著者
大森 正登 今川 望 平手 小太郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.59, no.456, pp.63-73, 1994-02-28 (Released:2017-01-27)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

About the space that a designer planned, we developed the system for simplified forecast of comfort on post occupancy environment. This is the system which designer and building-owner are able to get support in case of planning to improve comfort in the office space. In this system, user describes the space which they want to evaluate comfort in terms of component's grade. After user select early frequency distribution equivalent for component's grade, this system does output frequency distribution forecast of comfort on post occupancy environment with method of exchange by varoius weighting coefficients. As a result, the distribution actually measured by test closely matched the distribution forecasted by above procedure. We could verify that this system is potentially capable of doing "Ante Occupancy Evaluation" on office environment, and that the assumption which was introduced in the middle of forecasting distribution is not greatly beside from the process of comfort-judgement by human subjects.
著者
中島 秀之 野田 五十樹 松原 仁 平田 圭二 田柳 恵美子 白石 陽 佐野 渉二 小柴 等 金森 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_875-I_888, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
22
被引用文献数
4 5

バスとタクシーの区別を無くした,主として都市部を対象とした新しい公共交通システム(Smart Access Vehicle System)の概念を示す.これは,コンピューターにより全ての車輛の位置と経路を管理し,固定路線やダイヤを持たず,乗合いで,デマンドに即時対応するシステムである.これを交通サービスのクラウド化と呼ぶ.タクシーの利便性とバスの経済性を併せ持つことが可能である上に,渋滞,事故,天候変化,災害などに柔軟に対応できる.筆者らは函館市内において小規模な実験を行い,数日間の完全自動配車に成功している.
著者
上東 治彦 中村 幸生 森山 洋憲 溝渕 正晃 菅野 信男 永田 信治 味園 春雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.840-848, 1999-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

高知県で育成された酒造好適米品種「吟の夢」について, 高知県産「山田錦」を対照として酒造適性試験, および醸造試験を行った結果, 以下のような知見を得た。(1) 吟の夢は, 山田錦に比べ稈長が17cm程度短く, 耐倒伏性やイモチ耐病性には中程度の強さを示す。山田錦対比119%の多収であり, 心白発現率は75.3%と高い。(2) 70%精白米の酒造適性試験では, 吟の夢の玄米千粒重は25.0gと山川錦より1.6g程度小さいが, 20分および120分吸水性ともに山田錦より高く, 消化性のBrix, フォルモール窒素は山田錦とほぼ同程度, 粗タンパク含量は吟の夢が4.32%と山田錦よりやや低かった。(3) 吟の夢と山田錦の老化の起こり易さを比較した結果, 吟の夢が老化しやすかった。(4) 40%精白米の小仕込試験においては, 吟の夢の精米時間は短い傾向を示したが, 無効精米歩合や白米の粒度分布の変動率は山田錦とほぼ同じであった。40%精白米の粗タンパク含量およびPB-II/PB-I比は吟の夢が山田錦より低かった。製成酒では吟の夢は山田錦より日本酒度の切れ, アルコール生成が良好であり, 酸度, アミノ酸度, 紫外部吸収は低くて, 官能評価も良好であった。(5) H 10 BYの吟の夢の実地醸造では, 吟の夢の白米千粒重は対照品種より小さかったが, 粗タンパク含量は対照品種より低いものが多く, 兵庫県産山田錦とほぼ同等であった。製成酒のアミノ酸度は, 対照品種と同等であった。
著者
森田 亜紀 早川 文代 大田原 美保
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00084, (Released:2023-02-17)

ベーカリー製品に特化した分析型パネルを評価者として,ベーカリー製品9品目の官能評価の設計や品質情報の伝達の際に参照できるテクスチャー用語体系を構築する一助となる調査と解析を行い,以下の結果を得た.(1)ベーカリー製品9品目のテクスチャー描写に使われる用語のデータを得ることができ,そのうち69語が「ベーカリー製品の主要なテクスチャー用語」と位置付けられた.(2)ベーカリー製品と用語を集計し主成分分析を適用したところ,ベーカリー製品のテクスチャーは、「かたさに関連するテクスチャー」,「空気を含んだやわらかさに関連するテクスチャー」に加え,「油脂由来のテクスチャー」や「咀嚼中に口腔内で感じる水分に関連するテクスチャー」が重要であると解釈できた.(3)官能評価の設定や情報伝達に利用できるデータベースが作成でき,ベーカリー製品毎の代表的なテクスチャー用語とその語彙特徴が明らかとなった.
著者
高場 稔 森岡 泰三
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.200-208, 1999-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
22
被引用文献数
3 2

瀬戸内海の芸予諸島海域の瀬戸田, 加島の2カ所で, それぞれ産地の異なる2群のマダイ人工種苗0歳魚と漂流ハガキを同時に放流し, マダイの移動と流れの関係を検討した。放流マダイの産地による再捕率の差は認められなかった。瀬戸田, 加島ともマダイは南西方向に移動した。瀬戸田放流群の移動速度は0.34km/dayであり, 放流後10日間ごとの分布域の大きさはその中心から10kmでほぼ一定であった。加島放流群の移動速度は瀬戸田放流群に比べて遅かった。瀬戸田の漂流ハガキの移動速度は1.29km/day, 加島のそれは1.36km/dayであった。ハガキの移動速度はマダイの移動速度の約4∿5倍と異なるが, 移動方位は一致した。このことは, マダイ0歳魚の移動の要因の一つとして流れが関与していることを示唆する。
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.41-47, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
森谷 峰雄
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.466, 2002 (Released:2019-05-01)

本報告は、筆者が20代の時に得た宗教体験を示し、人間能力の限界乃至可能性の一例を示したいと思う。学術的報告ではなく、たとえば、ウィリアム・ジェイムズ張りの「宗教体験の諸相」の一例にはなるであろう。しかし、私は散文ではなくて、詩の形で報告することをお許し願いたい。人間の生き方如何の問題の根本的問いかけに対するひとつの答えになると思う。キリスト教における宗教的体験は人に巨大な量の霊的エネルギーと新生を与えるものである(発表は筆者個人の経験による)。宗教経験は次の8つの要素で特色つけられる、1)罪の悔い改め、2)神の御子による罪の許しの真の感覚、3)心に洪水のような喜びが湧き上がる、4)霊的的宇宙に到達する、その広大さの中で、自らが針の大きさに縮小する現実感を得る、5)知性・感性は冴えている、6)良心の感覚は例外的に強まる、7)この世は神の世界からは絶望的なほど堕落しているという意識を持つ、8)超越的なるある実在者と常に一体となってその方から純粋の喜びが来る。
著者
森茂 智彦 山口 穂高 藤巻 吾朗 生駒 晃大
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.289-300, 2023-02-15

棚卸作業において,画像認識によって部材の数量を求めることは有用である.しかし,その精度が100%となることは保証されないため,正確な数量の把握には目視による認識結果の修正も必要である.当然この修正は速く正確に行えることが望まれる.そこで本論文では,画像を格子線で区切ることによって修正作業が効率的に行えるとの仮説を立て,検証する.木製の丸棒部材を用いて検証した結果,未検出の部材のみが含まれる画像の修正では格子線の影響が限定的であり,誤検出の印を消す修正および未検出と誤検出の同時修正が必要な画像において格子線を用いた条件で未修正数が減少した.一方で,修正に要した作業時間は格子線の有無によって変わるとはいえなかった.よって,丸棒部材において格子線は,画像認識後の修正作業を阻害する可能性は少なく,誤検出した印の修正に有効であると結論づけられる.
著者
森野 真理
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.261-276, 2014 (Released:2016-07-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1

コモンズの「過少利用」では,直接的な資源利用が減少したことで,景観や季節感の喪失,生物相の変化,災害防止機能の低下といった,自然資源の総体(生態系)としての機能低下が問題視されている.本稿では,森林・河川・農地の過少利用の事例をとりあげ,「生態系サービス」という観点から問題の特徴を分析した.その結果,コモンズに期待される受益は,物質資源を供給するサービスから,レクリエーションや景観といった文化的サービス,気候や災害制御といった調節的サービスへと重点が移っていた.期待されるサービスの変化にともない,ステークホルダーの拡張がみられた.
著者
鈴木 敏弘 海野 良輔 山里 一英 小泉 幸道 石川 森夫
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.129-134, 2020-11-17 (Released:2021-12-11)
参考文献数
20

Marinilactibacillus 属や Alkalibacterium 属などの好塩性・好アルカリ性乳酸菌は塩類の影響を受ける海洋環境からの分離例が多い。一方で、これらはチーズをはじめとする塩分を含む発酵食品にも存在するが、その由来については明らかにされていない。本研究では、同乳酸菌群の分離源の多様性の解明を目的として、発酵食品製造に用いられる可能性が考えられる海水天日塩から好塩性・好アルカリ性乳酸菌の分離を行った。供試した 23 点の海水天日塩のうち、フランス産の 2 点から集積培養によって Alkalibacterium 属乳酸菌を分離した。分離株は海洋環境より分離・報告された好塩性・好アルカリ性乳酸菌 Alkalibacterium putridalgicola と同定され、生理学的性状も類似していた。一方で、分離株は NaCl 20% 以上の耐塩性を有さず、生育に糖類を要求し、天日塩への付着時には増殖はしていない可能性が推察された。これらのことから天日塩には海洋環境で生育する好塩性・好アルカリ性の乳酸菌が付着、増殖はしないものの生存し、天日塩を使用した様々な食品製造環境に伝播している可能性が考えられた。
著者
森西 洋平
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.62, no.604, pp.4106-4112, 1996-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
14
被引用文献数
4 5

In this report, numerical tests of the conservation properties of finite difference schemes are performed. Inviscid flow simulations in a two-dimensional periodic domain are performed using several finite difference schemes that are discussed in the first and second reports. The momentum and kinetic energy are conserved when the proper schemes in regular and staggered grid systems are used. The defect of the finite difference schemes in a collocated grid system is emphasized in the simulation. In addition, plane channel flows at Re=180 and 2000 are simulated using the proper fourth-order accurate finite difference scheme in a staggered grid system and the results are better than those of the second-order accurate algorithm and an existing fourth-order accurate scheme.
著者
大森 英樹
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.12-28, 1998-01-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
17
著者
横田 雅実 木村 真人 池森 紀夫 中尾 泰崇 中山 菜央 廣橋 愛
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.221-226, 2010-07-15 (Released:2014-07-01)
参考文献数
10

向精神薬の副作用である口渇は,治療コンプライアンスやQOLを低下させる障害である。そこで本研究では,口渇症状を訴える向精神薬服用者に対して,抗コリンエステラーゼ作用による唾液分泌促進効果が報告されているH2遮断薬nizatidineを投与し,その効果を検討した。当科外来受診中の向精神薬服用者のうち,口渇を訴えた22名(男性6名,女性16名,平均年齢53.1±14.8歳)を対象とし,nizatidine(アシノンⓇ)を通法に従い,8週間投与し,口渇自覚症状スケールを用いてその間の口渇症状の変化を観察した。その結果,nizatidine投与前と比較して,4週,8週で口渇症状は改善した。このことより,nizatidineは向精神薬服用者の口渇症状改善に有用と思われた。
著者
松田 晋哉 藤森 研司 伏見 清秀 石川 ベンジャミン 光一 池田 俊也
出版者
日本ヘルスサポート学会
雑誌
日本ヘルスサポート学会年報 (ISSN:21882924)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-10, 2018 (Released:2018-02-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

National Database( NDB)を用いて算出した標準化レセプト比SCR の在宅医療分をデータとして、在宅医療の推進に関連する要因の検討を行った。その結果、在宅医療(居宅)に関連する要因として、往診(.313)、訪問看護指示(.218)、緊急往診(.219)、在宅療養中患者_ 緊急入院受入(.049)、療養病棟入院基本料(-.078)、訪問薬剤指導の実施(.004)が在宅医療(居宅)のSCR に有意に関連していることが示された。この結果は、在宅医療(居宅)を進めるためには、訪問看護や訪問薬剤指導といった在宅のチーム医療提供体制に加えて、緊急往診や在宅療養中患者_ 緊急入院受入といった後方病院の役割が重要であることを示している。
著者
本窪田 直子 駒居 南保 鈴木 麻希 林 育代 森谷 敏夫 永井 成美
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.65-74, 2016 (Released:2016-04-15)
参考文献数
36
被引用文献数
4 3

生体リズム位相には個人差があり, 日中に活動しやすい朝型と夕方から夜間に活動しやすい夜型があることが知られている。そこで, “朝型と夜型では体内時計支配下にある自律神経活動や胃運動・食欲感覚の日中の変動が異なる”という仮説を立て, 実験による検証を行った。前夜22時より絶食した若年女性34名の胃電図, 心電図 (心臓自律神経活動) , 食欲感覚, 眠気, 深部体温 (耳内温) を8-20時まで1時間毎に測定した。食事と間食は定時に供した。全測定後に朝型-夜型を質問紙によりスコア化し, 中央値以上を朝型傾向群, 未満を夜型傾向群として結果を比較した。夜型傾向群は朝型傾向群と比べて, 終日, 交感神経活動優位の自律神経活動と高い心拍数, 眠気スコアが示された。また, 午前中の空腹感スコアが低く, 食後胃運動の周波数シフトに有意な上昇を認めなかった。本結果より, 午前中の食欲や活動が減弱しやすい夜型傾向群の特徴が示唆された。
著者
二神 岳 草森 浩輔 西川 元也
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.55-61, 2021 (Released:2021-02-04)
参考文献数
45

エクソソームは,脂質二重膜で覆われたナノサイズの細胞外小胞(EVs)であり,その中には核酸やタンパク質,脂質など,エクソソームを産生する細胞固有の物質が含まれる。エクソソームを含むEVsの様々な生理的状態や疾患との関連性の深さから,幅広い疾患において診断あるいは治療用のツールとしてのEVsの応用が期待されている。しかしながら,EVsは産生される細胞の起源やそのサブタイプによって体内動態が異なることが報告されていることから,個々のEVsの体内動態特性を理解することは極めて重要である。そこで,EVsの体内動態の解明や治療効果向上に向けた体内動態制御,さらには低分子化合物やタンパク質,核酸などの様々な薬物のデリバリーキャリアとしての適用拡大を目的とした研究が盛んに行われている。本稿では,エクソソームを含む直径100nm程度のsmall EVsに焦点を当て,標識方法を含むEVsの体内動態と,その制御方法および制御技術に関するこれまでの研究報告を紹介する。