著者
中川 幹子 江崎 かおり 江畑 有希 宮崎 寛子 手嶋 泰之 篠原 徹二 油布 邦夫 高橋 尚彦 犀川 哲典
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.360-367, 2015 (Released:2015-07-27)
参考文献数
21
被引用文献数
1

乳頭筋や偽腱索などの心室内構造物は,不整脈の発生と密接な関係があり,これらが心室不整脈に対する高周波カテーテルアブレーションの際に,治療の標的部位となることが報告されている.われわれは,心エコー図検査で左室内に偽腱索や乳頭筋肥大を認めた症例における心電図所見の特徴,特にJ波との関係を検討した.偽腱索を有する群は有さない群に比し,J波の出現頻度が有意に高く,QRS間隔が有意に長かった.偽腱索をその付着部位により4型に分類した結果,特に心室中隔と乳頭筋の間に付着する2つの型では,J波の出現頻度が高率であった.また,健常若年男性を対象にした前向き検討でも同様の結果が得られ,加算平均心電図記録で測定したfiltered-QRS durationも有意に長かった.一方,乳頭筋肥大を有する症例は有さない群に比し,J波の合併率が有意に大きく,QRS間隔,QTcおよびJTc時間が有意に長かった.偽腱索や乳頭筋などの心室内構造物が,J波の出現や不整脈の発生と関連がある可能性が示唆された.
著者
脇坂 英弥 脇坂 啓子 中川 宗孝 江崎 保男
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.17-23, 2015-09-30 (Released:2017-09-30)
参考文献数
12

We studied breeding ecology of the Grey-headed Lapwing Vanellus cinereus by tracing nesting of 31 banded adults and their precocial chicks in Ogura-ike Farmland, Kyoto, for five breeding seasons from 2007 to 2011. From incubation to chick-rearing periods, banded males and females of seven pairs took care of their offspring cooperatively and the monogamous mating system of this species was confirmed. The pair relationship was maintained over years, notably in two pairs which remained stable for four and five years, respectively, even after failure in breeding. Thirteen birds (four males, eight females, one bird sex-unknown) returned to the study area and nested on the same block of the paddy field. Thus, nest site fidelity in this species can be strong.
著者
江崎 裕敬 井口 貴文 谷脇 正哲 山本 裕貞 土井 宏 三宅 隆之 桜田 真己
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.169-177, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
26
被引用文献数
3 3

心不全に対する西洋医学的治療は飛躍的に進歩しているが,西洋薬と機械的補助を用いても治療に難渋する症例は未だ存在する。このような重症難治性心不全患者に対して推奨されている標準治療に加え漢方薬を用いることで病態の改善が得られるかは判然としていない。そこで当院にて過去2年間に木防已湯を用いた重症難治性心不全患者を後ろ向きに検討した。研究期間は2013年4月から2015年4月とし,この期間に木防已湯が投与された患者12人の自覚症状の変化,血清 BNP 濃度,左室駆出率などについて後ろ向きに検討した。投与前後で血清 BNP 濃度は796.8 ± 830.8 g/ml から215.6 ± 85.5 pg/ml(p < 0.01)へ減少し,全例において自覚症状の改善を認めた。左室駆出率含め他のパラメーターに関しては有意差を認めなかった。西洋医学的対処が限界に達した患者において木防已湯の投与は有用である可能性が示唆された。

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著者
江崎誠致 著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1960
著者
中島 悠 江崎 和音 菊池 結貴子 宮武 広直 安藤 康伸 生出 秀行 横山 広美 音野 瑛俊
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 オープンエデュケーションセンター 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.59-75, 2017-06

大学院生出張授業プロジェクト(BAP)は,2008年に発足した学生団体であり,「高校生に研究の 魅力を伝える」「出張授業を全国の大学院生の文化にする」という2つの理念を掲げて活動を行ってきた.出張授業の実施先はメンバーである大学院生の出身高校を想定しており,これは大学院生・ 高校生の双方にメリットの存在する形態である.これまでの出張授業件数は129件,延べの受講者 は6,600人を超え,全国各地の高校で出張授業を実施してきた.東京大学大学院の全学から多様な 専門分野のメンバーが集まり,長年蓄積されたノウハウや,他分野の講師に対して行う高校生目線 でのアドバイスにより,授業を受けた生徒からの高評価を実現している.本報告では大学院生への 支援方法やこれまでの実施実績,生徒から得られたアンケート結果からBAPという形態の特徴を 考察すると共に,活動の継続と共に出てきた運営上の問題についても議論する.
著者
江崎 孝志
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.217-224, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
15

共鳴器を装着すると,排気音は共鳴周波数で消音するが,他の周波数で増音する.増音は共鳴器の首部の細径化による減衰の付与で抑制できる.減衰が直径に依存する原因は,高音圧下のため首部での粒子速度が大きく,拡縮流での圧力損失が大きいためである.設計する際は,首部の直径で減衰を,長さで周波数を制御すると良い.
著者
富田 美穂子 江崎 友紀
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.199-204, 2003-12-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
17

口腔機能と全身との関係が明らかとなり, 咀嚼行為が健康維持に対して重要な役割を持つことが証明されてきた。咀嚼行為は脳内血流量を増やし脳神経に活性化を与えることから, 適切な咀嚼を可能にする口腔機能を維持する事が痴呆予防に最良で簡易な方法ではないかと推定される。それを証明するために痴呆の初期に惹起される前頭葉の機能減退と口腔状態の関係を調べた。私たちは多数歯欠損や不適合義歯のため正常な咀嚼機能を有していないと診断された患者29名を対象に, 補綴処置前 (1回目) と補綴処置後 (2回目: 咀嚼時に不快感がなくなった時期) に, 前頭葉機能の測定に広く利用されているかなひろいテストを施行した。被験者全員のテストの得点は, 1回目の平均値±SDが24.2±11.8, 2回目は28.1±13.2であり, 23名の患者において補綴処置後のテストで高得点を示した。さらに, 2回の得点の差を年代別に比較すると40歳代以下, 50歳代, 60歳代, 70歳代, 80歳代以上において, それぞれ10.5, 8.0, 2.5, 3.7, 1.8点となり若い患者の方が得点の相違が著しいことが明らかとなった。これらの結果から補綴処置による咬合の改善が物事に対する意欲, 集中力を高めたといえ, すなわち咀嚼機能を回復させると前頭葉機能が向上することがわかった。さらに, 年齢別の得点の相違から若年期の欠損歯の放置は高齢者に比べ脳機能に対しての影響力が強いことが示唆された。
著者
江崎 治 佐藤 眞一 窄野 昌信 三宅 吉博 三戸 夏子 梅澤 光政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.123-158, 2006-04-10 (Released:2009-12-10)
参考文献数
209
被引用文献数
2 5

日本人のn-3系多価不飽和脂肪酸 (以下n-3系脂肪酸と略す) の摂取基準策定 (2005年版) に用いた論文をエビデンステーブル (表) として提示し, 策定の基本的な考え方を詳しく述べた。n-3系脂肪酸は一定量以下のある摂取量で皮膚炎, 成長障害が認められる必須脂肪酸であるので, 下限の設定 (最低必要量) が必要である。しかし, 報告症例が少なく, 一定量以下のある摂取量を求めることができないため, 摂取量の中央値で表される目安量を用いた。すなわち, 大部分の日本人では皮膚炎は認められていないので, 日本人の各年齢階層における男女別にみたn-3系脂肪酸摂取量の中央値を日本人の大多数で欠乏症状が認められない十分な量と考え, 目安量とした。このように安全幅が広めに設定されているため, 実際の摂取量が目安量より少なくても欠乏症状はあらわれないと思われる。n-3系脂肪酸を多く摂取すると, 虚血性心疾患罹患が少なくなることを示す欧米の報告は多い。しかし, 現在の日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値は, 欧米人の検討成績の中で, 虚血性心疾患罹患率の最も低い, 最高分位のn-3系脂肪酸摂取量のグループの中央値よりも多い。このため, 日本人のn-3系脂肪酸摂取量の中央値程度を摂取していれば, 虚血性心疾患罹患率を十分低くできると考えられる。そこで, 18歳以上に対し, n-3系脂肪酸摂取量の中央値を, 目標量 (生活習慣病予防を目的とした食事摂取基準の一つ) の下限と設定した。設定された18歳以上の目標量は2.0-2.9g/day以上となる。この値は必須脂肪酸としての目安量と一致するため, 18歳以上については目標量のみの設定となっている。n-3系脂肪酸を多く摂取した場合の弊害についても検討した。出血時間の延長, LDL-コレステロール値の増加が多く報告されているが, 臨床的に問題となる出血例の増加は報告されていないし, 虚血性心疾患罹患率が増加したことを示す報告もない。このため, 今回の策定では, 目標量の上限値設定は行わなかった。しかしながら, 日本人のおもなn-3系脂肪酸摂取源である魚介類には, 水銀, カドニウムなどの重金属, ダイオキシン, PCBなどの環境汚染物質が微量ながら含まれる。食事摂取基準では, 有害物質の摂取量について取り扱っていないため, これらの影響については考慮されていない。この点を補完するために, 本稿では水銀摂取の影響についてエビデンスの収集を行い, 妊婦が魚を摂取する場合の注意点についても言及した。
著者
野口 義紘 齊藤 康介 江崎 宏樹 臼井 一将 加藤 未紗 舘 知也 寺町 ひとみ
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.192-198, 2016 (Released:2016-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
3

Objective: Antiplatelet therapy is useful for infraction prevention.  But, in elderly patients, adverse events are easily observed, owing to the decrease in metabolism and excretion of drugs.  Furthermore, applying guidelines for medical care of each disease does not necessarily result in good conclusions.  Therefore, we used Japanese Adverse Drug Event Report database and assessed safety signals with signal detection about adverse events developed by the antiplatelet therapy in the elderly patients.Methods: We analyzed all adverse events reported on ticlopidine hydrochloride that should be carefully administered, and clopidogrel, bisulfate and aspirin that are recommended as the alternative drugs.  We used the proportional reporting ratio for a safety index of drugs.Results: While some adverse events were expressed in only ticlopidine hydrochloride, bleeding signal was detected in all the subject agents.  In addition, onset risk of ticlopidine hydrochloride was found to be the lowest value.  Moreover, adverse events expressed in clopidogrel bisulfate and aspirin were of a wide-variety compared with ticlopidine hydrochloride.Conclusion: It is necessary to carefully administer not only ticlopidine hydrochloride but also the alternative drugs to the elderly patients as indicated, and there is a need to pay careful attention to administration of the alternative drugs.
著者
裴 秉哲 田野 俊一 市野 順子 江崎 朋人 橋山 智訓
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.239-244, 2010-02-15

近年、情報技術の発達により高度なデザインシステムが用いられているが、逆にデザイナの創造的な活動を阻害しているという事例が指摘されている.この問題を改善するため、3次元表示や3次元スケッチを利用したデザインシステムが盛んに研究されている.しかし、それらのシステムは著しく環境を制限される上に、大掛かりな計測機器を用いるという問題点を有している.そこで、本研究ではPTAMを用いることでカメラ一台という安価かつ簡易な装置のみによりVision-Basedな3次元空中描画を実現するアルゴリズムを提案する.
著者
江崎 重昭 川村 次郎 本多 知行 小野 仁之
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.49-52, 1995-03-31 (Released:2018-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
6

電気刺激による筋力強化を目的に,健常人10名の大腿四頭筋に対し,高周波電気刺激を6週間行った。高周波電気刺激は周波数50KHz,パルス幅10μsecのパルスを周波数50Hzで変調した。刺激後6週での大腿周径と筋断面積の増加は認められなかったが,最大随意筋収縮力は2.2 ± 1.7kg・mの増加を認めた(p < 0.01)。以上の結果より高周波電気刺激は健常人に対する筋力強化に有効であることが示唆された。
著者
森下 剛久 清水 鈴昭 井村 洋 岡本 昌隆 小野 芳孝 斉藤 稔 中村 康一 松井 俊和 重村 はるひ 井野 晶夫 江崎 幸治 平野 正美
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.627-639, 1984 (Released:2009-01-26)
参考文献数
22
被引用文献数
2

Pulmonary complications were studied in 213 patients with leukemia and lymphoma. The incidence of pulmonary lesions was 38.5% and diffuse changes were encountered twice more frequently than localized ones. Etiological diagnosis during life was difficult. In 38 out of 62 cases with diffuse lesions, their etiology was not determined. In 9 out of 28 cases with localized lesions their etiology was not clear. In some of these cases autopsy clarified their etiology.Among localized cases, infection, mainly of bacterial origin and infiltration of underlying diseases were two main etiologies. On the other hand, diffuse lung lesions were of various etiology; 29 infections (bacteria 8, fungus 9, virus 8, p.carinii 2), 11 tumor infiltrations, 11 interstitial pneumonia, 3 vascular origins. In these cases with diffuse lesions of different etiology, clinical findings such as fever, cough, dyspnea, low PO2, high LDH, increased CRP, and hypoalbuminemia were observed, but not helpful in differentiating the etiology. Eight out of 11 cases of interstitial pneumoonia occurred during or after tapering of glucocorticoid.The mortality rate was as high as 54.4% of all lung diseases. Retrospective studies on the chest X-ray pictures showed that diffuse ill-defined opacities or multilocated consolidations were associated with poor prognosis.The diagnostic value of transbronchoscopic lung biopsy and therapeutic implications of empirical glucocorticoid administration for etiologically undiagnosed lung lesions were also discussed.
著者
江崎 次夫 河野 修一 枝重 有祐 車 斗松 全 槿雨
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.195-198, 2008 (Released:2009-04-10)
参考文献数
1
被引用文献数
8 14 5

エチゼンクラゲやミズクラゲ等のクラゲ類の高い吸水性の成分と栄養分に着目し,これらを脱水,脱塩,乾燥して荒廃地,山火事跡地,各種のり面および海岸砂丘地などの土壌地改良材として活用する手法を開発した。アラカシについては2年間,クロマツおよびチガヤについては1年間,ポットでの施用実験を行った結果,苗長,根元直径および葉数などに無施用との間に0.1 %レベルで有意な差が認められ,その有効性が確認された。
著者
江崎 秀男
雑誌
生活の科学
巻号頁・発行日
no.32, pp.1-9, 2010