著者
中田 章博 森川 陽介 岡本 哲
出版者
マツダ株式会社
雑誌
マツダ技報 (ISSN:02880601)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.19-26, 2020 (Released:2020-12-23)
参考文献数
7

自動車からのCO2排出量削減のために空気抵抗の低減は欠かせない。ただし空気抵抗は車体形状に依存するため,商品開発においてはデザインと空力の両立が命題となる。私たちは,空力性能とデザインを高次元に両立するために,SUVデザインの重要ポイントの一つであり,Cd値への寄与度が大きいタイヤ周りの風流れに注目し,Computational fluid dynamics(CFD)技術と風流れ制御技術開発に取り組んだ。まず,タイヤ形状の再現度とホィール回転手法に着目し,タイヤ周りの風流れの現象を再現できるCFD技術を構築した。そしてCFDを用いて,Cd値に寄与する風流れの運動エネルギー損失の発生要因を分析し,従来技術比でCd値を約3%低減できる新しい風流れ制御技術を確立した。そして新技術をCX-30の商品開発に適用することで,デザインコンセプトとクラストップレベルのCd値の両立を実現できた。
著者
西村 美穂 大森 美津子 森河 佑季
出版者
国立大学法人 香川大学医学部看護学科
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.23-35, 2018-03-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
26

本研究の目的は,高齢者に対するスピリチュアルケアを文献より明らかにすることである.文献検索は医学中央雑誌Web版を使用した.「高齢者」,「スピリチュアルケア」をキーワードとした.加えて,老年看護,福祉領域の学会誌からも文献検索を行った.検索対象年は,1970年から2017年までとした.分析は,窪寺のスピリチュアリティの超越性と究極性の考えを参考にし,高齢者に対するスピリチュアルケアが記載されている文章を,文脈を損なわないようにそのまま抽出,要約し,コードとした.そして,コードを意味内容が同じもので類型化しサブカテゴリーにした.さらにサブカテゴリーを類型化しカテゴリーにした.倫理的配慮は,文献の出典を明らかにし,データは可能な限り原典より抽出した.対象となった文献は13件であった.そのうち9件は終末期の高齢者を対象としていた.その他は,腰痛やくも膜下出血等によりADL介助を受けている高齢者を対象とした文献が2件,配偶者と死別した高齢者を対象とした文献が1件,養護老人ホームで生活している高齢者を対象にした文献が1件であった.高齢者に対するスピリチュアルケアは,【超越的存在の支えを感じることができるケア】【拠りどころからの支えを感じることができるケア】【自分の人生に向かう準備を支えるケア】【死や生と向きあうことを支えるケア】【人生の整理を支えるケア】であった.また,スピリチュアリティが覚醒し,よりよい状態にある高齢者に対するスピリチュアルケアは,環境を調整する,傾聴する,沈黙を守る,ユーモアで笑いあうことが行われていた.
著者
千葉 聡 平野 尚浩 森井 悠太 Prozorova Larisa 鈴木 崇規
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

小笠原諸島の陸貝化石の年代測定から、最終氷期以降、カタマイマイなどが形態的、生態的に区別のできるタイプに分化したことが示された。琉球列島の喜界島などでも同時代の化石を解析した結果、同じような変化のパターンは見られず、小笠原での急速な分化は、その放散と関係していると考えられる。一方、本土と琉球列島の近縁現生種について、系統推定とニッチ利用を調べた結果、いずれにも形態とニッチ利用の関係が示すパターンに共通性が認められたが、急速な放散はカタマイマイに限られた。島では競争によるニッチ分化が放散の要因と考えられるのに対し、本土の種分化では地理的隔離の他は、捕食-被食の効果が認められた。
著者
森下 哲夫
出版者
日本熱帯医学会
雑誌
熱帯医学会報 (ISSN:21861773)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.10-11, 1960-04-20 (Released:2011-05-20)
著者
伏見 華奈 齋藤 敦子 更谷 和真 土屋 憲 池ヶ谷 佳寿子 加瀬澤 友梨 徳濱 潤一 原田 晴司 柴田 洋 髙森 康次 増田 昌文
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.136-142, 2018-07-25 (Released:2019-01-25)
参考文献数
25

本邦には歯科用ユニットの給水に関する水質の基準がなく,レジオネラ属菌による汚染の報告もみられず医療関係者の関心も低い.当院は1997年より院内感染対策の一環として院内給水系のレジオネラ定期環境調査を行っており,2014年から歯科用ユニットの給水を環境調査に追加した.4台の歯科用ユニットのうち1台よりLegionella sp.が60 CFU/100 mL検出され,部位別にみると,うがい水,低速ハンドピース,スリーウェイシリンジから,1,000 CFU/100 mLを超えるLegionella sp.が検出された.対策として,給水の温水器停止と回路内のフラッシング,次亜塩素酸ナトリウム希釈水の通水を行ったが,Legionella sp.は検査検出限界以下にならなかった.歯科用ユニットの構造的理由から,高温殺菌や高濃度消毒薬の使用など更なる対策の追加はできず,やむを得ず歯科用ユニットを交換した.近年,大半のレジオネラ症例は感染源が明らかではない国内単発例と報告されており,これまで認識されていない感染源の存在が示唆される.エアロゾルを発生する装置としての歯科用ユニットの給水システムはレジオネラ感染の極めて高い潜在的リスクと考える.歯科用ユニット製造業者と使用管理者,行政が連携し,歯科用ユニット給水汚染の制御法確立とレジオネラ症予防のための適切な管理基準の策定が望まれる.
著者
森 健策
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.20-25, 2022-01-25 (Released:2022-03-10)
参考文献数
4

本稿では,マクロとミクロを結ぶメゾスコピックの観点から,マイクロCTの紹介と,マイクロCT画像を用いたメゾスコピック領域における解剖学的構造の認識などについて紹介する.加えて,マイクロCT画像を用いたマクロCT画像の超解像化について触れる.マイクロCTを用いれば,細胞レベルでの解剖学的構造とマクロレベルでの解剖学的構造の中間である,メゾスコピック領域の解剖学的構造を撮像することが可能となる.マイクロCTによるメゾスコピック領域での解剖学的構造のイメージングとその前後の領域におけるイメージングとの統合によって,解剖学的構造のスケールシームレスな解析が可能となり,新たな学術分野の展開が期待される.
著者
野本 保夫 川口 良人 酒井 信治 平野 宏 久保 仁 大平 整爾 本間 寿美子 山縣 邦弘 三浦 靖彦 木村 靖夫 栗山 哲 原 茂子 浜田 千江子 佐中 孜 中尾 俊之 本田 雅敬 横田 眞二 須賀 孝夫 森 典子 下村 旭 金 昌雄 今田 聰雄 田中 良治 川西 秀樹 枝国 節雄 福井 博義 中本 雅彦 黒川 清
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.303-311, 1998-04-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
24
被引用文献数
25 25

硬化性被嚢性腹膜炎 (sclerosing encapsulating peritonitis, SEP) はCAPD療法における最も重篤な合併症の1つである. 平成7-9年度にわたり, 厚生省長期慢性疾患総合研究事業慢性腎不全研究班に参加した『CAPD療法の評価と適応に関する研究班』にてこの病態に焦点をあてSEPの診断基準, 治療のガイドラインを作成し検討を重ねてきた. 今回平成7-8年度の成果を土台に1年間経験を各施設より持ち寄りその実際的な問題点を明らかにし, 改訂するべき事項があればさらに検討を続けることを目的として叡知をあつめ, 平成9年度硬化性被嚢性腹膜炎コンセンサス会議を開催した.今回は主に診断指針の見直しおよび治療および中止基準の妥当性に焦点をあて検討し改訂案を作成した. 診断基準に関しては昨年度に提示した定義に根本的な変更点はなかった. しかし, 治療法に関し若干の手直しを行った. 栄養補給は経静脈的高カロリー輸液 (TPN) を主体に行うが, 具体的投与量を提示した. 一部症例にステロイド薬 (含パルス療法) がSEP発症直後の症例に著効を示した症例に加えて, 一方不幸な転帰をとった症例も報告された. また, 外科的腸管剥離についても再検討を行った. 中止基準に関しては一部の手直しと小児症例に関するガイドラインも新たに加えた.以上当研究班で3年余にわたる作業を行ってきたが, 現時点での諸家のコンセンサスを得たSEP診断治療指針 (案) を上梓することができた. しかしながら本病態の多様性, 治療に対する反応性の相違から基本的な治療方針の提示にとどめた. 今後さらに中止基準を含んだSEP予防法の確立や生体適合性の良い透析液の開発が重要であることはいうまでもない.
著者
森田 邦正 松枝 隆彦 飯田 隆雄
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
衛生化学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.42-47, 1997-02-28 (Released:2008-05-30)
参考文献数
27
被引用文献数
4 5

The present paper presents the liver distribution and fecal excretion of polychlorinated dibenzo-p-dioxins (PCDDs) congeners, such as 1, 2, 3, 7, 8-P5CDD, 1, 2, 3, 6, 7, 8-H6CDD, 1, 2, 3, 7, 8, 9-H6CDD and 1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-H7CDD, in male rats fed with Chlorella, Spirulina and chlorophyllin. The objective of this study is to evaluate the effect on PCDD excretion by the chlorophyllin foods. The rats were given some treatment diets containing 20% Chlorella. 20% Spirulina, 0.2, 2% chlorophyllin, 10% rice-bran fiber or 0.2% chlorophyllin + 10% rice-bran fiber for 5 d. Then, the animals were administered 4 g of each diet containing 0.5 ml of the causal rice-bran oil of Yusho that had occurred in the Southwest part of Japan in 1968 and kept on the same diet for another 5 d. The rice-bran oil contaminated with 1, 2, 3, 7, 8-P5CDD (6.86 ng/ml), 1, 2, 3, 6, 7, 8-H6CDD (31.4 ng/ml), 1, 2, 3, 7, 8, 9-H6CDD (22.4 ng/ml) and 1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-H7CDD (121.7 ng/ml) was used for the animal experiments. PCDD congeners in the feces and liver were analyzed by high resolution gas chromatography-mass spectrometry. The fecal excretion of 1, 2, 3, 7, 8-P5CDD in the groups fed with Chlorella, Spirulina and 2% chlorophyllin were 7.4, 7.1 and 11.0 times higher (p<0.01), respectively, than that in the control group. Moreover, the fecal excretion of 1, 2, 3, 6, 7, 8-H6CDD, 1, 2, 3, 7, 8, 9-H6CDD and 1, 2, 3, 4, 6, 7, 8-H7CDD in the same groups were 4.4-5.3, 2.7-3.7 and 1.7-2.8 times higher, respectively, than that in the control group. These findings suggest that administration of Chlorella, Spirulina and chlorophyllin is useful as a new approach in the treatment of patients exposed to lipophilic xenobiotics.
著者
吉本 広平 増山 純二 土井 研人 中島 勧 橘田 要一 森村 尚登
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【背景】2016年にSepsis-3 criteria(以下Sepsis-3)が提案され、救急外来(以下ER)においては敗血症患者のスクリーニングにquick SOFA score(以下qSOFA)の測定が推奨されている。しかしながら医療システムや患者分布の異なる本邦でのqSOFAの有用性は明らかでなく、またqSOFAは予後予測に対する感度に劣るとの問題点も指摘されている。【目的】細菌感染症が疑われるER受診患者におけるSepsis-3の臨床的妥当性を評価する【研究デザイン】単施設後方視的コホート研究【対象】2017年1~12月に地方基幹病院ERを受診した患者のうち細菌感染症として治療された者【方法】対象患者を後方視的に抽出後、トリアージ時点のバイタルサインおよびER受診時の血液データからqSOFA、SOFA、SIRSスコアを算出し、ROC曲線下面積(AUC)用いてprimary outcomeを院内死亡とした診断能を比較した。また臓器障害(SOFA2点以上の増加)を認める場合qSOFAに+1点を加えたqSOFA+(4点満点)を定義し、同様にしてqSOFAと比較した。【結果】対象はn=668(男351)、年齢中央値77、院内死亡率6.7%であり、罹患疾患は呼吸器(n=227)、消化器(n=164)、肝胆膵(n=106)の順であった。99名がqSOFA≧2を満たし、その死亡率は24.2%であった。qSOFAは院内死亡予測に対してSIRSより有意に優れ[AUC 0.75 (95%CI, 0.66-0.83) vs 0.60 (95%CI,0.51-0.68), P<0.001]、SOFAと同等であった[AUC 0.76 (95%CI 0.68-0.84), P=0.67]。qSOFA+はAUC 0.78(95%CI, 0.70-0.85)であり、各2点をカットオフポイントとした場合、予後予測に関してqSOFAの感度53%、特異度88%に対し、qSOFA+は感度76%、特異度70%であった。【結論】本邦ERにおいてもqSOFAはSIRSより明らかに予後予測に優れ、来院時に短時間で計算できるにも関わらず、SOFA scoreと同等の予後予測能を有する。また本邦外での報告と同様にqSOFAは特異度が高く感度に劣るが、来院時の臓器障害を加味することで感度向上が得られることが示唆された。
著者
森 里美 伊東 育美 白山 義洋 飯田 真也 二宮 正樹 白石 純一郎 岡崎 哲也
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.200, 2016 (Released:2016-11-22)

【目的】パーキンソン病は振戦・筋固縮・動作緩慢・姿勢反射障害の症状を呈し、上肢機能では巧緻性動作低下を生ずる場合が多い。しかし、上肢機能におけるリハビリテーション介入効果に関する報告は少ない。今回、パーキンソン病患者を対象とした上肢機能の変化を2~3週間における短期集中リハビリテーション入院前後で比較、検討したので報告する。【方法】対象はパーキンソン病患者21名(男性6名、女性15名、Hoehn&Yahr分類:stageⅠ2名stageⅡ4名stageⅢ12名stageⅣ3名、年齢:71.2±9.2歳、固縮・振戦症状優位側(以下優位側)は右手9名、左手12名)。短期集中リハビリテーション入院では、薬剤調整は行わず、理学療法・作業療法、必要に応じて言語療法を行った。作業療法では関節可動域訓練、筋力増強訓練、巧緻性動作訓練、協調性動作訓練を実施した。上肢機能評価は簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating Hand Function 以下STEF)を使用した。短期集中リハビリテーション入院前後でのSTEF総得点・各項目所要時間の比較にWilcoxon検定を用いた。有意水準をp<0.05とした。【結果】短期集中リハビリテーション入院前後では優位側・非優位側ともにSTEF総得点に有意な改善がみられた(STEF総得点(平均±標準偏差)優位側:前77.7±18.2点 後83.3±16.8点 非優位側:前80.1±18.0点 後86.6±14.4点)。STEFの各項目別にみると、優位側では大球(項目1)・中球(項目2)・大直方(項目3)・中立方(項目4)・木円板(項目5)・小立方(項目6)・布(項目7)・金円板(項目8)で有意な改善を認めた。非優位側では中球(項目2)・大直方(項目3)・中立方(項目4)・木円板(項目5)・小立方(項目6)・布(項目7)・小球(項目9)・ピン(項目10)で有意な改善を認めた。優位側では小球(項目9)・ピン(項目10)、非優位側では大球(項目1)・金円板(項目8)で有意な改善を認めなかった。【まとめ】当院での短期集中リハビリテーション入院により上肢機能は改善した。優位側では粗大な運動項目は改善したが、巧緻性動作に関しては改善しにくい傾向にあった。【倫理的配慮,説明と同意】本研究の計画立案に際し、事前に所属施設の倫理審査員会の承認を得た(承認番号H25-0965)。また研究を実施に際し、対象者に研究について十分な説明を行い、同意を得た。製薬企業や医療機器メーカーから研究者へ提供される謝金や研究費、株式、サービス等は一切受けておらず、利益相反に関する開示事項はない。
著者
大山 博司 大山 恵子 諸見里 仁 高木 宜史 田代 優輝 大山 高史 山田 美紀 江戸 直樹 藤森 新
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.123-130, 2016-12-20 (Released:2016-12-20)

健常者3名と高尿酸血症患者6名を対象に,有酸素運動,低強度(20RMで10回を3セット)レジスタンストレーニング,高強度(10RMで10回を3セット)レジスタンストレーニングの3段階の運動を実施して血清尿酸値への影響を検討した.健常者,高尿酸血症患者とも有酸素運動では血清尿酸値は変化しなかったが,高尿酸血症患者では低強度,高強度いずれのレジスタンストレーニングでも運動翌日に血清尿酸値の有意な上昇がみられ,高強度レジスタンストレーニングでは運動直後にも血清尿酸値の有意な上昇が観察された.レジスタンストレーニングは解糖系をエネルギー源とする嫌気性運動筋である速筋を使用するトレーニングであり,運動直後の血清尿酸値の上昇には筋肉活動によって生成された乳酸による尿酸排泄障害が関与する可能性が疑われた.また,有意差はついていないが,健常者,高尿酸血症患者いずれにおいても運動翌日に血清CK値が運動前の数倍上昇しており,運動翌日の血清尿酸値の上昇には筋線維の断裂・破壊などに伴う,筋肉内に含まれているプリンヌクレオチドの溶出の影響も可能性として挙げることができるかもしれない.レジスタンストレーニングは強度によっては血清尿酸値上昇をもたらす可能性があり,その機序に関しては今後さらなる検討が必要と考えられた.レジスタンストレーニングはインスリン感受性やHDLコレステロールを上昇させる効果や筋肉量の増加,基礎代謝の亢進などにより生活習慣病の予防に有効なことが報告されており,痛風・高尿酸血症患者に運動を実施する場合は,痛風関節炎の有無や尿酸値の推移に注意しながら有酸素運動と無理のない程度の低強度レジスタンストレーニングを組み合わせた運動を推奨することが望ましいと考えられた.
著者
森泉 由恵 本藤 祐樹
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.1-18, 2023-01-20 (Released:2023-01-31)
参考文献数
43

本研究では,地域における再生可能エネルギー技術の導入がもたらす環境・社会経済効果を評価するための再生可能エネルギー部門拡張産業連関モデル・地域版(Renewable Energy Focused Input-Output model for Region: REFIORegion)を開発している。REFIO-Regionの作成は次の2段階のプロセスで構成されている。第一に,国と47都道府県の産業連関表,経済センサス活動調査など各種統計を用いて,1,741 市区町村の産業連関表(地域内表)を作成している。 第二に,1,741市区町村を任意の2地域に分類して2地域間表とするとともに,12種の再生可能エネルギー技術に関わる部門を結合することで,2地域間産業連間モデル,すなわちREFIO-Regionを構築している。REFIO-Regionは,わが国の1,741市区町村の産業構造ならびに12種の再生可能エネルギー技術の技術構造を詳細に表現しており,各技術の地域レベルの導入効果を詳細に分析可能である。REFIO-Regionを用いて,18市町村で構成される熊本連携中枢都市圏に風力発電を導入した場合の地域経済効果についてケースタディを実施している。ケースタディの結果は風力発電と導入地域の特徴を反映したものとなっており,本モデルの有効性を示している。