著者
森部 利江 青野 恵 由木 大 廣島 俊輔 柿澤 恭史 小出 操
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.98-103, 2016-06-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
5

加齢に伴い,シルエットから毛髪がはみ出す「見た目のパサツキ」に悩む女性が多く存在することから,われわれは見た目のパサツキ抑制技術の開発を目指した。見た目のパサツキ悩みがあるエイジング女性では,悩みがない若年層と比べ,毛髪内部のL-ヒスチジン(L-His),L-アルギニン(L-Arg)量が低下していることを液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)での検討により明らかとした。そこで,「見た目のパサツキ」抑制には,毛髪内部のL-His,L-Arg量を増加させることが有効であると考えた。これらのアミノ酸を毛髪内部に効率よく浸透・滞留させるために,促進剤に着目した。促進剤として,毛髪膨潤作用,または多重膜形成作用のある物質を検討した結果,多重膜形成作用のあるセラミド様物質に高いアミノ酸の浸透・滞留促進効果を見出した。また,安定同位元素イメージングによってコンディショナー製剤に添加したL-His,L-Argが毛髪内部に浸透していることが確認できた。本検討により,毛髪内部のL-His,L-Arg量と「見た目のパサツキ」の相関,および,L-His,L-Argによる毛髪補修効果に関する知見が得られた。
著者
石井 則久 杉田 泰之 森口 暢子 中嶋 弘
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.14, 1993

横浜市立大学医学部附属病院皮膚科外来におけるらい患者の統計を行った.1960年代は17人,1970年代は6人,1980年代は5人,1990年から1993年3月までは9人であった.1971年以降減少傾向がみられた.1990年からの9人はすべて外国人労働者であった.現在当科で治療・経過観察しているのは日本人2人,外国人7人の計9人である.外来診療においては,医療費,重症時の対応,遠隔地からの受診,勤務先との関係など考慮すべきことが多い.
著者
廣瀬 美幸 森山 紋由美 鈴木 孝夫 李 相潤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.A0231, 2008

【目的】最近、患者一人ひとりの栄養状態が極めて重要視され、栄養状態の管理・改善を院内栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)で取り組んでいる病院もある。そこで、ラットを用いて運動と食餌・カロリー摂取量の違いが骨格筋にどのような影響を及ぼすかを比較・検討した。<BR>【方法】実験動物は生後8週齢の雄性Wistar系ラット15匹を用い、普通食自由摂取+運動負荷(CT)群、普通食制限摂取+運動負荷(LT)群、高カロリー食自由摂取+運動負荷(HT)群の3群各5匹に分けた。実験期間を通して、CT群には普通食、LT群にはCT群の餌摂取量の60%、HT群には普通食比カロリー120%、脂肪含有率332.6%の高カロリー食を与えた。その間、1日1回45分同時間帯に、最高速度25m/minのトレッドミル走行を5回/週、2週間実施した。実験終了後、対象筋である左右のヒラメ筋、足底筋、腓腹筋外側頭を摘出し、通常の方法、手順により筋線維横断面積を測定し、統計処理を行った。なお、運動負荷のない通常飼育の対照(C)群は先行研究の同週齢ラットの値を参考とした。<BR>【結果】体重:実験開始時には群間有意差は見られなかったが、実験終了時にはLT群はCT群に比較し78.1%の低値と有意差を示した。一方、CT群とHT群間には有意差は認められなかった。平均餌摂取量:HT群はCT群の摂取量の83.5%であった。筋線維横断面積:3種の筋においてCT群はC群と比較し有意の高値を示した。LT群はCT群と比較し有意の低値を示したが、C群と比較すると有意の高値を示した。HT群はヒラメ筋においてCT群と有意差が認められた。<BR>【考察】3筋の筋線維横断面積において、LT群はCT群、HT群と比較し有意の低値を示した。従って、栄養不良状態では筋萎縮が進行することが示唆された。これは、1)低栄養状態で筋内蛋白質の合成不良によること、2)筋線維横断面積は収縮の強度に関係するので、LT群は各筋の収縮の強さが飢餓の影響を受け低下したことが考えられる。一方、LT群はC群と比較すると有意の高値を示した。これはLT群は週5回の運動を実施したため、低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られたと考えられる。<BR> 今回、足底筋と腓腹筋においてはHT群とCT群間に有意差が認められなかった。これは筋肉の主要構成成分は蛋白質であり、運動時には蛋白質の必要量が増加するが、今回与えた高カロリー食は蛋白質含有量が普通食とほぼ同じであったためと考えられる。蛋白質を多く摂取することで、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。<BR>【まとめ】低栄養状態であっても運動負荷により筋萎縮予防、筋肥大が得られ、また蛋白質を多く摂取することにより、より効果的に筋力増強が得られると考えられる。
著者
森 隆男
出版者
近畿民俗学会
雑誌
近畿民俗 (ISSN:02882183)
巻号頁・発行日
no.154, pp.1-16, 1999-02-25
著者
森 隆男
出版者
近畿民俗学会
雑誌
近畿民俗 (ISSN:02882183)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.1-16, 1999-02-25
著者
森脇 亮 今村 実 全 邦釘 藤森 祥文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_229-I_234, 2018 (Released:2019-03-30)
参考文献数
7

風の流れは非線形現象であるため,ある地点の風が次の瞬間にどう変化していくかを予測することは一般には難しい.ところが,地上の風速変動は大気境界層内の乱流現象の一部として出現するため,完全にランダムな現象ではなく乱流構造の通過に伴う「くせ」を持っている.本研究では,深層学習(ディープラーニング)の一つであるLSTM(Long Short-Term Memory)を用いて風速変動の「くせ」を学習させ,現在から10秒先までの風速変動の予測を試みた.また接地層乱流の性質を考慮しながら入力条件による予測精度の変化を検討した.リードタイムが長くなるにつれて予測精度は低下するが,適切な学習時間長さを設定したり,鉛直風速を入力条件に加えることが風速の予測精度を向上に寄与することが確認できた.
著者
小林 毅 石井 正則 金田 健作 八代 利伸 森山 寛 須藤 正道 関口 千春 五十嵐 眞
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.507-515, 1994 (Released:2009-10-13)
参考文献数
10

In an effort to determine the mechanism causing motion sickness, various studies have been conducted on the autonomic and central nervous systems. Recently, it was reported that the level of antidiuretic hormone (ADH) rises when motion sickness appears, and the possible involvement of hormones in the manifestation of motion sickness has become a focus of attention.We induced motion sickness by Colioris stimulation in healthy adult volunteers, and examined hypothalamus-pituitary-adrenal hormones and neuropeptides before and after stimulation and during the recovery process.In the high susceptibility group blood levels of ADH, ACTH, prolactin, cortisol, β-endorphin and MET-enkephalin and urinary levels of ADH immediately after stimulation were significantly higher than those in the low susceptibility group. These levels returned to normal after 30 minutes of rest. In the high susceptibility group the motion sickness score immediately after stimulation showed a significant correlations with the blood levels of ADH, ACTH and β-endorphin.These results indicate that ADH, ACTH, β-endorphin and MET-enkephalin are involved in the nausea and vomiting of motion sickness. Moreover, it seems that the mechanism and effects of these hormones may differ from each other. Since the urinary level of ADH is very closely correlated with its blood level, the use of urinary ADH testing is advocated as a simple method with no discomfort.
著者
森中 敏行 乾 まどか 木内 葉子 吉田 晴世
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 人文社会科学・自然科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University. Humanities and social science, natural science (ISSN:24329622)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.257-276, 2021-02

2018年10月にLenovo社および本学の支援を受けて、G Suite for Educationの実証研究がスタートした。まず始めに、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の選択者を対象に課題研究で、運用を始めた。さらに2019年4月からは、全校的な運用段階に移行したが、英語や理科の特定の教科での活用に留まっていた。しかし活用事例を蓄積することで、徐々に広がり、COVID-19による休校措置により、全校的運用に至っている。この間に、蓄積された活用事例を紹介するとともに、生じた課題についても報告する。
著者
森 永壽
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.250-264, 1997-12-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究は, 過疎地域の一つである鳥取県八頭郡智頭町において, 過去13年間にわたって展開されてきた地域活性化運動の軌跡を紹介し, その軌跡を, 大澤真幸の社会学的身体論に基づき, 規範形成・変容のプロセス (超越的身体の構成プロセス) として考察した。特に, たった二人の住民リーダーによって創出された規範が, 彼らから一般住民に対するイベントや外国人・研究者の一方的伝達 (贈与) が成功することによって, 規範の作用圏を拡大するとともに, 一般住民, さらには町行政の規範的前提を再編成していくプロセスを描出した。
著者
森崎 修司
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.220, pp.108-111, 2011-08

森崎 修司 静岡大学 情報学部 情報社会学科 助教/奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 非常勤講師 レビュー会議にレビューアーあるいはドキュメント作成者として参加したとき、別のレビューアーの振る舞いにイライラした経験はありませんか。 遅刻してくる、ろくに準備をしていない、私語を続ける、ずっと携帯電話を操作している―。
著者
森川 直
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.89, pp.145-151, 2004

わが国のペスタロッチ研究史に新たな一ページが加えられた。本書は、学位論文「ペスタロッチ教育思想における宗教的基礎-その形成と展開」 (一九九九年十一月筑波大学) をもとに編まれたもので、著者の積年の研究の集大成とみなされるものである。「まえがき」で、著者は本書について次のように述べている。「本書は、従来もっぱら教育の近代化の先駆者として位置づけられてきたペスタロッチの教育思想と実践を改めて問い直し、ペスタロッチの教育思想と実践の根底には、一般的には『非合理的』、『非近代的』であると批判されがちであった宗教観が、それもきわめて根源的 (ラジカル) な、敬虔主義的で実践的な深い宗教観が、厳然と存在していることをまず論じている。そして、この宗教的基盤こそが、かれの人間観とそれにもとづく人間性尊重に徹する実践的教育思想を支えているということ、また、それゆえにこそ、かれの教育思想は、近代がもたらしたさまざまな負の遺産を克服し、あらたに人類に希望と勇気を与えうる教育を創造する基礎力をもつという意味での現代的意義をもつこと、などをさまざまな角度から論じている。」
著者
澤田 大明 宮村 連理 和田 一郎 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.27-30, 2018 (Released:2018-04-07)
参考文献数
9

本研究では,近年の理科教育における重要課題の一つである,子どもの自律的な学習を通じた科学的な思考力・表現力を育成する理科授業の成立に関して,その過程を子どもの認知的な側面から精査することを目的とした。具体的には,和田らが開発した,科学概念構築を可視化する表象ネットワークモデルに着目し,これと表象の相互移行に関わる鍵概念として Gilbert,J.K が提起する視覚化との関連について分析した。さらに,Nelson,T.O らのメタ認知理論を援用し,これと表象の視覚化との関連性を見極めることによって,子どもが自律的に表象の視覚化を図っていくための視点の導出を志向した。この際,Justi,R.らが概念化している,視覚化に関わるメタ認知(=メタ視覚化)に着眼し,科学概念構築の観点からその内実を詳細に検討することを試みた。