著者
太田 智 遠藤 朋子 島田 武彦 藤井 浩 清水 徳朗 國賀 武 吉岡 照高 根角 博久 吉田 俊雄 大村 三男
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.295-307, 2011
被引用文献数
9

カンキツトリステザウイルス(CTV)は,カンキツに重大な被害を引き起こす重要病害の一つである.カンキツ属との交雑が可能であるカラタチ[<i>Poncirus trifoliata</i>(L.)Raf.]は,広範な CTV の系統に対して抵抗性を示す.これまでに,カラタチの CTV 抵抗性をカンキツ属に導入するために育種計画が実行され,中間母本が育成されたことで,経済品種の作出に道が開かれてきた.本研究では,マーカー選抜により効率的に CTV 抵抗性をカンキツ属に導入できるように,CTV 抵抗性に連鎖した 4 つの DNA 選抜マーカーおよび各連鎖群上のカラタチの対立遺伝子を識別する 46 のマーカーを開発した.CTV 抵抗性連鎖マーカー 4 つのうち,1 つは共優性マーカーである Single Nucleotide Polymorphism マーカーで,3 つは優性マーカーの Sequence Tagged Site マーカーであった.これら全てのマーカーで,2.8%の例外を除き,後代における CTV 抵抗性・感受性とマーカーの有無とが一致した.さらに,これらのマーカーは高度にカラタチ特異的であり,検定したカンキツ属 35 の全品種・系統に対して適応可能であった.カラタチ由来の対立遺伝子を排除するための判別マーカーでは,46 のうち 9 マーカーが CTV 抵抗性の座乗する第 2 連鎖群に位置した.また,他の 31 マーカーを残りの 8 連鎖群におくことができた.これらのマーカーは,カンキツ属 35 品種・系統のうち少なくとも 1 つ以上の品種・系統に対し,カラタチ由来の対立遺伝子を識別することができた.本研究で開発されたプライマーセットは,戻し交雑により CTV 抵抗性を様々なカンキツ属系統に導入するためのマーカー選抜に利用可能と考えられた.<br>
著者
清水浜臣
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
山下 大地 荒川 裕志 有光 琢磨 河野 隆志 和田 貴広 清水 聖志人
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.202_1-202_1, 2016

<p> 日本レスリング協会と国立スポーツ科学センターはこれまで日本代表選手の体力測定およびフィードバックを実施し、国際競技力の向上を図ってきた。近年では育成世代にも一貫した発掘・育成システムの構築を推進しており、同様の測定方法にて形態・体力測定を実施している。本研究では、育成世代の男子エリートレスリング選手の体力水準を明らかにすることを目的とした。2013年度から2015年度にかけて、各世代の育成キャンプに招集された延べ219選手を対象に、形態・体力測定を実施した。測定項目は身長、体重、体脂肪率、背筋力、握力、腹筋テスト、ロープ登りテスト、300mインターミッテントテストであった。出場階級をもとに軽量級、中量級、重量級に分け、各階級(軽・中・重)および世代(U-20・U-17・U-15)を要因とする二元配置分散分析をおこなった。U-20世代の軽量級は他世代の軽量級と比較して筋力、疾走能力が高かった。一方、U-20世代の重量級は、他世代の重量級より筋力は高値を示すものの、体脂肪率が高く、腹筋、疾走能力が低値を示した。これらの結果は、選手の発掘や育成システム構築に必要な指針となりうるものである。</p>
著者
吉田 博一 清水 宏明 深美 悟
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.49-61, 1996
参考文献数
18
被引用文献数
8

花粉観測をもとに, 花粉飛散状況と症状の出現時期との関係, 症状経過との関係について詳細に検討した. 症状出現日と花粉数との関係を見ると, 累積発症率と累積花粉数の平方根との間には高い正の相関関係が認められた. また, 初観測日から飛散開始日までの期間が長いほど, 飛散開始日までの発症率が高いことがわかった. 症状経過と花粉数との関係では, 症状スコアと累積花粉数の平方根との間に正の相関関係が認められた. また, 症状の高度化に伴って, 鼻洗浄液中のECP・トリプターゼ値は上昇した. 連続鼻粘膜誘発試験では, 即時性反応は高度化し,それに伴って鼻洗浄液中のECP・トリプターゼ値は上昇した. また, 遅発性反応は, 陽性群と陰性群に2分されたが, 誘発の繰り返しによる反応の高度化は認められなかった. 以上より, ごく少量の花粉でも繰り返し暴露することにより症状が誘発され,花粉数の蓄積によって症状が増悪していくことが観察された.
著者
常塚 宣男 本多 桂 竹内 一雄 中村 康孝 蒲田 敏文 清水 淳三
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.167-171, 1997
参考文献数
6
被引用文献数
2

止血困難な気道出血に対し, 高出力半導体(GaAlAs)レーザーを用いることにより止血し得た症例を経験したので報告する。症例は85歳男性, 食事中に突然新鮮血を吐き, 意識不明状態で救急車にて搬送された。二次救命処置後, 気管内挿管チューブから血性痰が吸引されたが, 緊急上部消化管内視鏡検査でDieulafoy潰瘍からの出血を認めたため吐血の誤嚥と考えられた。しかし胸部大動脈瘤の病歴, および血痰の持続から, 気道出血の可能性を考え気管支内視鏡検査を施行した。気管および左中間幹に出血源を認めたためエピネフリン散布, トロンビン散布, バルーンカテーテルによる圧迫を5日, 計10回にわたり試みたが止血は不十分であった。今回, この気道出血に対し, 高出力半導体(GaAlAs)レーザーシステム(DIOMED 25, OLYMPUS)を使用し, 経内視鏡的に止血に成功し得た。
著者
武田 純枝 野路 宏安 広瀬 信義 新井 康道 山村 憲 清水 健一郎 本間 聡起 海老原 良典 高山 美智代
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.548-558, 1998-07-25
参考文献数
15
被引用文献数
4 15

急速に進む高齢化社会をむかえいわゆる超高齢者も急増しておりこの年代の介護が重要な問題となっている. 超高齢者の実態調査の一環として超高齢者の食事摂取状況を検討した. まず1995年百寿者と米寿者の食事摂取状況を同年の対照群 (平成6年度国民栄養調査成績) と比較した. ついで年代変化を見る目的で過去に報告された1981年百寿者との比較も行った.<br>1995年百寿者と米寿群における栄養摂取量は対照群の60%, 75%と低下した. しかし栄養良好な百寿者の栄養摂取量は米寿群と同等であった. 日常生活活動度が良好な百寿者では栄養摂取量が多く, また認知機能良好な百寿者でも栄養摂取量が多かった. 食品群摂取を百寿者と対照群で比較すると乳類, 菓子砂糖類, 果実類の摂取は対照群と同等であったが, 穀類, 肉類, 魚類, 油脂類は低下していた. 同様の傾向は1981年百寿者でも認められ, 超高齢者では柔らかく甘い食品が好まれることがうかがわれた. 単位体重あたりの栄養摂取量は一般栄養所要量を越えており, 栄養良好な百寿者では不良群に比較して多かった. 1981年と1995年百寿者での栄養量摂取を比較すると1995年群で多かった. 食品群摂取では穀類, 豆類, 卵類, 藻類は1995年群で少なかったが, 他の食品群は多く摂取していた. これは年代による食習慣の違いによるものと考えられた.

1 0 0 0 OA 箱根温泉誌

著者
清水市次郎 編
出版者
尚古堂
巻号頁・発行日
1887
著者
角南 寛 清水 雄介 横田 育子 五十嵐 靖之 岸本 英博 松下 正之
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学
巻号頁・発行日
vol.38, no.9, pp.473-478, 2017

<p>NIH-3T3 cells were adhered to three kinds of 3D micro-patterned scaffolds, placed face-down into culture medium in glass-bottomed dishes, and cell migration and the scaffolds were observed over 72 h. The three scaffolds differed only in terms of the unit shape of the repetitive pattern, namely a scale structure with equilateral triangular pores, a check structure with regular tetragonal pores, or a stripe structure with rectangular grooves. The angle that cells turn is influenced by the unit shape of the 3D patterned scaffold on which they are cultured. These differences in the angles that migrating cells turned correlated with differences in the angles they extended protrusions. In summary, the unit shape of the micro-patterned scaffold affects the angle at which cells extend, which in turn affects the angle at which migrating cells turn.</p>
著者
山田 真澄 林 康裕 森井 雄史 朴 舜千 大西 良広 清水 秀丸
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 : journal of architecture and building science (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.14, no.27, pp.351-356, 2008-06-20
参考文献数
15

We performed a damage survey of temples and shrines near the source region of the 2007 Niigata-ken Chuetsu-oki earthquake to estimate the distribution of strong ground motions. We constructed a function to estimate peak ground velocity from the damage rank of main hall of temples and shrines, and estimated the PGV distribution in the source region. From our results, the PGV in the most of the Kashiwazaki basin exceeds 100cm/s. This PGV distribution agrees with the PGV estimated from the attenuation relationship and surface soil amplification. The conventional estimation method using the ratio of overturned tombstones underestimates the PGV in the basin.
著者
鈴木 康裕 清水 如代 岩渕 慎也 遠藤 悠介 田邉 裕基 加藤 秀典 羽田 康司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】バランス能力の定義は,静的と動的に大別できるが,アスリートの競技パフォーマンスと関連するのは,動的バランスと考えられている。我々は,重心動揺計を用いた姿勢安定度評価指標(以下IPS),その修正版である修正IPS(以下MIPS),また片脚立ちを,動的バランスと定義しているが,MIPSの測定方法である閉眼および軟面上立位で行う2重課題に注目している。MIPSは視覚および感覚の負荷が同時にかかる難度の高いバランス検査であり,より高度なバランス能力を要求されるアスリートに適合する可能性がある。我々は,MIPSを含めた複数の動的バランス能力の評価指標を用いて,健常者を対照とし,様々な競技群との比較を行うことで,競技毎のバランス特性が明らかになるものと考えた。</p><p></p><p>【方法】動的バランス評価として,IPS,MIPSを測定し,また閉眼片脚立ち検査を行った。身体機能評価として,体性感覚は,振動覚,二点識別覚,足底触圧覚,下肢筋力は,膝伸展筋力,膝伸展筋持久力,足関節背屈筋力,足趾筋力を測定し,また体組成は,体脂肪量および除脂肪量を算出した。バランス特性を検討するため,IPS,MIPS,閉眼片脚立ちについて,10名以上の被検者が確保できた競技群と健常者による対照群との比較を,対応のないt検定を用いて行った。またMIPSとの関連要因を検討するため,欠損データのない対象競技者において,MIPSと各身体機能をPearsonの積率相関関係を用いて相関関係の検討を行った。使用統計ソフトはSPSS(ver21)を用い,全ての統計有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】対象は179名(男性119名,女性60名),平均年齢は20.7±2.2歳(19~29歳)であった。対象となった競技は,全11種目(154名)であったが,対照群(25名)と比較を行ったのは,5種目の競技群(水泳33名,野球27名,競艇26名,サッカー30名,体操15名)であった。対照群と各競技群の動的バランス評価を比較した結果,IPSは全ての競技群において有意に優れておらず,MIPSは競艇群(p<0.05)および体操群(p<0.01)が優れ,水泳群が劣っていた(p<0.01)。閉眼片脚立ちは,サッカー群および体操群が優れていた(p<0.05)。すなわちMIPSおよび閉眼片脚立ちの双方が優れていたのは体操群のみであった。全11種目の対象者に,MIPSとの関連要因の検討を行った結果,身長,体重,足底触圧覚,足関節背屈筋力に有意な関連性が認められた。</p><p></p><p>【結論】健常者を対照とし,各競技群との動的バランス評価の比較を行った結果,競艇・水泳・サッカー・体操・野球のバランス特性が明らかとなった。</p>
著者
清水 純一
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1958, no.8, pp.70-76, 1958-03-31 (Released:2009-07-23)

今日のイタリアにおける哲学研究発達の有様を省みると、明治維新以後の我が国のそれと似通ったところがある.イタリアは、ルネサンス以来、諸外国勢力の干渉によって分裂をつづけてきたために、近代国家としては他のヨーロッパ列強に立遅れることとなった.イタリア国家の独立統一が事実上成立したのは、一八七〇年 (明治三年) のことなので、このおくれを取戻すためには、まず先進北欧諸国の文明文化を輸入することから始めなければならなかった.そしてイタリア哲学界に真先にはいってきたものが、当時の世界に君臨していたドイツ哲学であったことはいう迄もない.戦前のイタリアの代表的思想家といえば、ジェンティーレ (G.Gentile) とクローチェ (B. Croce) をあげるのが普通であるが、この二人もまたヘーゲル右派と左派とも呼ばれるように、ドイツ観念論の影響を多分にうけている.つまり戦前のイタリア哲学界の主流をしめていたものはドイツ観念論の研究であり、指導的学者もまたその研究家に多かったので、現代イタリアの哲学はドイツ哲学の輸入から出発したといっても過言ではない.また、戦前から戦中にかけては、周知のようなファッショ政権の国粋主義的傾向によって、ファシズムの理論的裏づけと同時にイタリア思想の研究が積極的に支援助長された.さらに戦後思想の発展についても、敗戦後の我が国の思想界が帝国主義への反省から出発したように、イタリアでもまたファシズムへの批判がその出発点となったところへ、マルクシズムや実存主義やプラグマティズムといった諸思想が洪水のように流れこみ溢れでて、諸観念の混沌時代を現出したのである.このように我が国とイタリアとの間には類似性があるけれども、イタリアの哲学がまた独自の足どりをもって前進したことはいうまでもない.まずその哲学を生み出しているイタリアの社会的地盤、その長い輝かしい歴史と伝統はイタリア民族の意識と思想を強固に規制している.古代ローマ文化の時性としてよく引合に出される現実的性格は、今日までイタリア民族の底を一貫して流れているものである.この現実的性格は目前に現われたものを貧欲に吸収しようとして多面的となる.たとえばいわゆるルネサンスの万能天才レオナルドのディレッタンティズムはその典型といえる.その点ではイタリアに輸入されたドイツ観念論が果してどれだけ血肉化したかは問題で、さまざまのイタリア的消化をせねばならなかったのであって、むしろおくれてはいってきたコントの実証主義の方がやすやすと受け入れられたという見方もされるのである.学者の研究活動も一般に多面的で、学究生活と社会生活の結びつきが密接なため、我が国のように専門化が徹底せず、いいかえれば哲学と市民生活或は社会実践との境界線はより複雑である.こうした性特はまた何よりもイタリアの歴史のうちに最もよくあらわれているので、自己の歴史伝統の尊重がイタリア哲学の特性ともなってくるのである.したがってイタリア思想史の研究は、ファシズム時代にぱっと燃えおちた花火線香のような一時的現象ではなく、戦後の今日も性格こそ異ってはいるものの依然として続けられ、しかもかえって隆盛になって今日のイタリア哲学研究の一特色とまでなりつつある現状である.上の如き一般的特性を背景に思い浮べながら、第一に時代思潮の流れからみたイタリア哲学界の現況及び傾向を素描し、第二にルネサンス哲学の研究状況を紹介することによってあわせてその特性の一半をうかがうよすがとしたい.
著者
清水 唯一朗
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.101-112,256, 2003

本稿は,明治31(1898)年に実施された,わが国初の政党内閣による選挙である第6回衆議院議員総選挙を分析する。これに先立ち,自由,進歩の二大政党を中心とした民党は大合同を果たし,実に8割近い議席を有する憲政党が誕生した。選挙は,この憲政党を与党とするわが国初の政党内閣である第一次大隈内閣によって実施された。<br>本選挙で注目されるのは与党憲政党における候補者調整である。本選挙は前回選挙からわずか5ヶ月しか経ておらず,いかに中央において合同が達成されたとはいえ,地方においては当然,候補者調整が難航した。本稿はこの問題を中心に,ミクロな視点から地方における候補者選定の事例を検討した上で,マクロな視点から全国的な傾向を分析し総体を把握するものである。