著者
沖山 夏子 津田 千春 森合 康朗 次田 哲也 南 浩治 佐藤 直紀
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.292-300, 2013-12-20 (Released:2015-12-21)
参考文献数
4
被引用文献数
1

ファンデーション (FD) ユーザーの多くが日常的に感じている「化粧のり」,すなわち化粧仕上がりが日によって異なる現象に着目し,同一人の肌で化粧仕上がりを毎日観察する調査を行った。化粧仕上がり変動の原因は,素肌の表面状態が日によって変動することによりFD の肌への付着状態が変化するため,という仮説を設けた。30代女性15名のパウダータイプFDユーザーを被験者とし,素肌の表面特性 (水分量,皮脂量,粘弾性) の測定と表面状態 (落屑,毛穴,ニキビ,色むら) の観察,化粧仕上がりの観察を1カ月間毎日実施した。その結果FDの仕上がりは,同一被験者が同じFDを使用していても日によって変動していた。変動の内容は「かさつき目立ち」が変動するタイプと「ムラづき」が変動するタイプの被験者に分類された。素肌状態も日により変動していた。FD仕上がりと素肌の変動の相関を被験者ごとに解析した結果,「かさつき目立ち」変動タイプでは落屑,ニキビの変動が,複数の被験者において仕上がり変動と相関が認められた。素肌の表面凹凸が日々変動することがFD付着性に影響を与え,化粧の「かさつき目立ち」の変動の原因となることが示唆された。
著者
福島 あゆみ 岡田 洋右 谷川 隆久 河原 智恵 三澤 晴雄 中井 美穂 廣瀬 暁子 神田 加壽子 森田 恵美子 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.311-316, 2003-04-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

症例は52歳女性. 1996年 (平成8年) に低血糖昏睡 (血糖12mg/dl) で近医に緊急入院したが, 低血糖発作が頻発するため1997年 (平成9年) 当科入院.考えられる低血糖発作の原因を除外した後に, インスリン (IRI) 血糖 (PG) は0.44~1.07, 血管造影で膵尾部に径1.5cm大の濃染像が疑われることより, インスリノーマの診断で膵体尾部脾合併切除 (90%) を施行したが, 術中所見, 切除膵の組織学的検討で異常所見を認めなかった. しかし, その後も夜間空腹時低血糖発作を反復するも, 発作時のIRI PGが0.07と過剰インスリン分泌は消失していたことから, 術後低血糖の主因としては反応性低血糖を考え, ボグリボース内服と夜間補食 (2単位) を開始. 以後, 日常生活には支障ないものの, 依然として早朝空腹時血糖は50mg/dl前後であり, 2001年 (平成13年) 9月病状再評価のため施行した選択的動脈内カルシウム注入検査 (ASVS) にて, 30秒後にIRIが2.5倍以上に上昇し陽性. また, ボグリボースと夜間補食中止下でのdaily profiieでは食後高血糖がみられ, 著明なインスリン抵抗性と低血糖時のインスリン分泌抑制を認めた.本例の低血糖の病態としては, ASVSの結果および術後経過より, 術前の病態としては膵β細胞のび漫性機能亢進があったのではないかと考えられ, 広汎な膵切除によるインスリン総分泌量の減少に加え, ボグリボースにより反応性のインスリン過剰分泌を減少させることで重篤な低血糖発作を改善することができたと推測される.
著者
森岡 洋貴 西尾 隆佑 竹内 梓紗 玉野 春南 武田 厚司
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第45回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-38, 2018 (Released:2018-08-10)

農薬暴露はパーキンソン病の環境要因とされる。除草剤のパラコートは、NADPH酸化還元酵素等を介した酸化還元サイクルにより、活性酸素種を細胞内外で持続的に産生する。実験動物においてパラコート暴露はパーキンソン病に特徴的な黒質ドパミン作動性神経変性を惹起するが、その神経変性機序は明らかではない。本研究では、パラコートによる黒質ドパミン作動性神経変性には細胞外Zn2+流入が関与し、運動障害を惹起すると仮定し検証した。 ラットの片側黒質にパラコートを投与して2週間後、投与側黒質組織は脱落した。さらに、投与側の線条体ではドパミン作動性神経マーカーであるチロシン水酸化酵素の染色が顕著に減弱した。これより、パラコートによる黒質—線条体ドパミン作動性神経の顕著な変性が認められた。パラコートの片側黒質投与2週間後の運動障害をアポモルフィン皮下投与による回転運動回数で評価したところ、回転運動回数は増加し、運動障害が認められた。また、パラコート投与10分後において黒質細胞内Zn2+レベルは顕著に増加した。このパラコート投与による神経変性および運動障害は、細胞内Zn2+キレーターとパラコートの同時投与により改善された。パラコートによる黒質ドパミン作動性神経変性を介した運動障害には黒質ドパミン作動性神経細胞内Zn2+レベルの増加が関与することが示唆された。細胞内Zn2+レベルの増加の機序を追究するため、パラコートをラット黒質に灌流すると細胞外グルタミン酸濃度は増加した。また、脳スライスにパラコートを添加すると黒質細胞内Zn2+レベルは増加し、細胞外Zn2+キレーターならびにグルタミン酸受容体であるAMPA受容体の阻害剤存在下で抑制された。これより、パラコートは神経終末からのグルタミン酸放出を促進させ、AMPA受容体活性化を介して細胞外Zn2+が黒質ドパミン作動性神経に取り込まれることが示唆された。以上、パラコートによる黒質ドパミン作動性神経への細胞外Zn2+流入は黒質ドパミン作動性神経変性を介した運動障害の一因であることが示された。
著者
市原 実 藤田 和夫 森下 晶 中世古 幸次郎
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.61, no.720, pp.433-441, 1955-09-25 (Released:2008-04-11)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

The stratigraphy of the Osaka Group in the Senriyama Hills, is summarized in the following table., Groups Formations Members Western Part Eastern Part Characteristics Osaka Basin Terraces Toyonaka Terrace Onohara Terrace Sinodayama Group Sakurai Gravels 10m± Hozumi Gravels 10m± Butunenziyama Fault Onohara Faults J2 Osaka Group 300m+ Ibaraki Formation 100m+ Mituike Alternations of sands and clays 90m+ Hattyoike Alternations of sands and clays 95m+ Marine clay rich Hattyoike Tuff Azuki Tuff Yamada Tuff The upper part of the Osaka Group I2∼J1 Senriyama Formation 200m+ Simakumayama Gravels 70m+ Sinden Sands 147m+ Metasequoia Jugrans megacinerea The lower part of the Osaka Group I1 Basement Kobe Group
著者
森脇 愛絵 松﨑 政代 中井 佳奈 住友 陽菜
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.73-82, 2020-09-30 (Released:2020-12-12)
参考文献数
36

目的:本研究では,健康な産後の女性の疲労感に対する運動プログラムの影響をランダム化比較試験(randomized controlled trial; RCT)のシステマティックレビューによって明らかにすることを目的とした。方法:データベースは,MEDLINE,CINAHL Plus,The Cochrane Central Register of Controlled Trials,Web of Science,医学中央雑誌を用い,全期間を検索した。採用基準は,1)褥婦を対象としたRCTを実施,2)介入内容が産後の運動,3)アウトカムに疲労を測定する尺度が含まれている,4)日本語または英語の論文であること,のすべてを満たすものとした。除外基準は,産後うつ病と診断された褥婦を対象としたものとした。結果:論文62編が検索され,採用基準に合致した6編を対象とした。運動による疲労軽減効果が示されたのは3編であった。しかし,バイアスの評価・検証を行った結果,効果のある論文ほど「高リスク」あるいは「リスク不明」の項目が多かった。また、実際の運動量が指示された運動量を満たせていなかったものが3編あった。結論:運動プログラムの実施による疲労への軽減効果について明らかにすることはできなかった。今後,アドヒアランスを維持させ低バイアスの質の高いRCTを実施し,疲労感への運動の有用性を明らかにする必要がある。
著者
金森 由博 高橋 成雄 西田 友是
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.354-361, 2007 (Released:2011-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

点集合による形状表現は,従来の多角形メッシュと異なり,点同士の接続情報を用いずに大規模な三次元形状データを扱うことができるため,CGの分野において非常に有望とされている表現方法の一つである.点集合で表現された形状を描画するためには,通常サーフェルと呼ばれる円盤が広く用いられているが,サンプリング密度が不十分な領域では穴が生じてしまう.これを解決するため,本稿ではサーフェルを用いて曲面を表現する際に穴が生じないよう,アップサンプリングを行う手法を提案する.穴を埋めるために,提案法は各サーフェルの周囲の隙間を検出し,サーフェルを追加して隙間を埋める.提案法はサーフェルの重なりとユーザが指定したサーフェルの半径を考慮することによって,追加するサーフェルの数を少なく抑える.実験により,提案法が多重解像度(level-of-detail)の制御や対話的なモデリングなどに広く応用できることを示す.
著者
村田 真一 松田 崇弘 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.3, pp.229-239, 2022-03-01

無線信号が送出されている位置を推定する波源推定技術は,現在あるいは将来の無線通信技術における周波数有効利用のための一つの重要な技術である.本論文では,複数の無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を用いて波源推定を行う技術について検討する.各UAVはアレーアンテナを搭載し,アンテナ信号処理推定された信号の到来方向(DOA: Direction of Arrivals) より,波源推定を実現する.波源とUAVの間で見通し内(LOS: Line-of-Sight)伝搬路が確保されている場合,複数のUAVで推定された到来方向を組み合わせることにより波源の位置を推定することができる.一方,波源とUAVの間が見通し外(NLOS: Non-Line-of-Sight)伝搬路である場合には,到来方向から直接波源位置を推定することはできない.本論文では,到来方向分布の広がりが波源とUAV間の距離が大きくなると狭くなることに注目し,NLOS環境における最ゆう推定を用いた波源推定手法を提案する.提案手法では,各UAVにおける信号の到来方向は単峰型の角度分布として知られるvon-Mises分布に従うと仮定し,複数のUAVで推定された到来方向よりゆう度関数を構成し,繰り返し推定により波源の位置とvon-Mises分布のパラメータを推定する.
著者
舘林 大介 檜森 弘一 芦田 雪 山田 崇史
出版者
日本基礎理学療法学会
雑誌
日本基礎理学療法学雑誌 (ISSN:21860742)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.39-47, 2019-12-10 (Released:2019-12-14)

The depressed protein synthetic response, a phenomenon termed as anabolic resistance, has been shown to be involved in muscle wasting induced by cancer cachexia. Moreover, a positive relationship between protein synthetic rate and intracellular glutamine (GLN) concentration has been found in skeletal muscles. We here investigated the effects of neuromuscular electrical stimulation (ES) and GLN administration on muscle wasting and GLN metabolism in colon 26 (C-26) tumor bearing mice. CD2F1 mice were divided into 8 groups; control (CNT), CNT+ES, CNT+GLN, CNT+ES+GLN, C-26, C-26+ES, C-26+GLN, C-26+ES+GLN. Cancer cachexia was induced by a subcutaneous injection of C-26 cells and was developed for four weeks. ES was performed to the left plantar flexor muscles every other day and GLN (1 g/kg) was daily intraperitoneally administered starting one day following C-26 injection. Tumor-free body mass and fast-twitch gastrocnemius (Gas) muscle weight were lower in the C-26 group than in the CNT group (-19% and -17%, respectively). Niether ES training nor GLN administration, alone or in combination, ameliorated the loss of Gas muscle weight in the C-26 mice. ES training in combination with GLN administration inhibited the increased GLN synthetase (GS) expression in the C-26 muscles. Thus, it is unlikely that GLN plays a critical role in muscle protein metabolism and thereby can be targeted as a tentative treatment of cancer cachexia.
著者
前田 将吾 髙畑 晴行 原田 麻未 中川 佑美 森 公彦 金 光浩 長谷 公隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.J-52_1-J-52_1, 2019

<p>【はじめに】</p><p> 近年,脳性麻痺症例の運動機能と筋力の関連性を示した報告が散見され,運動による筋力維持・向上の重要性が示唆されている.一方で,歩行や移動に制限がある粗大運動能力分類システム(Gross Motor Function Classification System:GMFCS)Ⅳ~Ⅴレベルの症例では,随意的な運動による筋力維持・向上が困難である.今回,低運動機能に分類される脳性麻痺児に対する他動的歩行練習が下肢筋活動に及ぼす影響を評価し,運動量を増加させる方法を検討したため,運動学的考察を加えて報告する.</p><p>【症例紹介】</p><p> 症例は9歳男児,身長124.0cm,体重14.6kgである.在胎26週663gで出生し,脳室内出血に起因する水頭症を発症したため,脳室-腹腔シャント術を施行された.今回,シャント機能不全に対するシャント入れ替え術のため当院入院された.入院前に自力歩行が困難で,屋内移動を5m程度肘這いで行っていた.術後にイレウスによる嘔吐や食思不振のため低栄養状態となり,長期的入院や多数のルート類によるストレスによって運動意欲は低下した.術後1か月で全身状態が安定し立位や歩行練習を開始した.歩行練習開始時の身体的特徴は,GMFCS:Ⅴ,粗大運動能力尺度(Gross Motor Function Measure)-66 Score:20.5,Modified Ashworth Scale:膝関節伸展両側1,足関節背屈両側1+であった.歩行条件は,両腋窩介助での歩行と歩行補助具(ファイアフライ社製,アップシー小児用歩行補助具)を使用した歩行(補助具歩行)の2条件とした.アップシーの特徴は、児の体幹と介助者の腰部がベルトで連結され,体幹直立位保持が可能になることである.また足部も介助者と連結され,介助者の下肢支持と振り出しに連動する機構となっている.筋電図評価を行うために表面筋電計(Noraxon社製Clinical DTS)を用いて,左右の大腿直筋,半腱様筋,前脛骨筋,腓腹筋外側頭の計8筋を計測した.</p><p>【経過】</p><p> 両腋窩介助歩行では下肢の振り出しが困難であり,下肢筋活動は持続的であった.補助具歩行では,リズミカルな下肢屈曲-伸展運動が可能であり,大腿直筋は左右とも立脚期に活動し,半腱様筋は左右とも遊脚中期から立脚初期に活動していた.前脛骨筋と腓腹筋外側頭は立脚期を通して同時活動していた.またアップシーを用いると嫌がることなく1時間以上連続して立位および歩行が可能であった.</p><p>【考察】</p><p> 低運動機能に分類される症例において,用手的な介助による運動または歩行が困難な場合でも,アップシーを用いた歩行は,体幹直立位での下肢屈曲-伸展運動を可能にした.立脚期の足関節背屈運動や股関節伸展の誘導によってCentral Pattern Generatorが賦活され,下肢の相動性な筋活動が出現したと考えられた.また筋力低下に対しても体幹・下肢への負荷量を調整することが可能であるため,運動量の確保や運動意欲の向上に関与したと示唆された.今後,歩行練習による介入効果を検証する必要がある.</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> ヘルシンキ宣言に基づき,家族に口頭にて十分な説明を行い実施した.また個人情報の取り扱いにおいては,個人が特定できる情報は用いずに実施した.</p>
著者
森川 祐介 仁禮 和男 福田 悠貴 関根 聡 松本 裕治 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.05, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

The automobile industry is in a VUCA world called "era of revolution once in 100 years". To respond to the VUCA world, development sections require to concentrate human resources on development of future main products and accelerate development. Therefore it is required to manage existing business and ensure the quality of products with fewer human resources than ever before. To resolve this problem we considered to use accumulated knowledge of expert engineers to assist development. A part of the knowledge of expert engineers is that concerning failures occurred during development such as causes and solutions of the failures. A failure ontology proposed in this paper helps to extract the knowledge concerning failures from accumulated documents. In this paper we introduce how to construct the failure ontology and use it.