著者
清水 美知子
出版者
関西国際大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13455311)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.135-154, 2003-03-30

本稿は,両大戦間期の日本における<女中>イメージの変容を,第一次世界大戦後に登場した「派出婦」(=家庭などに出向いて家事手伝いに従事する臨時雇いの女性)に焦点をあてて考察するものである。第一次世界大戦後,都市部では女中不足が深刻な社会問題となりつつあった。女中が見つからない,居着かない。そんな女中払底への対応策のひとつとして打ち出されたのが「派出婦」という臨時雇いの女中のシステムである。1918年,東京・四谷に「婦人共同派出会」が設立された。派出婦は,申込者の依頼内容に応じて適任者が派遣されるしくみ。賃金は従来の女中にくらべると割高だが,必要なとき必要なだけ雇えるという利点もある。「派出婦」はその後,家庭の手不足を補う労働力として,都市部を中心に急速に広まっていった。女中になることを"奉公に上がる"といったように,日本の女中は行儀見習や家事習得という修業的な性格を有していた。これに対して派出婦は,雇用期間や勤務時間,仕事内容が前もって決められるという点で,従来の女中とは大きく異なった。そこには"修業"という側面はない。主従関係から契約関係へ。「派出婦」の登場により女中は,"職業人"としての第一歩を踏み出すことになったのである。
著者
清水 貴裕 瀧野 揚三
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.347-363, 1998-01

本研究は,小学校の4年生児童127名を対象に,いじめ場面における被害者と第三者の行動が,加害者の行動と態度にどのような影響を及ぼすかを検討した。まず,架空のいじめエピソードの4コマ漫画を提示し,続いて第三者の援護行動(仲裁者的立場),はやしたて(観衆的立場),黙認(傍観者的立場)と被害者自身の行動(服従的行動と抵抗的行動)を組み合わせた6条件を2コマ漫画で提示した後,被害者と第三者の応答行動後の加害者の行動,いじめをおこなったことに対する加害者自身の評価,いじめをおこなったときの加害者の感情,今後のいじめへの動機づけを調べた。結果は,第三者が援護する条件で顕著にいじめを抑制する傾向が示された。The purpose of the present study was to investigate the effects of victim's and bystanders' behaviours on the bully's cognition, emotion and behaviours. A sample of 127 fourth graders participated in this study was divided into six subgroups and answered the questions about bully's reactions, cognition, emotion and behaviours. The result showed the bystanders' helping behaviours lead to the prevention of bullying effectively rather than the victim's resistance.
著者
清水 泰生
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.18-19, 2011-09-10

In this study a researcher considered how the Japanese teaching materials took up sports. As to the textbooks of the beginner's class level, many differences were seen in sporting events and in the terms depending on the textbooks. The textbooks for the intermediate and the advanced classes did not take up so much sports. And the researcher introduced the example of the class using the newspaper article about sports (Tokyo marathon).
著者
清水 幸丸 村上 光清 葛原 定郎 永房 誠 杉野 公一
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.47, no.417, pp.729-738, 1981-05-25
被引用文献数
1

本研究は, ディフューザの中心線がねじれS字状およびコイル状に曲げられた, いわゆる空間曲りデュフューザについて, その性能を調べたものである. このようなディフューザでは, 流入速度が通常の曲り管出口における速度分布のように二次流れを伴って不均一になっている場合には, この不均一流がディフューザの曲りと関連して, ディフューザ内に強い二次旋回成分を発生することとなり, はく離の発生が防止される. そして直線円すいディフューザよりも高い圧力回復効率を示すことを明らかにした.
著者
宮村 達男 吉田 弘 清水 博之 PHAN Van Tu 米山 徹夫 萩原 昭夫 松浦 善治 武田 直和 RADU Crainic DELPEYROUX F CRAINIC Radu
出版者
国立感染症研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

ポリオウイルスは代表的なエンテロウイルスであり、経口感染によりヒトからヒトへと伝播する。そしてヒトのみが唯一の感受性自然宿主である。糞口感染が日常的におこらないような衛生状態が恒常的に保たれれば、ポリオの伝播は次第に絶ち切られ、ポリオという疾患は消滅するはずである。一気にポリオを根絶する為には、更に強力な免疫計画とサーベイランスが必要であり、この目的をもって世界レベルの根絶計画がWHOの強力な指導のもとにスタートした。我が国の属する西太平洋地域では野生株ポリオウイルスは激減しているが、本研究は最後までウイルスが残っているベトナムをその対象領域として、野生株ポリオウイルスが弱毒性ワクチン株に置き換えられてゆく最後の過程を検証することにある。1997年、ベトナムでは1例、隣国のカンボジアでは8例の野生株が分離された。これらは現地で急性弛緩性マヒ(Acute Flaccid Paralysis:AFP)を生じた小児の糞便検体が当研究室に送付され、ウイルス分離、同定、型内鑑別が行われたものである。そしてこれらの分離株のVP-1領域の塩基配列を決定し、これまで周囲で分離されていた野生株と比較した。その結果、インドシナ半島で複数存在していた株のうちの一つのみが残っていることがわかった。北ベトナムでAFP例から分離されたウイルスは、ここ2年間、すべてワクチン由来株であったが、この1年はワクチン株の分離も減少している。一方、南ベトナムの国家ラボで得られた成績と日本のラボでの成績には、一部不一致がみられた。その問題点を解決する手段として、野本らにより樹立されたポリオウイルスのレセプターを発現しているマウス細胞株(Lα細胞)を用いた、ポリオウイルス選択的なウイルス分離が提唱され、実行されつつある。かくして、1997年3月19日のカンボジアの1例を最後として、野生株は分離されておらず、これが最後の例となるか、更なる強力な監視が必要である。
著者
石井 規夫 新井 和夫 都丸 祐司 増山 和雄 清水 健
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
関西造船協会誌 (ISSN:03899101)
巻号頁・発行日
no.221, pp.43-48, 1994-03-25

This paper presents a numerical method for predicting the hydrodynamic and cavitation performance of a submerged hydrofoil. The numerical model of a hydrofoil is constructed with a hydrofoil and center and side struts. It is also taken account of the effect of the controll of flaps. The method represents a hydrofoil and struts by discrete vortices and line sources located on the camber surface of the hydrofoil and strut. The effect of the water surface is considered approximately by the image system in the present method. A three-dimensional theoretical procedure is used to calculate partial-and super-cavitation occurring on the hydrofoil surface. In order to verify the validity of the method, the lift and drag acting on the hydrofoil and the extent of the cavity occurring on the back or face surface of the hydrofoil were calculated and compared with the test results which was carried out in the cavitation tunnel of Akishima Laboratories (MITSUI ZOSEN) Inc. The comparisons show that the present method becomes a very useful tool for designing the hydrofoils of a high speed craft.
著者
鈴鹿 哲也 国本 雅夫 杉田 直己 清水 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.256, pp.57-62, 1993-09-30

通信制御LSIの動作の解析結果に基づき、高スループット実現のための処理方式を提案する。単位時間当りいくつのパケットを通信できるかという通信制御LSIの性能は「1つのパケットに対する処理の総量」だけでなく、各処理をどのような順序で実行するかという「処理スケジューリング」にも依存することを示す。そして高スループットを実現するための、「情報転送処理と送達確認処理」のスケジューリング方式及び「連続パケット受信時の処理」のスケジューリング方式を提案し、その効果を実測により明らかにする。
著者
清水 隆弘
出版者
三重大学
巻号頁・発行日
2011-01-01 (Released:2017-02-18)

三重大学大学院人文社会科学研究科地域行政政策専修 34
著者
渡辺 優子 酒井 千恵 清水 英世
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.119-121, 2004

The purpose of this study is to examine oxidative degradation of frying oils used in the cooking practice done in July,2004 from May in Gifu City Women's College. The results are as follows. (1) Peroxide Value was 4.49 or less. (2) Acid Value was all 0.5 or less. (3) The frying oils examined this research was confirmed the safe one on food sanitation.
著者
清水 哲郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.453, pp.209-212, 2004-03-15

列数・行数を指定して「表を挿入する」作表機能/欧米流の作表方法をワードプロで再確認/罫線を組み合わせるのが日本流の作表方法/欧米のタイプ文化 vs 日本の手書き文化
著者
石盛 真徳 藤澤 隆史 小杉 考司 清水 裕士 渡邊 太 藤澤 等
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.159-168, 2008-10-05
被引用文献数
1

本研究では、ソシオン理論の家族システム論に基づいて、家族成員間関係から家族システムの機能を把握するアプローチと家族システムの全体的機能に関して直接的に取り扱う研究アプローチとが融合し得るか、について検討を行った。具体的には、家族成員間の感情コミュニケーションにおける思いやりと家族全体システムの機能との関連性が調査された。その結果は、家族システムへのアプローチとして、家族成員間関係に基づくアプローチと全体的機能へのアプローチを重ね合わせて検討することの有効性を示していた。また家族構成や家族成員のジェンダーといった家族システムの内的構造変数に、社会階層意識といった外的構造変数も加えて、家族成員間関係と全体的機能との関連性を分析することによって、家族援助の実践的取り組みに対するより役立つ基礎データが提供可能となることも示された。本研究のデータは、ソシオン理論の家族システム理論に基づいて要請される完全な二相三元非対称データではなく、4人家族の子供のみを調査協力者として収集された部分的なデータであったので、今後は完全な二相三元非対称データに基づいた検討が必要とされる。