著者
齋藤 亮子 竹森 幸一 小山 睦美 小玉 有子 伊藤 久子
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-29, 2014-03-31

本研究の目的は、任意に公費負担で子宮頸がん予防ワクチンを接種することが出来た高1 女子(調査時高2)を対象に、子宮頸がん等の知識の多寡と、ワクチン接種行動を決めた要因を明確にすることである。青森県中弘南黒地区の高2 女子1500人を対象に自記式留置法でアンケート調査を行った。知識に関する合計得点を、都市・農村別、行政区別、接種者・非接種者別に平均値の差の検定等を行った。回収数1180(回収率79.4%)の内、有効数1162(都市部1051、農村111)を解析対象とした。ワクチン接種に関する回答数1148 の内、接種者773(67.3%)、非接種者375(32.7%)であった。知識得点は、全体に非常に低かったが、その中でも都市が農村より、また接種者が非接種者より有意に高かった。接種の決定要因はワクチンが子宮頸がん予防に有効であるという知識に基づき自分で決定したというより、家族の勧めと接種が無料である、また副作用が少ないことであった。当地区の接種率は全国平均(65%)とほぼ同等であったが、社会教育や学校教育による知識の普及で、ワクチン接種率向上の可能性が示唆された。
著者
塚本 健司 伊藤 裕和 林 志鋒 稲垣 修司 斎加 啓三 森 昌昭
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-13, 2003-05-25
参考文献数
12
被引用文献数
4

チャボ、シャモ、オナガドリ等の貴重な日本鶏を観賞用・品評会用に、手塩にかけて育てている愛鶏家が全国各地に多く存在する。また、地場産業活性化の一環として都道府県が開発した高級鶏肉用地鶏を、飼育し始めた養鶏家が近年増加する傾向にある。これまで鶏病研究会ではウズラ、キジ、七面鳥、ホロホロ鳥、烏骨鶏、アヒル、ガチョウ、バリケンについて、疾病と衛生対策の解説をまとめてきた。しかし、飼養規模は小さくても、飼養戸数が比較的多い愛玩鶏や地鶏の衛生対策についてはまとめられていない。そこで、鶏病研究会専門委員会では、2001年8~11月にかけて都道府県の養鶏試験場・種鶏場等、地鶏農家および愛鶏家を対象にして、愛玩鶏・地鶏の飼育や衛生対策の実態についてアンケート調査を実施した。また、鶏種によってワクチン抗体応答に違いがあるかについて調べた。本解説では、これらの情報と資料を基に、愛玩鶏・地鶏の衛生対策とその取組み方についてまとめた。
著者
大森 哲郎 井上 猛
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

視察法および赤外線センサー運動量測定装置を用いて移所運動や常同行動を観察し、覚醒剤反復投与による行動過敏性(逆耐性)形成のさいの、グルタミン酸の関与を行動学的に検討した。また覚醒剤大量投与時にみられるドーパミン(DA)やセロトニン神経変性のメカニズムを、DAとグルタミン酸の放出動態を指標に、脳内透析実験を用いて研究した。覚醒剤とNMDA受容体競合的拮抗薬の併用反復投与は、非競合的拮抗薬の場合と同様に、行動過敏性形成を阻止することを明らかにした。このことから行動過敏性形成におけるNMDA受容体の関与が一層明確になった。覚醒剤を大量投与すると、DA放出は線条体と側坐核の両部位で昂進するが、グルタミン酸放出は線条体のみで昂進することを示した。DA神経変性は線条体に限局するので、グルタミン酸放出の昂進はこれと関連する可能性がある。セロトニン神経変性は、両部位において等しく認められるので、グルタミン酸放出の昂進は直接には関連しないと思われる。NMDA受容体拮抗薬は、セロトニン神経変性もDA神経変性と同様に抑制するが、その作用点は今後の検討課題である。さらに、NMDA型グルタミン酸受容体刺激に引き続き細胞内では一酸化窒素(NO)の生成が促進され、これが生理的に重要な意味を有するという最新の知見に導かれて、一酸化窒素合成阻害薬が覚醒剤の急性行動効果や行動過敏性形成にどのような影響を及ぼすかについて検討した。その結果、急性行動効果については、移所運動促進作用および常同行動発現作用ともある程度抑制することを示した。また行動過敏性形成については、移所運動の過敏性には影響がないが、常同行動に関しては、いくぶん減弱させることを見い出した。以上の実験所見から、覚醒剤精神病の発現にグルタミン酸神経伝達が関与していることが示唆される。
著者
岸野 光司 中木 陽子 小野崎 文子 進藤 聖子 大槻 郁子 小林 美佳 小幡 隆 田村 光子 菅野 直子 藤原 慎一郎 松山 智洋 森 政樹 小澤 敬也 室井 一男
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.456-462, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
17

ABO血液型主不適合同種骨髄移植では,溶血を防ぐためドナー骨髄液より赤血球を除去する必要がある.今回,自動細胞分離装置SEPAXTMを用いて骨髄液から単核細胞を分離し,得られた単核細胞を移植(骨髄移植)したので報告する.SEPAXは,無菌閉鎖回路で自動的に細胞処理を行う卓上型の機器である.2009年から2011年,ABO血液型主不適合のためSEPAXを用いて単核細胞を移植した骨髄移植13例を解析した.骨髄液の容量が880mlを超える場合,遠心後血漿を除き総量を880ml以下に調整した.先ず,所定のキットを装着したSEPAXを用いて骨髄液からバフィーコートを分離した.次に,SEPAXを用いてFicoll比重遠心法によって単核細胞を分離した.得られた単核細胞は,直ちに移植前処置の終わった患者に輸注された.骨髄液処理前のCD34陽性細胞数は154.6±74.1×106個,分離した単核細胞中のCD34陽性細胞数は73.6±47.8×106個,CD34陽性細胞回収率は49.1±22.8%であった.移植されたCD34陽性細胞数は,患者体重あたり1.43±0.78×106個/kg.骨髄移植後,1例は生着前に感染症で早期死亡したが,残り12例は全例生着した.SEPAXは,骨髄液からのCD34陽性細胞を含む単核細胞の分離に有用である.
著者
小田谷 嘉弥 森越 正晴 柴田 久元 須藤 伸三
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.184-188, 2012-03-30 (Released:2014-03-30)
参考文献数
14

Four individuals of Matsudaira's Storm-petrel Oceanodroma matsudairae were observed in June 2010 in Sagami Bay, central Japan, where the syntype specimens were collected in May 1921. There has been no record of this species in this area since that time. This observation record may provide an important clue to reveal the migration route and fundamental ecology of this species.
著者
小野 紀明 堀田 新五郎 小田川 大典 藤田 潤一郎 森川 輝一 平野 啓一郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

研究課題について、社会思想史学会で二度の「政治と文学」研究セッションを組織したほか(2008、2009年)、芥川賞作家の平野啓一郎氏をゲストに招いて「政治と文学」座談会を実施した(2010年)。また、それぞれのメンバーが研究課題についての個別研究を刊行した。代表的なものとして小野紀明『ハイデガーの政治哲学』(岩波書店、2010年)と森川輝一『〈始まり〉のアーレント』)岩波書店、2010年)が挙げられる。
著者
山口 功 石森 佳幸 藤原 康博 谷内田 拓也 吉岡 千絵
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.1295-1306, 2012-10-20 (Released:2012-10-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

The purpose of this study was to verify the applicability of measurement of slice thickness of magnetic resonance imaging (MRI) by the delta method, and to discuss the measurement precision by the disk diameter and baseline setup of the slice profile of the delta method. The delta method used the phantom which put in the disk made of acrylic plastic. The delta method measured the full width at half maximum (FWHM) and the full width at tenth maximum (FWTM) from the slice profile of the disk signal. Evaluation of the measurement precision of the delta method by the disk diameter and baseline setup were verified by comparison of the FWHM and FWTM. In addition, evaluation of the applicability of the delta method was verified by comparison of the FWHM and FWTM using the wedge method. The baseline setup had the proper signal intensity of an average of 10 slices in the disk images. There were statistically significant difference in the FWHM between disk diameter of 10 mm and disk diameter of 30 mm and 5 mm. The FWHM of the disk diameter of 10 mm was smaller than the disk diameter of 30 mm and 5 mm. There was no statistically significant difference in the FWHM between the delta method and the wedge method. There is no difference in the effective slice thickness of the delta method and the wedge method. The delta method has an advantage in measurement of thin slice thickness.
著者
吉田 礼 町田 好男 小倉 隆英 田村 元 引地 健生 森 一生
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1456-1466, 2012-11-20 (Released:2012-11-21)
参考文献数
16
被引用文献数
3 4

Recent progress in variable-flip-angle fast spin-echo technology has further extended the utility of three-dimensional (3D) magnetic resonance imaging (MRI) for clinical application. The slice profile in 3D MRI is the point spread function that has a sync form in principle, whereas a slice profile in 2D imaging provides information on characteristics of selective radio frequency excitation. We investigated the optimal condition to measure 3D slice profiles using a crossed thin-ramps phantom. We found that the profile data should cover a large area in order to evaluate both the main lobe and side lobes in the slice profile, and that the appropriate slice thickness was 2 mm. We also found that artifacts in the direction perpendicular to the slice create an offset error in the measured slice profile when 3D imaging. In this paper, we describe the optimal condition and some remarks on the slice profile evaluation for 3D MRI.
著者
武藤 徹一郎 小西 富夫 上谷 潤二郎 杉原 健一 久保田 芳郎 安達 実樹 阿川 千一郎 斉藤 幸夫 森岡 恭彦 沢田 俊夫
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.492-499, 1983

教室におけるCrohn病17例の経験を報告し,最近の外科的治療方針の動向について文献的考察を行った.手術は9例に行われ,残る8例はいずれも経静脈栄養によって管理することができた.9例中6例には吻合術が可能であった,痔瘻は8例に合併していたが,7例は通常痔瘻と性状が変わらず,lay openにて治癒した.<BR>欧米ではCrohn病に対する外科的治療として,小範囲切除を行う一派と広範囲切除を行う一派とがあり,主として前者には英米の専門家が,後者にはスカンジナビア,ドイツの専門家が属している.広範囲切除派は術中の凍結切片標本の検索により,病変の取り残しを防ぐことを主張している.これら欧米のCrohn病に対する外科治療方針の現況を紹介し,われわれの方針についても述べた.
著者
貝原 俊樹 深水 誠二 吉田 精孝 河村 岩成 中田 晃裕 荒井 研 森山 優一 宮澤 聡 麻喜 幹博 北村 健 北條 林太郎 青山 祐也 小宮山 浩大 手島 保 西﨑 光弘 櫻田 春水 平岡 昌和
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_50-S1_54, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
7

高血圧症, 骨粗鬆症の既往がある83歳女性. 入院10日程前から食思不振があった. 入院4日前から食思不振が増悪し, ふらつきや1分程続く胸部圧迫感が出現した. 入院当日から動悸が出現したため, 当院を受診した. 心電図は洞調律で多形性心室性期外収縮が頻発し, 580msと著明なQT延長を認めた. 胸部レントゲンでは軽度心拡大を認めた. 採血では低カリウム血症 (2.3mEq/L), 低マグネシウム血症 (1.6mg/dL) を認めた. 検査終了後に突然強直性痙攣が出現し, 心肺停止となった. 無脈性多形性心室頻拍が確認され, 除細動150J 1回で洞調律に復帰した. 入院後は電解質を補正し, QT延長はやや遷延したものの, 心室性不整脈は著減した. また, 経過中たこつぼ様の壁運動を伴ったが, 第4病日で意識はほぼ清明にまで改善した. しかし第13病日に頭蓋内出血を発症し, 急変, 死亡退院となった. QT延長, 多形性心室頻拍に低カリウム血症, 低マグネシウム血症を伴った症例の報告は少ない. 本症例に関して, 低マグネシウム血症と心室性不整脈の観点から文献的考察を混じえ, 考察する.
著者
森下 桂嗣 増田 靖
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.311-314, 2015 (Released:2016-01-29)

既存市場に新規参入する場合には、コストや製品パフォーマンスなどにおける競合との差別化を図る競争戦略が必要となる。それらの差別化を実現する構成要素を相互作用させて一貫性のある戦略を立案してくために、ストーリーが有効であると言われている。そこで本稿では、創発的ストーリーテリングという手法を活用して市場調査により得られた情報から医療機器産業への新規参入を目指した戦略ストーリーを作成した事例を報告する。創発的ストーリーテリングとは、仮説ストーリーの検証と修正を繰り返しながら、ストーリーを完成させていく手法である。本稿では、戦略ストーリーを構築するために適用した。