著者
橋本 忠和
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 教育科学編 (ISSN:13442554)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.321-332, 2020-02

本研究は筆者の「ごっこ遊び」と社会情動的スキルとの関連性に基づく研究を基礎に,幼児教育現場で様々な機会に活用され,幼児の豊かな想像性や言語に関する感覚等を育成する手立てとして位置づけられている「絵本」に着目し,保護者と連携した「絵本」の読み聞かせの実践が5歳児の社会情動的スキルを育む上でどのような可能性を有しているのか考察することを目的としている。研究手法としては,絵本「ないた:中川 ひろたか:作」を教材として使用し,主人公の顔を見て母親が涙を流す理由を幼児と保護者が対話を通して考える場面の幼児の発言及び保護者,保育者の反応等を「社会情動的スキル(目標の達成・他者との協働・情動の抑制)」の分類を観点として分析し,絵本の読み聞かせと社会情動的スキルとの接点を考察した。すると,絵本の読み聞かせが幼児の社会情動的スキルの分類の各要素を育成する可能性を見出すことができた。
著者
林 友直 高野 忠 市川 満 橋本 正之 鳥海 道彦 斉藤 宏 小坂 勝 栄元 雅彦 藤久保 正徳
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
no.62, pp.p1-102, 1989-03

臼田宇宙空間観測所の64mφアンテナ設備は1984年10月に竣工し, 人工惑星「さきがけ」・「すいせい」のハレー彗星観測や同人工惑星を利用した太陽オカルテーション観測をはじめ, TDRSを用いたスペースVLBI実験等にも利用され, 数々の成果をもたらしている。さらに, 1989年8月の「ボイジャー2」海王星オカルテーション観測実験や1990年の「MUSES-A」追尾運用に使用される予定である。臼田局周辺の気候は, 強風によるアンテナ運用停止や大雨による伝送条件の低下等, 局の運用に少なからぬ影響を及ぼす。特に, 「MUSES-A」で用いられるX帯における影響は, 現用のS帯におけるそれより遥かに大きく, より深刻である。これらの気象条件の把握と解析のために, 気象観測システムはきわめて有用かつ必要不可欠なものである。臼田観測所における気象観測は1983年に始まり, 恒久的な『気象観測装置』を1987年3月に設置した。そして, 翌1988年にはこれまでの経験を元に, コンピュータシステムを中心とする『気象データ処理部』を付加し, 全体として『気象観測システム』として機能するようにした。この『気象観測システム』は, (1)雨量(雪量), (2)気温, (3)気圧, (4)風速, (5)風向及び(6)湿度(将来計画)の各データを収集し, その処理を行うものである。このシステムの基本コンセプトは, 次の点にある。「(a)臼田観測所でデータ収集からデータ整理までできるほか, 相模原キャンパスでもモニタ可能にする, (b)気象統計データを帳表形式に整理できる, (c)臼田局の運用管理情報の一つとして利用できるようなデータ表示を行う, (d)軌道決定のための大気補正データとして利用できる道を開く」。今回, 開発した気象データ処理システムは, 各パーソナル・コンピューターにおける処理を最適分散させ, 各機能をフルに生かせるシステム構成とする一方, 将来の拡張性も考慮した。そして, パーソナル・コンピュータを中核とするマルチタスク処理機能を基本に, 現行計算機システムではまれなオペレート・ガイド・システムやデータファイルの自動ハンドリング機構等を導入した省力化システムとした。また, 処理システムの各項目を階層構造のメニュー内容に登録し, メニュー選択時に「次にどの操作をすればよいか」等の基本操作方法を前もって表示するほか, 誤入力に対しても十分なプロテクトと丁寧なメッセージを用意し, 初心者でも運用できるシステムとした。さらに, 自動運用を推進するため, データファイルの自動ハンドリング機構を導入した。この機構では, データファイルの確保・削除等の領域管理をはじめ, ファイル管理まで全自動化した。また, データ取得しながら, メニュー選択によりフロッピーディスクヘデータ退避できるようなマルチタスク処理機能も有している。本報告書では, 『気象観測システム』の概要を述べると共に, 操作手引書としても使用できるように操作例を交えながら紹介する。資料番号: SA0166276000
著者
橋本進吉 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.文語篇, 1939
著者
田中 義文 橋本 悟 夏山 卓 重見 研司 木下 隆 智原 栄一 TAKIZAWA Yousuke
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.312-318, 1988

アナログデータレコーダーは, 心電図を含め生体信号を長時間連続記録でき, その再現が容易であるために臨床生理学的分野には欠かせない汎用計測機器である. しかしながら装置も大きくまた高価であるために手術室で日常利用する機会は少ない. そこでわれわれは汎用集積回路を用いて可聴域のFM変調と復調のアダプターを試作し, 市販のカセットテープレコーダーをもちいた心電図記録装置を開発し, その性能について検討した. 最も単純な回路構成でもDCレベルより20Hzまでの直線性を得ることができ, その心電図記録は十分実用になることが明らかになった. 安価な本装置を個々の心電図モニタースコープに装着すればテープレコーダーをフライトレコーダーやタコグラフのごとく利用することができ, 突発的な不整脈や循環虚脱に対しても確実な記録ができるゆえ医療技術の向上に役立つと考えられる.
著者
橋本 裕之
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
no.80, pp.363-380, 1999-03

本稿は後世の人々が古墳をいかなるものとして解釈してきたのかという関心に立脚しながら,装飾古墳にまつわる各種の伝承をとりあげることによって,装飾古墳における民俗的想像力の性質に接近するものである。そもそも古墳は築造年代をすぎても,その存在理由を更新しながら生き続けるものであると考えられる。古墳は多くのばあい,今日でも地域社会における多種多様な信仰の対象として存在しているのである。といっても,こうした位相に対する関心は考古学の領域にとって,あくまでも周辺的かつ副次的なものであった。だが,後世の人々が付与した意味,つまり土着の解釈学を無知蒙昧な妄信にすぎないとして,その存在理由を否定してしまうことはできない。それは古墳にまつわる民俗的想像力の性質に接近する手がかりを隠しており,古墳の民俗学とでもいうべき未発の課題にかかわっている。とりわけ特異な図文や彩色を持つ装飾古墳は,その存在が古くから知られているばあい,民俗的想像力を触発するきわめて有力かつ魅力的な媒体であったらしい。本稿はそのような過程の実際をしのばせる事例として,虎塚古墳・船玉古墳・王塚古墳・重定古墳・珍敷塚古墳・石人山古墳・長岩横穴墓群(108号横穴墓)・チブサン古墳などにまつわる各種の伝承をとりあげ,民俗的想像力における装飾古墳の場所を定位する。こうした事例は考古学における主要な関心に比較して,あまりにも末梢的なものとして映るかもしれないが,現代社会における装飾古墳の場所を再考して,装飾古墳の築造年代以降をも射程に収めた文化財保護の理念と実践を構想するための恰好の手がかりを提供している。地域社会における装飾古墳の受容史を前提した装飾古墳の民俗学は,そのような試みを実現するためにも必要不可欠であると思われるのである。How did people perceive and interpret the earlier Kofun Period burial mounds? In order to get an idea of how folk imagination worked concerning decorated tombs, I discuss several oral traditions related to the decorated tombs. Since the burial mounds are visible above the ground unlike most other archaeological sites, which are buried underground, they have managed to maintain and renew their raison d'etre over the centuries. Indeed, several Kofun Period burial mounds are still objects of local worship. In particular, decorated tombs with unusual signs and pictorial representations sometimes in color seem to have served as a means for people to stimulate and develop their imagination.In this paper, I discuss various oral traditions related to the Torazuka, Funatama, Ōtsuka, Shigesada, Mezurashizuka, Sekijinyama, Nagaiwa No. 108, and Chibusan tombs. I focus on the kind of places these tombs have occupied in people's imagination and mind.This kind of study has been considered marginal in Japanese archaeology, but it is in fact highly relevant to archaeological heritage management. It gives us a clue to understanding how and why archaeological sites such as decorated tombs have been protected. It also helps us put these archaeological sites into the context of contemporary society.
著者
山元 亮典 橋本 周司 三輪 貴信 ギエルモ エンリケズ フェイイー ヤップ
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.255-256, 2016-03-10

リズムタップダンスでは,一定のリズムでもってステップを踏むことが,よいパフォーマンスの条件とされている.したがって,ダンサーがリズムタップダンスの技術を修得する際には,ステップのリズムを定量的に計測し,演奏の特徴を評価することが役立つと考えられる.そこで,本論文では,9軸モーションセンサと圧力センサを内蔵し,ステップのタイミングと種類を同時に計測することが可能なリズム計測タップシューズを提案し,実際にこのシューズを用いてユーザ実験を実施することで,提案手法の有効性を評価する.また,提案手法によって計測されたリズムにダンサーの演奏の特徴がどのように現れるかを考察した結果について述べる.
著者
山元 亮典 橋本 周司 三輪 貴信 ギエルモ エンリケズ フェイ・イー ヤップ
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.269-270, 2017-03-16

リズムタップダンスにおいて,ステップのリズムからダンスの習熟度を定量的に評価することが出来れば,ダンサーが効果的な練習を出来るようになり,技術の向上に繋がると考えられる.そこで本論文では,我々が以前に開発したリズム計測タップシューズを用いて,ステップの種類とタイミングを測定し,そこからいくつかの特徴量を抽出することでタップダンスの習熟度を評価する仕組みを構築した.実際に,提案した特徴量を用いてアマチュアダンサーの習熟度を評価し,同じダンスをプロダンサーが採点した結果を比較することにより,我々が提案した特徴量の妥当性を確認した.
著者
高田 亮介 橋本 剛
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:21888736)
巻号頁・発行日
vol.2018-GI-39, no.5, pp.1-7, 2018-02-23

アクションゲームには製作者の意図しない動作をする裏技が多く存在するが,一般には人間がプレイすることによって発見される.機械が裏技を発見できるようになれば,ユーザの楽しみ方が広がるだけでなく,ゲームのデバッグ補助にも役立つと考えられる.本稿では,エージェントが試行を繰り返して成長していく強化学習を用いることで,裏技を教えることなく発見する手法を提案する.実験として,スーパーマリオブラザーズの裏技の 1 つである 「無限 1 UP」 を題材とし,進化戦略と多層パーセプトロンを用いた深層強化学習によって発見する AI を作成した.学習の結果,無限 1 UP のような動作を行うエージェントが確認できた.提案手法により,他のゲームでも裏技の発見が可能であると考えられる.
著者
重松 咲智子 久村 正樹 久野 慎一郎 中村 元洋 淺野 祥孝 橋本 昌幸 安藤 陽児 園田 健一郎 輿水 健治
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.262-266, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
11

喘息死の症例を経験した。患者は53歳男性, 動物病院で清掃作業中に喘息発作を起こし救急要請された。救急隊接触時は心静止であり特定行為で気管挿管され, 心肺蘇生を継続しながら病着した。病着後も心静止で蘇生処置にも反応はなかったため, 覚知から128分に死亡確認した。死因は気管支喘息増悪による呼吸不全と診断した。吸入ステロイド薬の普及により喘息死は減少したが, ここ10年は年間2,000人前後で推移しており, 吸入ステロイド薬普及の限界がいわれている。厚生労働省が展開する「喘息死ゼロ作戦」において消防などと病院前救急医療体制を構築している自治体は少ないが, 喘息死は予期せぬ急激な悪化が多く, 喘息発作に対しては患者に早期接触し治療を開始することが重要である。本症例は救急ワークステーションの救急車使用により患者に早期接触ができた。喘息死を減らすには, 病院前救急医療体制を構築していくことも有効であると考えられた。
著者
鵜飼 渉 辻野 華子 杉村 政樹 木川 昌康 田山 真矢 石井 貴男 古瀬 研吾 廣瀬 奨真 橋本 恵理 澤田 いずみ 山本 武志 白鳥 正典 河西 千秋 相馬 仁
出版者
札幌医科大学医療人育成センター
雑誌
札幌医科大学医療人育成センター紀要 = Journal of center for medical education Sapporo Medical University = Journal of center for medical education Sapporo Medical University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.35-43, 2018-03-31

精神科教室セミナーを終えた懇親会で,演者としてお招きした大学教授のA 先生から,突然,“先生も扁桃体クラブの会員なのですね(笑)。”と,言われ驚いたことがある。若くて優秀なその先生に,大変やさしい笑顔で話しかけられ,固く握手までしてもらったと記憶している。“扁桃体クラブ”という“人の集まり”が存在するのかどうか私は知らない。しかし,それがもし“会員制”であったなら,私はぜひ会員の皆様との集いに参加してみたいと思う。私たちはこれまで,精神疾患における,対人コミュニケーション能力をはじめ,種々の社会的な認知機能障害の脳病態の解明を目指す研究を進めてきたが,その観点からは,“扁桃体クラブ”という言葉にはとても魅力的な響きがある。ここでは,近年,家庭,学校,職場で起きている,いわゆる“コミュ障”(コミュニケーション障害の略語とされている)問題を越えていくためにも,本題の“ディープコミュニケーション”の脳機能に関連する知見を集めてみた。
著者
西野 航 山内 利宏 安藤 亮 松浦 威一郎 橋本 憲一郎 鈴木 浩二 相川 光広 古口 徳雄 宮田 昭宏
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.181-188, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
10

【目的】多血性側脳室三角部髄膜腫に対する摘出術前塞栓術を行った 1 小児例の経験から,この部位の髄膜種に対する塞栓術の戦略を検討した.【症例】13 歳女児.主訴は左麻痺.術前塞栓を施行せず行った初回摘出術は,わずかな摘出にとどまった.後大脳動脈皮質枝からの栄養動脈を液体塞栓物質で塞栓した 2 回目の摘出術は,塞栓で壊死した後方 2/3 を摘出した.2 年後に再増大し,後脈絡叢動脈からの栄養動脈を同様に塞栓し,腫瘍を全摘出した.【結論】脈絡叢動脈の終末血管によって構成されていた側脳室三角部髄膜腫に対し,液体塞栓物質を圧入せずに栄養動脈の近位部閉塞のみで十分に塞栓効果を得ることができた 1 例を経験した.
著者
本塚 智 橋本 了哉 多賀谷 基博 小林 高臣
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.242-252, 2013-06-25 (Released:2013-06-25)
参考文献数
58
被引用文献数
4 7

炭素繊維を異種材料と接合化して,複合体を創製する技術が盛んに研究されている.しかし,炭素繊維の表面は疎水性であるため,親水性樹脂への分散性やセラミックスとの接合性が乏しい.高強度な複合体を創製するためには,接合界面を精密に設計し,接合性を向上させる必要がある.そのため,炭素繊維表面を改質・被覆する技術は,異種材料への分散化や複合化を改善・促進するため,重要なプロセス技術となりつつある.さらに,複合体の機能を向上させるためには,炭素繊維の表面技術だけでなく,界面接合技術が重要である.そこで,本報では,炭素繊維の表面改質および湿式法による無機高分子の被覆技術の特徴について紹介し,表面機能化について言及し,新しい複合材料としての応用の可能性について述べた.さらに,高分子樹脂と炭素繊維の界面接合技術を概説し,炭素繊維強化プラスチック創製における表面機能化の重要性について紹介した.
著者
橋本 健志 四本 かやの 児玉 豊彦 田中 千都 平良 勝 大畠 久典 北岡 祐子 藤本 浩一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、自殺未遂歴および希死念慮がある精神障害者に対してリスクをマネージメントしながら、就労支援を行う特化型就労支援プログラムを開発しその有用性を検討することを目的に実施した。このプログラムは、医療機関と連携した特化型就労支援窓口と携帯メール自動配信サービスから成り立っている。K市内の就労支援事業所と精神科診療所外来作業療法部門の2箇所で医療機関と連携した特化型就労支援窓口を開設しその有用性を検討した。さらには、希死念慮等の精神症状を有する精神障害者に対して携帯メールを配信するプログラムを開発し、それによって希死念慮が低下し、社会資源を積極的に利用する者が有意に増加したことを報告した。

1 0 0 0 IR 海上危險論

著者
橋本 犀之助
出版者
彦根高等商業學校研究會
雑誌
彦根高商論叢
巻号頁・発行日
pp.137-205, 1930-07