marxist revolutionaries is able to lead labor class based on precise recognition of their genuine interests. Secondly, there is no moral restridion in the choice of means of struggle as far as it is necessary for revolution. Thirdly, on the outbreak of the imperialist war the age of world socialist revolution on a global scale begins. These propositions justified communist parties of any country to raise a revolution regardless of the stage of domestic economic development and to use unlimited revolutionary violence against class-enemy. The socialist system of the 20-th century was Leninist regime in that the communist party anointed itself as the permanent and omnipotent master of the people. It also embraced Marxist ideology in that it pursued rapid development of the productive force and political struggle to defeat domestic and foreign class-enemy as the highest norms. Furthermore, this system partially realized the ideal of early socialism in that abolished unearned income and guaranteed its citizen a minimum level of existence. In order for socialism to be a thought which can contribute to social change in the 21-st century, first of all we must separate it off from the dogma of historical inevitability. This task is naturally associated with clarification of the socialist norms which are to be realized through social reform. Considering the past history where the pursuit of labor obligation resulted in the persecution of "non-worker" and the creation of forced labor system, clarification of the norms should be made in the direction to put the right to exist and develop humanly at the center of socialist norms and to reconsider the relation between this right and other norms relating freedom, equality, democracy and economic development.
著者
河本 幸子 岡崎 眞奈美 西川 真理子 平岩 弘 岸本 悦央 森田 学 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.685-690, 1998-10-30 (Released:2017-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
8

岡山大学歯学部附属病院予防歯科診療室では,患者に定期的来院を促し,術者による徹底した歯口清掃(Professional toothbrushing)を中心とする歯周治療を行っている。本研究では,予防歯科診療により歯の喪失がどの程度抑えられたのかについて,同附属病院内の他診療科で歯周治療を受けている外来患者の場合と比較した。1982年から1989年までの間に,当病院を6年以上継続来院して歯周治療を受けた者を対象に,予防歯科で歯周治療を受けた患者群と,他科で歯周治療を受けた患者群(対照群)とに分類した。両群間で治療開始時の年齢,性別,現在歯数をマツチングし,各群112名(男性30名,女性82名,平均年齢45.4歳)の6年間の歯の喪失状況を比較した。その結果,1.予防歯科受診者群の喪失歯の総計は91本,対照群では189本であり,予防歯科受診者群の歯の喪失は,対照群の約48%に抑えられていた。2.年代別では40,50歳台,歯種別では前歯部,特に下顎前歯部で,予防歯科受診者群の喪失歯数が抑えられていた。3.6年間の予防歯科受診者群の平均来院回数は対照群の約1.7倍であった。また,対照群と比較して,歯周外科処置の割合が少なかった。以上のことから,術者による徹底した歯口清掃を定期的に行う予防歯科診療は,歯周病罹患歯の保存に有効であることが示された。
著者
森 万佑子 出口 善隆 伴 和幸
出版者
動物の行動と管理学会
雑誌
動物の行動と管理学会誌 (ISSN:24350397)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.74-80, 2022-06-25 (Released:2022-07-20)
参考文献数
21

飼育環境が動物へ与えるストレスの評価は、動物福祉の充実において重要である。トラで糞中コルチゾール濃度がどの程度、血中コルチゾール濃度を反映しているか定かではない。本研究ではメスの飼育トラ1頭を用いて、年間を通じたコルチゾール濃度動態および糞中と血中のコルチゾール濃度の関係を調べた。その結果、糞中と血中のコルチゾール濃度において有意な正の相関が認められた (r=0.60、P<0.01) 。これより、糞中コルチゾール濃度は血中コルチゾール濃度の変動を反映していることが明らかとなり、非侵襲的なストレス評価に糞中コルチゾール濃度が有用だと考えられた。またトラで血中および糞中コルチゾール濃度には季節変動がみられず、年間を通じたストレス評価の指標として有用なことが示唆された。アムールトラやスマトラトラなどの他亜種で季節変動の影響を受けず、年間を通じた糞中コルチゾール濃度によるストレス評価が可能であると明らかにできると考えられた。
著者
勝村 誠 重森 臣広 田林 葉 森 隆知 森 正美
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本プロジェクト研究は京都府総務部地方課、京都府企画環境部企画参事、京都府農業会議、府内各基礎自治体と連携しながら進められた。研究の目的は、地方政府の各セクションが中央政府の国土政策・地域政策とのかかわりで、それぞれどのように地域振興政策を展開しつつあるのかを具体的に検証していくことにあった。本プロジェクト研究の過程においては、京都府総務部地方課の協力を得て、歴代の「地域づくり施策」担当者にインタビュー調査を行うとともに、業務を通じて収集された資料のうち公表可能なものを提供していただいた。都道府県の「地域づくり」施策については全国に設置された協議会を府県で運営しているケースが大半であるが、全国的なルール作りや財源保障がないために都道府県政のなかにこの施策がどう位置付くかによって、各府県の実情はさまざまである。また、ソフト事業であり、予算の有無にかかわらずできることはあるため、担当者がこの施策に可能性を見いだすか、否かによって、事業の進展が左右されることも明らかになった。また、本研究プロジェクトがきっかけとなり、京都府地域づくり交流ネットワーク推進協議会と「地・生きネット京都」のメンバーで、実施に地域づくりかかわっているリーダの人々と交流を深め、リーダはどのようにして生まれるのかを、ライフヒストリー調査によって明らかにしてきた。報告書にはライフヒストリー調査の成果を掲載することができなかったが、調査によって得られた知見は報告書の随所に反映されている。地域づくりは自主的に進められなければならないが、その担い手にはある種の使命感が欠かせない。また、地域においてそのリーダを支える基盤も重要である。このたびの調査対象者を見る限りでは、地域づくりリーダの資質として、当該地域とそこに暮らす人びとへの愛着・愛情、まわりからの信頼が必要条件であるという結論が得られた。最後に、プロジェクトの活動を通じて京都府職員の方の共同研究への参加を得て、研究成果も執筆していただけたことも大きな意義があると思う。

3 0 0 0 OA 近世楽理書

著者
森山保 著
出版者
広文堂書店
巻号頁・発行日
1913
著者
小川 真規 和田 耕治 小森 友貴 太田 由紀
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.32-41, 2022-01-20 (Released:2022-01-25)
参考文献数
12

目的:病院機能評価に認定された関東地方の医療機関における産業保健活動を把握することである.方法:470医療機関に質問票を郵送した.質問項目は,病院規模,産業保健体制,感染症対策,メンタルヘルス対策,働き方改革への取り組み,産業保健上の優先課題である.結果:140医療機関から回答を得た.職場巡視の毎月実施率は6割弱であった.入職時の肝炎検査,4種抗体検査は65%程度の実施率だが,インフルエンザワクチンはすべての医療機関で行われていた.多くの医療機関で産業医にメンタルヘルスに関する相談ができる体制があった.働き方改革は,カンファレンスの時間の工夫,タスクシフト・シェアに取り組んでいた.今後の課題は,血液媒介感染症予防,呼吸器感染対策,医療従事者の健康管理を多くの医療機関が挙げていた.結論:医療機関の産業保健活動は,法定項目及び感染症関連の項目は実施率が高かった.働き方改革は,カンファレンスの時間工夫,タスクシフト・シェアの取り組みが上位を占めていた.
著者
森田 洋 福田 翼 堤 一代 馬見塚 香織
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.323-330, 2009 (Released:2011-10-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

We examined the learning effect of tatami (Juncus effusus var. decipiens), which is commonly used as flooring in the Japanese style room. The research was conducted in two different types of classroom so as to ascertain the effect of tatami: one was a tatami-matted classroom where a group of schoolchildren were given easy calculation problems for thirty minutes (n=260), and the other was a normal wooden floor classroom where they were given a similar set of problems. We were able to confirm a significant increase ( p<0.001) in the total number of answers in the tatami-matted classroom. As to number of correct answers, however, there was no significant difference between the two types of classrooms. As the total number of answers increased and the correct answer rate was maintained in the tatami-matted classroom, it may be concluded that the examinees maintained their concentration better in the tatami-matted classroom than in the wooden floor counterpart.
著者
福森 崇貴 小川 俊樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-19, 2006 (Released:2006-10-07)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2 6

本研究は,不快な情動をあらかじめ回避しようとする傾向(不快情動回避心性)が,現代の青年に特徴的とされる友人関係に対してどのように影響を及ぼすのかについて検討することを目的として行われた。具体的には,不快情動回避心性は,自己開示に伴う自己の傷つきの予測を媒介して表面的な友人関係へとつながるという因果モデルを想定し,その検証を行った。本研究では,大学生190名(男性61名,女性129名)を対象として,質問紙調査が実施された。構造方程式モデリングによるパス解析の結果,不快情動回避心性から「群れ」「気遣い」へは直接的な影響のみが認められ,また,不快情動回避心性から「ふれあい回避」については,傷つきの予測を媒介要因とする影響のみが認められた。このことから,直接的あるいは間接的に,不快情動の回避が青年期の表面的な友人関係のもち方へとつながっていくことが示唆された。
著者
酒井 栄一 田中 勉 森 光子 中川原 寛一
出版者
Japanese Electrophoresis Society
雑誌
生物物理化学 (ISSN:00319082)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.11-16, 2001-03-15 (Released:2009-03-31)

If I classify roughly for the quantification method of mRNA, there are the following 5 kinds. 1. Northern and dot hybridization, 2. RNase protection assay, 3. RT-PCR (the use of internal control), 4. competitive RT-PCR (the use of competitor), 5. real time monitoring PCR. In these methods, 3-5 employ PCR. Though 3, 4 are a method to quantify at an exponential increase term, it is different point that 5 is quantification method by means of PCR cycle number to exceed a detection limit of PCR product, just before entering an exponential increase term. Recently, a quantification method by the real time monitoring PCR basks in attention. Not only this method isn't necessary to confirm a cycle number of an exponential increase term in advance but have the wide quantification range in comparison to the method to quantify at an exponential increase term, there are many merits. I introduce LightCyclerTM system (Roche Diagnostics) with this draft as an equipment to be able to do a realtime monitoring.
著者
森川 剛 花岡 容子 小池 恵理 清野 義一 寺島 孝徳 久保田 健 岡澤 香津子
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.32-36, 2022-06-10 (Released:2022-06-21)
参考文献数
18

Home-based and in hospital pharmacists at our hospital pharmacy participated in this study. A survey of the home-based pharmacists’ work contents was tabulated from November 2019 to May 2021. Furthermore, a questionnaire survey was administered within the pharmacy in May 2020. 90% of the hospital pharmacists would consider some drug information management to be able to work from home. Moreover, evaluation of the questionnaires revealed that more than 90% of the in-hospital pharmacists were “satisfied” or “somewhat satisfied” with deliverables of home-based pharmacists. The in-hospital pharmacists found communication tools (e.g., social networking services, telephone, and web-conferencing systems) to be useful for facilitating collaboration with the home-based pharmacist. Therefore, it is necessary to improve the internet environment to work from home. Moreover, it is important to create an environment where pharmacists can work from home according to their desire and needs in cases such as childcare, nursing care, during treatment, and during a pandemic. This study indicates that hospital pharmacists can carry out their responsibilities and demonstrate their work abilities not only in the hospital pharmacy setting but also in a remote working environment.
著者
伊藤 祥江 髙木 聖 小川 優喜 瀧野 皓哉 早藤 亮兵 川出 佳代子 今村 隼 稲垣 潤一 林 由布子 中村 優希 加藤 陽子 森 紀康 鈴木 重行 今村 康宏
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.BbPI1176, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】2000年に回復期リハビリテーション病棟(以下、リハ病棟)制度が創設され、医療施設の機能分化が進められた。急性期病院における在院日数は短縮され、長期の入院を必要とする脳卒中片麻痺患者はリハ病棟を有する病院への転院を余儀なくされる。脳卒中ガイドラインにおいては早期リハを積極的に行うことが強く勧められており、その内容には下肢装具を用いての早期歩行訓練も含まれている。しかし、装具処方から完成までには通常1~2週間を要することなどから、急性期病院における片麻痺患者に対する積極的な早期装具処方は容易ではなく、装具適応患者に対する装具処方のほとんどが、リハ病棟転院後に行われているのが実情であろう。その結果、歩行能力の改善が遅れ、入院期間が長くなっていることが推測される。当院は人口約14万7千人の医療圏における中核病院で、平成18年にリハ病棟を開設した。現在は当院一般病棟からの転棟患者ならびに近隣の救急病院からの転院患者も広く受け入れている。今回われわれは、当院リハ病棟に入院した脳卒中片麻痺患者において、下肢装具作製時期が発症から退院までの日数におよぼす影響について検討したので若干の考察とともに報告する。【方法】平成18年12月から平成22年7月までの間に当院リハ病棟に入院し、理学療法を施行した初回発症の脳卒中片麻痺患者のうち、下肢装具を作製した32例を対象とした。内訳は脳梗塞25例、脳出血7例、男性15例、女性17例、右麻痺13例、左麻痺19例、平均年齢69.5±13.3歳であった。当院の一般病棟からリハ病棟に転棟した群(以下、A群)と他院での急性期治療後に当院リハ病棟に入院した群(以下、B群)の2群に分けた。これら2群について(1)作製した装具の内訳ならびに(2)発症から当院リハ病棟退院までの日数について調査した。また、(2)に含まれる1)発症から装具採型までの日数、2)発症からリハ病棟入院までの日数、3)リハ病棟入院から装具採型までの日数、4)リハ病棟入院から退院までの日数の各項目についても合わせて調査した。2群間の比較は対応のないt検定を用いて行い、5%未満を有意な差と判断した。【説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言をもとに実施し、収集した個人情報は当院の個人情報保護方針をもとに取り扱っている。【結果】(1)A群は長下肢装具(以下、KAFO)3例、金属支柱付短下肢装具(以下、支柱AFO)13例、プラスチック製短下肢装具(以下、P-AFO)1例であった。B群はKAFO2例、支柱AFO6例、P-AFO7例であった。(2)A群で137.2±32.5日、B群では166.8±30.2日でA群の方が有意に短かった。(2)-1)A群で22.5±9.8日、B群では48.2±12.4日でA群の方が有意に短かった。(2)-2)A群で21.9±7.3日、B群では33.8±11.3日でA群の方が有意に短かった。(2)-3)A群で0.65±9.8日、B群では14.5±7.1日でA群の方が有意に短かった。(2)-4)A群で115.2±31.5日、B群では131.5±32.3日でA群の方が短かったが、有意差はみられなかった。【考察】本研究では、装具作製時期ならびにリハ病棟入院時期に着目し、発症からリハ病棟退院までを4つの期間に分けて入院日数との関連について検討した。その結果、リハ病棟入院日数においては両群間に差はなかったが、A群においてはリハ病棟転棟とほぼ同時期に装具の採型がされており、発症からの日数も有意に短かった。このことから、早期の装具処方によりリハ病棟転棟後もリハが途絶えることなく継続することが可能で、早期に歩行が獲得できたものと思われる。その結果、発症から退院までの期間を短縮したと考えられる。一方、B群においてはリハ病棟入院時期のみならず装具作製時期も有意に遅かった。リハ病棟入院日数にはA群と差がなかったことから、作製時期が発症から退院までの日数に影響をおよぼしたものと考えられる。急性期病院においては在院日数の短縮、作製途中での転院の可能性、また義肢装具士の来院頻度など積極的な装具作製を妨げる多くの要因があることが推測される。近年、急性期病院において装具が作製されることは少なく、リハ病院での作製件数が増加傾向にあること、また、リハ病棟が急性期にシフトしてきていることが報告されている。B群では当院リハ病棟転院から装具採型まで約2週間要していたことから、今後は転院後早期から装具処方について検討する必要があろう。2007年から連携パスが運用され始めている。それが単なる情報提供に留まらず、片麻痺患者に対する早期の装具処方、スムーズなリハの継続、そして早期の在宅復帰につながるよう連携することが必要であろう。【理学療法学研究としての意義】脳卒中発症後の早期装具作製は早期歩行獲得、在院日数の短縮に結びつく。それを推進するための地域連携について考えるものである。
著者
藤野 善久 高橋 直樹 横川 智子 茅嶋 康太郎 立石 清一郎 安部 治彦 大久保 靖司 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.267-275, 2012-12-20 (Released:2012-12-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

目的:産業医が実施する就業措置について,適用範囲,内容,判断基準など共通の認識が存在しているとは言えない.本研究では,現在実施されている就業措置の実態から,就業措置の文脈の類型化を試みた.方法:就業措置の文脈を発見するために,インタビューとフォーカスグループディスカッション(FGD)を実施した.インタビューは開業コンサルタントの医師6名に行った.またFGDは計6回,19名の医師が参加した.インタビューおよびFGDのスクリプトをコード化し,就業措置の類型化の原案作成を行った.つづいて,これら類型化の外的妥当性を検証するために,産業医にアンケートを実施し,就業措置事例を収集し,提示した類型への適合性を検証した.結果:インタビューおよびFGDのスクリプト分析から4つの類型が示唆された(類型1:就業が疾病経過に影響を与える場合の配慮,類型2:事故・公衆災害リスクの予防,類型3:健康管理(保健指導・受診勧奨),類型4:企業・職場への注意喚起・コミュニケーション).また,産業医アンケートで収集した48の措置事例はすべて提示した4つの類型のいずれかに分類可能であった.また,この4類型に該当しない事例はなかった.収集した事例から,類型5:適性判断を加え,本研究では最終的に,産業医が実施する就業措置として5類型を提示した.考察:現在,産業医が実施する就業措置は,複数の文脈で実施されていることが明らかとなった.ここで提示した5類型では,医師,労働者,企業が担うリスクの責任や判断の主体が異なる.このように就業措置の文脈を明示的に確認することは,関係者間での合意形成を促すと考えられる.