著者
中田昌男 伊達 洋至 河田 真作 小橋 雄一 宮井 芳明 三宅 敬二郎 森山 重治 清水 信義 寺本滋
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141-146, 1989
被引用文献数
6

昭和51年1月から昭和62年5月までの12年間に肺多発癌8例を経験した.7例に手術を施行し, 6例は生存中である.7例中6例は呼吸機能上の問題で縮小手術を行った.肺多発癌においても呼吸機能を正確に把握し, それに対応することによって手術は可能であり, 積極的に切除することにより比較的良好な予後が期待できる.
著者
鶴岡 森昭
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.5-8, 2015

2015 年 3 月上旬、高校「物理基礎」最後の 2 時間を使って放射線に関する授業を実施した。この教材は 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災に伴って起った福島第一原子力発電所事故による放射線漏れの緊急事態に直面し、当時の勤務高校の物理授業で自主編成し実施したものを基にしている。放射線の単位、放射線の所在、放射線の識別、放射線の利用、放射線の被害と防護に関する理解を促すことをねらいとした。本論考ではその実施前と実施後の調査結果も紹介する。
著者
村松 仁 森 千鶴 永澤 悦伸
出版者
山梨医科大学
雑誌
山梨医科大学紀要 (ISSN:09105069)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.42-47, 2000
被引用文献数
5

近年,香りの人体へ及ぼす影響について検討した研究により,様々な効果があることが明らかとなってきている。その中に不安の軽減やストレス軽減などの精神面への効果がある。この精神面に対する効果を精神看護に応用することは,精神看護の幅を広げることにつながり,非常に意義深いことと考える。今回はその基礎的なデータを収集する目的で,精神的ストレスがある状態でグレープフルーツの香りを提示した場合,どのような影響が起こるのかを実験により検証した。その結果,グレープフルーツの香りには,心理指標において状態不安を軽減し,覚醒水準を上昇させる傾向があり,リラクゼーションに応用できる可能性があることが示唆された。
著者
菊地 英一 小泉 明正 荒西 康彦 森田 義郎
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.360-363, 1982
被引用文献数
2

鉄を触媒活性成分として含む, 一連のグラファイト層間化合物 (LCG) を用いて, 一酸化炭素の接触水素化反応を研究した。反応は固定床流通反応装置を用いて400&deg;C, 20atmの条件で行った。鉄LCG触媒は低級炭化水素の合成に活性があり, 二酸化炭素の生成が少なく, 一酸化炭素を有効に炭化水素に転化する2)。この反応における触媒活性中心は層間内の鉄であると考えられるが2), グラファイト表面に析出した鉄であるとの反論3)もある。著者ら4)は炭化水素合成に活性を示した鉄LCG触媒の磁化率測定を行って, 強磁性を示す鉄粒子が存在しないことを示し, 活性点はグラファイト層間にあることを主張した。<br>本報ではまず塩化第二鉄 (FeCl<sub>3</sub>)LCG触媒を水素還元して得た触媒の活性と選択性を比較して, 還元条件の影響を調べた (<b>Table 1</b>)。塩化第二鉄を還元すると主に塩化第一鉄 (FeCl<sub>2</sub>) に還元され, 一部は金属鉄まで還元される。還元温度の上昇,還元時間を長くすることにより層間内の塩化第一鉄の量が減少し, それにともなって活性が低下し, 生成物分布が低分子量側に移行することがわかった。塩化第一鉄はグラファイトの層間を広げ, 反応物や生成物の拡散を容易にするスペーサーとして作用することが示された。この結果は活性中心がグラファイトの層間に存在するとする著者らの結論を支持する。<br>グラファイトの層間に鉄以外の, もう一成分の金属塩化物を挿入したLCG触媒を調製して, その活性と選択性を調べた (<b>Table 2</b>)。調製方法は Croft5) の方法に準じた。まず第二成分の塩化物を400&deg;Cで挿入し, ついで塩化第二鉄を300&deg;Cで挿入した。塩化マンガンは生成物分布を高分子量側に移行するとともに, オレフィン生成を促進することが示された。他の添加物ではむしろメタンの占める割合が増加した。塩化マンガンのLCG自体は活性が低く, 硝酸マンガンを鉄LCGに担持しても効果がないことから, 塩化マンガンが効果を示すにはグラファイト層間に鉄と共存させることが必要であると結論された (<b>Table 3</b>)。鉄と塩化マンガンが共存したLCG触媒を高温還元すると, 活性は低下したが高分子量炭化水素の生成が抑制された。その結果生成物分布の幅が狭くなり, C<sub>2</sub>~C<sub>4</sub>炭化水素の合計は Schulz-Flory 分子量分布から予測される最大値 (55%) よりわずかではあるが大きくなった。
著者
穐山 浩 五十鈴川 和人 張替 直輝 渡邊 裕子 飯島 賢 山川 宏人 水口 岳人 吉川 礼次 山本 美保 佐藤 秀隆 渡井 正俊 荒川 史博 小笠原 健 西原 理久香 加藤 久 山内 淳 高畑 能久 森松 文毅 豆越 慎一 村岡 嗣朗 本庄 勉 渡邉 敬浩 坂田 こずえ 今村 知明 豊田 正武 松田 りえ子 米谷 民雄
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.120-127, 2004-06-25
参考文献数
16
被引用文献数
2 12

特定原材料である牛乳タンパク質測定のELISA法の確立のために10機関による検証評価試験を行った.カゼイン,β-ラクトグロブリンおよび牛乳タンパク質を測定する3種類のELISA法とも同時再現性はおおむねCV値10%以下と良好であった.10機関で牛乳標準溶液を添加した5食品の各食品抽出液を分析した際の平均回収率は,3種類のELISA法とも数種類の食品抽出液を除きおおむね40%以上であった.しかしカゼインキットでは,回収率が極端に低いソースの抽出液の場合,抽出液のpHを中性に調整した後に測定すると回収率が改善された.また牛乳エライザキットでは,クッキー,シリアル,パスタソースの抽出液において,回収率が低かったが,プレート上の抗体量を増加させることにより改善された.3種類のELISA法の検出限界は,測定溶液の濃度で1 ng/mLであった.
著者
藤沢 寛 上原 道宏 森山 繁樹 佐々木 誠
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.47-54, 2000
参考文献数
2
被引用文献数
1

我が国の地上デジタル放送方式(ISDB-T方式)では, 畳み込み符号の符号化率, 時間インターリーブ長, キャリア変調方式(これらを階層パラメータと呼ぶ)をOFDMセグメントごとに設定可能である.しかし, 階層パラメータを切り替えて運用する手法は十分に検討されておらず, 切り替え時にデータが大きく破損することが考えられる.今回, 1セグメント構造のISDB-T方式において, 階層パラメータ切り替え時に生じる問題を明確にし, その対策手法について検討を行った.さらに本手法でのデータ破損量を求めたので報告する.
著者
小森 博司 高橋 基信 瀧澤 俊臣
出版者
日経BP社
雑誌
日経Windowsプロ (ISSN:13468308)
巻号頁・発行日
no.67, pp.97-101, 2002-10

Service Pack(SP)2を適用したWindows 2000 ServerのActive Directory(AD)で,セキュリティのため,ログオンに3回失敗した場合にアカウントをロックアウトしています。ところが,「アカウントがロックアウトされたので解除してほしい」という連絡をユーザーから受けても,管理ツールの「Active Directoryユーザーとコンピュータ」で確認すると,そのアカウントがロックアウトさ…
著者
中居 伸行 貞森 紳丞 河村 誠 笹原 妃佐子 濱田 泰三
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.163-172, 2004-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
18
被引用文献数
7 9

目的: Oral Health Impact Profile (OHIP) はオーストラリアで開発された口腔QOLの評価法であり, 近年では, ほかの国々でも徐々に使用され始めている. 今回われわれは, OHIPの原版 (英語版) を日本語に翻訳し, 日本での使用の妥当性を確認した。方法: 本研究は2力国語に通じたもの (39名) を対象に, 原版と邦訳版の回答を比較・検討した. OHIPの翻訳の妥当性は項目ごとの一致率とλ係数 (対象性評価の指標) によって分析した.結果: 尺度ごとの平均一致率はそれぞれ, 「機能的な問題」75%, 「痛み」76%, 「不快感」69%, 「身体的困りごと」79%, 「心理的困りごと] 77%, 「社会的困りごと」90%, 「ハンディキャップ」85%であった. 全49項目中41項目は0.4以上のλ係数を有し, 高い一致性が認められた. 上記7尺度のα信頼性係数は, 原版では0.76-0.90, 翻訳版では0.77-0.89にあり, 日英両版の尺度の内的妥当性が変わらないことが示唆された. 日英両版における7尺度のSpearmanの順位相関係数は0.83-0.92 (p<0.001) で, 優位な相関性を示した.結論: 日本語版OHIPは, このように高い信頼性と翻訳の妥当性を有することから, 日英の2言語間で使用可能であることが示唆された.
著者
小田 桂吾 斉藤 秀之 沼宮内 華子 金森 毅繁 糸賀 美穂 田中 利和 小関 迪
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.491-491, 2003

【はじめに】格闘技は古代から世界各地に様々な民族の文化を反映し存在している。しかし1993年、アメリカでルールの制約がほとんどないUltimate Fighting Championshipが開催され、世界的に総合格闘技という概念の新たな競技が盛んになっており、日本でもPRIDE,修斗,パンクラスなどの興行が人気を集めている。今回総合格闘技の選手の障害,外傷に関する調査をしたのでここに報告する。【対象】プロの総合格闘技選手11名,平均年齢25.7±3歳,平均身長171.6±6cm,平均体重74.1±12kgで全員男性であった。【方法】個別にアンケートにてコンディション,外傷,障害に関する調査を実施した。【結果】対象者の練習頻度は週5.5回、練習時間は2.9時間であった。対象者全員が今までに何らかの外傷,障害を経験していた。複数回答による疾患部位は耳介(カリフラワー状耳),肩関節,腰部,肘関節が8件と最も多く以下、頸部,手指(7件),下腿(すね),足関節,足指(6件),膝関節,鼻,(5件)手関節(4件),顔面,股関節(3件),頭部,上腕,前腕,胸部,大腿部,ハムストリングス(2件)であった。医療機関で確定診断を受けたものについては腰椎分離症,鼻骨折(3件),頚椎捻挫,膝半月板損傷,膝靭帯損傷,肩関節脱臼,足関節捻挫,足関節骨折(2件),手関節脱臼,手関節骨折,肘靭帯損傷,頚椎ヘルニア,腰椎椎間板ヘルニア,肘関節脱臼,大腿肉離れ,足指骨折(1件)等であった。受傷後入院が必要であった選手は3名、手術を行った選手は2名であった。また受傷後の経過として疾患部位の痛みが残存,慢性化しているが59.3%、完治したのが40.7%であったが現在、医療機関でリハビリテーションを行っている選手はいなかった。【考察】総合格闘技は基本的に「目潰し」「噛みつき」「金的攻撃」が禁止され、投げ技,打撃技(パンチ,キック),関節技,締め技の全てが認められている。関節技を例にとれば選手は対戦相手の正常可動域を越えるように技を仕掛けようとする。すなわち外傷,障害を防ぐのは不可能に近い状態である。実際の試合で決まり手となるのは打撃によるKOを除くと、チョークスリーパー(裸締め),腕ひしぎ十字固め,三角締め,足首固め等が多く、疾患部位にダメージを受けやすい傾向にあると考えられる。またグランドでの攻防ではマウント,ガードポジションというポジショニングが重要になってくるが、これは頸部,腰部に対するストレスがかかると考えられる。今回の調査で選手は疾患部位のリハビリテーションをほとんど行っておらず、慢性的な痛みを抱えながら試合に臨んでいると考えられる。競技能力を高める意味でも今後選手の状態に合わせたアスレティックリハビリテーション及びトレーニングの指導が必要であると考えられる。
著者
兵頭 政光 小林 丈二 山形 和彦 森 敏裕
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.671-677, 2001-11-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

口腔および中咽頭癌切除再建後の嚥下および構音機能に関し、嚥下圧検査および発語明瞭度から検討を行った。嚥下圧は口蓋切除後には軟口蓋圧がわずかに低下したが、義顎を装用することでほぼ正常に回復した。中咽頭側壁切除では軟口蓋から中咽頭の圧が低下した。舌半側切除および亜全摘では、術後早期には正常の嚥下圧が得られる例が多かったが、経時的には術後の皮弁萎縮により嚥下圧が低下した。また、中咽頭と下咽頭での圧の同時発生や嚥下反射に先立つ口腔内の小刻みな舌運動を示す所見も認められたが、経過とともに改善傾向を示した。構音機能では口蓋切除後には発語明瞭度は著しく低下したが、口蓋欠損部を義顎により閉鎖すると改善した。中咽頭側壁切除後には軟口蓋音の障害が認められた。舌半側切除後には構音機能はあまり障害されないのに対し、亜全摘では声門音以外のすべての音の障害が高度であった。
著者
大貫 奈穂美 中村 義昭 寺島 潔 森 謙一郎 宮本 道子 荻野 周三 斉藤 和夫
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.39-45, 2009

タトゥーシール、フェイスペインティング用ペン及びクレヨン中に含有されるホルムアルデヒドをHPLCによって分析した。人工汗中で40℃、2時間インキュベートした場合、全てのタトゥーシールからホルムアルデヒドが溶出した。人工汗の代わりに水でインキュベートした場合はホルムアルデヒドが溶出しないシールもあった。ホルムアルデヒド溶出量は時間と共に増加した。ホルムアルデヒドは、フェイスペインティング用クレヨンでは蛍光色の製品のみ検出されたが、フェイスペインティング用ペンからは検出されなかった。
著者
高橋 正知 高木 香織 川端 淳 渡邊 千夏子 西田 宏 山下 紀生 森 賢 巣山 哲 中神 正康 上野 康弘 斉藤 真美
出版者
中央水産研究所
雑誌
黒潮の資源海洋研究 = Fisheries biology and oceanography in the Kuroshio (ISSN:13455389)
巻号頁・発行日
no.11, pp.49-54, 2010-03

マサバおよびゴマサバの資源研究において、加入量およびその加入機構を解明することは重要であるが、仔稚魚を含む加入以前の個体についての知見は乏しいのが現状である。マサバ、ゴマサバ太平洋系群の当歳魚は、本邦太平洋南岸で発生し、黒潮に移送されて黒潮親潮移行域に広く分散、北上し、その後、道東~千島列島沖合域で索餌、成長後、本邦近海に南下して資源に加入するものと考えられている。そこで本研究では、2007年5~7月の北上期および2007年9~10月の索餌期に行われた調査船調査からさば類当歳魚の分布を明らかにし、得られた標本を用いて、日齢解析により稚魚~幼魚期の成長様式および孵化時期の推定を行うことを目的とした。
著者
佐藤 三佳子 岩井 浩二 鬼塚 英一郎 高畑 能久 森松 文毅 佐藤 雄二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.159-163, 2011-04-15 (Released:2011-05-31)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

ブタ大動脈を原料としてエラスチン加水分解ペプチド(エラスチンペプチド)を調製し,その摂取がヒトの皮膚弾力性にもたらす影響について検討した.はじめに,エラスチンペプチド経口摂取後のヒト血液中のアミノ酸濃度の変化を観察した.成人男性5名を被験者として,12時間絶食後にエラスチンペプチドを摂取させた.その結果,エラスチンペプチド経口摂取後に血中の総アミノ酸量が増加し,増加したアミノ酸の組成は,摂取したエラスチンペプチドのアミノ酸組成に類似していた.また,ハイドロキシプロリンおよびアルギニンがそれぞれペプチド態として血中に検出され,エラスチンペプチドの少なくとも一部はペプチド態として血中に移行していると考えられた.次に,39名の中高齢者を3群にわけ1日量0, 100, 200mgのエラスチンペプチドを8週間継続摂取させ皮膚弾力性を測定した.100mg, 200mg摂取群において摂取開始8週目に摂取前と比較して有意に皮膚弾力性が上昇した.またその変化率は0mgと比較して200mg群で有意に高値を示した.以上より,エラスチンペプチドの経口摂取はヒトの皮膚弾力性を向上させることが示唆された.