著者
平森 智幸 伊藤 元剛 吉川 正雄 廣瀬 明夫 小林 紘二郎
出版者
社団法人エレクトロニクス実装学会
雑誌
エレクトロニクス実装学会誌 (ISSN:13439677)
巻号頁・発行日
vol.6, no.6, pp.503-508, 2003-09-01
被引用文献数
5 6

本研究では,無電解Ni-Pめっき上にさまざまな厚さのAuめっきを施した基板にBGA対応のSn-AgはんだボールおよびSn-Ag-Cuはんだボールを接合し,リフロー後および高温放置後における界面構造の観察および接合強度の測定を行った。Sn-Ag-Cuはんだの場合,Auめっき厚が250nmと500nmの試料では界面にPリッチ層が形成されたが,Auめっき厚の薄い試料では形成されなかった。一方,Sn-Agはんだの場合,Auめっき厚によらず界面にPリッチ層が形成されていた。どちらのはんだにおいてもAuめっき厚の厚い試料では強度試験において界面で破断が生じたので,Pリッチ層の形成は界面強度の低下につながると考えられる。Sn-Ag-Cuはんだでは50nmのAuめっき厚さが最適であった。
著者
田原 佳代子 高橋 徹 森勢 将雅 坂野 秀樹 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.198, pp.19-24, 2005-07-14

歌唱音声のパラメタ(ピッチ, 音量, 音色)には, ランダムな揺らぎと系統的な変化が含まれている.本報告では音量により系統的に変化する音色の成分を明らかにすることを狙い, RWC研究用音楽データベース中の歌唱音声と新たに録音した男性歌手による歌唱音声素材の分析を行った.新たな録音では, RWC研究用音楽データベースに収録されていない連続的な音量変化の影響を調べるため, 一定音量の歌唱に加え, クレッシェンドとデクレッシェンド歌唱を収録した.これらの素材は, STRAIGHTにより分析された後, 1/3オクターブ毎のレベルに変換され主成分分析により直交する成分に分解された.音量を独立変数, 主成分得点を従属変数とする回帰分析の結果は, 第一主成分と音量との高い相関を示した.この結果に基づき, 本報告では, 第一主成分に対応する固有ベクトルを用いた音色制御法を提案した.予備実験の結果は, 合成歌唱によるクレッシェンドおよびデクレッシェンドの自然性が, 提案した方法を用いることにより改善されることを示した.
著者
伊沢 亮一 毛利公美 森井 昌克
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.2841-2852, 2011-09-15

近年,地下街での移動体の位置推定問題が注目されている.すでに設置されている通信インフラとしての無線LANの利用が考えられるが,一般には精度の高い位置推定を行うことは困難である.その一因としては,反射波や障害物の影響等が無線LAN基地局からの受信電界強度を大きく揺るがすことにあると考えられる.本論文では電界強度データベースと測位端末の移動状態遷移モデルを用い,受信電界強度の揺らぎから受ける影響を減少させることで精度を向上させることを試みる.電界強度データベースでは位置推定を行う場所の電界強度をデータベース化し,移動状態遷移モデルでは地下街での人の動きを予測することで精度の向上を実現している.提案方式は1mの誤差で位置推定が可能である.GPSの利用が困難な屋内において本方式は有効であり,特に人の移動が直線的で自由度が制限される地下街において効果的であると考えられる.Recently, the study of the localization inside buildings is focusing much attention by researchers. Although the wireless LAN infrastructures are available with low cost, no method can estimate a location with high precision. The main reason is the sensitization of the electric field intensity against the noise and the reflected signals from obstacles. In this paper, we first experimentally measure the changes of the intensity and summarize the results as the database. Then, we introduce the moving state transition model for the estimation of location combined with the database. From our experimental results, it is confirmed that our method can estimate a location with the precision of ±1m. Because our method requires only wireless LAN infrastructure, it is applicable at the inside buildings and underground mall where the conventional methods based on GPS are useless.
著者
河崎 善一郎 牛尾 知雄 森本 健志 高木 伸之 王 道洪 中島 映至 林 修吾 ARTHUR Jim MAY Peter CHRISTIAN Hugh WILLIAMS Earle HOELLER Hartmut
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、オーストラリア・ダーウィン地域において、雷嵐観測網を構築し観測を実施した。稠密と広域観測装置を併用した観測網を展開し、豪気象局とも連携して、雷放電開始位置とその領域に存在する降水粒子の分布が時々刻々得られ、正負両極性の電荷が蓄積される領域の境界付近に放電開始点が多く分布し、更に稠密観測からその放電路が境界を沿うように進展し、やがて落雷に至る様子が再現された。中和電荷量推定も行い、積乱雲が世界で他に例を見ないほど高くまで成長する巨大積乱雲ヘクターにおいて、ヘクターの成長と共に中和される電荷の位置も上昇する現象が確認された。
著者
中尾 敏彦 ガメール アブシイ 大沢 健司 中田 健 森好 政晴 河田 啓一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.9, pp.791-794, 1997-09-25
参考文献数
10

乳牛の難産および胎盤停滞例 (異常例) の胎子娩出後の子宮修復における内因性のPGF_<2α>の関与の有無を明らかにするとともに, 活性持続型のPGF_<2α>類似体であるフェンプロスタレンの投与が子宮修復と繁殖成績の向上に有効かどうかを明らかにするために試験を行なった. 異常例では分娩正常例に比べ血中PGF_<2α>代謝産物 (PGFM) 濃度の著しい上昇が認められたが, 高濃度の持続期間は短かった. 異常例ではPGFMの高濃度持続日数と子宮修復日数との間に明らかな相関は認められなかったが, 正常例では, PGFM高濃度持続期間が長いもののほうが短いものよりも子宮修復日数が短かった (P<0.01). フェンプロスタレンを異常例では胎子娩出後7-10日, 分娩後子宮内膜炎例では14-28日に投与することにより, 子宮修復と卵巣機能の回復が促され, 繁殖成績が向上することがわかった. このように, 異常例においては短期間に大量のPGF_<2α>が分泌されるものの, これは子宮修復にはあまり関与しておらず, 外因性のPGF_<2α>の投与がこれらの例の子宮修復の促進と繁殖成績の向上に有効であることが示唆された.
著者
森 一代
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は、タイ在住のラオス人労働者と村落社会を結ぶ多様な互助実践について参与観察をおこなった。2002年以降、タイと国境を接するラオスの調査村では、タイの携帯電波を受信できるようになり、出稼ぎ労働者と家族らの国内通話が可能になった。これによって、送金といった経済活動に留まらない、電化製品や衣料品などの取り置き、仕事の紹介、タイを訪問時の宿泊提供に関する事前の打ち合わせなどが可能になった。またパクター郡の調査村では、内戦期を北タイのフエイルックで過ごした住民が多く、現在も緊密な交流が見られる。とくにフエイルック寺では調査村から見習僧を継続的に受け入れており、調査村での祭祀には必ず僧侶を派遣していることが、聞き取り調査から明らかになった。このように、タイに居住する村出身者が、自らの生活圏にあるものを活かすことで、送金に見られるような直接的な経済活動とは異なった範疇で、村落社会をタイに取り込ませていく外延化の様態が見られた。しかしながら、互助関係はさらに外延に拡大する渦中にあることが明らかになった。フエサイ郡での二度目の生業調査では、養豚の出荷先がラオス人から、県北の中国人コミュニティに代替され、豚の種類も、タイから入荷していたランドレース種から、安価かつ飼育が容易な在来種の黒豚に変更されていた。この変化に対し、住民らは現金一括払いによる大量の子豚を購入を、互助実践のひとつとして肯定的に捉えていた。中国経済の浸透による村落社会の変容は、ラオスの農村研究において、土地利用や経済的側面からの分析が中心である。規範の面から中国人の経済活動を評価する本事例は、新たな示唆に富み、今後の検討の余地を大いに残すものである。
著者
森田 邦久
出版者
大阪大学
雑誌
待兼山論叢. 哲学篇 (ISSN:03874818)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.21-31, 2005-12-25
著者
竹村 元秀 米原 典史 小林 真之 杉生 真一 森谷 正之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

神経損傷ラットの情報伝達機構が大きく変化することが、神経因性疼痛発現の基礎にあることが明らかになった。ぺプチド性C線維を介したシグナリングが侵害刺激をよりシャープに上位中枢に送るが、非ぺプチド性C線維のシグナリングがそのぺプチド性C線維を抑制するといった制御に関わっている可能性を示すデーターを得た
著者
森 芳功
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.379-390, 2010

「感動」とは,情動が動くことであり,複数の感情が関わって喚起される。本稿では,美術鑑賞における「感動」の働きに注目し,まず,鑑賞過程における「感動」について,美術史上の「感動」の記録や,鑑賞支援活動の実践を材料として試論的に整理を試みた。そして,「感動」に至るには,鑑賞者のもつ予備的な経験や知識,期待感や緊張感が条件として必要であることや,鑑賞者の経験や知識を鑑賞に結びつける主体的な活動が必要であることを示すとともに,鑑賞過程のなかの「感動」を基点とすることで,鑑賞の手がかりの少ない子どもや,鑑賞を深めたり表現につなげようとしたりする子どもたちに対する支援の視点が得られることを指摘した。
著者
森 久美子
出版者
広島大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13454730)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.161-168, 1987-03-25
著者
磯野 春雄 安田 稔 竹森 大祐 金山 秀行 山田 千彦 千葉 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.16-23, 1993-01-25
参考文献数
9
被引用文献数
3

本論文では,特別なメガネをかけなくても立体画像を見ることができる液晶投写形の多眼式3次元テレビジョンシステムについて述べる.本システムの3次元画像表示方式は,4台で構成された立体テレビカメラからの映像信号を電子的に画素単位で合成してストライプ像を作り,この像を1台の高性能ハイビジョン液晶プロジェクタを用いてレンチキュラスクリーンの背面に投写するものである.これにより50インチの画面に明るく鮮明なフルカラーの4眼式立体テレビ画像を表示することができた.このシステムの特徴はメガネが不要であることのほかに,従来の2眼式メガネなし立体テレビ方式に比べて,異なる視点からの立体映像を見ることができるほか立体観察視域が広がり,見やすさと自然さが改善された.本論文では新しく試作した4眼式3次元テレビジョン装置のシステム構成,レンチキュラスクリーン,4眼式立体テレビカメラ,立体画像記録装置等について述べる.
著者
後藤 文孝 白井 克典 森口 幸久 市村 正也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.66, pp.33-38, 1996-05-23
参考文献数
13

CdSO_4とNa_2S_2O_3を含み、pH値を釣2.5にした溶液から、ネサガラス(In_2O_3)基板上に、電気化学的堆積(electrochemically deposition)法によりCdS薄膜を作製した。これを窒素、空気、酸素の各雰囲気において200〜500℃で30分間アニールした。He-Cdレーザを用いて77Kでフォトルミネッセンス測定を行うと、窒素雰囲気アニールの場合、アニール温度が高いほど、488nmのバンド始発光は弱くなり、より長波長側に欠陥準位を介した発光が現れた。しかし、空気、酸素雰囲気アニールの場合、アニール温度に関わらずバンド始発光が強く観測され、欠陥準位を介した発光の長波長側へのシフトはみられなかった。また、ピークの幅は、酸素雰囲気アニールの方が狭くなった。
著者
山森 光陽
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.71-82, 2004-03-31

本研究では,中学校1年生の英語学習に対する学習意欲はどの程度持続するのか,また持続させている生徒とはどのような生徒なのかについて検討を行った。具体的には,中学校1年生の英語学習に対する学習意欲はどの程度持続するものであるのかを生存時間分析を用いて検討し,さらに,学習意欲を持続させている生徒とはどのような生徒なのか,またどのようなことが切っ掛けとなって学習意欲が失われるのかを検討した。その結果,中学校1年生の英語の学習においては,初回の授業では9割以上の生徒が英語の学習に対して高い学習意欲を有していることが確認された。しかし,それを持続させることが出来たのは6割程度の生徒であったことが確認された。また,1年間の中でも,特に2学期において学習意欲が低くなる生徒が顕著に多いことが,本研究の結果明らかになった。さらに,試験で期待通りの成績が得られたかどうかではなく,「もうこれ以上がんばって勉強できない」と感じることの方が,その後の学習意欲の変化に影響を及ぼす可能性のあることが示唆された。さらに,学習意欲が上昇する生徒についても考察を行った。